- 更新日 : 2025年9月18日
年末調整の書類はボールペンで書く?特定の色や鉛筆ではダメな理由を解説!
年末調整の書類を記入する際、鉛筆でいいのかボールペンを使用するべきか迷う方がいるでしょう。正しくは、ボールペンで記載します。さらに間違いを修正する場合は修正テープではなく、国税庁のサイトに記された方法を参考に修正するのが正しいやり方です。また赤ボールペンや消えるボールペンの使用にも注意が必要です。

年末調整書類の筆記ルール一覧&記載時の注意点まとめ
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目次
年末調整の書類は黒ボールペンで記入しよう
年末調整では手続きのため以下の書類を勤務先に提出します。
これらの申告書に記入する際は、鉛筆ではなくボールペンで記載するのがよいでしょう。
確定申告に使う申告書については、ボールペンの色は、青色や赤色ではなく黒色を使用するよう国税庁のウェブサイトに記載されています。確定申告書の保存期間は、原則として提出期限の翌日から7年間です。しかも、確定申告に使う申告書の場合は2枚複写になっており、強く書かなければ2枚目の文字が不鮮明となる恐れがあります。長期間文字が消えず、文字が鮮明に残る方法で記入するためには、黒のボールペンが適しています。
申告書は、黒いインクのボールペンで、強く記入します。
引用:申告書の記載例|国税庁
年末調整の手続きのための申告書についても、7年間の保存義務があります。長期間保存する必要があるため、確定申告に使う申告書に準じた方法で記載するのが望ましいといえるでしょう。
参考
No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁
No.5930 帳簿書類等の保存期間及び保存方法|国税庁
年末調整で記入が必要な書類は、必ず黒いインクのボールペンで記入しましょう。
記入事項を間違えて訂正する場合
ボールペンで書類に記入する際、気をつけたいのが誤って記入した場合の訂正方法です。もし表記を間違ってしまった場合は、以下のように訂正します。
- 間違った箇所の文字に二重線を引いて消す
- 上の欄などの近い部分の余白に、正しい情報を記載する
引用:申告書の記載例|国税庁
申告書の内容に変更があり修正する場合
年末調整の書類の一つである「扶養控除等(異動)申告書」は、その年の初めに勤務先に毎年提出します。年末調整では、その内容に変更がないかを確認し、変更がある場合は修正して追記します。
扶養控除等(異動)申告書は、扶養控除をはじめとする各種控除を申請するために使用します。年初に会社に提出しますが、結婚することや子供が生まれるなど、扶養家族が増減することもあるでしょう。年の途中で、家族状況に変更があった場合には、内容の修正が必要になります。
【扶養控除等(異動)申告書の修正が必要な例】
- 扶養家族の人数が変わった
- 配偶者の年収に大きな変動があった
- 扶養家族が結婚した
内容の変更を受けて修正する場合も、書き間違えた場合と同様に二重線で取り消し、余白の部分に正しい情報を記載します。
これまでは最後に二重線をした箇所に訂正印を押すのが一般的でしたが、近年は行政手続書類の押印不要の流れもあり、訂正印についても、押印なしで問題ありません。訂正印についての国税庁の明確な決まりはありませんが、社内では、訂正印があることで内容の変更を本人が行ったことが確認できるという考え方もあります。社内ルールに従って取り扱うのがよいでしょう。
推奨されていない筆記具
年末調整の書類は、黒色のボールペンで記入するのが原則です。ボールペンを指定している理由の一つは、年末関係の書類は長期に渡って保存するものだからです。給与所得者の扶養控除等申告書などは、会社は7年間保存する必要があると定められています。
参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁
ボールペン以外の筆記具については、使うのが好ましくないと考えられるもの、使うと受理されない可能性が高いものがあります。鉛筆、色の違うボールペン、修正テープを年末調整の書類記入に使用するのは避けた方がいいでしょう。
鉛筆
年末調整の書類は、上述のように、書類は7年間保管する必要があります。鉛筆で書かれた文字は、その間に消えてしまうかもしれません。一度提出された書類を再度見返す可能性は高いとは言えません。しかし、税務署に提出を求められた場合、企業はすぐに対応しないといけませんから、文字が読めなくなるような筆記用具は認められません。
また、鉛筆はボールペンと異なり、すぐに消すことができます。従業員が提出した内容を誰かが書き換えてもわかりません。こうした書類の改ざんを防ぐ観点からも、鉛筆の使用は認められていませんので、注意しましょう。
赤ボールペン
赤色のインクのボールペンは厳密には禁止はされていません。会社によっては、すでに記入したデータの確認作業の際、赤のボールペンで訂正作業を行うことがあります。
ただし、国税庁のウェブサイトでは黒いボールペンの使用が推奨されていることを踏まえると、何らかの理由で赤色や青色のボールペンで記入した書類が受理されない可能性も考えられます。勤務先から特段の指示がない限りは、使わない方が無難といえるでしょう。
消えるボールペン
年末書類に限らず、公的な書類の記入で問題となるのが「消えるボールペン」です。温度変化や摩擦などで擦ると消えるボールペンの使用は、一般的には公的書類には推奨されていません。なかには、通常のボールペンと判別することが困難なこともあって、明確に禁止と注意書きを記しているケースもあります。
7年間保管する年末調整の書類は、保管している場所の温度が季節によっては高くなるかもしれません。うっかり擦ってしまい、提出後に文字が消えてしまうアクシデントも考えられます。さらに鉛筆と同様に、改ざんされる恐れがあります。
普段から消えるボールペンを使用している場合は、年末調整の書類の記入で使用しないよう注意しましょう。
修正テープ
誤った箇所を訂正する際に、修正テープの使用を考える人がいるかもしれません。修正テープや修正液は、修正箇所が目立たずきれいに訂正できるため、日頃から使い慣れている人もいるでしょう。
ただし、年末調整の書類では、このように「訂正が目立たない」点はメリットになりません。修正テープや修正液は、間違えた箇所を塗りつぶしてしまいます。公的な書類は、どのように間違え訂正されたのか、その履歴がわかる必要があります。
記入を間違えた場合は、二重線で取り消し、正しい内容を近くの余白に記入する方法で訂正しましょう。
年末調整の書類は黒のボールペンで記入しよう!
年末調整の書類は、改ざんを防いだり文字が消えたりしないようにするため、必ずボールペンで記入しましょう。その際は、国税庁のウェブサイトに記載があるように黒色を使用し、書き損じた箇所については修正テープ等ではなく、二重線で訂正するのが正しいやり方です。
ボールペン以外の筆記用具で記入した場合、書き直しという事態もあり得ます。また、受理されずに経理担当者から、のちほど個人での確定申告を依頼されるケースも考えられます。そうした状況にならないように、記入の仕方と訂正の仕方を確認し、正しい記載を心がけましょう。
よくある質問
年末調整の書類記入について、推奨される記入用具はありますか?
年末調整の書類の記入の際は、長期間文字が消えることがない黒色のボールペンを使用してください。鉛筆や消えるボールペンなど、文字を消せる筆記用具は認められません。詳しくはこちらをご覧ください。
記入事項を間違えた場合はどうすればよいですか?
年末調整の書類の記入で書き損じた箇所については、まずボールペンで二重線の取り消し線を引きます。そして上部など近い場所の余白に、正しい内容を記載しましょう。修正テープの使用は不可となっています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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