- 更新日 : 2023年4月7日
労働基準法における労働時間についてわかりやすく解説
労働時間には労働基準法によって上限が設定されており、企業は適切に管理する義務があります。時間外労働の実施にも守るべきルールが設けられているのです。そこでこの記事では労働基準法における労働時間について解説します。法定労働時間を超えた場合や休憩時間、休日の考え方についても分かりやすくお伝えするので参考にしてください。
労働時間管理について、間違った運用・不適切な対応を行ってしまうと労働基準監督署から指導を受けるばかりか、労働裁判や民事訴訟に発展する恐れもあります。
以下資料では、労務担当者が押さえておきたい労働時間管理のルールや対策についてまとめました。無料でダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。
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目次
労働基準法における労働時間とは
労働基準法において労働時間はどのように定義されているでしょうか。労働時間に関する基本的な考え方を整理しましょう。
「1日8時間・週40時間」が原則
そもそも、労働時間とは雇用主の指揮命令下で従業員が企業のために働く時間を指します。この労働時間には労働基準法で上限が設定されており、1日8時間・週40時間まで(10名未満の特例措置対象事業場の場合は週44時間)と定められています。
例えば、始業時間が9時で18時まで勤務する場合だと、途中に1時間の休憩を挟むため1日8時間の限度まで働くこととなります。なお。1日8時間・週40時間の原則を守らなかった場合、雇用主に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を処すと定められているので注意しましょう。
法定労働時間と所定労働時間の違い
まず、法定労働時間は1日8時間・週40時間までの労働基準法で定められた労働時間の上限を指す言葉です。
一方、所定労働時間は就業規則などで定められている企業が独自に定める働くべき時間です。この所定労働時間は法定労働時間の範囲内で定めなければなりません。例えば、9:00から17:30が勤務時間の会社で休憩時間が12:00〜13:00であれば、終所定労働時間は7時間30分と言えます。
参考:労働時間|厚生労働省
法定労働時間を超えた労働には36協定の締結が必要
法定労働時間を超えた労働には36協定の締結が必要です。労働基準法第36条に基づく労使協定を締結して、所轄労働基準監督署長への届出をしなくては法定労働時間を超えた残業は行えません。36協定を締結するには時間外労働を行う業務の種類や、1日・1ヶ月・1年あたりの時間外労働の上限などを決める必要があります。時間外労働や休日労働を適正なものとするために36協定が設けられているのです。
36協定に基づく時間外労働の上限
36協定を締結したからと言って時間外労働の上限がなくなったわけではありません。36協定を締結しても時間外労働には、月に45時間・年間で360時間の上限が設けられています。臨時的で特別な事情がなければ、設定された上限を超えることはできないのです。36協定を締結したとしても時間外労働や休日労働を必要最小限にする工夫が求められます。
36協定の特別条項
36協定の特別条項とは、臨時的な特別の事情があって企業と従業員が合意する場合を指します。特別条項が締結された場合は、36協定の⽉に45時間・年間で360時間という時間外の条件が緩和されます。ただし、以下の条件を守らなければなりません。
- 時間外労働が年720時間以内
- 時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
- 時間外労働と休⽇労働の合計について、2ヶ月~6ヶ月平均がすべて1⽉あたり80時間以内
- 時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6ヶ月が限度
(※医師や自動車運転等の事業によっては2024年3月までは上限時間が異なります。自動車運転:年間上限960時間、医師→年間上限1860時間等)
もし、36協定や特別条項の規定に違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰⾦が科される恐れがあるので注意しましょう。
労働基準法における休憩時間
そもそも、休憩時間とは労働時間の途中に置かれている、労働者が権利として労働から離れることを約束された時間と定義されます。この休憩時間は労働基準法で付与すべき時間が規定されており、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上と定められています。
もし、労働時間が6時間以内であれば、最低限与えるべき休憩時間は設定されていません。また、労働基準法による規定は休憩時間の最低ラインを示しているので、労働者に有利な条件で働かせることは可能です。例えば、労働時間が8時間の場合に本来は45分で規定を満たしますが、1時間の休憩を与えることは法律以上の休憩時間になるため適法として扱われます。
労働基準法における休憩時間についての詳しい解説は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
労働基準法における休日
労働基準法において休日は少なくとも毎週1日、4週間を通じて4日以上は与えなければならないと規定されています。休日を付与する回数の条件を満たしていれば、特定の曜日に休日を設定する必要はないとされています。
例えば、土曜日や日曜日以外を休日とすると就業規則などで規定しても、法律上は問題ありません。加えて、労働基準法では労働時間を1日に8時間、1週間に40時間を超えてはならないと定められているとお伝えしました。そのため、1日8時間労働の企業では週の休日を2日として調整しているケースが目立ちます。なお、労働基準法で定められている休日を「法定休日」、企業が法定休日以外に従業員へ付与する休日を「所定休日」と呼ぶので覚えておきましょう。
長時間労働の従業員への対応
長時間労働が目立つ従業員に対しては配慮が必要です。具体的に企業が行うべき対応内容を整理しました。
医師による面接指導を実施する
長時間労働の従業員に対しては、必要に応じて医師による面接指導を実施しましょう。長時間労働が慢性化すると従業員に疲労が蓄積し、脳血管疾患などの健康障害発症のリスクが高まります。そうした健康の状況を適切に把握して、該当の従業員に対する医師による指導を行う必要があるのです。
医師による面接指導実施の基準としては一般労働者の場合、時間外・休日労働時間が月80時間を超えると要注意です。該当の従業員にアラートを通知し、医師との面接の申し出があれば対応が求められます。
年次有給休暇の取得を促進する
労働基準法が改正されて、年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが必要となりました。年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象ですが、フルタイムで働く方など多くの方が該当するはずです。
年次有給休暇は心身の疲労を回復して、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇制度として設けられています。仕事が忙しく長時間労働が続いているからと言って、従業員の年次有給休暇の取得を妨げてはなりません。
従業員が年次有給休暇の取得にためらいを感じないように、休みを取得しやすい職場環境づくりが大切です。例えば、年次有給休暇の計画的付与制度の活用などにより年休の取得促進を図りましょう。
労働基準法を遵守して労働時間を適切に管理しよう
従業員の労働時間は適切に管理しなくてはなりません。労働基準法によって上限が設定されているため、無計画な時間外労働は是正する取り組みが求められます。もちろん、職種によっては時間外労働をゼロにすることは厳しいかもしれません。しかし、過度な時間外労働の実施は職場環境を悪化させるだけでなく、従業員の心身への負担が高まります。従業員の健康を守って働きやすい職場を実現させるためにも、労働基準法のルールに従って計画的に時間外労働を実施するようにしましょう。
よくある質問
労働基準法における労働時間とは?
労働時間とは雇用主の指揮命令下で従業員が企業のために働く時間を指し、原則として1日8時間・1週間40時間を超えて労働させてはいけません。詳しくはこちらをご覧ください。
労働基準法における休憩時間は?
休憩時間は労働基準法で付与すべき時間が規定されており、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上と定められています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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