• 更新日 : 2025年4月4日

再雇用がみじめすぎる…。理由や後悔しないための対策、転職・独立などの選択肢も解説

定年後の再雇用制度を利用して働き続ける方が増えていますが、再雇用後に予想外のみじめさを感じて後悔するケースも少なくありません。収入が激減し、後輩の下で働く立場になったり、職場での人間関係に悩んだりと、定年前には考えてもいなかった問題に直面することがあります。

本記事では再雇用後に「みじめだ」と感じる理由や具体的な体験談を紹介しつつ、精神的・経済的に追い込まれないための具体的な対策を詳しく解説していきます。

再雇用後にみじめだと感じる理由

定年を迎えた後、再雇用制度を利用して働き続ける人が増えています。しかし、再雇用制度を利用した人の中には、「働き方が変わったことで精神的な辛さや不満を感じるようになった」という方も多くいます。ここでは、再雇用が「みじめだ」と感じてしまう主な理由について、詳しく解説していきます。

給与が大幅に下がってしまうため

再雇用で最も多くの人がみじめさを感じる理由の一つが、給与の減少です。再雇用になると、定年前と比べ給与水準が半分以下になるケースが珍しくありません。そのため、生活水準を大幅に見直す必要が出てきたり、経済的に苦しい状況に追い込まれたりすることがあります。給与の減少は、働くことへのモチベーションにも大きく影響を与え、心理的にも辛さを感じやすくなります。

【給与の変化の一例】

状況年収(例)備考
定年退職前約600万円管理職クラスの平均年収
再雇用後約200~300万円再雇用後の一般的な水準(業種による)

役職や権限がなくなるため

再雇用になると、多くの人は役職を失い、一社員として働くことになります。長年培った経験やキャリアがあっても、指示を受ける側になることが多く、心理的な抵抗感を覚える人も少なくありません。特に、これまで管理職やリーダーとして活躍してきた人にとっては、プライドが傷ついたり、自信を失ったりする原因になります。

職場での扱いや人間関係が変わるため

再雇用になると、周囲の同僚や後輩からの扱いが大きく変化するケースがあります。定年前までは敬意を払われ、相談を持ちかけられる立場だった人も、再雇用後は距離を置かれる、あるいは雑な扱いを受けるようになることがあります。こうした状況が続くと、自分の居場所がなくなったように感じ、精神的なストレスや孤独感が高まってしまう可能性があります。

周囲と比較して落ち込んでしまうため

同年代の友人や元同僚と自分を比較して、「自分だけが落ちぶれた」と感じてしまう方も多くいます。再雇用で働き続ける姿を、「定年後も働かなければならない=失敗した」と捉えてしまう心理が働くこともあるでしょう。こうした心理的な比較は、特に自己肯定感を低下させ、自信喪失につながることがあります。

仕事にやりがいを感じられないため

再雇用後は業務内容が大きく変わることも珍しくありません。長年取り組んできた専門的な仕事から、比較的単純作業や補助的業務へと切り替わることもあり、「自分の能力が生かされていない」「仕事にやりがいがない」と感じる人も少なくありません。自分の働きが社会的に価値を持たないのではないかという不安や失望感が強くなると、みじめな気持ちがさらに強まる傾向があります。

再雇用でみじめな状況になる人の事例

再雇用を選択した人たちが実際にどのような体験をしているのか、現場のリアルな声を知ることは重要です。以下では、再雇用を選んだ人が直面するかもしれない典型的な事例を紹介します。

後輩から指示される立場になり苦痛を感じる事例

再雇用になった社員が、それまで部下として指導していた後輩から指示される立場となり、自尊心が傷ついてしまうケースがあります。定年前は役職があり、組織の中で指示を出す側だったため、その立場が逆転したことに対して精神的な抵抗感が強く、ストレスを抱えることもあるようです。「割り切って受け入れよう」と努力はしていても、実際には気持ちの整理がつかず、職場に通うことが苦痛になる人もいます。

給与が激減し経済的な不安が強くなる事例

再雇用後に給与が半分以下に減少するケースも多く見られます。そのため、住宅ローンの返済や老後資金など、経済的な不安が大きくなり、日常生活の楽しみである外食や旅行を控えるようになる人もいるようです。こうした経済面での制約から「何のために働いているのかわからなくなった」と精神的に落ち込むケースもあります。

職場で居場所を失い孤独感が強くなる事例

再雇用を機に新しい部署や別の職場環境に配属されることで、これまで親しく交流していた同僚と疎遠になり、孤独感を強く感じる人もいるようです。新しい職場が若い世代中心の環境である場合、話題が合わず、休憩時間や昼食時などに孤立しやすくなることもあるようです。その結果、「職場で自分の居場所がない」「必要とされていない」と感じて、精神的な負担を抱える人もいるとされています。

再雇用後にみじめで後悔しないための対処法

再雇用で辛い思いや「みじめさ」を感じる状況にならないためには、早い段階から適切な対策を取っておくことが重要です。ここでは、再雇用後に精神的・経済的に苦しまないための具体的な対処法を解説します。

定年前からしっかりと資産形成を行う

再雇用では給与が大幅に下がるのが一般的です。そのため、経済的に苦しまないためには、定年前の段階からしっかりと資産形成を行う必要があります。

具体的な対策例としては、次のようなものがあります。

  • 退職金の使い道を明確に決めておく
    再雇用後の給与減少を踏まえ、老後資金を確保するための貯蓄に回す割合を決めます。
  • 家計簿をつけて無駄な支出を減らす
    日常的な生活費を見直し、支出を減らす練習をすることで、再雇用後も生活水準を維持しやすくなります。
  • 資産運用を検討する
    少額投資やつみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して、資産運用を始めることで、老後資金に余裕を作ることができます。

柔軟な働き方を受け入れる

再雇用後、役職や権限を失うことで心理的に苦痛を感じる人が多くいます。これを避けるためには、定年前からプライドや肩書きにとらわれすぎないマインドを身につけることが大切です。

具体的な心構えとしては、次のようなものがあります。

  • 「役職=自分の価値」という意識を切り離しておく
    役職や肩書きに依存しない価値観を築くことで、再雇用後も自分の価値を感じられます。
  • 新しい仕事や役割を前向きに受け入れる
    定年前に異なる業務や部署での勤務を経験しておくことで、再雇用後の変化にも柔軟に対応できます。

職場以外にも居場所や役割を持つ

再雇用で職場の人間関係や居場所が変化した場合に備え、職場以外でも自分が活躍できる場所やコミュニティを持っておくことが重要です。

具体的には、次のような方法が考えられます。

  • 趣味や習い事を始める
    スポーツや趣味のサークルに参加することで、職場以外の交流や楽しみが増え、精神的な安定を得られます。
  • 地域活動やボランティアに参加する
    地域貢献を通じて、新たな人間関係や自己実現の場を築くことができます。
  • 副業や兼業を検討する
    再雇用後の収入補填や自己肯定感を高めるために、副業を始めてみることも有効です。

再雇用以外の選択肢をあらかじめ考えておく

再雇用後に苦しい状況になったときのため、再雇用以外の選択肢を事前に検討しておくとよいでしょう。

具体的な選択肢としては、以下のものがあります。

  • 転職活動をする
    経験や資格を活かして、再雇用以外に条件の良い仕事を探しておくことで、余裕を持った働き方を実現できます。
  • 独立や起業を目指す
    定年前の経験を活かして、小規模なビジネスや個人事業主として独立する準備を行うことも一つの方法です。
  • パートやアルバイトなど短時間勤務を検討する
    負担の少ない働き方を選ぶことで、無理なく社会参加を継続できます。
  • 完全に引退する
    経済的な準備が十分できていれば、仕事を辞めて年金生活に切り替える選択肢もあります。

再雇用後のみじめな状況を改善する方法

再雇用後に精神的につらい状況になってしまった場合でも、対処法を実践すれば状況を改善することは可能です。ここでは、すでに「みじめさ」を感じてしまっている人が今から取り組める具体的な改善方法について解説します。

信頼できる第三者に相談する

みじめな状況に陥った場合、悩みを一人で抱え込むとますます状況が悪化してしまいます。まずは信頼できる第三者に相談し、自分の状況や感情を客観的に整理することが有効です。

相談先の例としては以下のようなところがあります。

  • 企業内カウンセラーや産業医
    社内に相談窓口があれば、気軽に活用し、職場内での悩みを打ち明けることができます。
  • 家族や親しい友人
    身近で安心できる人に話すことで、気持ちが整理され、精神的な孤独感や負担が軽減されるでしょう。
  • 外部の専門相談機関
    心療内科やカウンセリングルームでは、客観的で専門的な視点からアドバイスをもらえるため、心身の不調に対応できます。

短期的な目標を設定して達成感を得る

再雇用後にみじめさを感じている場合、小さな成功体験を積み重ねて自信を回復する方法が有効です。まずは短期的かつ達成可能な目標を設定し、小さな達成感を味わうことで自己肯定感を高めましょう。

具体的な方法は、以下の通りです。

  • 1日1回でも周囲から感謝されるような行動をする
  • 資格取得など、学習目標を設定して成長を感じる
  • 身の回りの整理整頓など、些細なことでも達成感を得られる作業を行う

小さな目標を設定して達成を繰り返すことで、自信やモチベーションの回復につながります。

過去の成功体験を振り返り、自己肯定感を取り戻す

再雇用後の状況がつらい場合、自分の過去の成功体験やキャリアの中で達成したことを改めて振り返り、「自分には能力がある」と再認識することが有効です。

具体的な方法は、以下の通りです。

  • 過去に自分が達成したプロジェクトや仕事の成果を書き出してみる
  • 周囲から感謝された経験や評価された場面を意識的に思い出す
  • 自分の強みや得意分野を改めて整理し、それを職場で活用する

こうした振り返りは、自分への肯定感を取り戻すきっかけになります。

働き方について上司と再度話し合う

現在の仕事内容や待遇に不満がある場合、改めて上司と話し合うことも状況改善に役立ちます。自身が置かれている状況や心情を丁寧に説明することで、職場側から改善策を提示される可能性があります。

話し合いのポイントは、以下の通りです。

  • 具体的にどのような状況が精神的に負担となっているかを伝える
  • 仕事の役割分担や業務量の見直しを依頼する
  • 今後のキャリアや働き方について希望を伝え、改善策を一緒に検討する

再雇用制度を活用している社員の待遇改善に前向きな企業もあるため、建設的な話し合いが状況改善につながる可能性があります。

再雇用を途中で辞めることはできる?

再雇用制度を利用して働き始めたものの、どうしても精神的・肉体的に辛いと感じた場合、「途中で辞めることは可能なのだろうか?」と不安に感じる人も多いでしょう。

結論から言えば、再雇用で働き始めたあとでも、途中で退職することは可能です。再雇用制度を利用している場合でも、法律上は「有期雇用契約(契約社員)」に分類されます。契約期間の途中であっても、会社と本人が合意すれば契約を解除することができます。

ただし、再雇用の契約期間中に退職する場合には、以下のような注意点があります。

  • 事前に意思表示をする
    一般的には退職希望日の1ヶ月前(契約内容によっては2週間~1ヶ月)までに会社に退職の意思を伝える必要があります。
  • 契約内容を確認する
    契約書に退職時の取り決めが記載されている場合は、その規定に従う必要があります。退職時の予告期間など、必ず事前に契約内容を確認しましょう。
  • 退職金や退職手当を確認する
    再雇用後の退職金は正社員時代と比べて大幅に減額されるか、支給されない場合があります。途中退職の場合、どのような待遇となるかを会社に確認しておく必要があります。

再雇用ではなく転職・再就職を検討すべきケース

定年後の再雇用は一般的な選択肢ですが、すべての人に適しているとは限りません。ここでは、再雇用よりも転職や再就職を検討したほうがよい具体的なケースについて解説します。

専門的なスキルや資格を持っている場合

専門的なスキルや資格を持っており、それを生かせる職場が現在の再雇用先にない場合、転職・再就職を検討する価値があります。特に医療系、福祉系、技術職、IT関連職、経理職などは需要が高いため、経験豊富な高齢者でも転職しやすい分野です。

再雇用の場合、給与や役割が限定されることがありますが、自分の専門性を求めている企業に転職すれば、給与や待遇が改善される可能性があります。

具体的な例として、

  • 看護師や介護職、医療関連の有資格者
  • IT技術者やエンジニアとしての専門的経験者
  • 財務・経理などの専門的な経験を有する方

などは、再雇用よりも外部への転職で条件の改善が見込めるでしょう。

再雇用の条件に不満が大きい場合

再雇用後の給与や待遇、仕事内容に対して、あまりにも不満が大きい場合は、転職を検討したほうが満足できる場合があります。特に以下のような不満が強い場合は、転職を検討するメリットがあります。

  • 給与が大幅に下がり、生活に支障をきたすレベルである
  • 仕事内容が単純で、自分のスキルや経験が全く生かされない
  • 職場環境や人間関係が極端に悪化してしまった

こうした状況で無理に再雇用を続けると精神的負担が大きくなり、健康面にも影響する可能性があります。再雇用以外に自分の条件に合った職場を探すことで、環境を改善することができます。

現役時代の人脈を活かして働ける場合

これまでのキャリアで築いてきた豊富な人脈を活かして、新たな仕事やビジネスを始めるという選択肢もあります。特に営業職や経営職、コンサルタント業務などで豊富な人脈を持っている場合、転職や独立を検討することで、より自由度が高く、収入面でもメリットがある働き方ができる可能性があります。

例えば、

  • 独立してフリーランスのコンサルタントとして働く
  • 取引先から声をかけられ、新たな職場に転職する
  • 人脈を活かして起業する

などの選択肢を取ることにより、再雇用以上のやりがいや待遇を得られる可能性があります。

柔軟な働き方を求める場合

再雇用制度では働き方の柔軟性が低く、決まった時間や場所で働くことを強いられるケースも多くあります。そういった制約にストレスを感じる場合、転職や再就職を通じて自分に合った柔軟な働き方が可能になることもあります。

例えば、

  • 週3日勤務や時短勤務が可能な職場を探す
  • 在宅勤務やテレワーク中心の職場を探す
  • 自分のペースで働ける副業やフリーランスを選ぶ

こうした働き方が可能な職場に転職すれば、身体的・精神的な負担も軽減され、充実した生活を送れるでしょう。

再雇用後にみじめにならないよう定年前から準備しましょう

再雇用後にみじめな思いをしないためには、定年前からの準備や柔軟な心構えが大切です。給与が減ることを想定した資産形成やプライドを捨てる努力、職場以外での居場所づくりなどを事前に行えば、再雇用後の人生を前向きに送れる可能性が高まります。また、再雇用後に状況が悪化した場合でも、第三者に相談するなどの方法で改善は可能です。大切なのは、決して一人で悩まず、自分に合った働き方を見つけることです。


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