- 更新日 : 2025年3月31日
労働基準法第37条とは?時間外・休日・深夜の割増賃金をわかりやすく解説!
労働基準法第37条は「時間外・休日・深夜の割増賃金」について定めた条文です。人事労務担当者にとって、労務管理の基本となる重要な規定です。
本記事では、労働基準法第37条の条文内容や目的をわかりやすく解説し、時間外労働や休日労働に対する割増賃金の具体的ルール、そして人事労務担当者が実務上注意すべきポイントを網羅します。最新の法改正情報や裁判例も踏まえ、企業が適切に対応するための実務対策についても紹介します。
目次
労働基準法第37条とは?
労働基準法第37条は、使用者(企業)が労働者に法定労働時間を超えて労働させた場合や法定休日に労働させた場合に、通常の賃金に加えて一定の割増率を上乗せした割増賃金を支払わなければならないことを定めています。加えて、午後10時から午前5時までの深夜労働についても割増賃金の支払いを義務づけています。
条文の概要と目的
労働基準法第37条が設けられている背景には、長時間労働に歯止めをかけ、労働者の健康と生活を守ることにあります。割増賃金を支払うことで企業側にコスト負担が発生するため、むやみに時間外労働や休日出勤をさせないよう促す効果があります。
また、やむを得ず時間外や休日に労働をさせなければならない場合であっても、その労働者へ適正な補償(賃金の割増)を与えることで、公平性と労働者保護を図る趣旨があります。
労働基準法第37条が適用されるケース
労働基準法第37条が適用される典型的なケースとしては、次のような場合があります。
時間外労働(法定労働時間超過労働)、休日労働、深夜労働の3つが労基法37条の割増賃金支払い義務の発生する代表的なケースです。
実際の労務管理では、36協定(労働基準法第36条に基づく時間外・休日労働に関する協定)を締結し行政へ届け出ることで法定時間外や休日労働が可能となりますが、たとえ36協定を締結していたとしても、第37条による割増賃金の支払いを怠れば違法となります。
法定時間外労働(時間外労働)
法定労働時間は原則として1日8時間・週40時間まで(労働基準法第32条)と定められています。これを超えて労働させた場合には時間外労働となり、第37条に基づき割増賃金の支払い義務が発生します。
例えば通常の所定労働時間を超えて残業させた場合、その残業時間が法定労働時間の枠(1日8時間・週40時間)を超えていれば割増賃金の対象です。
法定休日労働
労働基準法第35条では、少なくとも毎週1日(または4週で4日)の休日を与えることが義務付けられています。この法定休日に労働させた場合、第37条により休日労働の割増賃金を支払う必要があります。振替休日や代休ではなく、本来の法定休日に出勤させたケースが該当します。
深夜労働
午後10時から午前5時までの間の労働は、それが所定内労働であっても深夜割増賃金の支払い対象となります。したがって、22時以降に及ぶ残業や深夜シフトの勤務については、第37条に基づき割増賃金を支払わなければなりません。
労働基準法第37条|割増賃金の計算方法
労働基準法第37条に基づく割増賃金の計算方法は、通常の労働時間または労働日の賃金額に所定の割増率を乗じて算出します。ここでいう「通常の賃金」とは、基本給や各種手当など、労働の対価として定期的に支払われる賃金のうち、割増賃金の計算基礎に含まれる賃金を指します。
ただし、すべての賃金が割増賃金の基礎になるわけではありません。厚生労働省令により、以下のような項目は計算から除外することが認められています。
これらは「割増賃金の計算基礎に含めなくてもよい」とされており、該当する賃金を除いた額を基に割増賃金が計算されます。
なお、名称が「住宅手当」であっても、実際には全社員に一律で支給されているような場合には、割増賃金の基礎に含めるべきとされています。つまり、名称ではなく支給実態に基づいて判断される点に注意が必要です。
逆に言えば、これら以外の手当や基本給部分はすべて割増計算の基礎に含めなければなりません。
割増賃金の計算式
割増賃金は次のような手順で計算されます。
- 労働者の1時間あたりの賃金単価を求める
- 割増率を掛けて割増賃金額を算出する
月給制の労働者の場合、1時間あたりの賃金単価は以下の計算式で求められます。
例えば月給30万円、月の所定労働時間が160時間の場合、1時間あたりの賃金単価は1,875円となります。
300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円
この1,875円を基準として、割増賃金を計算します。
- 時間外労働(残業)の場合
割増率25%を加えるため、
1,875円 × 1.25 = 約2,344円(割増分:約469円) - 深夜労働(午後10時〜午前5時)の場合
こちらも25%の割増率が適用されるため、
1,875円 × 1.25 = 約2,344円 - 休日労働の場合
割増率は35%となり、
1,875円 × 1.35 = 約2,531円
このように、同じ時間数の労働であっても、時間帯や曜日によって支払うべき金額が異なります。割増賃金を正確に計算するには、まず時間単価を適切に求めることが基本となります。
なお、割増率の詳細については、次の項目で詳しく解説します。
割増賃金の具体的ルールと適用範囲(労働基準法第37条)
法定労働時間を超えた場合の割増賃金(時間外割増)
労働基準法第37条第1項では法定労働時間を超えて働かせた場合の割増賃金率を「25%以上」とすることが明記されています。つまり、労働者が1日8時間または週40時間を超えて働いたときには、企業は通常の賃金の1.25倍以上を支払わなければなりません。
企業によっては、就業規則や労使協定などで割増率を引き上げて定めることも可能ですが、法律で定められた25%を下回ることはできません。
(時間外労働の割増賃金の計算例)
所定労働時間が9時〜18時(休憩1時間を含む)の会社で、18時以降も勤務した場合を考えてみます。18時以降の残業は法定労働時間を超えているため、18時〜22時の4時間にはそれぞれ1.25倍の割増賃金が必要です。
さらに22時以降の労働は「深夜労働」にも該当します。もし22時〜23時まで残業した場合、その1時間については時間外割増25%と深夜割増25%の両方が加算され、合計50%増(1.5倍)の賃金を支払う必要があります。
このように、時間外労働と深夜労働が重なった場合は割増率が加算されます。
1か月の時間外労働が60時間を超えた場合
労働基準法第37条第1項のただし書では、1か月あたりの時間外労働が60時間を超えた場合、その超過分については割増率を50%以上に引き上げることが定められています。これは「月60時間超残業」に対する特別な割増率の適用です。
以前は中小企業に対して適用が猶予されていましたが、2023年4月1日からは中小企業も含めてすべての企業に適用されています。したがって現在では、企業の規模にかかわらず、月60時間を超える時間外労働に対しては、「通常の賃金の1.5倍以上の賃金(50%以上の割増率)」を支払う義務があります。
(時間外労働が60時間を超えた割増賃金の計算例)
ある月に70時間の時間外労働を行った場合、次のように計算します。
- 最初の60時間分:通常の賃金 × 1.25倍(25%増)
- 残りの10時間分(超過分):通常の賃金 × 1.5倍(50%増)
最初の60時間については25%増以上、60時間超となる部分である10時間については50%増以上の割増率で計算した残業代を支払う必要があります。
このように、月の時間外労働が60時間を超えたかどうかによって、割増率が変わる点に注意が必要です。
なお、月60時間を超える部分の割増賃金については、労使協定を結ぶことで代替休暇(代休)を付与することにより割増賃金の一部を免除する特例も認められています。
60時間を超える時間外労働に対して本来支払うべき追加25%分の割増賃金の代わりに、相当時間の有給休暇(年次有給休暇とは別枠の特別の有給休暇)を与えることで、その部分の割増賃金支払いを免除できる制度です。
ただし、この制度を利用するには事前に労使協定で定めておく必要があり、かつ実際に労働者が代替休暇を取得した場合に限られます。
休日労働の割増賃金
労働基準法では、法定休日に労働をさせた場合には、35%以上の割増賃金を支払うことが定められています。この「法定休日」とは、労働基準法によって最低限与えるよう義務づけられている休日を指し、通常は週に1回(日曜日など)とされます。
一方で、企業が独自に設定している「所定休日」(たとえば土曜日や祝日)に出勤した場合は、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えない限り、通常の賃金を支払えばよいとされています。
つまり、35%の割増賃金が発生するのは、法定休日に労働させた場合のみという点に注意が必要です。
(休日労働の割増賃金の計算例)
日曜を法定休日としている会社でその日に社員を勤務させた場合、当日の労働には通常の賃金の1.35倍(35%増)以上を支払う必要があります。
さらに、その休日労働が深夜(午後10時〜午前5時)に及ぶ場合には、深夜割増分(25%)が加算されます。
法定休日にあたる日曜日に9時から深夜0時まで勤務させた場合、9時〜22時の時間帯は35%増の割増賃金、22時〜24時の時間帯は35%+25%=60%増(1.6倍)の割増賃金を支払う必要があります。
- 9時〜22時:法定休日労働 → 35%増(1.35倍)
- 22時〜24時:法定休日+深夜労働 → 60%増(1.6倍)
このように、勤務する時間帯によって割増率が異なるため、休日労働の賃金計算では時間帯ごとの区分が重要になります。
深夜労働の割増賃金
深夜労働(原則として22:00〜翌5:00の間の労働)については、時間帯にかかわらず通常賃金の25%以上の割増賃金を支払う義務があります。
この深夜割増は、その時間帯の労働自体に対して一律に課せられるものであり、所定内労働であっても深夜であれば25%増、時間外労働で深夜に及ぶ場合は時間外割増25%と深夜割増25%が両方適用され合計50%増、といった形で計算されます。
例:午後10時〜午後11時まで残業した場合
- 時間外労働:25%増
- 深夜労働:25%増
- 合計:50%増(1.5倍)
深夜割増が設けられている背景には、夜間の勤務が労働者の生活に与える負担や危険を考慮した補償です。深夜帯に働くことは昼間に比べ心身への負荷が大きいため、その分の手当を厚くすることで労働者を保護しています。
なお、労働基準法第41条では、「管理監督者」や一部の「特殊業務従事者」については時間外・休日労働に関する規定を適用しないとしています。しかし、深夜労働に関しては管理監督者であっても割増賃金の支払いが必要である点に注意が必要です。
例えば管理職で残業代は不要とされる人でも、深夜22時以降に働けば深夜割増だけは支払われなければなりません。
労働基準法第37条で人事労務担当者が注意すべきポイント
割増賃金の未払いリスク
時間外や休日、深夜の労働に対する割増賃金を正しく支払っていない場合、労働基準法第37条違反として法的責任が問われる可能性があります。違反があった場合、労働基準法第119条により「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることがあります。
また、未払いの残業代は労働者個人から訴訟を起こされることもしばしばあります。労働者から請求を受けて初めて未払いに気づくようでは遅く、企業側にとって多額の支払いを余儀なくされるだけでなく、社会的信用の失墜にもつながりかねません。
労働時間の適正な把握と証拠の保存
人事労務担当者として特に注意すべきは、労働時間を正確に把握し、記録として残すことです。実際の裁判例では、残業代請求の訴訟において会社側が労働時間管理の責務を果たしていない場合、たとえ労働者の側の証拠が不十分でも労働者の主張する労働時間を裁判所が認定する傾向があります。
例えばタイムカードや出勤記録が整備されていない場合、労働者が自己申告したメモや手帳の記載でも、一応の証拠として認められ、会社側が明確な反証をできなければそのまま残業代が認められてしまうのです。
このように、適切な労働時間管理を怠れば未払い残業代請求で企業側が不利になる可能性が高いといえます。
サービス残業の放置は重大な問題
いわゆるサービス残業(無給残業)の放置は重大な問題です。管理職でない従業員が「みなし残業代」等の名目無しに所定外労働をしているにもかかわらず残業代が支払われていない場合、それは明確に労基法違反となります。労働基準監督署による是正勧告や企業名の公表(いわゆるブラック企業リスト入り)といった行政処分の対象にもなり得ます。
万一未払いが発覚した場合には、遡っての残業代支払い(民法改正に伴う労基法改正により、賃金債権の時効は当面3年)や、裁判での付加金(未払い賃金と同額のペナルティ)命令が下るリスクもあります。未払い残業代は利息も付くため、長期間放置すればするほど企業にとって不利となるでしょう。
労働基準法第37条|裁判例から学ぶ実務上の注意点
割増賃金に関する裁判例からは、企業が実務で注意すべき多くのポイントが示されています。ここでは代表的な事例とその教訓を見てみましょう。
固定残業代制度の適法性
あらかじめ一定額の残業代を給与に含めて支給する「固定残業代制度」は、有効に機能させるために厳格な条件を満たす必要があります。
裁判例(小里機材事件・最判昭和63年7月14日など)では、固定残業代を基本給に含める場合、その残業代部分を明確に区別して定め、かつ法定の計算方法で算出した割増賃金額がその定額を上回るときは差額を支払うという合意がある場合にのみ、有効と認められると判示されています。
裏を返せば、これらの条件を満たしていない固定残業代制度は無効と判断され、従業員から別途残業代を請求されるリスクがあります。実際、固定残業代が何時間分の残業に相当するのか不明確な給与体系や、固定残業代を超える残業をさせているのに超過分を払っていない場合などは、裁判で会社側の主張が認められなかった例があります。
最高裁も平成30年7月19日の判決において、「基本給等に時間外割増賃金相当分を含めて支払うには、契約上通常賃金部分と割増賃金部分を判別できることが必要であり、かつ割増部分が法定計算額を下回らないことが条件」と明確に述べています。固定残業代制度を導入している企業は、就業規則や雇用契約でこれら条件を明示し、超過分の精算を確実に行う運用が必要です。
歩合給・出来高給と割増賃金
給与が完全歩合給制であっても、時間外・深夜・休日の割増賃金は別途支払わねばならないことが裁判例で確認されています。
高知県観光事件(最判平成6年6月13日)では、タクシー会社で賃金を全て歩合給(売上に応じた出来高払い)としていたケースにおいて、歩合給には残業や深夜の割増分が含まれていない上、通常賃金部分と割増賃金部分を判別できない給与体系であるとして、会社に対し法定どおり計算した割増賃金の支払い義務があると判断されました。
この判例から言えるのは、給与形態がどのようなものであっても労基法37条の趣旨を免れることはできないということです。歩合制や年俸制、成果報酬型の給与であっても、法定時間外や休日・深夜の労働については別途割増賃金の支払いが必要となります。
これらの裁判例から学べるのは、給与制度や労働時間管理の運用が労基法の要件に適合していないと、企業側の主張は認められず未払い残業代の支払いを命じられるということです。就業規則や雇用契約でどんな定めをしていても、法を下回る扱いや不明確な定めは無効となります。人事労務担当者は、判例が示す基準を把握し、自社の制度が適法かどうか点検することが重要です。
労働基準法第37条|法改正や行政通達の影響
労働時間や割増賃金を取り巻く法制度は、社会情勢の変化に応じて改正や新たな措置が講じられています。
労働基準法第37条に関連する近年の法改正としては、先に述べた2023年からの中小企業への月60時間超残業の割増率50%適用が挙げられます。また、2019年の労働基準法改正では時間外労働の上限規制(原則月45時間、年360時間:罰則付き)が導入され、これに伴い時間外労働の実態把握と残業代適正支給への社会的関心も高まりました。
行政通達やガイドラインも随時発出されています。例えば、厚生労働省は労働時間の適正な把握のためにガイドラインを示し、使用者の責務としてタイムカードやICTを用いた客観的な記録管理を徹底するよう周知しています。
また、割増賃金の計算に関して過去に通達で細かな解釈が示された例もあります(深夜割増の計算基礎に含める手当の取扱い等)。人事労務担当者は、これら最新の法改正情報や行政からの通達にアンテナを張り、自社の就業規則や労務管理手続きを必要に応じてアップデートする必要があります。
2023年の割増率引上げでは就業規則の時間外手当規定を変更し、60時間超の割増率を50%へ引き上げる改定が必要となるケースがありました。
法改正があったにもかかわらず社内規程を古いままにしていると、従業員への周知が不十分となりトラブルの原因になります。
行政の動きとしても、長時間労働削減や適正な残業代支払いの徹底は引き続き重要課題と位置付けられており、労働基準監督署による監督指導や是正勧告も厳しさを増しています。常に最新情報をチェックし、迅速に社内ルールや運用を見直すことが肝要です。
労働基準法第37条|まとめと実務への活かし方
最新の法改正情報のチェック方法
労働基準法第37条を含む労働関係法令の改正情報は、厚生労働省や各都道府県労働局のウェブサイト、官報、公的なニュースリリースなどで公表されます。人事労務担当者は、厚生労働省の公式発表や労働局の「法改正のお知らせ」ページを定期的に確認する習慣をつけましょう。
定期的な研修への参加や社労士・弁護士からの情報提供を受けるなど、外部リソースも活用して最新情報をキャッチアップするようにしましょう。
企業が遵守すべき実務対策
最後に、労働基準法第37条の遵守と実務への活かし方として、企業が取るべき対策を整理します。
適法な36協定の締結と管理
適法な36協定の締結と管理です。時間外・休日労働を行わせるには労基法第36条に基づく労使協定の締結と所轄労基署への届出が必要不可欠ですが、これは割増賃金の支払い義務とも表裏一体の関係にあります。
36協定で定めた範囲内であっても、残業代の支払いを適切に行わなければ違法です。協定の範囲を超える残業が常態化していないか、残業代の支払い漏れがないかを定期的にチェックしましょう。
労働時間の客観的管理
労働時間の客観的管理を徹底することです。タイムカード、ICカードの入退場記録、パソコンのログオン・ログオフ記録など、客観的な手段で全従業員の労働時間を把握し、適正に記録する体制を整備します。自己申告制のみでは不十分であり、客観的記録との突合や実態調査を行うことでサービス残業の発生を防止します。
割増賃金の計算と支払いのダブルチェック
割増賃金の計算と支払いのダブルチェックを行いましょう。人事担当者だけでなく経理部門とも連携し、計算システムやエクセル表に誤りがないか、法定の割増率・計算基礎から外れていないかを監査します。
特に所定外労働が多い部署や、管理監督者に該当する者がいる場合は、残業代の支払い漏れ(深夜割増の不払いなど)がないか重点的に確認します。また、固定残業代制を採用している場合は、実際の残業時間と固定残業代の範囲を照らし合わせ、超過分の追加支払いが適切に行われているかを毎月検証することが望ましいです。
従業員への周知と教育
従業員への周知と教育も欠かせません。残業代に関する社内ルールや計算方法について、就業規則や労使協定の内容をしっかりと説明し、従業員に誤解がないようにします。併せて、管理職や現場の責任者に対しては労働時間管理の重要性と法規遵守について研修を行い、部下にサービス残業をさせない指導を徹底しましょう。
以上、労働基準法第37条の基本から実務上の留意点まで解説しました。適切な割増賃金の支払いは労務コンプライアンスの重要な柱です。法律の趣旨を正しく理解し、最新の情報をアップデートしながら、自社の労務管理に活かしてください。違法な未払い残業を防止し、健全な職場環境を維持することが、結果的に従業員の安心と企業の信頼向上につながるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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