- 更新日 : 2025年7月9日
厚生年金の第3号被保険者とは?扶養との関係は?
厚生年金の被保険者に扶養されている配偶者は、国民年金第3号被保険者に該当します。第3号被保険者は、国民年金保険料も厚生年金保険料も納付する必要がありません。第3号被保険者に該当する旨の手続きを行うことで、国民年金保険料を納めなくても、年金額の算出においては保険料納付済期間と見なされます。
目次
厚生年金の第3号被保険者とは?
第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者と被保険者を分けているのは、厚生年金ではなく国民年金です。そのため「厚生年金の第3号被保険者」ではなく、「国民年金の第3号被保険者」が正しい呼び方です。どのような人が、国民年金の第3号被保険者になるのでしょうか。国民年金被保険者の種類とそれぞれの違いを理解しましょう。
そもそも年金における「号」とは?
日本の公的年金制度は国民年金を1階、厚生年金を2階とする2階建て構造になっています。1階部分の国民年金は基礎年金と呼ばれ、すべての国民が加入するものです。これに対して厚生年金には適用事業所に勤める75歳までの、ある程度以上の働き方で勤務する従業員が加入します。厚生年金加入者などを区分するために設けられているのが、国民年金の「号」です。「第1号」「第2号」「第3号」の3種類があり、対象者は以下のとおりです。
- 第1号被保険者
20歳以上60歳未満で国内に居住する自営業者・農林漁業者・学生・無職の人など - 第2号被保険者
厚生年金に加入している人(会社員や公務員など) - 第3号被保険者
20歳以上60歳未満の第2号被保険者に扶養される配偶者
第1号・第2号・第3号の違い
国民年金第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の違いは以下の表のとおりです。
| 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | ||
| 加入年金 | 国民年金のみ | 国民年金と厚生年金 | 国民年金のみ | |
| 保険料納付 | 義務 | あり | あり | なし |
| 金額 | 一律 | 報酬に応じた額の1/2 (1/2は会社負担) | - | |
| 方法 | 自分自身で行う | 給料から天引きされ、 会社が納付する | - | |
第3号被保険者の対象者は?
国民年金第3号被保険者になることができるのは、第2号被保険者に扶養される配偶者です。第2号被保険者とは厚生年金保険の加入者のことで、具体的には会社員や公務員が該当します。第1号被保険者に扶養される場合は配偶者と同じく国民年金第1号被保険者となり、国民年金第3号被保険者になることはできません。扶養されている点は同じでも、扶養者である配偶者の種別によって異なる点に注意が必要です。
どういった場合に第3号被保険者になる?
以下のすべてに該当する人が、国民年金第3号被保険者になります。
- 国民年金第2号被保険者である配偶者に扶養されること
- 20歳以上60歳未満であること
- 年収が130万円未満かつ配偶者の年収の1/2未満であること
具体的には以下のようなケースが考えられます。
- 勤めを辞めて第2号被保険者と結婚する
- 第2号被保険者の配偶者が子の出産や育児、親の介護のために勤めを辞める
- 育児休業や介護休業取得のため、収入が減少する
第3号被保険者になった場合の手続き
国民年金第3号被保険者になった場合は、届出が必要です。国民年金第3号被保険者関係届で「該当」の届出をします。届出の準備や提出といった手続きは、第2号被保険者の勤務する会社が行います。届出用紙は日本年金機構HP、および厚生労働省HPでダウンロードできます。
国民年金第3号被保険者関係届|日本年金機構
国民年金第3号被保険者関係届|厚生労働省
従業員の配偶者が第3号被保険者になる場合は速やかに届け出よう
厚生年金加入者に扶養される配偶者は、国民年金第3号被保険者に該当します。国民年金の被保険者には第1号・第2号・第3号があり、厚生年金に加入する会社員や公務員は第2号、第2号の被扶養配偶者は第3号になります。第3号には保険料納付義務がありません。
会社は従業員の配偶者が国民年金第3号被保険者になった場合、届出を行う必要があります。忘れることのないよう、速やかに手続きを行いましょう。
よくある質問
厚生年金の第3号被保険者とは何ですか?
第3号被保険者は国民年金の被保険者区分の一つで、厚生年金加入者に扶養される配偶者が該当します。詳しくはこちらをご覧ください。
第3号被保険者の対象者は誰ですか?
20歳以上60歳未満で会社員や公務員に扶養される、年収130万円未満の配偶者です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
65歳以上も雇用保険に入れる?失業保険や年金のもらい方、給付金も解説
2017年の雇用保険法の改正により、65歳以上でも雇用保険に入れるようになりました。 法改正までは、65歳以上の方が雇用された際は雇用保険適用外でした、ただし、同じ会社で65歳になる前から継続して働いていた人は「高年齢雇用継続被保険者」とし…
詳しくみる給付制限期間中のアルバイトは20時間以上働いても問題ない?注意点を解説
給付制限期間中に20時間以上アルバイトをすると雇用保険の加入条件を満たしてしまい、失業手当(失業給付)を受け取れなくなる可能性があります。 しかし、条件次第では失業手当を受け取りつつアルバイトをすることも可能です。 この記事では、給付制限期…
詳しくみる賞与・ボーナスにも社会保険料がかかる?計算方法も分かりやすく解説!
社会保険料は、給料と同じように、賞与・ボーナスにもかかります。標準報酬月額の代わりに賞与・ボーナスの社会保険料の計算には、標準賞与額が用いられます。 率は給料と同じ値です。賞与・ボーナスからは、社会保険料の他に所得税や雇用保険料も控除されま…
詳しくみる「4月5月6月の給料で税金が決まる」は間違い!社会保険料と標準報酬月額を正しく理解
先日電車に乗っていたら、会社の先輩後輩らしき二人組の会話が聞こえてきました。 先輩「私、5月にいっぱい残業したんだけど、このままじゃ多分今年の税金が高くなっちゃうんだ〜」 後輩「え、残業が増えると税金高くなるんですか?」 先輩「1年間の税金…
詳しくみる健康保険の扶養条件 所得税法などとの違いを比較
従業員の給与計算をしたり、社会保険の手続きを取ろうとして混乱したりすることが多いのは「扶養家族はどの範囲までなのか」という扶養基準です。これは、健康保険での扶養基準と、ほかの扶養基準が異なることに関係しているようです。 ここでは健康保険での…
詳しくみる社会保険から国民健康保険への切り替え手続きについて解説!
会社を退職したら、従業員は「社会保険から国民健康保険に切り替える」「健康保険の任意継続被保険者となる」「配偶者の扶養に入る」という方法のいずれかを選択することになります。 この中から、国民健康保険に切り替える手続きのタイミングや必要書類につ…
詳しくみる