- 更新日 : 2025年1月20日
労働基準法で連勤は何日まで可能?上限や違法となるケースを解説
厚生労働省の有識者研究会が14日以上の連続勤務を禁止する内容の報告書案を取りまとめたことで、連続勤務(連勤)の上限に関する労働基準法改正が注目を集めています。
労働基準法では、合法的に連勤は何日までできるのでしょうか。ここでは、現行の労働基準法上の連勤の上限や、連勤に関する企業が注意すべきポイントについて解説します。
目次
そもそも連勤(連続勤務)とは?
連勤とは連続勤務、その名のとおり間に休むことなく連続して勤務する日数を意味します。
労働基準法では法定労働時間を1日8時間・1週40時間と定めていることもあって、多くの企業で週休2日制を採用しています。そのため、連勤について深く考えていない人も多いでしょう。しかし、業務が集中して繁忙期に休日出勤をしてしまうと、2週間や3週間休日がないということがあります。また、シフト制で週休1日で勤務する人もおり、休日が不定期だと連続して勤務する日数が長くなることもあります。
連勤が続くと心身を休ませることができず、健康に悪影響を及ぼすことがあるため注意しなければなりません。たとえ1日の勤務時間が短くても、休日をしっかりと取って心身を休ませ、身も心もリフレッシュすることが大切です。
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労働基準法で連勤は何日まで認められている?
労働基準法では、法定休日を以下のように定めています。現行の労働基準法の規定から、連勤が何日までできるのかを考えてみましょう。
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
法定休日が週1日の場合、12連勤まで
法定休日は1週間に1日あるのが原則であり、週に1日休日があれば12連勤が可能です。たとえば1週目の日曜日が休日で、2週目は土曜日を休日にした場合、連続して勤務する日数は12日間になります。
1週目:日曜日(休日)、月曜日~土曜日出勤(6連勤)
2週目:日曜日~金曜日(6連勤)、土曜日(休日)
このように、1週目に6連勤してそのまま休みなく2週目に6連休で出勤すると、「6連勤+6連勤=12連勤」になります。
法定休日が4週間に4日の場合、48連勤まで
4週間を通じて4日以上の休日を与える方法は「変形休日制」などと呼ばれており、この方法であれば48連勤が可能です。
「変形休日制」を採用するには就業規則などで4週間がはじまる起算日を定める必要がありますが、前半の4週間のうち最初の4日を休日にして、後半の4週間は最後の4日間を休日にすれば、連続して勤務する日数は48日になります。
前半の4週間:1日目から4日目まで4連休、5日目から28日目まで24連勤
後半の4週間:1日目から24日目まで24連勤、25日目から28日目まで4連休
このように、前半の4週間に4連休をしたあと24連勤し、そのまま休みなく後半の4週間で24連勤すると、「24連勤+24連勤=48連勤」になります。変形休日制には、週に40時間とされている法定労働時間を超えて働くと時間外労働が発生する問題があります。しかし、法定休日に関してだけ言えば、繁忙期など特定の時期に変形休日制により48連勤することも、1年を通じて48連勤を繰り返すことも、法的には問題ないことになります。
労働基準法の連勤の上限を超えるとどうなる?
法定休日を守らなければ労働基準法違反になります。労働基準法を守らないことが、企業にどのような影響を与えるのかを解説します。
従業員の健康に悪影響を及ぼす
法定休日を守らず自社の従業員に長時間労働を強いるようなことがあれば、従業員の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。休日を確保することによって、従業員が疲労を取り除き、身も心もリフレッシュできるようにすることが重要です。
過労死や長時間労働の問題が報道で取り上げられているのを見たことがある人もいるでしょう。長時間労働が原因で従業員の健康を損なうようなことがあれば、企業は責任を負うことになります。多額の慰謝料を請求されて訴訟問題にまで発展するケースもあり、企業が受けるダメージは計り知れません。ニュースなどで企業名が知られれば、企業の評価を落とすことになり、事業継続が困難になることもあります。
労働基準法違反で罰則が科される
労働基準法違反となって、労働基準監督署で悪質と判断されて検察庁に送検されるような事態となれば、罰則が科される可能性があります。労働基準法35条違反の罰則は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」です。
また、休日労働により時間外労働の上限規制に違反するようなことがあれば、労働基準法違反で罰則が科される可能性があります。「時間外労働と休日労働が合計100時間以上」「2~6か月のすべて時間外労働と休日労働の平均が80時間超」となれば、労働基準法36条6項に違反することとなり、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が適用される可能性があります。
労働基準監督署の調査・指導が入る
労働基準監督署の調査で法違反を指摘されれば、企業に対して是正勧告や改善指導などが行われ、改善したことの報告を求められます。
労働基準監督署は改善指導を丁寧に行うため直ちに罰則が適用されることはありませんが、法違反を是正しなければ重大・悪質な事案と判断し、刑事訴訟法に基づき検察庁に送検することもあります。
労災認定される可能性がある
連勤により長時間労働が発生して従業員が健康を害するようなことがあれば、業務災害となり、労災が認定される可能性があります。厚生労働省の「脳・心臓疾患の労災認定」では、以下の3つを踏まえて労働時間を評価しています。
発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いと評価できること
おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること
発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること
同じく「精神障害の労災認定」でも、「長時間労働に従事することも精神障害発病の原因となり得る」としています。長時間労働は、業務による強い⼼理的負荷の有無を判断する要素にも取り入れられています。
参考:精神障害の労災補償について|厚生労働省、「精神障害の労災認定」
労働基準法の連勤の上限を超えても違法とならないケース
従業員が休日労働により連勤の上限を超えて勤務しても、労働基準法違反にならないケースがあります。
36協定の範囲内の場合
休日労働が36協定の範囲内であれば、連勤の上限を超えて勤務することが可能です。ただし、企業が従業員に休日労働をさせる場合には、36協定を締結して労働基準監督署に届け出るとともに、休日労働に対する35%以上の割増賃金を適正に支払う必要があります。
ときには業務が忙しくて休日労働が必要になることもあるでしょう。就業規則や労働条件通知書(労働契約書や雇用契約書も含む)に「休日労働を命じることがある」などと規定があり、業務上必要な理由があって従業員に休日労働を命じることは違法ではありません。
変形休日制の場合
4週間を通じて4日以上の休日を与える「変形休日制」を採用していれば、最長48日連勤が可能です。ただし、1週間の法定労働時間は40時間であり、これを超えて従業員を働かせる場合には、36協定の締結・届出と時間外労働に対する25%以上の割増賃金の支払いが必要です。
管理監督者の場合
「監督若しくは管理の地位にある者」とされる労働基準法上の管理監督者に該当する従業員の場合、労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、連勤の上限を超えて勤務しても法律違反にはなりません。ただし、管理監督者の該当性は実態で判断されます。名ばかり管理職のように経営者と一体的な立場にあると言えない場合は、管理監督者に該当せず、割増賃金の支払いが必要になるため注意しましょう。
労働基準法の連勤に関して企業が注意すべきポイント
採用している労働時間制度によって連勤の上限が異なることもあります。また、連勤により時間外労働が増えれば、割増賃金の支払いにより企業の資金繰りに影響を与えることもあります。ここでは、連勤に関する企業が注意すべきポイントを解説します。
労働時間制度によって連勤の上限が異なる
変形労働時間制の1つである「1年単位の変形労働時間制」を採用している企業の場合は注意が必要です。この制度の連続勤務日数は原則として6日、対象期間中で特に業務が繁忙になる特定期間を定めていても、その期間中は1週間に1日の休日を確保しなければならないため、連勤は最長12日が限度になります。
1年単位の変形労働時間制とは、労使協定により定めた1か月超1年以内の一定の期間を平均して、1週間の労働時間の平均を40時間以内にする制度です。この制度を採用すると、特定の日や特定の週で1日8時間・1週間40時間となる法定労働時間を超えて労働させることが例外的に認められます。
参考:変形労働時間制の概要 |厚生労働省、「1年単位の変形労働時間制」
パートやアルバイトの連勤は上限も正社員と同じ
パート・アルバイトの従業員であっても、労働基準法上は労働者に変わりはありません。連勤の上限は、正社員と同じく「12日」や「48日」になります。パート・アルバイトの従業員は正社員に比べて労働時間を短く設定できますが、正社員と同様に週に1日または4週を通じて4日以上の法定休日を確保する必要があります。
休日出勤や時間外労働には割増賃金が適用される
休日労働や時間外労働には割増賃金の支払いが必要です。変形休日制であっても、従業員を1週40時間を超えて働かせた場合には割増賃金を支払わなければなりません。時間外労働や休日労働が増えれば、それだけ企業の資金負担が大きくなり、企業の資金繰りへ影響を与えることがあります。また、従業員の健康への影響も考える必要があるため、連勤は極力避けるべきでしょう。
連勤による残業代の未払いが発生していないか確認する
連勤によって給与計算が複雑になることがあるため、注意が必要です。残業代の未払いも労働基準法違反になります。給与計算は残業代の未払いが発生しないように正確に行いましょう。
連勤が可能であるからといっても割増賃金は適正に計算して支払わなければなりません。1か月で時間外労働が60時間を超えると、超えた時間については法定割増賃金率が25%以上から50%以上に引き上げられます。
以下の企業は、割増賃金賃金の計算が複雑になり、残業代の未払いが発生することがあります。
- 変形労働時間制を採用している企業
- 繁忙期に時間外労働が60時間を超える企業
- 固定残業代を支給している企業
- 諸手当を複数設けている企業
柔軟な働き方や健康の確保に配慮した労務管理が求められる
労働基準法違反にならないからといって、連勤に問題がないわけではありません。連勤は長時間労働につながる可能性があり、従業員の健康を損ねる可能性があるばかりか、時間外労働の増加による割増賃金の支払いなど、企業の資金繰りに大きな影響を与えることがあります。
「働き方改革関連法」が施行されてから、労働基準法を中心に多くの労働関係の法律が改正されています。何よりも重要なのは、自社の従業員のニーズに合った労務管理をすることです。今後も柔軟な働き方や健康の確保・推進を求める労働者のニーズに合わせて、連勤の上限日数の設定や勤務間インターバルの促進など、労働法制の見直しが進んでいくでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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