- 更新日 : 2026年1月20日
全国健康保険協会(協会けんぽ)とは? わかりやすく解説
公的医療保険には、自営業者が加入する国民健康保険(市町村と都道府県が運営)と、会社員が加入する健康保険があります。このうち、健康保険は、全国健康保険協会(協会けんぽ)と、健康保険組合(組合健保)の2つが保険者として事業を運営しています。
自分が協会けんぽの被保険者であるかどうかはマイナ保険証で確認できます。保険者欄に全国健康保険協会と記載されていれば、協会けんぽに加入していることになります。
かつてはオレンジや青色のカード型保険証が配布されていましたが、2025年12月1日をもって従来の健康保険証は廃止され、現在は「マイナ保険証(健康保険証利用登録をしたマイナンバーカード)」を利用するのが基本となりました。
本記事では、協会けんぽの基本的な仕組み、保険料率、そしてマイナ保険証時代における実務ポイントについてわかりやすく解説します。
目次
全国健康保険協会(協会けんぽ)とは?
協会けんぽは、「全国健康保険協会」の略称で、独自の健康保険組合を持たない中小企業の従業員とそのご家族を対象とした健康保険の運営組織です。健康保険法を根拠法令に、平成20年(2008年)10月1日に設立されました。
日本国内で最大の医療保険者で、加入者は医療費の窓口負担軽減や、出産・死亡時の給付、健康診断などのサービスを受けられます。
前身は、国の事業として厚生労働省の外局である社会保険庁が所管する政府管掌健康保険でしたが、社会保険庁の廃止・解体により業務が引き継がれました。
対象者が良質で効率的な医療を受けられるようにすること、健康の保持増進を図ることを目的に、保険給付に関する業務や保険事業・福祉事業に関する業務といった健康保険事業を行っています。
運営の実務は各都道府県の支部が行う
協会けんぽの本部は東京都にありますが、運営の実務は各都道府県の支部が行っています。
大きな特徴は、都道府県ごとに保険料率が異なる点です。地域の医療費水準を反映させる仕組みとなっており、事業所の所在地によって適用される料率が決まります。
協会けんぽと日本年金機構の手続きの違い
協会けんぽと日本年金機構(年金事務所)は役割が分かれています。
協会けんぽの保険料率
保険料率は支部単位で設定されるため、各都道府県で異なります。保険料率は毎年見直しが行われ、例年3月分(4月納付分)から改定されます。
令和7年度の保険料率は、全国平均を10.00%に維持しつつ、都道府県ごとの医療費実績に基づいて設定されました。
- 全国平均保険料率:10.00%
- 保険料率が高い支部:佐賀支部(10.78%)、徳島支部(10.47%)、長崎支部(10.41%)
- 保険料率が低い支部:沖縄支部(9.44%)、新潟支部(9.55%)、岩手支部・福島支部(9.62%)
地域によって最大1.34%の開きがあります。実際の保険料は、この率を会社と従業員で折半(半分ずつ負担)して支払います。正確な料率は、会社(事業所)の所在地がある都道府県の支部情報を確認してください。
なお、40歳~64歳の被保険者は介護保険第2号被保険者として、全国一律の介護保険料率(1.59%)が加算されます。
参考:令和7年度都道府県単位保険料率|全国健康保険協会(協会けんぽ)
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全国健康保険協会(協会けんぽ)と社会保険の違いは?
「社会保険」という大きな枠組みの中に「協会けんぽ(健康保険)」が含まれている関係にあります。
「求人票には社会保険完備とあったのに、加入したのは協会けんぽだった。これは違うものなのか?」と不安に思う必要はありません。この2つの関係性は、包含関係にあります。
社会保険という大きな枠組みとの関係
広い意味での社会保険は、以下の5つの制度の総称であり、協会けんぽはその一部を構成しています。
つまり、協会けんぽに加入しているということは、正しく「社会保険」に加入している状態です。
「社保完備」で協会けんぽになる理由
一般的に企業が加入する健康保険には、「協会けんぽ」と「健康保険組合(組合健保)」の2種類があります。大企業は自社で健康保険組合を持っていますが、大多数の中小企業は協会けんぽに加入します。
「社保完備=協会けんぽ加入」となるのが一般的です。
健康保険組合(組合健保)・共済組合・国民健康保険との違いは?
協会けんぽのほかに健康保険組合、共済組合、国民健康保険も、健康保険法に基づく保険給付や保健事業を行っています。他の医療保険との主な違いは、運営主体や保険料率の決定方法、そして扶養家族に対する保険料負担の有無(国民健康保険は扶養の概念なし)にあります。
協会けんぽと健康保険組合、共済組合、国民健康保険はそれぞれ以下のような違いがあります。
協会けんぽと健康保険組合(組合健保)との違い
健康保険組合は、常時700人以上の従業員がいる大企業などが、独自に設立・運営する公法人です。同種・同業の3,000人以上の従業員で共同で設立する健康保険組合(総合健康保険組合)などもあります。協会けんぽとの主な違いは以下の通りです。
- 保険料率の決定権:
協会けんぽは都道府県ごとの実績に基づきますが、組合健保は組合の財政状況に応じて独自に料率を設定できます(企業の経営状態が良ければ協会けんぽより安くなる可能性があります)。 - 独自の付加給付:
法定の給付に加え、医療費の自己負担上限を引き下げるなど、協会けんぽよりも手厚い福利厚生(付加給付)が用意されていることが多いです。
協会けんぽと共済組合との違い
共済組合は、公務員や私立学校教職員などを対象とした保険制度です。 基本的な医療給付は協会けんぽと同様ですが、年金業務も一体的に運営している点や、組合健保のように独自の付加給付がある点が異なります。
協会けんぽと国民健康保険(国保)の違い
国民健康保険は、個人事業主やフリーランス、退職者などが加入する健康保険で、都道府県・市町村が運営しています。会社員が加入する協会けんぽとは仕組みが大きく異なります。
- 扶養の概念がない:協会けんぽでは扶養家族の保険料は無料ですが、国保には扶養という制度がなく、家族(配偶者や子供)一人ひとりに保険料がかかります。
- 全額自己負担:会社と折半する協会けんぽとは異なり、国保の保険料は全額自己負担となります。
【主な医療保険の比較表】
| 項目 | 協会けんぽ | 組合健保 | 国民健康保険 |
|---|---|---|---|
| 主な加入者 | 中小企業の従業員 | 大企業の従業員 | 個人事業主等 |
| 運営主体 | 全国健康保険協会 | 各健康保険組合 | 都道府県・市町村・国保組合(業種ごとに組織) |
| 保険料負担 | 事業主と折半 | 事業主と折半 | 全額自己負担 |
| 扶養の有無 | あり | あり | なし |
自分の加入先を「マイナ保険証」等で確認する方法
自身の加入先を確認するには、マイナポータルの登録情報を閲覧するか、会社から配布される「資格情報のお知らせ」で「全国健康保険協会」の記載を探すのが確実です。
マイナポータルでの確認手順
マイナンバーカードの券面には保険者名は記載されていないため、スマートフォン等で「マイナポータル」にログインして確認します。 トップ画面の「健康保険証」メニューから、「保険者名称」の欄を見てください。ここに「全国健康保険協会 〇〇支部」とあれば、協会けんぽに加入しています。
「資格情報のお知らせ」や「資格確認書」での確認
マイナ保険証への移行に伴い、協会けんぽから「資格情報のお知らせ」という書類が発行されています。ここには記号・番号や保険者名が明記されています。 また、マイナンバーカードを持っていない方には従来の保険証の代わりとなる「資格確認書」が発行されますので、そちらの記載を確認してください。
【担当者向け】マイナ保険証時代の協会けんぽ実務
マイナ保険証への移行後も、資格取得・喪失の手続きは「年金事務所」、給付申請は「協会けんぽ」へ提出するという役割分担に変更はありません。
資格取得・喪失届は「年金事務所」へ
カードタイプの保険証が廃止されても、入社・退社時の手続き先は従来どおり日本年金機構(年金事務所)です。 ここでデータ登録が行われることで、従業員のマイナンバーカードが保険証として使えるようになります。
給付金申請は「協会けんぽ」へ
傷病手当金、出産手当金、高額療養費などの申請書は、引き続き協会けんぽ(各都道府県支部)へ提出します。 「入口(加入手続き)は年金事務所」、「出口(給付申請)は協会けんぽ」という区分けを徹底しましょう。
マイナ保険証を持たない人への対応
従業員の中にマイナ保険証の利用登録をしていない人がいる場合、申請または職権により発行される「資格確認書」を会社経由で交付する必要があります。資格確認書には有効期限があるため、更新時期の管理も新たな業務となります。
協会けんぽは中小企業の社会保険。マイナ保険証で加入状況の確認を
協会けんぽは、全国健康保険協会の略称です。独自の健康保険組合を持たない中小企業の従業員が加入し、健康保険法に基づく保険給付の業務などを行います。中小企業従業員の家族も被扶養者として保険給付を受けられます。
自分が加入している健康保険が協会けんぽかどうかは、マイナ保険証で確認できます。「全国健康保険協会」と記載されていれば協会けんぽに加入していることになるので、確認してみましょう。
- 協会けんぽは中小企業向けで、社会保険(健康保険)の一つである。
- 保険料率は都道府県ごとに異なり、令和7年度は9.44%〜10.78%の幅がある。
- 加入確認はマイナポータルや「資格情報のお知らせ」で行う。
- 実務では、加入・脱退時の書類は「年金事務所」、給付を受ける際の書類は「協会けんぽ」への提出区分を守る。
自社の保険制度や最新の料率を正しく理解し、適切な手続きや制度利用につなげてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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