- 更新日 : 2024年8月21日
クロスファンクショナルチーム(CFT)とは?メリットや導入事例を解説!
クロスファンクションチームとは特定の課題を解決するために、専門知識・スキルを持つ人材が集められたチームを言います。メンバーは部署に関係なく選ばれ、目指すのは全社的な問題解決です。日本企業の実践から着想を得て、欧米で理論化が進められました。日産自動車でカルロス・ゴーン氏によって導入され、業績回復を担ったとして広く知られています。
目次
クロスファンクショナルチーム(CFT)とは?
クロスファンクショナルチーム(CFT)とは英語では「Cross Functional Team」と表記される、異なる部署から招集されたメンバーで構成されるチームを言います。専門分野もスキルもバラバラな従業員が構成メンバーとして集められ、専門家が社外から招き入れられて参加することも珍しくありません。部署の垣根を越えて、多角的なアプローチにより、特定のプロジェクトや課題解決にあたります。目的達成後に解散する場合が多いものの、長期的に存続して様々な問題の解消にあたる場合もあります。
クロスファンクショナルチームの概念は、1980年代に日本で生まれたものですが、欧米で理論化が進められ、その後グローバルに普及しました。
クロスファンクショナルチーム(CFT)を導入するメリットは?
クロスファンクショナルチームは全社的な課題解決を目指すチームです。必要な専門知識・スキルを持つメンバーで構成され、課題とされる事案に取り組みます。具体的な導入メリットとして以下が考えられます。
組織が活性化する
クロスファンクショナルチームのメリットにはまず、組織の活性化が挙げられます。部署をまたいでメンバーが集められることで、普段は関わらない人との交流が生まれます。新しい人間関係が構築され、組織に活気が生まれます。
自由なアイデアが生まれる
自由なアイデアの創出も、クロスファンクショナルチームのメリットの1つです。既存の関係ではないメンバーとの交流によって、これまでとは違った考え方ができるようになります。それにより、既存の概念にとらわれない発想ができるようになり、問題解決に向けたアイデアが生まれやすくなるでしょう。
全体の問題が解決できる
クロスファンクショナルチームは部署に関係なく、全社としての問題解決が図れます。部署ごとの利害とは無関係の独立したチームであるため、企業によく見られる縦割り構造の弊害を受けることなく、会社全体の利益を目指した行動ができます。
クロスファンクショナルチーム(CFT)を導入する方法は?
期待される成果達成のためには、正しい方法でクロスファンクショナルチームが導入される必要があります。手順とそれぞれの段階のポイントを理解し、きちんと機能するクロスファンクショナルチーム導入をしましょう。
チームを設計する
クロスファンクショナルチームを導入する際には、まず課題に合わせたチーム設計が求められます。きめ細かく課題を分析し、適したチームを設計しなければ、成果は望めません。経営陣の意見統一を図り、明確なゴールを定め、チーム設計にあたることが重要です。抱えている課題を明確にし、どのような専門知識・スキルを持つメンバー構成とするかを検討します。スピードある課題解決のためには、期限の明確化も必要です。
メンバーを選出する
チーム設計後はメンバー選出を行わなければなりません。チーム設計時に明確になったゴールに向けて、最適なメンバー選出が求められます。必要な専門知識・スキルを持っているかだけではなく、責任感や使命感、課題を解決する能力、協調性なども含めて、どういったメンバーをクロスファンクショナルチームの構成員とするかを検討・決定します。
チームを運営する
チーム運営では全員が同じ目的意識を持ち、課題解決に向かって足並みを揃えて進むことが求められます。クロスファンクショナルチームは異なる部署から集められたメンバーの集まりであるため、まとまりに欠ける一面が見られます。デメリットを十分に理解し、メンバーが一丸となったチーム運営が成功への鍵になります。
クロスファンクショナルチーム(CFT)を機能させるポイントは?
せっかくつくったクロスファンクショナルチームも上手く機能させないと無駄になってしまいます。せっかくのチームを有効活用するためのポイントを押さえて、十分な成果を上げられるようになりましょう。
意図の明確化と共有
クロスファンクショナルチームを十分に機能させるには、意図の十分な明確化と共有が欠かせません。経営陣が何を求め、どんな成果を上げるべきかを明らかにし、メンバー全員が共有することが必要です。
メンバー間の関係性
クロスファンクショナルチームの各メンバーが良好な関係を築き、密なコミュニケーションをとっていることも機能不全に陥らせないポイントです。通常の業務では接点を持たないメンバーが交流してアイデアを出し合うことで、クロスファンクショナルチームは期待されている成果が上げられます。率直な意見が出し合える、フラットで良好な人間関係の構築を目指しましょう。
社内での位置付け
クロスファンクショナルチームは会社内ではどこにも属さず、独立した組織になります。そのため仕事を進めるにあたって理解されない、協力が得られないという問題を抱えることが少なくありません。会社全体の課題解決にあたっているにも関わらず冷遇されることのないようにするにはクロスファンクショナルチームの意義・役割を周知し、理解させ、協力する体制を整えることが重要です。
クロスファンクショナルチーム(CFT)の導入事例は?
日本でのクロスファンクショナルチームの導入事例を紹介します。
日産自動車
1990年代、経営不振に陥っていた日産自動車で当時CEOであったカルロス・ゴーン氏によって、業績回復を中心に据えたクロスファンクショナルチームが立ち上げられました。「日産リバイバルプラン(NRP)」と名付けられた計画はマネジメントの質を高めることを目的に、顧客が求めている高品質の商品・サービスの提供を目指しました。こうしたクロスファンクショナルチームの活動により日産自動車は業績のV字回復を果たし、会社を倒産の危機から救いました。
りそなホールディングス
りそなホールディングスは、顧客の困り事・社会課題を起点とした新規ビジネスの創造と既存ビジネスモデルおよび業務プロセス再構築に向けた取り組みなどを促進することを目的に、2020年4月1日付けでクロスファンクショナルチームを設置しました。
クロスファンクショナルチーム導入を参考に全社的な課題解決ができる仕組みをつくろう
クロスファンクショナルチームは、日本企業の実践から着想を得て欧米で理論化が進められ、グローバルに普及したものです。全体の問題を解決するために必要な人材を招集してチームを結成するもので、メンバーが所属する部署の利益にとらわれない活動を可能としています。逆輸入の形で再認識されるようになり、日産自動車が導入して業績のV字回復を為し得たことで一般にも広く知られました。
全社的な課題を解決するためには、時として大胆な方法の採用も必要になります。クロスファンクショナルチームを参考に、部署にとらわれずに会社全体の利益を追求できる仕組みづくりができないかどうか、検討してみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労働基準法第16条とは?違約金・罰金の禁止をわかりやすく解説!
労働基準法第16条は、労働契約の不履行に対する違約金・損害賠償の予定を禁止する規定です。簡単に言えば、従業員が会社を辞める際などにあらかじめ罰金や賠償金の支払いを約束させる契約は違法になります。 企業が従業員に不利な条項を設けて退職の自由を…
詳しくみるセミナー受講後の報告書(セミナーレポート)の書き方は?無料テンプレートも
新人研修やマナー講習、ハラスメント対策など、様々なセミナーが開催されており、必要に応じて従業員が受講しています。セミナーに参加した後には、会社に対して、報告書を提出することが求められます。当記事では、セミナー受講後の報告書の書き方や例文を紹…
詳しくみるゼネラリストとは?スペシャリストとの違いや育成方法について解説
ゼネラリストとは幅広い知識を持ち、さまざまなことに対応できる能力を持つ人を指します。専門分野を持つスペシャリストが一点集中型とされるのに対し、ゼネラリストはオールラウンド型です。多角的な判断力があり、さまざまな業務をカバーできる、臨機応変さ…
詳しくみる商談報告書とは?書き方やポイントを解説!無料テンプレートつき
商談報告書は、営業活動の記録と情報共有のための重要なツールです。顧客との商談内容、進捗状況、次のアクションを簡潔にまとめることで、効果的な営業戦略の立案や顧客関係の強化に役立ちます。 本記事では、商談報告書の作成目的や書き方、ポイントを解説…
詳しくみる転職して1年未満だと育休は取れない?伝え方や給付金について解説
転職して1年未満でも、2022年4月の法改正により原則として育児休業の取得が可能です。ただし、労使協定が存在する場合や、雇用形態によって制約を受けることもあります。 この記事では、転職して1年未満でも育休を取得できる条件や具体的なケースを紹…
詳しくみるサボタージュとは?サボると意味は同じ?使い方や各種制度も解説!
サボタージュとは、労働者の争議行為の一種である「怠業」のことです。日常会話では「サボる」という言い方をすることもありますが、正しくは、労働者が意図的に生産性を低下させ、会社側に賃金上昇などの主張を訴える際に行う「怠業」を意味します。ここでは…
詳しくみる