- 更新日 : 2025年3月27日
厚生年金の事業所番号とは?わからない時の確認方法は?
従業員を雇用すると、事業主は健康保険や厚生年金保険などの社会保険に関するさまざまな手続きを行う必要があります。
所定の書類を年金事務所などに提出することになりますが、その際は事業所番号と事業所整理番号を記載しなければなりません。
本稿では、これら2つの紛らわしい番号の違いと確認方法などについて詳しく解説します。
厚生年金の事業所番号とは?
法人の事業所と従業員が常時5人以上いる個人の事業所は、原則として厚生年金保険・健康保険両制度に加入することが義務付けられています。
加入後は、従業員の入社、家族の扶養追加、退社などの被保険者資格の得喪関係だけでなく、保険料の納付、保険料額の変更など、さまざまな手続きが発生します。
こうした届出関係の手続きは厚生年金保険に限らず、健康保険も含めて年金事務所が所管しています。
年金事務所に届け出るすべての書類の「提出者記入欄」には、事業所番号と事業所整理記号を記入しなければなりません。
参考:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届|日本年金機構
事業所番号とは、事業所が新規に健康保険と厚生年金保険の適用事業所となったときに年金事務所(日本年金機構)から告知された5桁の数字のことです。
事業所整理記号とは別物
事業者整理記号も、事業所が新規適用事業所となったときに振り出されます。
もともと、健康保険と厚生年金保険の事業は厚生労働省の外局である社会保険庁が所管し、出先機関として各都道府県に社会保険事務所が置かれていました。
しかし、2000年代前半に不祥事が相次いで発覚したことから一連の抜本的改革が進められ、2008年10月に政府管掌の健康保険事業は公法人である全国健康保険協会(協会けんぽ)の発足とともに移管されました。
2009年12月に同庁は廃止され、年金事業は公法人である日本年金機構の設置とともに引き継がれました。
社会保険庁時代に振り出されていた事業所整理記号は、「数字2ケタ+カタカナまたは英数4ケタ以内」や「漢字+ひらがな」の形式で表記されており、冒頭の数字2ケタまたは漢字は保険者の管轄を示しています。
例えば、「01-イロハ」や「港 いろは」という形式です。
事業所番号と事業所整理記号の違い
事業所番号は告知番号とも呼ばれ、健康保険・厚生年金保険の新規適用事業所となったことの証しとして事業所に対して付与される番号です。
一方の事業所整理番号は、社会保険の運営主体である保険者を示すとともに事業所を管理するための番号です。
例えば「港 いろは」であれば、前述の経緯で旧社会保険庁時代の港社会保険事務所が所管していたことを意味します。
旧社会保険庁時代は社会保険事務所が健康保険と年金の窓口になっていたため、従業員に交付される健康保険証(被保険者証)に記載される事業所整理記号(事業所記号)も漢字やひらがなを用いた形で統一されていました。
しかし、健康保険証に記載される事業所整理記号(事業所記号)については、2008年の全国健康保険協会(協会けんぽ)の発足に伴い、従来の「漢字かな」から7桁もしくは8桁の「数字」になりました。
年金事務所では現在でも旧体制での事業所整理記号を使用していますが、従業員の傷病手当金など健康保険の保険給付する際の申請書の提出先は管轄の協会けんぽ支部となります。
その際申請書に記載する事業所整理記号は、協会けんぽで使用する健康保険証に記載されている番号です。
こうしたことから、年金事務所の事業所整理記号を協会けんぽの形式に変換できるよう、変換表が一部の協会けんぽの支部を除いて公開されています。
変換表を用いて、漢字とひらがなの部分をそれぞれ対応する2桁の数字に変換します。
先ほどの「港 いろは」の場合、「港」は「11」、「い」は「01」、「ろ」は「02」、「は」は「03」となり、全体では「11010203」と8桁の数字に変換されます。
参考:東京都内事業所記号の変換方法について|協会けんぽ東京支部
厚生年金における事業所番号の確認方法
従業員が新たに入社したときなど、申請書の作成において事業所番号や事業所整理記号の記載が必要になった場合、何を確認すればよいのでしょうか。
協会けんぽで使用される事業所整理記号は従業員の健康保険証で確認できますが、従業員の健康保険の保険給付以外の被保険者資格や保険料関係の諸手続きは、年金事務所が窓口になっています。
事業所整理記号については、協会けんぽの変換表で逆に年金事務所で使用する番号に変換できないわけでありませんが、変換表を公開していない支部もあります。
また、事業所番号は健康保険証に記載されていません。
事業所番号も事業所整理記号も、最初に健康保険・厚生年金保険の適用事務所の手続きを行った際、年金事務所から事業所に送付される「適用通知書」に記載されています。
その他、「保険料納入告知額・領収済額通知書」「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書」にも記載されています。
日本年金機構のサイトでは「事業所検索システム」によって厚生年金保険・健康保険適用事業所情報を検索できますが、こちらで確認できるのは適用事業所となった年月日、被保険者数、法人番号などであり、事業所番号や事業所整理記号はわかりません。
厚生年金の事業所番号の確認方法を知っておこう!
従業員の被保険者資格の得喪や保険料の納付、保険料額変更の手続きの際に必要な事業所番号と事業所整理記号の意味、違いなどについて解説しました。
いざというときに慌てないように、これらの番号の確認方法を知っておきましょう。
よくある質問
厚生年金の事業所番号とは何ですか?
健康保険・厚生年金保険の新規適用事業所となったことの証しとして、事業所に対して付与される番号です。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金における事業所番号の確認方法を教えてください。
「適用通知書」や「保険料納入告知額・領収済額通知書」などで確認できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
仕事中の怪我で労災保険を使わないことは可能?メリット・デメリットや事例、判断基準などを解説
仕事中に怪我をした場合、多くの人が労災保険を利用するでしょう。しかし実際には、労災を使わないという選択肢を検討する人も少なくありません。 この記事では、仕事中の怪我において労災保険を使わない選択が本当に可能なのか、メリットやデメリット、具体…
詳しくみる社会保険料について本人は何割負担?負担割合を解説!
社会保険の保険料は毎月給与から天引きで徴収されるため、本人は何割負担か意識したことがないかもしれません。健康保険と厚生年金保険の保険料は労使折半となっています。医療費の自己負担割合は、昔は1割負担や2割負担でしたが、現在は3割負担です。この…
詳しくみる医療保険とは?社会保険との違いはある?
「医療保険」や「社会保険」という言葉をよく耳にしますが、その違いについて意識して考えたことがない方は多いのではないでしょうか。 医療保険は保険制度の名称ですが、社会保険は医療保険を含めた公的保険制度の総称です。ここでは、医療保険の基本を解説…
詳しくみる厚生年金の報酬比例部分とは?定額部分との違いや計算方法、支給開始年齢を解説
公的年金制度には厚生年金と国民年金がありますが、その仕組みは複雑です。 支給開始年齢が65歳であることは知っていても、年金を構成する報酬比例部分や定額部分がどのようなものなのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。 本稿では年金制度…
詳しくみる厚生年金・健康保険の被保険者資格喪失届とは?手続きや関連書類を解説!
被保険者資格喪失届は、従業員の退職や死亡により健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を喪失する場合の他、転勤や雇用形態変更で同日得喪と呼ばれる処理を行う場合に提出が必要になる書類です。提出期限は事実があった日から5日以内で、退職の場合は退職日…
詳しくみる労災保険の適用対象者とは?特別加入者についても解説!
労災保険の補償対象は、業務災害と通勤災害です。対象者はすべての労働者で、特別加入制度により中小企業事業主や一人親方等、特定作業従事者、海外派遣者も給付を受けられます。療養補償等給付や休業補償等給付といった、さまざまな種類の給付があります。労…
詳しくみる