• 更新日 : 2026年1月20日

育休中の年末調整は必要?収入なしの扱いや扶養・書類の書き方を解説

育児休業(育休)を取得中の社員は、給与収入がないケースが多く、「年末調整は必要なのだろうか?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、育休中でも年末調整が必要となるケースや、提出すべき書類があります。手続きを怠ると、払いすぎた所得税の還付が受けられないといった不利益につながりかねません。

この記事では、育休中の年末調整に関する基本的な考え方から、提出すべき書類の正しい書き方、収入状況別のポイント、さらには人事・労務担当者が知っておくべきフローまでを、2025年7月時点の情報をふまえ、わかりやすく解説します。育休中の方も、受け入れ側の企業担当者も、年末調整を正しく進めるための参考にしてください。

育休中でも年末調整は必要

育休中であっても、年末調整が必要になるかどうかは、年内に給与の支払いがあったかどうかで決まります。年末調整は、年間の所得税を正しく精算するための手続きだからです。

育休中でも年末調整が必要となる理由

育休中であっても年末調整が必要となる主な理由は、育休に入るまでに給与の支払いがあった場合、その給与から源泉徴収(仮払い)された所得税を精算するためです。

年末調整とは、企業が社員に毎月支払う給与から天引きした所得税(源泉徴収)の合計額と、その社員が本来1年間に納めるべき正確な所得税額を比較し、差額を調整する仕組みです。

年の途中で育休に入り給与の支払いがストップしても、育休までの期間に支払われた給与があれば、税金が源泉徴収されています。この源泉徴収された金額が、年間の正確な所得税額よりも多かった場合、年末調整をすることで差額が戻ってきます。

出典:年末調整の対象となる人|国税庁

産休・育休中の給付は年末調整の対象外

育児休業中に支給される育児休業給付金や、産休中に支給される出産手当金は、年末調整の対象となる所得税の課税対象ではありません。

これらの給付金は、雇用保険や健康保険から支給される「非課税所得」にあたります。そのため、所得税や住民税はかからず、年末調整の計算に含める必要もありません。給付金を受け取っていても、年間の給与収入がなければ「収入ゼロ」として扱うことになります。

出典:育児休業給付金に所得税はかかるの?|厚生労働省

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【収入状況別】育休中の年末調整のポイント

育休中の年末調整では、年間の給与収入がゼロなのか、一部あるのかによって手続きのポイントが変わります。

給与収入ゼロの場合

年内に給与収入が一切なく、受け取ったのが育児休業給付金のみという場合、会社が行う年末調整は不要となります。

なぜなら、給与からの源泉徴収がなく、精算する所得税が存在しないためです。このケースでは会社から「給与所得源泉徴収票」は発行されません。ただし、生命保険料や国民年金保険料などの控除を受けるために、翌年に確定申告をすることで還付金を受け取れる場合があります。

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一部給与がある場合

育休中であっても、年の途中で復職した月の給与や、育休前に支給された賞与など、給与の支払いがあった場合は年末調整が必要です。

年の途中で復職した場合、通常の社員と同様に、会社を通じて年末調整を行います。復職後の給与に加え、育休に入るまでに支払われた給与を合算して年間の所得税を精算します。

配偶者の扶養に入る基準は?

育休中、配偶者の扶養に入るかどうかは、将来の税負担や社会保険料に大きく関わります。

  • 税法上の扶養(123万円の壁)
    妻(育休中の社員)の年間の給与所得が123万円以下であれば、夫は配偶者控除を受けられます。給与収入が大幅に減る育休中は、扶養に入れることが多くなります。
  • 社会保険上の扶養(130万円の壁)
    妻の年収の見込みが130万円未満であれば、夫の社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養に入り、自身の社会保険料の支払いが免除されます。
    ただし、社会保険上の扶養に入る場合は、将来受け取れる年金額などに影響が出る可能性もあります。

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育休中の年末調整で提出する書類と書き方(令和7年様式対応)

育休中の方が提出する主な書類は、「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書」「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書」の3種類です。

住宅ローンがある場合には、「住宅借入金等特別控除申告書」も必要になります。

これらの書類は休業前の給与状況によって提出が必要であり、令和7年(2025年)分の年末調整では、申告書様式や控除要件に大きな改正が反映されます。

令和7年分の申告書様式の変更点

令和7年分の年末調整では、税制改正に伴い申告書様式が変更されます。主な変更点は以下のとおりです。

  • 給与所得控除の最低保障額アップ
    給与収入金額に応じた給与所得控除額の計算方法が変わります。
    年収850万円超の控除額の上限は変わりませんが、低所得者の給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へアップし、給与所得者の負担が軽減されることになります。
  • 源泉控除対象配偶者の年収基準が「150万円→160万円」に変更
    年末調整で申告する源泉控除対象配偶者の対象となる給与収入基準が、現在の150万円以下から160万円以下に引き上げられます。
  • 特定親族特別控除の創設
    納税者と生計同一である、年齢19歳以上23歳未満の親族を対象とした特定親族特別控除が創設されます。これは、大学生世代を子どもに持つ親の税負担軽減を目的として新設された控除です。
  • 扶養控除等申告書のレイアウト変更
    上記の改正をふまえ、「給与所得者の扶養控除等申告書」には特定親族特別控除の対象者を記載する欄や、源泉控除対象親族に関する欄などが設けられるなど、レイアウトが大きく変更されます。

出典:令和7年分以後の給与所得者の扶養控除等申告書の記載事項の見直しについて|国税庁

扶養控除等申告書

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、すべての給与所得者が提出する基本的な書類です。育休中の方で、育休に入るまでに給与支払いがあった場合は提出が必要です。

この申告書は、主に翌年の源泉徴除額を決めるために用います。記載内容自体は育休中であっても通常時と変わりませんが、「控除対象配偶者」や「扶養親族」がいる場合は、その情報を正確に記載します。

産休・育休中に夫(配偶者)の扶養に入る場合は?

育休中の妻(社員本人)は、年間の給与収入が123万円以下であれば、夫の税法上の扶養(配偶者控除)の対象となります。このとき、妻本人は「扶養控除等申告書」で自身の控除対象配偶者の欄に夫の情報を記載することはありませんが、夫側は「配偶者控除等申告書」に妻の情報を記載することになります。

関連記事|給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の配偶者の有無の書き方とは?条件を解説

保険料控除申告書

「給与所得者の保険料控除申告書」は、生命保険料、地震保険料、社会保険料(国民健康保険や国民年金など)を支払った場合に、所得から一定額を控除するために提出します。

育休中であっても、以下の保険料などを個人で支払っている場合は、その金額を控除の対象にできます。

  • 生命保険料・地震保険料
    年末までに保険会社から送付される控除証明書が必要です。
  • 社会保険料
    育休中は会社から給与が支払われないため、健康保険料や厚生年金保険料が免除されますが、国民健康保険料や国民年金保険料を自分で支払った場合は控除の対象です。国民年金の場合は、日本年金機構から送付される控除証明書を添付します。

基礎控除・配偶者控除・特定親族特別控除申告書

令和7年分から、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の様式が変更され、「特定親族特別控除申告書」の記入欄が設けられます。

  • 基礎控除
    本人の年間所得の見積額に応じて控除額が決まります。育休中の給付金は非課税なので、給与収入が少なければ所得が低くなり、満額の基礎控除を受けられる可能性が高くなります。
  • 配偶者控除
    育休中の妻(社員)が夫の扶養に入る場合、夫側がこの申告書に妻の給与収入の見積額などを記載することで控除が適用されます。給付金は収入に含まないため、給与収入が123万円以下であれば配偶者控除の対象となります。
  • 特定親族特別控除
    納税者と生計同一である、年齢19歳以上23歳未満の親族がいる場合に申告します。育休中の社員の給与収入がゼロであっても、この控除を受けられます。

関連記事|年末調整の配偶者控除とは?書き方や条件、年収の壁をわかりやすく解説

住宅ローン控除

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けている場合も、引き続き年末調整で控除の申請を行います。

必要書類は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と金融機関などから発行される「残高証明書」です。

育休で収入が減り、年間の給与収入にかかる所得税額がゼロになった場合、そもそも納める所得税がないため、住宅ローン控除で還付される金額もゼロになります。しかし、翌年以降に給与収入が戻れば控除を受けられるため、年末調整での申請自体は毎年継続するのがとるべき行動です。

関連資料|〖令和7年最新版〗年末調整書類まるごとパック(企業向け)

育休中に年末調整ができなかった場合は確定申告を

育休から復帰したばかりで年末調整を忘れてしまった、または年内に給与収入がゼロだったが控除申請をしたい、といった場合は、ご自身で確定申告を行うことで対応できます。

確定申告が必要となるケース

育休中の方が確定申告を行うことで、還付金を受け取れる主なケースは以下のとおりです。

  • 年末調整の期限に間に合わなかった場合
  • 年間の給与収入がゼロだが、生命保険料や国民年金保険料を支払っており、所得控除を受けたい場合
  • 医療費控除雑損控除など、年末調整では扱えない控除を受けたい場合

確定申告の手順

確定申告は、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行います。

  1. 必要書類の準備
    源泉徴収票(給与支払いがあった場合)、各種控除証明書(保険料、年金など)、マイナンバー関連書類などを揃えます。
  2. 確定申告書の作成
    国税庁のWebサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に沿って簡単に作成できます。
  3. 提出
    税務署への持参、郵送、またはe-Tax(電子申告)で提出します。

還付が受けられるパターンと注意点

育休中の方が還付金を受け取れるパターンは、主に以下のとおりです。

  • 育休に入るまでの給与から源泉徴収された所得税が、年間の正しい税額より多かった場合
  • 給与収入ゼロだが、支払った生命保険料や国民年金保険料などの社会保険料控除を申告する場合

関連記事|定額減税は育休中や産休中どうなる?詳細をわかりやすく解説

【企業向け】育休中社員の年末調整のポイント

育休中の社員がいる場合、人事・労務担当者は通常よりも綿密なスケジュール管理と丁寧な対応が求められます。

書類依頼と回収方法

育休中の社員へは、年末調整書類を確実に届けて、確実に回収する必要があります。

自宅住所宛に書類一式を郵送し、返送用封筒を同封して返送を依頼する方法が一般的です。

ただし、すでにオンラインシステムを導入している場合は、社員が自宅から入力・申告できるため、最もスムーズな方法です。書類提出が遅れると、年末調整の処理が滞るため、提出期限を明確に伝えましょう。

育休中で連絡が取りづらい場合の対応

育休中の社員は、育児に専念しているため、日中に電話での連絡が取りづらい場合があります。

  • 連絡方法の確認
    事前にメールやチャットなど、最も連絡が取りやすい手段を確認し、利用しましょう。
  • 代替連絡先の確認
    緊急時のために、配偶者など代替の連絡先をふまえておくと安心です。
  • 提出期限の前倒し
    通常よりも連絡や書類のやり取りに時間がかかることを考慮し、社内での提出スケジュールを前倒しすることを検討します。

社内スケジュールは前倒しに組む

育休中の社員対応に加え、年末調整の処理は12月から1月にかけて行われます。スムーズな還付手続きのために、通常よりもスケジュールを調整しましょう。

通常の社員より1〜2週間ほど早い提出期限を設定し、連絡や書類不備の確認に充てる時間を確保します。また、年内に退職した方や、年末調整が不要な社員の源泉徴収票発行と合わせて、育休社員の分も発行準備を進めておく必要があります。

関連資料|年末調整必要書類チェックリスト テンプレート
関連記事|育休中の会社負担は?社会保険や住民税、給与などについて解説

育休中の年末調整でよくある質問

育休中の年末調整に関するよくある質問をQ&A形式で解説します。

育児休業給付金は税金がかかるの?

育児休業給付金は非課税所得であり、所得税も住民税もかかりません。そのため、年末調整や確定申告の際に、収入として計上する必要はありません。

産休と育休で書く書類は違うの?

産休中(出産手当金受給中)も、基本的には育休中と同様の考え方です。給与収入があれば年末調整が必要です。

ただし、産休は出産から8週間までと短期間であることが多いため、年間の給与収入額によって控除の扱いが変わります。産休・育休の期間を問わず、年間の給与収入と支払った保険料で、提出すべき書類を判断しましょう。

関連記事|産休で扶養に入れる?手当やタイミング、申請手続きについてわかりやすく解説

育休明けが1月の場合はどうなる?

育休明けが翌年1月の場合、前年の給与収入は育休前の分のみとなります。この場合、前年の年末調整は会社で行われます。

ただし、1月以降に復職した年の年末調整では、その年の1月から復職月までに支払われた給与を合算して処理することになります。育休明け直後は、源泉徴収額が多めに天引きされることがありますが、年末調整で正しく精算されるため心配はいりません。

関連資料|対象者から支給要件、手続き方法まで解説! 妊娠出産・産休・育休の給付金/制度の申請がよくわかるガイド

ポイントを押さえ、育休中の年末調整を正しく進めよう

育休中の年末調整は、通常の社員の処理に比べて、給付金や扶養の判断など複雑な要素が加わります。

最も重要なポイントは、育児休業給付金や出産手当金が非課税所得であり、年末調整の収入計算に含めないという点を正しく理解することです。これにより、年間の給与収入が少なくなり、配偶者控除や還付金の対象になる可能性が高まります。

育休中の社員ご自身は、会社から依頼された書類を期限内に提出し、年末調整で処理できなかった控除がある場合は、確定申告で還付を受けられることを覚えておきましょう。また、人事・労務担当者は、育休中という状況にふまえ、連絡方法やスケジュールを柔軟に調整することが、社員の信頼につながります。

育休中の年末調整を正しく理解し、必要な手続きをふまえて進めることで、払いすぎた税金を取り戻し、安心して育児に専念できるでしょう。

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よくある質問

育休中でも年末調整は必要ですか?

正確な所得税納税のために必要で、払い過ぎがあれば還付金が受け取れます。詳しくはこちらをご覧ください。

手当金や給付金は、年末調整の対象ですか?

産休中や育休中の手当金や給付金は年末調整の対象になりません。 詳しくはこちらをご覧ください。


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