• 更新日 : 2026年1月20日

社会保険の扶養はいくらまで?年収130万円・106万円の壁と手取り額

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会社員などの扶養家族となっている配偶者や子どもでも、一定金額を超えなければ扶養のまま、パート・アルバイト収入などを得られます。しかし、定められている金額を超えてしまうと、扶養から外れなければなりません。

扶養といわれているものには「税の扶養」と「社会保険の扶養」があり、社会保険の扶養範囲は配偶者年収130万円未満になります。

今回は、この社会保険における「106万円の壁、130万の壁」について、扶養に関する注意点を解説します。

社会保険の扶養はいくらまで?年収106万円・130万円の違い

社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養範囲に収まる年収は、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働くなどの条件を満たす場合は、106万円が上限となり、それ以外は原則として130万円未満となります。

これらの上限を超えると、扶養から外れて勤務先で社会保険に加入することになり、毎月の社会保険料の支払いが発生します。

※2024年10月の法改正により、対象企業の規模が「101人以上」から「51人以上」へ拡大されています。

もっとも注意すべき点は、会社の規模により「交通費を含むか含まないか」のルールが異なることです。

勤務先の規模によって加入条件が異なる

勤務先の従業員数によって社会保険の加入条件が異なります。

ご自身の働き方がどちらの条件に当てはまるか確認してみましょう。

社会保険加入の

年収の目安

約106万円以上

(月額賃金8.8万円以上)

130万円以上

(月給約10.8万円以上)

交通費の扱い 含まない

(基本給などで判定)

含む

(手当等もすべて含む総支給額)

対象条件
  • 従業員数51人以上の企業
  • 週20時間以上勤務
  • 2ヶ月以上の雇用見込み
  • 学生ではない
  • 従業員50人以下の企業
  • 年収106万円の壁に該当しないすべての人

参考:社会保険適用拡大の対象について|厚生労働省

106万円は交通費別だが、130万円は交通費込み

従業員数51人以上の企業で社会保険の加入基準となる「年収106万円(月額8.8万円)」の判定には、交通費(通勤手当)は含まれません。

そのため、交通費込みで年収106万円を超えていても、基本給などの「所定内賃金」が月8.8万円未満であれば、扶養のままでいられるケースがあります。

一方で、扶養認定の基準である年収130万円は、交通費を含んで判定します。

「106万円の判定では交通費を除外したから、130万円も同じだろう」と勘違いして交通費を除いて計算してしまうと、気づかないうちに上限を超えてしまい、扶養認定を取り消されるリスクがあります。

  • 106万円判定 = 交通費は
  • 130万円判定 = 交通費は込み

この違いは重要ですので、必ず覚えておきましょう。

例)

年収125万円+交通費なし:年収130万円未満となり、社会保険の扶養の範囲内になる

年収125万円+交通費6万円の支給あり:年収130万円以上になり、社会保険の扶養の範囲から外れる

そもそも社会保険における扶養とは?

社会保険の扶養とは、会社員などの配偶者が自分自身では健康保険、および厚生年金に加入しなくても済む仕組みのことをいいます。

会社員や公務員は、勤務先において健康保険・厚生年金に加入します。そして健康保険料・厚生年金保険料の1/2を負担しなければなりません。なぜ1/2かというと健康保険料・厚生年金保険料は会社員・公務員である被保険者と、勤務先が折半して支払うことになっているためです。残りの1/2は勤務先が負担し、給料天引きで徴収した被保険者負担分と合わせて、保険料納付を行います。

こうした会社員・公務員が配偶者を扶養している場合、その配偶者を社会保険の扶養とすることができます。社会保険の扶養となった配偶者は、自分自身で健康保険に加入しなくても健康保険を使えます。年金でも不利な取り扱いにはなりません。自分自身が加入しているわけではないため、健康保険料・厚生年金保険料の支払いも不要です。

【金額シミュレーション】106万円を超えたら手取りはいくら?

従業員数51人以上の企業などで働き、年収106万円(月収8.8万円)の基準を超えて勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入した場合、手取り額はどう変わるのでしょうか。

会社の社会保険は「労使折半(会社と半分ずつ負担)」ですが、それでも毎月の給与から天引きされるため、手取り額は減少します。

1. 従業員数51人以上の会社(106万円の壁)

勤務先が「従業員数51人以上」の場合、年収106万円(月収8.8万円)を超えると勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入します。 保険料は会社と折半ですが、それでも手取りに影響があります。

年収105万円 vs 107万円の比較

項目 年収105万円(扶養内) 年収107万円(社保加入)
年収(額面) 105万円 107万円
所得税・住民税 0円※1 0円
社会保険料

(健康保険・厚生年金)

0円

(負担なし)

約15万円

(従業員負担分)

手取り金額 105万円 約92万円
差額 約15万円

※社会保険料は、40歳未満(介護保険なし)、東京都の協会けんぽ(令和7年度想定)の料率に基づいた概算です。
※1 住民税は自治体により発生する場合があります。
※実際の保険料は、基本給だけでなく通勤手当や残業代を含めた「標準報酬月額」で決定されるため、上記は目安としてご覧ください。
※社会保険料に雇用保険料は含まれていません。

手取りを戻すには年収120万円程度が必要

表の通り、年収が2万円増えたにもかかわらず、社会保険料の負担が発生するため、手取りは約15万円減ってしまいます。

これを年収105万円の時と同じ手取り額(105万円)に戻すためには、年収120万円前後まで働く時間を増やす必要があります。

2. 従業員数50人以下の会社(130万円の壁)

勤務先が「従業員数50人以下」などの場合、106万円を超えても扶養のままですが、130万円を超えると扶養から外れます。

ここで週20時間以上働くなどして、勤務先の社会保険(会社と折半)に加入できた場合のシミュレーションです。

年収129万円 vs 131万円の比較

項目 年収129万円(扶養内) 年収131万円(社保加入)
年収(額面) 129万円 131万円
所得税 0円 0円
住民税 約2万円 約2万円
社会保険料 0円

(負担なし)

約19万円

(従業員負担分)

手取り金額 約127万円 約109万円
差額 約21万円

※年齢や都道府県など、計算の条件は、106万円の壁と同様。

年収130万円を超えてしまうと、110万円の壁も超えることになるため、住民税が発生します。また、住民税に加えて社会保険(健康保険と厚生年金)にも加入することになり、社会保険料が発生します。年収130万円であれば、社会保険料は、年間約19万円(40歳未満の場合)です。年収160万円未満であるため、所得税は発生しませんが、住民税が約2万円かかります。そのため、手取りとしては約109万円になります。

これを年収129万円の時と同じ手取り額(127万円)に戻すためには、年収150万円前後まで働く時間を増やす必要があります。

「働き損」だけではないメリットも

手取りだけ見ると損をしたように感じますが、会社の社会保険に加入することには大きなメリットもあります。

  1. 将来の年金が増える:厚生年金に加入するため、将来受け取る年金額(2階建て部分)が増加します。
  2. 保障が手厚い:病気やケガで休んだ時の「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」などが受け取れます。
  3. 保険料が割安:国民年金・国保と違い、会社が半分負担してくれるため、保障内容に対しての支払額は安く抑えられています。

「目先の手取り減少」と「将来の安心・保障」のどちらを優先するか、ご自身のライフプランに合わせて検討することが大切です。

社会保険も含めた扶養に関する年収の壁一覧

2025年の税制改正により、従来の「103万円の壁」などのラインが大きく変更され、より段階的な仕組みになっています。特に、基礎控除等の引き上げが行われ、所得税が発生するボーダーラインが「103万円」から「160万円」へと大きく引き上げられました。

それぞれの年収と発生する負担や影響については、次の表の通りです。

年収の壁 種類 主な影響・発生する負担
106万円 社会保険 条件を満たすと勤務先の社会保険に加入(負担発生)
110万円 税金(住民税) 住民税の支払いが発生(自治体により異なる)
123万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除(19歳以上23歳未満)」と配偶者特別控除の対象となる(扶養者の税負担減)
130万円 社会保険
税金
国民健康保険・国民年金の支払いが発生
150万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除」の控除額が段階的に減り始める。

一定の年齢の場合、扶養から外れる。

160万円 税金(所得税) 所得税の支払いが発生(旧103万円の壁)

ここから本人に所得税がかかる。

188万円 税金(扶養) 「特定親族特別控除」が終了(対象外となる)。
201万円 税金(配偶者) 「配偶者特別控除」が終了(対象外となる)。

106万円の壁(社会保険の発生)

年収が106万円(月収8.8万円)を超えると、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が発生します。所得税はかかりません(160万円まで非課税)が、社会保険料の負担はここから始まります。

対象:従業員数51人以上の企業などで働く人

110万円の壁(住民税の発生)

年収がおおむね110万円(自治体により93万〜100万円超の場合もあり)を超えると、住民税の課税が始まります。 所得税はまだ0円ですが、住民税のみ年間数千円〜数万円程度の支払いが必要になります。

対象:すべての人

123万円の壁(特定親族特別控除・配偶者特別控除の開始)

2025年から注目されている新しいラインです。 従来の「扶養控除」に加え、親などの扶養者が受ける控除の激変緩和措置として「特定親族特別控除」が適用されます。お子さんのアルバイト収入がこのラインを超えても、親の税金がいきなり跳ね上がらないよう配慮されています。

また、123万円を超えると配偶者控除が適用されなくなる代わりに、配偶者特別控除が適用されるようになります。

対象:生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族※学生でなくても良い・配偶者

130万円の壁(社会保険加入)

年収130万円の壁は、社会保険の扶養外になるラインです。勤務先の保険に入れなくなり、国民健康保険・国民年金の支払い義務(年間約30万円弱)が発生します。

対象:すべての人

150万円の壁(控除額の減少・社会保険加入)

123万円から続いていた「特定親族特別控除」ですが、本人の年収が150万円を超えると、親が受けられる控除額が段階的に減り始めます(親の手取りが少しずつ減ります)。また、扶養親族が19歳以上23歳未満の場合は、社会保険の扶養外になる基準が130万円ではなく、150万円となります。そのため、この壁を超えると、扶養から外れ、自ら社会保険に加入しなければなりません。

対象:生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族 ※学生でなくても良い

160万円の壁(所得税の発生・旧103万円の壁)

以前「103万円の壁」と呼ばれていたものが、基礎控除等の拡大により160万円に引き上げられました。 年収160万円を超えて、初めて本人に所得税の納税義務が発生します。 「103万円を超えたら税金がかかる」という常識は過去のものとなっていますので注意しましょう。

対象:すべての人

188万円・201万円の壁(扶養メリットの終了)

税制上の「扶養」のメリットはなくなりますが、一般的には手取り総額は増え、自立して稼ぐメリットの方が大きくなります。

  • 188万円超:親などが受ける「特定親族特別控除」が完全にゼロになります。
  • 201万円超:配偶者が受ける「配偶者特別控除」が完全にゼロになります。

対象:特定親族・配偶者

一時的に扶養内の金額を超える場合はどうなる?

月々の就業時間を管理していても、断りにくい残業を頼まれるなどして、気がついたら106万円、130万円を超えてしまったという場合もあるでしょう。その場合に活用できるのが、2023年10月から実施されている厚生労働省の「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という措置です。

パートやアルバイトで働く人が繁忙期に労働時間を延ばすことで一時的に収入が上がって年収130万円を超えた場合でも、事業主がその旨を証明すれば扶養に入り続けられます。

<例>扶養である息子がアルバイトで年収130万円を超えた場合

例えば息子がアルバイト先の繁忙期の残業などで、年収130万円を超えてしまったケースです。

  • 扶養者:母親
  • 被扶養者:息子(アルバイト勤務中)

アルバイト先の事業主が一時的な収入増であることを証明する書類を作成して、その証明書を母親の加入する健康保険に提出することで、息子は引き続き扶養に入り続けられます。

社会保険加入状況のテンプレート(無料)

以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。

社会保険の扶養について年収の注意点

会社員や公務員の配偶者で社会保険の扶養内でパート収入などを得ている場合、現状を維持したいのであれば扶養から外れないように注意する必要があります。社会保険の扶養で居続けるためには、収入が扶養の範囲内に収まっていなければなりません。

うっかり超えてしまった際の対応方法など、気をつけるべきことや知っておくべきことをきちんと理解しておくことが大切です。

106万、130万の壁を理解して自分や配偶者に合う働き方をしよう

社会保険の扶養に入っている配偶者が年収106万円、年収130万円以上になると、扶養から外れて自分自身で社会保険に加入する必要があります。健康保険料と年金保険料を負担することで手取りが減ってしまうため、あらかじめ自分自身で収入をしっかりと把握し、コントロールできるようにしておきましょう。

また、一時的に年収が超えても「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という措置により、継続して扶養に入り続けられるようになっています。

制度の変更をよく理解して、自分や配偶者にとってより良い働き方を選択しましょう。

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よくある質問

社会保険における106万円の壁とはなんですか?

これまでの扶養から外れる130万円の壁のほかに、社会保険の適用拡大の要件の1つである「賃金の月額が8.8万円以上」によって新たに加わったのが、社会保険における106万円の壁という考え方です。詳しくはこちらをご覧ください。

社会保険の適用拡大は、社会保険の壁にどういった影響を与えますか?

社会保険の適用拡大によって、130万円の壁のほかに106万円の壁が加わりました。適用拡大の対象となる企業は、社会保険の加入を希望しない従業員への対応、社会保険料負担の増加などへの対応が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


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