- 更新日 : 2024年12月13日
源泉徴収票はいつどこでもらう?もらえない時の対応方法も解説!
毎年の年末調整の時期や退職するときなどに会社からもらう源泉徴収票ですが、会社員が正しく税金を納める上でとても重要な書類です。
今回は、源泉徴収票に関して、どこでもらうのか、どのタイミングでもらう必要があるのか、どのような見方をすればよいのか、もらえない場合はどうすればよいのかなどについて詳しく解説します。
目次
そもそも源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは、年間の収入額の合計と国に納付した所得税額を記載した書類のことで、給与所得用・退職所得用・公的年金等の3種類があります。
給与所得の源泉徴収票
給与所得の源泉徴収票とは、年末日の時点で在籍している従業員に対して、年間の支払い給与総額と国に納付した所得税額を記載した書類のことです。会社が発行します。
退職所得の源泉徴収票
退職所得の源泉徴収票とは、退職する従業員に対して、支払った退職金額と国に納付した所得税額を記載した書類のことです。退職金は毎月支払われる給与とは切り分けて税金を計算するため、源泉徴収票も別になります。会社が発行します。
公的年金等の源泉徴収票
公的年金等の源泉徴収票とは、公的年金を受給している人に対して、年間の支払年金総額や、そこから源泉徴収された所得税額などを記載した書類のことです。日本年金機構が発行します。
源泉徴収票の見方は?
源泉徴収票には、会社が支払った金額、税額を計算するときに控除することのできる金額、国に納付する年間の所得税額などの情報が記載されています。
支払金額
残業代を含めた毎月の給与や賞与などで、会社から支払われた金額の年間合計額が記載されています。
なお、源泉徴収票に記載される金額は、所得税の課税対象となる支払いが対象となります。
月に15万円以下の通勤交通費などの非課税な支払いに関しては含まれていません。
給与所得控除後の金額
個人事業主の場合、所得税額の計算を行う上で、収入の合計額(売上高)から売上を得るために支払った経費などを控除することが可能です。会社員にも経費の控除という仕組みがあり、それを給与所得控除といいます。
給与所得控除の額は、収入額の区分に応じて計算方法が定められています。例えば、年間の収入合計額が360万円超660万円以下であれば「収入金額×20%+44万円」が控除額になります。前述した支払金額から給与所得控除を行った後の金額が、源泉徴収票に記載されています。
所得控除の額の合計額
年間の収入額の合計から給与所得控除を行い、さらに控除可能な金額(所得控除)を引いたものが、所得税額の計算のもとになる課税所得額です。
所得控除の種類には、社会保険控除、生命保険控除、扶養控除、基礎控除などがあります。
それらの合計金額が、源泉徴収票に記載されています。
源泉徴収税額
最終的な年間の所得税額は、給与所得控除後の金額から所得控除の合計額を引いた金額(課税所得額)をもとに計算されます。計算方法は、課税所得額の区分に応じて定められています。例えば、課税所得額が1,950,000円〜3,299,000円であれば、「課税所得額×10%-97,500円」で計算します。
会社は、従業員一人ひとりの所得税額を計算した上で、税務署に納付します。その場合の、確定した年間の所得税額(源泉徴収税額)が、源泉徴収票に記載されています。
源泉徴収票が必要になるのはいつ?
源泉徴収票は、年末調整を行うときに発行されます。それ以外にも、転職をするときや給与以外の収入があり確定申告を行わなければならないとき、何らかの理由で自分自身の収入額の証明を行うときなどに必要となります。
年末調整を行うとき
会社員が一年間に納めるべき税金(所得税)の金額は、その年に支給された給与や賞与の合計額から控除可能な金額を引いた残りの金額をもとにして計算されます。一方、会社員は、毎月支給される給与や賞与から、その都度税金が引かれています。
これに関して、本来納付すべき年間の税金額を確定した上で、すでに支払っている税金額の合計額との過不足を清算することを年末調整といいます。年末調整を行う義務があるのは会社であり、そのときに必ずその年の源泉徴収票が従業員一人ひとりに発行されます。発行時期は、12月後半から1月です。
転職したとき
転職する場合、転職先の会社に転職前の会社で発行してもらった源泉徴収票を提出する必要があります。転職先の会社が転職前のおおよその収入を確認し、あるいは転職した年の年末調整を行うために必要になるからです。
この場合の源泉徴収票は、最終の支払給与や控除すべき税金額が確定してからでないと発行することができません。そのため、発行時期は、退職してから2〜3週間程度後になります。
確定申告が必要なとき
会社員であっても、年収が2,000万円を超える場合や副業などで給与以外に20万円を超える所得がある場合は、自分自身で確定申告を行わなければなりません。さらに、退職後に個人事業主として起業する場合も確定申告が必要になります。
確定申告を行う場合、納付する所得金額を計算するために源泉徴収票が必要です。源泉徴収票の発行時期は、会社に在籍している場合は12月後半から1月であり、起業する場合は退職してから2〜3週間程度後になります。
収入証明が必要なとき
ローンを組むときや子どもを保育園に預けるときなど、自分自身の収入を証明しなければならない場合があります。このようなとき、会社に源泉徴収票の発行を依頼することが効果的な対応です。
あらかじめ会社に収入の証明が必要となる時期を伝えておくことで、提出時に間に合うように発行してもらえます。
源泉徴収票はどこでもらう?
源泉徴収票は、従業員の給与を計算する部署が発行します。
正社員の場合
年末調整終了後に、会社の総務人事部門が一人ひとりに対して発行します。年末調整直後の給与明細書に源泉徴収票を同封する対応がよく見られます。
パート・アルバイトの場合
パートやアルバイトであっても、源泉徴収票は発行されます。正社員の場合と同様に年末調整終了後に会社の総務人事部門が一人ひとりに対して発行し、源泉徴収票の現物を配布します。
すでに退職している場合
退職時の源泉徴収票の発行は、会社の総務人事部門に依頼します。退職後に源泉徴収票の発行が必要になった場合も、同じように前職の会社の総務人事部門に依頼します。
源泉徴収票がもらえないとき時はどうする?
源泉徴収票をもらうことができなかったときの対応を解説します。
会社が倒産したとき
会社が倒産した場合、雇用されなくなるため、退職扱いとなります。その場合に、会社の事務機能がないことで源泉徴収票を発行してもらえないことがあります。
そのときの対処方法としては、会社の所在地を管轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して相談する対応が一般的です。倒産後の処理を行う破産管財人に源泉徴収票がどうなっているのかを確認する必要もあります。
前職の源泉徴収票をもらえないとき
源泉徴収票の発行は会社の義務なので、発行するように依頼する必要があります。それでも発行してくれないときは、前職の会社の所在地を管轄する税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して相談する対応が一般的です。その場合、税務署が前職の会社に対して源泉徴収票を発行するように指導します。
前職の源泉徴収票が年末調整までに発行されないとき
何らかの理由があって前職の源泉徴収票が年末調整までに発行されない場合は、自分自身で確定申告を行う必要があります。その場合も源泉徴収票は必要になるため、速やかに発行してくれるように前職の会社に依頼する必要があります。
源泉徴収票を紛失した場合
会社から発行された源泉徴収票を紛失したときは、会社に再発行を依頼する必要があります。源泉徴収票が必要なのに会社が再発行を拒んだ場合は、会社の所在地を管轄する税務署に相談することが望ましいです。
源泉徴収票は会社員の確定申告書
年間の収入額の合計と所得を計算する上での控除額、源泉徴収税額が記載された源泉徴収票は、会社員の確定申告書となります。その中の源泉徴収税額が、自分自身が国に納めた税金(所得税)の金額です。そのことを理解した上で、自らも納税者であるという意識を持つことが望まれるでしょう。
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