• 更新日 : 2026年7月2日

福利厚生としての社宅制度とは?導入するメリットから導入手順まで解説

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Point社宅を福利厚生費として計上するには、どのような条件が必要ですか?

社宅は賃貸料相当額を基準に家賃を設定することで、非課税で運用できます。

  • 従業員から賃貸料相当額の50%以上の家賃を受け取る
  • 無償貸与や現金の住宅手当は給与として課税される
  • 社有社宅と借り上げ社宅のいずれも損金に算入する

家賃設定を誤ると差額が課税対象となるため、国税庁の基準に沿って運用しましょう。

社宅制度の導入を検討している方のなかには、社宅の家賃相場や、社宅費用を福利厚生費として計上するための条件が気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、社宅制度の概要や社宅の家賃相場、社宅の家賃を福利厚生費として計上するための条件、社宅の導入手順などを解説します。

社宅は福利厚生として利用できる

社宅は、企業が従業員に住まいを提供する福利厚生の一つです。社宅制度を導入することで、従業員は家賃負担や通勤負担を抑えやすくなり、生活の安定やワークライフバランスの向上につながります。

企業側にとっても、福利厚生の充実によって従業員の満足度やモチベーション向上が期待できます。また、一定の条件を満たせば税務上のメリットを得られる場合もあるでしょう。

このように社宅制度は、従業員の生活支援と企業側の負担軽減を両立しやすい制度であり、導入しやすい福利厚生の一つといえるでしょう。

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社宅とは?似ている言葉との違いを解説

社宅とは、企業が福利厚生の一環として住宅を手配・提供する制度のことです。社宅は主に「社有社宅」と「借り上げ社宅」の2つに分類されます。社有社宅は企業が自ら建物を所有・管理する形態で、長期的な資産として活用しやすいです。

一方、借り上げ社宅は、民間の賃貸物件を企業が借り上げて従業員に貸し出す形態で、社有社宅よりも管理負担や導入コストを抑えやすい傾向があります。以下の章では、社宅と似ている言葉との違いについて解説します。

社有社宅と借り上げ社宅の違い

社有社宅と借り上げ社宅はどちらも社宅の一種ですが、物件の所有者や管理負担などに違いがあります。社宅導入を検討する際の参考にしてみてください。

項目 社有社宅 借り上げ社宅
物件の所有者 企業 大家・オーナー
初期費用 高い(建設費・購入費) 比較的低い(敷金・礼金)
管理負担 大きい(修繕費・改装費) 比較的小さい
コスト 管理費・固定資産税 原状回復費用・仲介手数料

借り上げ社宅は、社有社宅と比べて初期費用や管理の手間を抑えやすく、導入しやすいです。一方、社有社宅は導入に時間がかかるものの、長期的には企業の資産となります。社宅を導入する際は、自社の状況に合わせて最適な形態を選びましょう。

社宅と住宅手当の違い

住宅手当とは、従業員が個人で契約する賃貸住宅の賃料の一部を、企業が給与に上乗せして支給する制度をいいます。社宅と住宅手当の特徴は、以下の表のとおりです。

項目 社宅 住宅手当
契約者 企業 従業員
支給方法 物件を提供 給与に加えて支給
管理負担 かかる ほとんどかからない
税の負担 所得税や社会保険料の減少 所得税や社会保険料の増加

住宅手当は給与として扱われるため、課税対象になります。その結果、住宅手当は所得税や社会保険料などの負担の増加につながりやすいです。

一方、社宅は企業が契約した物件を従業員に貸し出すため、従業員自身が契約した物件に補助を出す住宅手当と比べて、選択の自由度は低くなります。

福利厚生費に含まれる2つの種類

福利厚生費には「法定福利費」と「法定外福利費(福利厚生費)」の2種類があります。

両者の概要をまとめるので、違いを比較しながらチェックしてみましょう。

法定福利費

法定福利費とは、法令によって従業員を雇用している事業者に費用負担が義務付けられている福利厚生費です。

具体的には以下のような費用が法定福利費に該当します。

法定福利費

上記のなかで労災保険と子ども・子育て拠出金は全額事業主負担となりますが、その他の費用は事業主と従業員で分担して負担する仕組みとなっています。

法定外福利費

法定外福利費とは、法令によって費用負担が義務付けられていない福利厚生のことです。費用負担だけでなく、制度の内容、提供の有無自体も任意となっているため、「企業が独自で提供する福利厚生」だと考えればイメージしやすいでしょう。

代表的な法定外福利費には以下のような費用が該当します。

法定外福利費
  • 交通手当
  • 出張手当
  • 社宅
  • 住宅手当
  • 慰安旅行の費用
  • 昼食代
  • 慶弔見舞金

あくまで任意であるため、制度の内容や負担割合は企業によって千差万別です。

福利厚生として社宅を導入している企業の割合

人事院が調査した「令和6年度民間企業の勤務条件制度等調査」によると、社宅を導入している企業の割合は以下のとおりです。

項目 導入割合
規模計 45.8%
500人以上 74.8%
100人以上500人未満 47.9%
50人以上100人未満 33.4%

※複数回答可

上記のように、企業規模が大きくなるほど社宅の導入割合が高いです。自社保有社宅がある企業の割合は37.7%、借り上げ社宅がある企業の割合は7.97%という結果になっています。

参考:令和6年度民間企業の勤務条件制度等調査|人事院

福利厚生として社宅を導入するときの家賃の相場

人事院が調査した「令和6年度民間企業の勤務条件制度等調査」によると、従業員の社宅の負担額は以下のとおりです。

項目 自社保有社宅
(従業員の負担額)
借り上げ社宅
(従業員の負担額)
規模計 15,685円 19,013円
500人以上 14,073円 19,142円
100人以上500人未満 16,531円 18,191円
50人以上100人未満 15,232円 20,837円

参考:民間企業の勤務条件(令和6年調査結果)|人事院

上記のようなデータを参考にして、自社の規模や状況に合わせた適切な自己負担額を設定することで、企業も従業員も納得できる社宅制度を実現しましょう。

【企業目線】福利厚生として社宅を導入するメリット

企業が社宅制度を導入するメリットは、節税効果や人材確保・離職防止、従業員のモチベーション維持などです。本章では、企業目線での社宅導入の主なメリットを3つ解説します。

節税効果がある

社宅制度を導入すると、企業側には節税効果があります。企業が支払う家賃は、福利厚生費として損金算入できるケースが多いです。損金とは、企業の収益から差し引くことができる「費用・損失」のことです。

住宅手当は、現金支給となるため全額が給与所得として課税対象になりますが、社宅の提供は現金支給に当たらないため、社会保険料や法人税を抑えやすくなります。その結果、住宅手当と比較して企業の社会保険料負担を抑えながら、従業員の住居支援を実現できるというメリットがあります。

人材の確保や離職率の改善につながりやすい

社宅制度の導入は、企業の人材確保と離職率低下が見込めます。採用活動では、給与水準だけでなく、福利厚生の充実度も企業選びの判断基準の一つです。特に、住まいの支援は生活の基盤に関わるため、家賃負担を軽減できることは他社との差別化になり、人材確保につながります。

入社後も充実した住宅支援は従業員の家計を安定させ、住居費の負担軽減が会社への信頼やエンゲージメントの向上につながります。それにより、従業員の定着率向上や離職防止という大きなメリットを生み出すでしょう。

従業員のモチベーションを維持しやすい

住居費の負担が軽減されることで、従業員は経済的な安心感を得られやすいです。また、家計に余裕が生まれると、仕事への集中力やモチベーションも高まりやすくなります。

「企業が自分の生活を大切にしてくれている」という実感は、日々の業務への向き合い方にも良い影響を与えます。さらに、同じ社宅に住む同僚との交流を通じて、職場内外での人間関係が円滑になりやすいです。良好な人間関係は、チームワークや協力体制の強化につながり、結果として従業員一人ひとりのモチベーション維持・向上に貢献するでしょう。

【従業員目線】福利厚生として社宅を導入するメリット

従業員が社宅制度から得られるメリットは、通勤時間の短縮や生活の質向上、初期費用の負担軽減などが挙げられます。企業が従業員の視点に立ったメリットを理解して社宅制度を整えることで、スムーズに導入でき、より質の高い福利厚生を実現しやすくなります。

通勤時間の短縮で生活の質が向上する

社宅制度を導入することで、従業員の通勤時間が短縮されやすくなります。比較的職場の近くに住めるため、短縮した時間を睡眠や趣味、自己啓発などに充てられるようになり、生活の質の向上が見込めます。

また、満員電車への乗車による心身の疲労が軽減されやすくなるでしょう。通勤時間の短縮はワークライフバランスの改善に効果的であり、結果として、従業員の満足度やエンゲージメントにつながりやすいです。

住居費を抑えやすい

社宅に住むメリットの一つは、従業員が毎月支払う住居費を抑えられることです。同じエリアの賃貸住宅と比較すると、安く住めるケースが多く、抑えられた住居費を従業員は貯蓄や趣味などに使えます。

住居費は生活費の中で大きな割合を占めるため、それを抑えられることは、家計の助けになります。従業員の負担を下げ、家計の安定を促しながら精神的なゆとりや生活の満足度向上につながりやすいです。

初期費用を軽減できる

社宅への入居は、一般的な住宅に入居するよりも初期費用を軽減しやすいです。

基本的に、住居を借りる場合、敷金や礼金など入居時にまとまった費用がかかります。一方で、社宅の場合は入居時の費用を企業が負担するケースがほとんどです。

特に、新入社員や転勤で引っ越しする従業員にとって、引っ越し先の初期費用があまり発生しないことは大きなメリットです。社宅制度は、従業員の経済的負担を軽減し、生活の安定につながります。

社宅の家賃を福利厚生費として計上するための条件

社宅を非課税で運用するには、賃貸料相当額に基づいた適切な家賃設定が必要です。無償や極端に低い家賃だと、差額が給与とみなされて課税対象になります。本章では、課税対象にならないための家賃設定について詳しく解説します。

賃貸料相当額とは

賃貸料相当額とは、国税庁が定める社宅の適正家賃の基準となる金額です。社宅は賃貸料相当額を基準に適切な設定をすることにより、非課税で運用可能です。賃貸料相当額は、以下の3つの合計をいいます。

1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2パーセント

2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))

3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22パーセント

企業が自社で所有する社宅や寮を貸す場合だけでなく、他から借り上げて従業員に貸す場合でも、1~3を合計した金額が賃貸料相当額となります。

参考:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

この計算式は、固定資産税の課税標準額や床面積などから税法上の適正家賃を計算するためのものです。税務上のリスクを避けながら従業員に福利厚生を提供するために、社宅の適正家賃を設定しましょう。

福利厚生として導入する社宅が給与として課税されるケース

社宅が課税されるケースは以下のとおりです。

(1)使用人に無償で貸与する場合

賃貸料相当額が給与として課税されます。

※看護師や守衛など、業務の性質上、勤務場所の近くに住む必要がある従業員に対し、仕事の都合で社宅や寮を貸し与える場合、無償であっても給与として課税されないことがあります。

(2)使用人から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合

受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。

ただし、使用人から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50パーセント以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。

(3)現金で支給される住宅手当や、入居者が直接契約している場合の家賃負担

社宅の貸与とは認められないので給与として課税されます。

引用:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

社宅制度を非課税で運用するには、賃貸料相当額を基準に適切な家賃設定を行うことが重要です。上記のポイントを押さえて、税務リスクを抑えた福利厚生を実現しましょう。

福利厚生として社宅を導入する具体的な導入手順

社宅制度を導入するには、以下のステップが必要です。ここでは、スムーズに導入を進めるための具体的な流れを解説します。

1.導入目的と制度の枠組みを定める

社宅制度を導入する際は、導入目的と制度の枠組みを明確に定めることが重要です。導入目的の例としては、「優秀な人材の確保」「従業員の住居費負担軽減」などです。

次に導入目的に沿って、主に以下の3つの負担区分を決めます。

  • 対象従業員(全社員適用、管理職のみ、単身者向けか家族向けなど)の決定
  • 社宅の種類(社有社宅か借り上げ社宅か)
  • 初期費用(敷金・礼金など)

上記の3つの枠組みをあらかじめ決めておくことで、制度導入後のトラブルを防ぎ、スムーズな運用を実現できます。

2.社宅規定の作成をする

社宅制度を導入する際は、社宅規定を作成し、就業規則に明記する必要があります。社宅規定には、以下の項目を具体的に定めましょう。

  • 対象者
  • 入居条件
  • 家賃・費用負担
  • 入居・退去のルール
  • 禁止事項と違反時の措置

不明確な記載があると後々トラブルの原因になるため、社宅規定は曖昧な表現を避け、誰が見てもわかる明確な条文にすることが重要です。また、法改正や社会情勢の変化に応じて定期的に見直すことも大切です。社宅規定を整えることで、公平で透明性のある社宅運用が可能になります。

3.社内の要望に応じた物件を選定する

社宅制度を導入する際は、従業員のニーズに合った物件を選び、契約手続きを進める必要があります。選定基準としては、以下の条件が挙げられます。

  • 職場からの距離
  • 予算
  • 間取り
  • 築年数
  • 周辺環境

そのうえで、不動産会社や仲介業者と連携し、選定基準を満たす物件をリストアップします。複数の候補の中から、総合的に比較検討し、最適な物件と契約しましょう。選定から契約までのプロセスを丁寧に進めることで、従業員満足度の高い社宅制度を実現しやすくなります。

4.従業員の入居手続きを行う

最後に、従業員がスムーズに新生活を始められるように入居準備を整えます。対象者に正式な入居許可を伝え、申し込みから契約までに必要な書類一式を案内し、提出を促します。

加えて、室内の設備状態をチェックし、必要があれば家具や電化製品の設置、通信回線の開通方法などについてもアドバイスすると良いでしょう。

従業員が快適に暮らせる環境を提供することが、社宅制度への信頼と満足度の向上につながりやすいです。

また、マネーフォワード クラウド福利厚生賃貸を活用すれば、従業員が既に契約している賃貸物件を法人名義に切り替え、家賃を給与から天引きすることで、従業員の実質的な手取りを増やせます。企業側は物件の契約や管理の手間がかからずサービスを導入することが可能です。福利厚生を充実させたい方はぜひチェックしてみてください。

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