- 更新日 : 2025年7月30日
産休・育休中にふるさと納税できる?損しない年収や上限額を解説
産休・育休中でもふるさと納税は可能です。
ただし、控除上限額は寄付を行う年の所得に基づいて決まるため、収入が変動する産休・育休中は注意が必要です。
本記事では、産休・育休中のふるさと納税の上限額の計算方法、損をしない年収、注意点などを詳しく解説します。
合わせて、産休・育休中の方に人気の返礼品についても解説します。
人事労務担当者の方も、産休・育休中のふるさと納税を検討している方も、ぜひ本記事をお役立てください。
目次
産休・育休中にふるさと納税できる?
産休・育休中であってもふるさと納税はできます。
ただし、控除額に影響が出る場合があるため注意が必要です。
次項で、そもそもふるさと納税とは何かを詳しく解説します。
そもそもふるさと納税とは
ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付をすることで、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れる制度です。
具体的には、寄付した金額から2,000円を引いた額が、所得税の還付や住民税の控除という形で戻ってきます。
たとえば、30,000円を寄付した場合、2,000円を自己負担し、残りの28,000円が税金から控除される仕組みです。
この制度は、自分の生まれ故郷に限らず、応援したい自治体や特産品のある自治体など、自由に選んで寄付できます。
そのため、ふるさと納税を利用すれば、自治体の活性化に貢献しながら、地域の特産品などを楽しめるでしょう。
産休・育休中のふるさと納税の上限額の計算方法
ふるさと納税の控除上限額は、寄付を行う年の1月〜12月までの所得に基づいて計算されます。
とはいえ、産休・育休中にふるさと納税を行う場合は、通常よりも収入が減少する可能性が高いです。
上限額を超えて寄付した場合、自己負担額が増えてしまいます。
そのため、おおよその年収額で見積もって上限額を計算しておきましょう。
具体的な計算式は下記の通りです。
- 所得税からの控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
- 住民税からの控除額(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%
- 住民税からの控除額(特例分①)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
- 住民税からの控除額(特例分②)=(住民税所得割額)×20%
※住民税からの控除額の特例分については、上記の特例分①または特例分②を計算して、低い方が適用されます。
これら全てを合計した金額が、ふるさと納税による控除額となります。
ただし、この合計額は、総務省が定める控除上限額(総所得金額等の40%)を超えてはいけません。
もし計算が面倒な方は、総務省のホームページやふるさと納税のポータルサイトなどで公開されているシミュレーションツールを使えば、簡単に上限額を計算できます。
ボーナス・賞与は含める?
ふるさと納税の上限額を計算する際の年収には、ボーナス(賞与)や役員報酬も含まれます。
ただし、産休・育休期間中に支給される出産手当金や育児休業給付金は、非課税所得となるため、年収には含まれません。
産休・育休中のふるさと納税で損しない年収はいくら?
一般的に、年収201万円を超える収入があれば、ふるさと納税を利用するメリットがあると言われています。
ただし、この金額はあくまで目安であり、家族構成や他の控除額によって変動します。
たとえば、年収300万円の独身の方の場合、ふるさと納税の上限額は約28,000円となるため、この範囲内で寄付をすれば、実質2,000円の負担で返礼品を受け取ることが可能です。
一方で、年収300万円の共働きで子どもが2人いる方の場合、上限額は約7,000円となり、寄付額によっては控除額が2,000円を下回る可能性があります。
このように、ふるさと納税で損をしないためには、ご自身の年収、家族構成、他の控除額などを考慮し、上限額を把握したうえで寄付を行いましょう。
産休・育休中のふるさと納税の注意点
産休・育休中にふるさと納税を行う際には、通常の年とは収入状況が異なるため、いくつかの点に注意が必要です。
これらを考慮せずにふるさと納税を行うと、自己負担額が増えてしまう可能性があります。
次項で、産休・育休中のふるさと納税時、特に注意すべき点を解説します。
出産・育児に関連する給付金は収入に含めない
ふるさと納税の上限額は、その年の所得に基づいて計算されますが、産休・育休中に支給される出産手当金や育児休業給付金は、所得税法上非課税所得とされています。
そのため、これらの給付金は年収に含めません。
たとえば、年間の給与収入が200万円で、育児休業給付金を年間100万円受け取った場合でも、ふるさと納税の上限額を計算する際の年収は200万円として計算します。
給付金を加算して300万円として計算してしまうと、上限額を誤って認識し、自己負担額が増えてしまう可能性があるため注意が必要です。
医療費控除も考慮する
医療費控除を受けている場合、ふるさと納税の上限額に影響が出る点にも注意しましょう。
医療費控除は所得控除の1つであり、所得金額から差し引くことで課税所得金額を減らせます。
課税所得金額が減ると、所得税や住民税も減額されるため、ふるさと納税の上限額は通常よりも低くなります。
そのため、医療費控除を受ける予定がある場合は、その控除額を考慮したうえでふるさと納税の上限額を計算しましょう。
医療費控除の金額が確定してからふるさと納税を行えば、正確な上限額がわかったうえで寄付を行えます。
育休中・産休中でも住民税は支払いが必要
育休中や産休中は、給与収入がない期間が発生する場合がありますが、前年の所得に対して課税される住民税は納付する必要があります。
住民税は前年の所得に基づいて計算され、翌年に納付する仕組みとなっているためです。
ただし、育休中や産休中で無給の場合は、翌年の住民税の負担はありません。(年度跨ぎで育休や産休に入って1年で復帰した場合などは、前年の所得に基づいて一部負担あり)
産休・育休中のふるさと納税の人気商品
ふるさと納税を活用して、実質2,000円の負担でベビー用品やマタニティ用品などの返礼品を受け取ることができれば、家計の助けになります。
そこで、産休・育休中の方に人気の返礼品をいくつか紹介します。
ジャンル | 詳細 |
---|---|
ベビー用品 |
|
マタニティ用品 |
|
地域の特産品 |
|
特に毎日使うおむつは、ふるさと納税でも人気の返礼品です。
さまざまなメーカーのものが用意されており、まとめて受け取れるため、買い物の手間も省けます。
上記の他にも、自治体によってはベビーベッドやベビーカーなどの大型ベビー用品を返礼品として提供している場合もあります。
ふるさと納税サイトで「ベビー用品」「マタニティ」などのキーワードで検索すれば、さまざまな返礼品を見つけられるので、気になる方は覗いてみてください。
産休・育休に関わる申請書類のテンプレート
産休・育休を取得する際には、会社への申請手続きが必要です。
そこでマネーフォワード クラウドでは、産休・育休に関わる申請書類の無料テンプレートをご用意いたしました。
次項で、産休と育休それぞれの申請に使用するテンプレートを紹介するので、必要に応じてご活用ください。
産休申請書テンプレート
産休(産前産後休業)を取得する際には、「産休申請書」を会社に提出する必要があります。
産休申請書は、出産予定日や産休期間などを記載する書類です。
産休申請書を提出すれば、会社が産休の手続きを開始し、社会保険料の免除手続きなどを行ってくれます。
下記に産休申請書のテンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。
育児休業申請書テンプレート
育児休業を取得する際には、「育児休業申請書」を会社に提出する必要があります。
育児休業申請書は、育児休業の開始日や終了予定日、養育する子どもの情報などを記載する書類です。
育児休業申請書を提出すれば、会社が育児休業の手続きを開始し、育児休業給付金の申請手続きなどを行ってくれます。
下記に育児休業申請書の無料テンプレートをご用意いたしましたので、必要に応じてご活用ください。
産休・育休中のふるさと納税の注意点を理解し、賢く活用しよう!
産休・育休中でもふるさと納税は可能ですが、下記の点に注意が必要です。
- ふるさと納税の控除上限額は、その年の1月〜12月までの所得に基づいて計算
- 出産手当金や育児休業給付金は非課税所得のため、年収に含めずに上限額を計算
- 医療費控除を受ける場合は、控除額を考慮して上限額を計算
上記の注意点を理解したうえで、ふるさと納税を行えば、実質2,000円の負担で返礼品を受け取れるというメリットを最大限に活かせます。
特に、産休・育休中はベビー用品や食品など、生活に必要な返礼品を選べば、家計の負担を軽減できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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