- 更新日 : 2023年12月12日
年末調整時期に無職の場合
年末に会社に勤めている場合には、その年の最後の給料のときに年末調整が行われます。一方で、年末調整時期に無職の場合には、年末調整が行われないため、その年に収入を得ていたとしても、税金の還付を受けることができません。
税金の還付を希望するときには、確定申告を行いましょう。
ここでは、年末調整時期における無職の方へのさまざまな注意事項を解説します。
目次
無職の場合も確定申告は必要
年末に無職の場合、その年に何らかの給与所得を得ていても、会社による年末調整が行われないため、税金を払い過ぎたままになってしまう可能性があります。
その年の収入が1円もない人は、納税する義務が生じないため、確定申告をしなくても問題ありませんが、数万円でも収入があって、その収入から源泉徴収されている人は、税金の還付を受けるために確定申告を行いましょう。
会社を辞めてすぐの無職の場合
会社を辞めると、当然のことですが、会社が年末調整の手配をしてくれません。そのため、会社員時代に給与から源泉徴収されていた税金が過払いであった場合でも、そのままになってしまいます。
会社を辞めて無職になったことで収入が減った場合には、税金が還付される可能性が高くなります。なぜなら、源泉徴収の額は、毎月の給与が1年間継続するものとして計算されているため、年の途中で退職した場合、源泉徴収税額が過大となるからです。そのため、会社を辞めた年の分は、翌年に自分で確定申告をすることをお勧めします。
確定申告には、会社に勤めていたときの給与額および源泉徴収額が載っている「源泉徴収票」が必要となります。会社を辞めるときに、会社から離職票と一緒に配布されていることが多いものですが、もし渡されていない場合には、会社に請求すると発行してくれます。
また、会社を辞めると、自分で確定申告をしないと、これまで会社が年末調整のときに行ってくれていたさまざまな控除(生命保険料控除や住宅ローン控除など)を受けることができませんので、注意が必要です。
確定申告が必要かどうかを自分で判断できない場合には、所轄の税務署に相談しましょう。
失業期間中にアルバイト収入を得た場合
次の仕事が決まらず、失業期間中にアルバイトで収入を得て、かつ源泉徴収されているなら、確定申告をした方がよいでしょう。
一方で、失業期間中となった後にアルバイトなどの収入があって、源泉徴収がされていない場合、税金を納めていないことになります。ただし、収入額が多くない場合は、納税義務が免除されることがあります。
収入金額が多くない場合は、納税義務は生じません。したがって、確定申告をする必要もありません。
退職金も課税対象となる
会社を辞めたときにもらう退職金、企業年金制度から支払われる退職一時金にも、税金がかかります。
退職所得、控除額、税額の計算方法
退職金や退職一時金は「退職所得」に分類され、給与所得や不動産所得などの他の所得とは別に課税されることになっています。これは、退職金と他の所得が合算されて所得金額が大きくなり、累進税率によって税額が多額になってしまうことを避けるためです。
課税対象となる退職所得の金額は、以下の計算式で算出することができます。
この退職所得に一定の税率を掛けることによって、所得税額の算出が可能です。
さらに、退職所得控除額は、以下の計算式から求められます。
- 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(80万円に満たないときに80万円)
- 勤続年数が21年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数から20年を引いた年数)
※勤続年数に1年未満の端数がある場合には、1年に切り上げて計算します。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出について
退職金が支払われるときに、「退職所得の受給に関する申告書」によって手続きを済ませている人は、基本的には確定申告の必要はありません。会社が上述の計算式に従った正規の所得税額を源泉徴収してから、支払ってくれるからです。
一方、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人は、退職金に20.42%の税率を乗じた金額が源泉徴収されます。この場合は年末調整されることはありませんから、受給者が確定申告をすることによって、源泉徴収された税額を精算して還付を受けることになります。
会社を辞めたら自ら手続きをしましょう
年末調整の時期に無職の場合は、税金を還付してもらうために、確定申告をする必要があります。ただし、その年に自分が得た収入によって、確定申告に必要な書式や資料は異なります。
無職であっても、確定申告をする可能性があることを心得て、年末調整の時期には然るべき準備を行いましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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