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  • 作成日 : 2019年10月17日
  • 更新日 : 2020年9月17日

資金繰り表とは?作成方法、見方、資金ショート防止のポイント

皆さんは「黒字倒産」という言葉をご存じでしょうか?売上も好調で利益も出ている黒字企業が資金繰りの悪化により倒産してしまうことを指します。たとえ黒字企業であっても「運転資金」が尽きてしまえばやがて経営は立ち行かなくなります。この記事では、黒字倒産が起こるメカニズムとそれを防止するのに役立つ資金繰り表の重要性について解説していきます。

資金繰り表とは?なぜ必要か

資金繰り表は会社や個人事業主の一定期間における現預金の収入や支出の額を示した表のことです。キャッシュフロー計算書は現在や過去のキャッシュの状況がわかりますが、資金繰り表の場合は、将来の資金繰りを予想しながら収支予定を立てて作成します。

例えば半年先の資金繰りを予測する資金繰り表の場合、1か月ごとに月初、月末の現預金残高をはじめ売上や売掛金回収費などの入金状況、買掛金支払や人件費などの出金状況を並べることで、月ごとの現預金の動きがわかります。

将来の資金予測ができていれば、黒字倒産の予知と歯止めに役立ちます。例えば資金ショートするよりも早い段階で定期預金を崩したり資産を売却したりすれば現預金が増やせます。

また売掛金などの債権の現金化を早めたり、買掛金の支払時期を伸ばせるか交渉したりすることもできるでしょう。それでも現預金が心もとない場合には、短期借入金で急場をしのぐという方法も考えられます。
のように、資金繰り表は今後の資金不足を防ぐために支払い予定表として活用できるのです。

資金ショートとは何か?

経営者にとって常に気にしなければならいのが資金ショートです。資金ショートとは手元の現預金がなくなり、運転資金が払えなくなることを意味します。

会社の経営が悪くなるというと損益計算書で赤字になることや債務超過に陥ることが想像されますが、それらと資金ショートとでは意味合いが大きく異なります。万一、資金がショートすると「信用」という経営上なくてはならないものを失ってしまいます。

黒字の企業でも資金ショートに陥る可能性があるため、資金の状況には常に気を配らなければなりません。

資金ショートの代表的な原因は以下が挙げられます。

売上の低下

事業を営むのにかかる費用に対して十分な売り上げがない場合には、徐々に現預金が減っていきます。

売掛金の回収条件

売掛金とは、すでに商品は納めていて代金は後から支払われる取引による未収金のことを示します。支払いは取り引き時に定めた条件となるため、一括払いに限らず分割払いになる場合もあります。

売掛金は、損益計算書上では売上に計上されているものの現預金ではありません。分割回数が多く長期にわたる売掛金が複数あると、手持ちの現預金を減らす原因となります。

売掛金と買掛金のバランスの問題

買掛金とは売掛金の逆で、自分が何かものを手に入れて、それを後から支払う取引による未払金です。

売掛金の支払期日と買掛金の支払期日は必ず同じとは限りません。また、いついくら収めるのかもそれぞれの取り引きで異なります。仮に売掛金の入金日よりも前に買掛金の支払い日がくる場合、現預金が少なければ支払いができなくなるかもしれません。

このように黒字経営であっても支払と回収のバランスが乱れてしまえば、資金ショートが起こる可能性があります。法人間や金額が大きい取引では、代金の支払い期日を決めてまとめて支払う「掛け」取引が便利ではあるものの、いついくらの入金や支払があるのかを細かく見る必要があるのです。

そこで、事業資金の管理表の一つに、キャッシュフロー計算書があります。
キャッシュフロー計算書とは、利益と現預金との差がどのくらいあるのかを明確にするものです。例えば、売上が1億円なのに対し、現預金が9,000万円だった場合、その差額である1,000万円が何によるものかを明確にしなければなりません。

キャッシュフロー計算書で用いる項目には固定資産の処分損など複数の要素がありますが、もし先月末の売掛金と当月末の売掛金の差が1,000万円である場合には「売上債権の増減」の項目に記載されます。

損益計算書の場合、売掛金があって実際には代金を回収していなくても「売上」と計上するため、事業資金が実際にいくらあるのかがわかりにくいです。一方、キャッシュフロー計算書であれば、実際の現預金額に加え過去のキャッシュの流れが追えるようになります。

資金ショートは倒産につながることも

資金ショートするとどのようなことが起こるのでしょうか。

資金不足になると、手形や小切手が決済できない、つまり不渡りの状態になります。6か月以内に2回不渡りを出すと、銀行取引停止処分が出されます。銀行取引停止処分は信用力の大幅な低下を意味し、事実上の倒産や経営破たんなどと呼ばれています。手形や小切手の取引がなくても、取引先への支払や給与の支払が滞ると信用力はたちまち低下します。

資金ショートを未然に防ぐための管理表として、資金繰り表が役立ちます

資金繰り表の作成方法

資金繰り表は企業の事業活動により異なるため、自社用にエクセルを用いて作成する場合も多いです。

資金繰り表の見方

では資金繰り表の見方について解説しましょう。

「収入」「支出」の欄は営業収支・経常収支を表していて、通常の営業サイクルにおける運転資金の増減を読み取ることができます。「収入>支出」であれば運転資金は増加し、「収入<支出」であれば運転資金は減少することとなります。

その結果を受け、「借入金」「借入金返済」の欄では運転資金をいついくら調達すればよいかを判断していきます。例えば計算した結果、翌月繰越高がマイナスになってしまう場合、資金調達のため「借入金」の欄に必要な金額を入力して運転資金をプラスにしなければなりません。
これを財務収支と呼びます。

最初に述べましたが、「資金繰り表」を作成する目的は運転資金がどのように推移していくか将来的な資金繰りを予想することです。運転資金の翌月繰越高が常にプラスとなるように「借入金」「借入金返済」で調整をすることで、マイナスになるのはいつか?いくら資金調達が必要か?といった将来的な予想が自ずと見えてくるわけです。

資金繰り表の書き方

  1. まずは自社の運転資金の流れを把握するところから始めます。
  2. 具体的には

    • 売掛債権(売掛金や受取手形など)の回収サイト
    • 仕入債務(買掛金や支払手形など)の支払いサイト
    • 借入金の返済額
    • 人件費の支払い時期
    • 諸経費の支払額

    といった項目の決済時期や決済額を過去の実績から正確に押さえておきましょう。

  3. 次に表の上段「前月繰越高(A)」に運転資金の月初残高を入力します。
  4. 運転資金には手持ち現金や預貯金の他に定期預金、定期積金を含める場合もあります。

  5. 1で把握した項目について、実際に入金されたり支払したりする月の該当欄に金額を入力していきます。
  6. 例えば、8月に発生した売掛金が翌月に回収できるとするならば、8月の売掛金額を9月の「売掛金回収高」の欄に入力します。

  7. 全ての項目を入力したら前月繰越高に収入を加算、支出を減算した計算結果を「翌月繰越高」の欄に入力します。
  8. この数値が運転資金の月末残高と一致しなければなりません。

マネーフォワードクラウド会計で資金繰りを確認する

「資金繰り表」を作成するために必要な情報は主に会計帳票から収集することになります。
つまり会計に合わせて独自の資金繰り表をカスタマイズしたり、帳票から転記したりといった労力をかけなければなりません。

会計帳票のデータをそのまま資金繰り表のデータとして活用できればこういった労力は必要ありません。ここで紹介するのが「マネーフォワードクラウド会計」です。
この会計ソフトを使用すれば簡単に資金繰り表をつくることができます。

マネーフォワードクラウド会計

資金繰りの改善方法

売上が順調に伸びて利益も出ているのに資金が不足する原因には、主に「売掛金の入金より買掛金の支払のほうが早い」、「借入金の返済額が多い」の2つがあげられます。これらを解決することで、資金繰りの改善につながります。

売掛金の回収期日と買掛金の支払期日を変える

売掛金の回収期日は早く、買掛金の支払期日は遅くします。取引条件を変えることになるので、取引先の事情で思うようにできないこともあります。さらに、極端な条件変更は信用不安を招くこともあります。しかし、既存の取引先の条件が変えられなくても、新規の取引先の条件から変えていくことはできます。

また、売掛金の回収期日を早くしていても、営業担当者が期日どおりに回収していない場合もあります。営業担当者にも資金繰りの重要性を説いて、売掛金を期日どおりに回収するよう促すことも必要です。

借入金の返済に無理がないかチェックする

借入金の返済が資金繰りを圧迫しているケースはよくあります。早く返済したい一心で、返済額を多く設定していないでしょうか。借入金の返済のために、通常の取引に支障があってはいけません。返済額が多すぎるのであれば、金融機関に条件の変更を申し出てください。

資金繰り表を中長期で考える

資金繰り表は、日ごろから繰り返し作成して見直すことが重要であり、運転資金に陰りが出始めてから慌てて作るものでもありません。

資金繰り表で過去の実績から今までの資金の流れを追うことで、事業のさまざまな問題点を洗い出し、問題の解決策をこれから先の資金繰り表に反映できます。そのため、一時的な資金不足を解消することだけを目的にするのではなく、適正な事業の運営のために作り続けることが重要です。

継続して資金繰り表を作っていれば、資金が不足しやすい時期や比較的余裕がある時期がわかるようになります。投資が必要な場合には資金面に余裕のある時期に投資や突発事項などへの対応に予算を使うことが可能です。

業種や企業規模の大小を問わず、資金の調達や運用を合理的に計画するために資金繰り表を役立てていきましょう。

資金繰りに困らないための対処法

入金より支払を少なくするか遅らせるのが資金繰り改善の王道です。しかし、設備投資で多額の資金が必要になるときや、取引先の倒産で急に資金繰りに行き詰まったときなどは、日々の資金繰り改善だけでは対応しきれません。このようなときに備えるための方法をいくつかご紹介します。

経営セーフティ共済に加入

経営セーフティ共済とは、中小企業の連鎖倒産を防ぐための制度で、取引先の倒産で資金繰りに行き詰まった場合に資金が借りられます。また、取引先の倒産以外の理由で資金が必要になった場合にも、一定の条件のもとで資金が借りられます。引き続き1年以上事業を行っている中小企業者であれば加入できます。

公的機関の資金・助成金の活用

国や都道府県などの公的機関による融資や補助金・助成金を活用するという方法もあります。融資は低利で受けられるほか、補助金や助成金は返済の必要はありません。一定の条件を満たすか、審査を受けて採択される必要がありますが、検討しない手はありません。
中小企業基盤整備機構が運営する中小企業のためのポータルサイト「J-Net21」の資金調達のコンテンツを参照してください。

即効性はありませんが、銀行など金融機関とのつき合い方を見直すのも一つの方法です。

ネームバリューを気にして大手金融機関とだけ取引していないでしょうか。中小企業であれば、第二地銀、信用金庫、信用組合、JAなどの地域金融機関とも取引することをおすすめします。地域に密着した親身な対応が期待できます。

また、一つの金融機関とだけ取引するよりは、複数の金融機関と取引することもおすすめします。融資を受けるときに条件を比較することができます。また、ある金融機関で融資を断られても、ほかの金融機関で融資を受けられる場合があります。万が一、取引金融機関が破たんしても、複数の金融機関と取引していれば影響を抑えることができます。

資金繰り表の活用で倒産リスクを未然に防止しよう

事業の運営をスムーズに進めるためには、将来の資金ショートのリスクを避けるため資金繰り表が役立ちます。資金が緊迫しているときは日々の資金繰りが必要ですが、当面は1か月ごとに実績を反映して、翌月の資金繰り予定表を作成することから始めてみてはいかがでしょうか。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド会計

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