- 更新日 : 2021年11月29日
介護保険サービスを受けるための手続き
介護保険は、要介護状態になった場合に介護サービスを受けることができる制度ですが、被保険者になる年齢は第1号被保険者と第2号被保険者では異なります。
今回は、介護保険サービスを受けるための手続きについて解説していきます。
目次
介護保険の被保険者年齢
介護保険には40歳から加入することを知っている人は多いと思いますが、じつは被保険者には1号被保険者と2号被保険者の2種類あります。
・第1号被保険者
65歳以上の人
普通徴収:年金年額18万円未満の場合は、納付書で納付
特別徴収:年金年額18万円以上の場合は、年金から差し引かれる
介護サービスの範囲:介護が必要になった理由を問わない
・第2号被保険者
40〜64歳までの医療保険(健康保険等)に加入している人
特別徴収:医療保険と合わせて差し引かれる
介護サービスの範囲:特定疾病に該当する人のみ
なお、年齢は誕生日の前日の満了を持って年齢が増えます。したがって、誕生日が4月1日の人は、その前日の3月31日で年齢が増え3月から保険料を納付しなければなりません。
介護保険サービスを受けるためには?
(1)要介護認定の申請
介護保険サービスを受けるためには、手続きが必要です。
まず要介護認定を受けなければいけません。要介護認定を受けるための手続きは、市区町村の窓口に行って、介護保険被保険者証と印鑑を持参のうえ、要介護認定申請をします。
介護保険(要介護認定、要支援)申請書の様式は、市区町村によって異なるため、ひな形をもって解説することはできないのですが、必ず書くべき内容としては、次のような項目があります。
・被保険者の住所・氏名・被保険者番号・生年月日・性別
誰の介護サービスなのかを明らかにする必要があるので、被保険者を特定するための情報を記載します。
・申請者の住所・氏名
被保険者は要介護状態にあるので、申請は別の誰かがするはずなので、申請人が誰なのかを明らかにするため、申請人の住所と氏名を記載します。
・認定調査の連絡先
要介護認定の申請をすると、市区町村の調査員が自宅や施設などを訪れ、心身の状態を確認するので、その連絡先と家族の立ち会いの有無などを記載します。
・主治医の連絡先
市区町村の職員が要介護状態を医師に確認するため、主治医の連絡先を記載します。
(2)認定調査・主治医意見書
要介護認定の申請手続きを済ませると、次は市などの調査員が訪れ、被保険者の心と体の健康状態を確認する認定調査が行われます。また、市区町村から、いつも通院している病院の医師に対して、意見書を出すよう指示があります。
もし、そのような患者をよく知る医師がいないときは、市区町村が指定する医師に診てもらうことが必要となります。
(3)審査判定
最初になされる一次判定として、認定調査および主治医による意見書の一部をコンピューターに入力し、全国で統一された判定方法で要介護度を決定します。次に行われる二次判定は、一次判定で決定された結果をもとに、主治医の意見書なども参考にしつつ、介護認定審査会で要介護度の判定が行なわれます。
(4)認定
市区町村は、介護認定審査会の判定結果より、要介護であるかどうかの認定を行ないます。その結果は、申請手続きから原則30日以内に申請者に知らされます。認定の内容は状態に応じ「要介護1~5」、「要支援1~2」および「非該当」になります。
なお、要介護認定の判定に納得がいかないときは、要介護認定の申請手続きをした市区町村に再認定をしてもらうよう要求します。再認定の結果にも納得がいかない場合には、都道府県の介護保険審査会に不服の申し立てを行うことができます。審査会の審判の結果にも納得いかない場合には、裁判所に行政訴訟を提起することになります。
(5)介護サービス計画書の作成
介護サービスまたは介護予防サービスを利用したいときは、介護サービス計画書または介護予防計画書の作成をしなければなりません。この計画書は介護支援専門員(ケアマネージャー)が利用者と相談をしながら、作成を行ってくれます。費用も保険から支払われるので無料になります。
(6)介護におけるサービスの利用を始めるには
介護サービス計画書ができたら、介護サービス計画書にそったいろいろなサービスを利用できるようになります。
高齢化が進むなか、よりよい介護サービスが望まれるところであり、サービスを受ける側もしっかりと制度を理解して、手続きを踏み、活用することが重要になってきます。今回はサービス利用の全体の流れについて解説しましたので参考にしてください。
まとめ
介護保険は将来的に介護をしてもらわなければいけなくなったときに、介護サービスを受けるための保険です。第1号、第2号被保険者の年齢が異なるほか、介護サービスを受けられる範囲も異なります。介護サービスを使うにしても、認定してもらわなければいけないなど、手続きを行わなければいけません。
以上に紹介した内容は基本的な手続きですので、お住まいの自治体窓口に問い合わせ、事前に確認をするようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険の保険者番号について – わからない場合の調べ方
社会保険の保険者番号とは、国民健康保険や企業が加入する健康保険の保険者である「運営者ごと」に割り振られた番号です。6桁または8桁で構成されています。保険証を見れば確認できますが、数字の項目が多いためどれが保険者番号かわからないと思うケースも…
詳しくみる健康保険の適用事業所とは?企業や個人事業主の加入条件と加入手続き
一般的に、企業に勤める従業員は、健康保適用事業所には、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。険に加入します。また個人事業主や自営業の場合でも、条件にあてはまる事業所では、従業員を健康保険に加入させる必要があります。ここで…
詳しくみるパート・アルバイトの社会保険料はいくら引かれる?計算例で解説
パートやアルバイトとして働く際、「社会保険料はいくら引かれるのか」「そもそも加入しないといけないのか」と疑問に思う場面は多いでしょう。企業に勤めている正社員だけでなく、パート・アルバイトとして働く方も、一定の条件を満たすと社会保険料を納める…
詳しくみる【社労士監修】労災保険料の支払い手続きや計算方法についてわかりやすく解説
労災保険は、労働者保護を目的とした強制保険で、労働者が1人でもいる事業は労災保険に加入しなければなりません。保険給付の対象となるのは労働者で、労災保険料は全額を事業主側が負担します。労災保険料は賃金の総額に労災保険料率をかけて計算され、概算…
詳しくみる労災保険の時効は2年?5年?申請期限と延長ができるケースを解説
労災保険の申請には期限があります。申請が遅れると、受け取れるはずの給付金が受け取れなくなることもあります。この記事では、労災保険の時効について、具体的な期限や起算日の数え方、時効を過ぎた場合の対処法などをわかりやすく解説します。 労災保…
詳しくみる算定基礎届の年間平均とは?条件や申立書の書き方・記入例、デメリットまで解説
算定基礎届(定時決定)における年間平均適用(保険者算定)とは、繁忙期などの影響で算定基礎届(定時決定)の算定で用いる4月〜6月の給与が一時的に高くなる従業員の社会保険料を、過去1年間の月平均報酬で算定する特例制度です。この制度を利用すること…
詳しくみる