- 更新日 : 2025年11月12日
会社が倒産したら失業保険はいくらもらえる?計算方法と注意点
会社が倒産した場合の失業保険は、自己都合で会社を辞めた場合よりも手厚くなっています。
所定給付日数は多く、給付制限を受けずに受給できます。被保険者期間も12カ月から6カ月に短縮され、勤務期間が1年未満でも受給できる場合があります。
この記事では、会社が倒産したらいくら基本手当を受け取れるのか、失業保険の計算方法や受給する際の注意点について解説します。
目次
失業保険とは?
失業保険とは、正式名称は「雇用保険」といい、労働者が失業等の状態になった場合に所定の保険給付等が行われます。
雇用保険は雇用の安定、雇用機会の増大、労働者の生活の安定などを目的に、さまざまな事業を行っています。求職者給付は、雇用保険が行う代表的な保険給付です。失業者の生活を安定させ、就職活動を容易にすることを目的として支給されます。求職者給付のうち、基本手当は失業中の生活保障となるものであり、一般的には失業手当ということもあります。
基本手当の金額は、基本手当日額と所定給付日数によって決定されます。
基本手当日額
基本手当日額は、賃金日額のおよそ50~80%(60~64歳は45~80%)です。賃金が低いほど、率は高くなります。賃金日額は、離職した日の直前の6カ月間に毎月決まって支払われた賃金の合計額を、180で割った金額です。次の上限が定められています。
(2022年8月1日~)
| 年齢 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 30歳未満 | 6,835円 |
| 30歳以上45歳未満 | 7,595円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,355円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,177円 |
所定給付日数
所定給付日数は、基本手当が給付される日数です。離職の理由、失業者の年齢、被保険者であった期間などによって、90~360の日数が定められています。
基本手当の受給期間は、離職の日の翌日から1年間です。所定給付日数が残っていても、受給期間を過ぎると基本手当は受けられなくなります。
基本手当についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。
会社が倒産したら失業保険はいくらもらえる?
会社が倒産した場合は、特定受給資格者として基本手当を受給します。また勤務していた事業所の閉鎖や移転により、離職した場合も特定受給資格者になります。
倒産の離職によって特定受給資格者となる範囲
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続きの申立てまたは手形取引の停止など)に伴い離職した者
- 事業所において大量雇用変動の場合(1カ月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者、および当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
- 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む)に伴い離職した者
- 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
特定受給資格者の所定給付日数
| 被保険者であった期間 | ||||||
| 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | ||
| 年齢 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
| 30歳以上 35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
| 35歳以上 45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | |||
| 45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
| 60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
特定受給資格者の失業保険受給要件
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あること(特定受給資格者でない場合は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上あること)
会社が倒産した時の失業保険の手続きについて
会社が倒産した場合でも基本手当受取の手続きは通常と変わりません。以下の流れで手続きします。
1.求職の申込みと受給資格の決定
ハローワークに以下の必要書類を提出して、手続きします。
- 雇用保険被保険者離職票-1、-2
- マイナンバーカード
- マイナンバーカードがない場合は個人番号確認書類(通知カード、住民票記載事項証明書)と身元確認書類(運転免許証、官公署が発行した身分証明書、健康保険証など)
- 写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚
- 本人名義の預貯金通帳
↓
2.雇用保険説明会への参加
受給資格者証の交付と、基本手当の受取方法や就職活動についての説明を受けます。
↓
3.待期期間
受給資格の決定を受けてから7日間は待期期間になり、基本手当は支給されません。失業の状態が継続している必要があります。
↓
4.1回目の失業認定
4週間に1回、受給資格者証と失業認定申告書を提出します。就職活動の実績や就労状況についての確認を受けます。
↓
5.1回目の基本手当受給
失業が認定された日数分の基本手当が支給されます。
会社が倒産した場合の失業保険の注意点
失業保険ともいわれる雇用保険は、失業した労働者が早期に安定した職業に就けることを目的として給付されます。
会社倒産など、準備する余裕がないまま職業を失った場合には、自己都合で退職した場合と比べて所定給付日数が多く、待期期間もないといった、手厚い給付を受け取ることができます。
ただし多くの人が勘違いしているような、わかりにくい部分もあります。
失業保険は1度受給すると、2回目以降はもらえない?
基本手当受給後に就職し、また失業状態になった場合は、基本手当を受け取れない場合があります。受給者としての資格を有していないことによるもので、被保険者期間が短いことが理由です。
離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12カ月以上あること(特定受給資格者に該当する場合は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上あること)
パートも失業保険はもらえる?
パートも雇用保険に加入していれば、被保険者期間などの要件を満たすことで基本手当を受給することができます。
【雇用保険への加入条件】
- 31日以上、雇用されること(雇用見込みも含む)
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
会社が倒産したら速やかに失業保険の手続きをしよう
会社が倒産した場合には、特定受給資格者に該当し、自己都合で退職した場合よりも手厚い内容の基本手当を受けることができます。受給に必要な被保険者期間は1年間のうち6カ月以上と短縮され、さらに給付制限がないため、待期期間終了後すぐに受給できます。
所定給付日数は、90~330日です。1度もらうと2度目は就職して必要な被保険者期間を満たす必要があります。また基本手当は、パートでも受給できます。
受給期間は、1年間(所定給付日数が330日の場合は1年と30日)で、期間を過ぎると所定給付日数が残っていても受給できなくなります。受給期間は離職した日の翌日から数えるため、速やかに手続きしましょう。
よくある質問
会社が倒産したら失業保険はいくらもらえますか?
離職直前6カ月の賃金をもとに計算される基本手当日額の90~330日分を受けることができます。詳しくはこちらをご覧ください。
失業保険は一度受給すると、2回目以降はもらえませんか?
失業保険を再度もらうためには、新たに受給資格を得る必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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