• 更新日 : 2026年1月14日

クロスファンクショナルチーム(CFT)とは?意味やメリット、成功事例

クロスファンクショナルチーム(CFT)とは、部門や職種を越えて専門性の異なるメンバーが集まり、組織横断で課題解決に取り組むチームのことです。単一部門では捉えきれない複雑な課題に対し、全体最適で意思決定できる仕組みとして注目されています。

本記事では、クロスファンクショナルチームの基本概念から導入メリット・デメリット、成果につながる設計ステップや運営のポイントについてまとめました。実際の事例も解説するので、導入の参考にしてみてください。

クロスファンクショナルチーム(CFT)とは?

クロスファンクショナルチーム(CFT)とは、営業・開発・人事など専門分野の異なるメンバーが部門を越えて集まり、課題の解決策を検討・提案するチームです。常設組織として置く場合だけでなく、期間を区切ったプロジェクトとして編成する場合もあります。

クロスファンクショナルチームの導入は、創発の具体策としても有効です。詳しくは、関連記事をご覧ください。

日本企業の働き方がモデル

クロスファンクショナルチームは、日本企業における部門横断的な協働を源流とする考え方です。日本企業では、連携型組織や現場主導の改善文化のもと、部署の枠を越えて協力する働き方が長く行われてきました。

欧米の研究者が日本の製造業や組織運営を分析するなかで、部門横断の協働に着目し、理論として整理・体系化しました。このような流れを経て、クロスファンクショナルチームの概念が生まれています。

タスクフォースとの違い

タスクフォースは、特定の課題を短期間で解決するために編成される一時的なチームです。目的が明確で、ほとんどの場合は期限や成果物が決まっています。また、達成後は解散するのが一般的です。

一方、クロスファンクショナルチームは、部門横断で知識や経験を集め、全社的な経営テーマを検討する仕組みです。

まとめると、タスクフォースは特定の成果や、期限達成のみを目的とします。クロスファンクショナルチームは全社的なテーマ・横断的な課題を扱うため、常設化するケースもあるのが特徴です。

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クロスファンクショナルチーム(CFT)が注目される背景は?

クロスファンクショナルチームが注目されるのは、市場や技術の変化で課題が複雑化し、手戻りや遅延が起きやすくなったためです。

部門横断で意思決定を早める仕組みとして再評価され、働き方改革や人材不足のなかで、限られた人材を活かす狙いもあります。

変化する時代への対応

クロスファンクショナルチームなら、複数部門の知見を同じ場に集め、前提を固めることが可能です。市場のニーズ把握や商品戦略も客観的に評価でき、スピード感をもって対応できます。

現代はVUCA(変化が激しく不確実)の真っ只中にあり、従来の意思決定システムでは対応が難しい状況です。部署ごとに意見をぶつける方式では、変化する時代のスピードについていけなくなっています。

クロスファンクショナルチームは、先行きが読みにくい環境でこそ、力を発揮する仕組みです。答えのない時代でビジネスを進めるため、導入する企業が増えています。

人材不足解消と組織開発

人材不足解消と組織開発の観点でも、クロスファンクショナルチームは注目されています。生産年齢人口の減少で人材確保が難しい現代では、限られた人材を最大限活かす仕組みが必要です。

クロスファンクショナルチームでは、部門や役職の異なるメンバーが協力し、経験・スキル・ノウハウを掛け合わせて課題解決を進めます。結果として、専門スキルの偏りを補いながら、生産性向上を実現可能です。

また、プロジェクト参加を通じて、現場社員が別部門の知見を学ぶ機会にもなります。部門間の交流が増え、コミュニケーションの活性化・人材のレベルアップ・組織の一体感にもつながるでしょう。

意思決定スピードの向上や、議論の活発化を狙うなら、フラット型組織への転向も効果的です。詳しくは、関連記事をご覧ください。

クロスファンクショナルチーム(CFT)を導入する4つのメリットは?

クロスファンクショナルチームは全社的な課題解決を目指すチームです。必要な専門知識・スキルをもつメンバーで構成され、課題とされる事案に取り組みます。具体的な導入メリットとして以下が考えられます。

1.組織が活性化する

クロスファンクショナルチームのメリットにはまず、組織の活性化が挙げられます。部署をまたいでメンバーが集められることで、普段は関わらない人との交流も可能です。新しい人間関係が構築され、組織に活気が生まれます。

2.自由なアイデアが生まれる

自由なアイデアの創出も、クロスファンクショナルチームのメリットのひとつです。既存の関係ではないメンバーとの交流によって、これまでとは違った考え方ができるようになります。それにより、既存の概念にとらわれない発想ができるようになり、問題解決に向けたアイデアが生まれやすくなるでしょう。

3.全体の問題が解決できる

クロスファンクショナルチームは部署に関係なく、全社としての問題解決が図れます。部署ごとの利害とは無関係の独立したチームであるため、企業によく見られる縦割り構造の弊害を受けることなく、会社全体の利益を目指した行動ができます。

4.外部の意見を取り入れられる

クロスファンクショナルチームを組織することで、外部の意見を取り入れることも可能です。外部専門家やユーザーヒアリングを活用すると、社内だけでは見落としがちな課題に気付きやすくなります。

社員以外の多様な視点が加わることで、意思決定の質が上がり、アイデアの偏りも防げるでしょう。ただし、外部の意見を重視しすぎると社内メンバーに不満が生じることもあるため、社内外の意見をバランスよく扱うことが重要です。

クロスファンクショナルチーム(CFT)の4つのデメリットは?

クロスファンクショナルチームは部門横断で課題解決を進められる一方、運用次第でデメリットも表れます。リーダーの負担や合意形成の難しさなどを把握したうえで、チーム設計を行いましょう。

1.リーダーに負担が集中する

クロスファンクショナルチームは構造上、部門横断の調整役を担うリーダーに負担が集中しがちです。通常業務と並行して、進捗管理や関係者調整を行うため、時間的な余裕が削られます。

さらに、権限が曖昧なまま進めると、決裁できないのに責任だけを負う状態になるでしょう。結果として、判断が遅れたり、心理的な負担が強まったりします。

専門性の異なるメンバーの意見を整理し、結論へ導くファシリテーターのスキルも必要です。

2.短期的な結果は見込めない

クロスファンクショナルチームは、導入後すぐに成果が出る仕組みではありません。部門横断で進めるため、課題の整理や合意形成に時間を要し、即効性を期待しにくいためです。

また、クロスファンクショナルチームは、中長期視点で成果を積み上げます。戦略的なテーマほど、議論や調整の工程が増え、改善策の実行まで段階的な進行が必要です。短期的には、進捗が遅く感じられることもあるでしょう。

3.チーム構成に効果が左右される

クロスファンクショナルチームは、チーム構成によって成果が大きく変わります。専門性が偏ると議論が深まらないため、最適解を導きにくくなるでしょう。

また、部門間の温度差があると、優先順位や評価軸の違いから摩擦が起きがちです。たとえば、営業は売上、開発は品質など、部門によって重視するポイントは異なります。適切なリーダーがいない場合、方向性が定まらないため、判断が先送りされるでしょう。

4.対策が実行されないケースもある

クロスファンクショナルチームでは、対策が実行段階で止まるケースも少なくありません。議論を通じて改善案が出ても、現場に落とし込む際に担当や権限が曖昧だと停滞しやすくなります。

とくに通常業務が優先される環境では、施策が後回しになりがちです。実行責任者が不明確なままでは進捗管理もできず、成果が定着しません。検討と実行を切り分けず、最後まで担う体制が欠かせません。

クロスファンクショナルチーム(CFT)を作る5つのステップは?

クロスファンクショナルチームの導入には、成果の定義から評価までを設計する必要があります。

成功の基準を決め、補完関係のあるメンバーを選出しましょう。成果が出た後も、議論をステップごとに記録・評価することで、再現性向上が期待できます。

メンバー全員が協力してチームを作り上げる方法については、関連記事もご覧ください。

1.求める成果の設定

クロスファンクショナルチームを結成する前に、目指す成果の定義が必要です。部門横断では関係者が多いため、「何をもって成功とするか」を最初に共有しないと、議論が拡散しやすくなります。

売上向上や業務時間削減など、具体的なゴールを言語化し、可能であればKPIとして数値化しましょう。成果が明確になることで、意思決定の基準が揃い、チームの迷走を防げます。

2.チームメンバーの選定

目指す成果に応じて、必要なメンバーを集めます。メンバー構成によって成果が左右されるため、慎重な選定が欠かせません。専門領域や強みが偏らないよう、互いに補完し合える人材を選びましょう。

また、意思決定をまとめるリーダーと、現場視点をもつメンバーは必須です。多様な視点を集めつつ、目的達成の中心となるメンバーを入れることで、実現性の高い改善策を導きやすくなります。

3.役割と責任の明確化

クロスファンクショナルチームは、部門を横断して議論するため、担当範囲や権限の設定が必要です。役割と責任が不明瞭だと、判断が滞り、作業が進まなくなります。

「誰が意思決定を行うのか」「誰が実行責任を負うのか」を整理することで、衝突や責任の押し付け合いを防げるでしょう。また、リーダーとサブリーダーの役割分担を定義しておくと、負担の集中を防げます。

4.定期ミーティング

チームが本格稼働した後は、定期ミーティングで進捗確認を行いましょう。意図的に確認のタイミングを作ることで、認識のズレを早期に修正できます。

定期ミーティングは、目的設定が重要です。報告会なのか、意思決定の会なのかで、必要な参加者も準備物も変わります。課題共有と意思決定を同じ場で行えば、対応のスピードも落ちません。

議題と議事録をテンプレート化して、記録を残すことも重要です。

5.成果・プロセスに対する評価

クロスファンクショナルチームの定着には、成果とプロセス両方の評価が重要です。数値目標の達成度を確認するだけでは、改善の再現性が高まりません。どのような議論や連携が成果につながったのかを振り返り、次のプロジェクトに活かしましょう。

評価の目的は、個人の査定ではなく、チームの学びを蓄積することです。試合後のミーティングで勝敗だけを見るのではなく、プレー内容を振り返るイメージで行いましょう。結果が出なくても、プロセスがよければ、次回以降より質の高いチームを作れます。

クロスファンクショナルチーム(CFT)で失敗しないための5つのポイントは?

クロスファンクショナルチームを機能させるには、目標設定が不可欠です。メンバーの責任や指示系統も明確にし、チームが自由に動けるような環境を整えましょう。

1.チームの責任と目標を明確にする

クロスファンクショナルチームの立ち上げ時は「何を達成するチームか」を言語化し、メンバー全員で同じ目標を共有することが重要です。目的が曖昧だと議論が発散し、各部門の都合に引っ張られやすくなります。

あわせて「誰が何を決め、実行に責任をもつか」も決めましょう。責任者・協力者・承認者を整理するだけでも、メンバーの役割を固定できます。責任と権限を決めることで、各メンバーが主体的に動き、成果を出せる環境づくりが可能です。

目標の立て方や手順は、関連記事でも詳しく解説しています。

2.リソースの配分を公平に行う

クロスファンクショナルチームを動かす際は、参加メンバーのリソース配分が重要です。通常業務を抱えたまま追加タスクが積み上がると、忙しい部署や一部の社員に負荷が偏り、合意形成や実行が止まります。

リソースを公平にするには、最初に活動時間の上限や優先順位を決め、会議・資料作成・意思決定の担当を分担することが有効です。必要に応じて経営層が業務調整を後押しし、現場が動ける時間を確保すると、成果につながりやすくなります。

3.管理職の過干渉を避ける

管理職が過度に介入すると、クロスファンクショナルチームが正常に機能しません。細かな指示や確認が続くと、メンバーは判断を管理職へ委ねがちになり、自律的な議論や行動が生まれにくくなります。

基本は、チームリーダーに進行と意思決定を任せ、管理職は方向性の確認や障害の除去に徹しましょう。現場に任せる余白を残すことで、多様な視点が活き、創造性の高いアウトプットにつながります。

4.指示系統を決めておく

クロスファンクショナルチームを円滑に動かすには、指示系統の整備が重要です。意思決定者が曖昧だと、会議で結論が出ても、承認に進めません。結果として、施策が前に進まなくなります。

縦割り組織との摩擦を避けるために、権限の範囲も整理しましょう。たとえば「予算」「運用変更」「他部署への依頼」の判断ラインを明確にすると、混乱が減ります。

5.心理的安全性を確保する

クロスファンクショナルチームを機能させるうえで、心理的安全性の確保は欠かせません。立場や役職に関係なく意見を出せる環境がなければ、多様な専門性を集めた意味が薄れます。否定や責任追及を恐れる空気があると、表層的な議論になりかねません。

発言を歓迎する姿勢や、意見と人格を切り分けて扱うルールを共有することで、安心して発言できる土台が整います。心理的安全性が保たれるほど、挑戦的な提案や改善案が生まれやすくなり、チームの成果につながるでしょう。

心理的安全性については、関連記事でも詳しく解説しています。

クロスファンクショナルチーム(CFT)の導入事例3選

最後に、日本でのクロスファンクショナルチームの導入事例を紹介します。

日産自動車

1990年代、経営不振に陥っていた日産自動車で当時CEOであったカルロス・ゴーン氏によって、業績回復を中心に据えたクロスファンクショナルチームが立ち上げられました。「日産リバイバルプラン(NRP)」と名付けられた計画はマネジメント品質の向上を目的に、顧客が求めている高品質の商品・サービスの提供を目指して活動を始めます。こうしたクロスファンクショナルチームの活動により、日産自動車は業績のV字回復を果たし、会社を倒産の危機から救いました。

りそなホールディングス

りそなホールディングスは、2020年4月1日付けでクロスファンクショナルチームを設置しました。

解決する課題は、顧客の困りごと・社会課題を起点とした新規ビジネスの創造と、既存ビジネスモデルおよび業務プロセス再構築に向けた取り組み支援です。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、部門横断で課題を解決する、クロスファンクショナルチームに近い考え方を長く積み上げてきた企業です。

工業製品の品質を上げるには、部署同士の連携が欠かせません。トヨタ自動車は、改善テーマを現場で拾い、設計から生産までの活動を一体化して進めることで、部門間の協力を促す仕組みを整えています。

「ものづくり改革」の取り組みでは、部品単位でクロスファンクショナルチームが結成され、トヨタ社内だけでなくサプライヤーとも連携しながら活動しています。その結果、設計変更による部品数削減や、生産ラインの見直しを行い、ムダの削減に成功しました。


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