- 更新日 : 2024年12月25日
マザーズハローワークとは?利用方法やハローワークとの違いを解説
「マザーズハローワーク」は、子育て中の女性の仕事探しを支援しています。求職中の女性の中には、「正社員の求人はある?」「ハローワークとの違いは?」「職業訓練は?」などの疑問を感じている人もいるでしょう。
本記事では、マザーズハローワークについて解説します。ハローワークとの違いや利用方法、設置場所なども紹介しますので、就職活動に活用してください。
目次
マザーズハローワークとは?
マザーズハローワークとは、育児と仕事の両立を目指す女性などの就業支援を行う公共職業安定所の1機関です。2006年に全国で12ヶ所のマザーズハローワークが設置され、その後も拡充しています。
子ども連れでも安心して相談できるように、施設内に子どもの遊び場所が設けられています。マザーズハローワークが提供する主なサービスは、次の通りです。
- 専属スタッフによる就職活動のサポート(職業相談)
- 子育てしやすい仕事など希望に応じた職業紹介
- 子育て支援に関する情報の提供就職活動に関するセミナーの開催 など
マザーズハローワークは、子育て中の女性だけでなく子育て中の男性や子育て予定のある
人も利用できます。
マザーズハローワークの場所(設置個所)
マザーズハローワークは、下記都道府県の主要都市に21ヶ所(2023年4月現在)設置されています。東京都や大坂府など、1都道府県に複数設置されているところもあります。
(マザーズハローワークの設置都道府県)
北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県、熊本県
近くのマザーズハローワークを調べるには、厚生労働省のホームページで確認しましょう。
参考:全国のマザーズハローワーク・マザーズコーナーの設置箇所・所在地・電話番号|厚生労働省
マザーズハローワークとハローワークの違い
マザーズハローワークとハローワークの主な違いは次の3つです。
- 利用できる対象者
- 施設の設備
- 雇用保険や職業訓練の申請の可否
それぞれの違いについて解説します。
利用できる対象者
ハローワークはすべての求職者が利用できますが、マザーズハローワークの利用は育児と仕事の両立を目指す女性などに限定です。子育て中の女性は、ハローワークとマザーズハローワークの両方を利用できます。
できるだけ多くの求人情報がほしい場合はハローワーク、子育て中の女性が働きやすい職場に絞って求人したい場合はマザーズハローワークが適しています。
施設の設備
マザーズハローワークとハローワークの設備についての大きな違いは、チャイルドコーナーの有無です。マザーズハローワークでは、子ども連れでも落ち着いて職業相談できるように、チャイルドコーナーが設けられています。
おむつの交換台や授乳スペースも設けられているため、小さな子どもがいても安心です。また、マザーズハローワークには求人情報だけでなく子育て支援に関する情報も見られます。
雇用保険、職業訓練の申請はできない
失業保険(雇用保険の基本手当)の申請ができるのはハローワークだけで、マザーズハローワークではできません。再就職手当(※1)や広域求職活動費(※2)などの申請も同様です。
※1.基本手当を全額受給する前に再就職したときに支給される給付金
※2.求職のための交通費や宿泊費を支援する給付金
また、受講手当などが支給される「公共職業訓練」の申請もハローワークだけです。失業保険など手続きはハローワーク、求人情報の収集や相談はマザーズハローワーク、という使い分けが必要です。
ハローワークのマザーズコーナーとの違い
マザーズハローワークと「マザーズコーナー」は、どちらも子育て中の女性などの就業支援を目的としたものです。ハローワークと独立した施設を持つものをマザーズハローワーク、ハローワーク内に設置されたものをマザーズコーナーといいます。
マザーズハローワークには新しい施設が必要になるため、既存施設を活用できるマザーズコーナーよりも施設数は少ない状況です。
- マザーズハローワーク:21ヶ所
- マザーズコーナー:185ヶ所
マザーズハローワークが提供するサービス
マザーズハローワークが提供する主なサービスは次の通りです。
- 育児中の女性向け職業相談
- チャイルドコーナー
- 子育て支援情報の提供
- 就職に役立つセミナーや講習
- マザーズ予約相談
- 求人検索
- 求人受理
それぞれのサービスについて解説します。
育児中の女性向け職業相談
マザーズハローワークの職業相談では、ハローワークと同様、就職活動について質問への回答やアドバイス、求人情報の提供、紹介状の発行などを行います。
ただし、子育てしながら働きやすい会社や子育てに理解のある会社などの情報が得やすいというメリットがあります。また、オンライン相談も可能なので、子育てで忙しい人も気軽に相談できます。
チャイルドコーナー
チャイルドコーナーには、おもちゃや絵本などがあるため、子どもを遊ばせながら職業相談や、求人情報の収集ができます。チャイルドシートを横において相談できるスペースや、託児ルームが設けられているところもあるので安心です。
子育て支援情報の提供
求人情報だけでなく、子育てに役立つ情報の提供もあります。地元の保育園入学に関する情報や子育て支援に関する情報などです。
保活(保育園に入れるために保護者が行う活動)と就活に関する情報が同時に入手できるため、育児で忙しい人にとってはありがたいサービスです。
就職に役立つセミナーや講習
マザーズハローワークでは、就職に役立つセミナーや講習会を開催しています。主な内容は次の通りです。
- 就職活動の方法に関するセミナー
- 基本的なビジネススキルに関するセミナー
- パソコン講習
- 応募書類の書き方や採用面接対策の講習 など
セミナーや講習は予約制になっていることがあるため、早めに確認しましょう。
マザーズ予約相談
マザーズ予約相談とは、専任スタッフが相談に応じてくれる予約制のサービスです。同じスタッフが継続して相談に乗ってもらえるところもあるため、自分の状況や希望を理解してもらった上で相談できます。
相談内容は、求人情報だけでなく就職活動の方法や子育てと仕事の両立の仕方、採用面接対策など、求職者のニーズに応じて決めます。
求人検索
ハローワークやマザーズハローワークが取り扱う求人情報は、施設内のパソコンなどで検索できます。全国の情報が検索できるとともに、キーワードを使った条件検索も可能です。なお、求人情報の検索は、自宅でスマホを使ってもできます。
求人受理
求人受理とは、企業からの求人依頼を受け付けることです。ハローワークの求人受理と異なり、子育て中の人が働きやすい勤務制度や保育施設などがある企業からの求人が中心です。子育て中の人を採用ターゲットとして、求人する企業もあります。
マザーズハローワークを利用するには?
マザーズハローワークを利用するためには、最初に「求職申込み」が必要です。求職申込みは失業保険を受給するために最初に行う手続きで、ハローワークの窓口または「ハローワークインターネットサービス」で行います。
求職申込み後にマザーズハローワークに行くときは、失業保険の受給説明会後などに交付される「雇用保険受給資格者証」を持参しましょう。予約後または予約なしでマザーズハローワークに行くと、職業相談や求人検索などが行えます。
企業側:マザーズハローワークに求人情報を掲載するメリット
企業がマザーズハローワークに求人情報を掲載するのは、いくつかのメリットが得られるためです。
メリットの1つは、子育て中の求職者に自社をアピールできることです。一般のハローワークでは多くの求人の中で自社の求人は埋もれがちですが、マザーズハローワークの方が求人数は少ないため、子育て中の求職者の目に留まる可能性が高まるためです。
また、ハローワークと同様、無料で求人できることもメリットといえるでしょう。
利用者側:マザーズハローワークのメリット・デメリット
利用者にとって、マザーズハローワークには次のメリットがあります。
- 子育てしながら働きやすい会社や子育てに理解のある会社などの情報が得やすい
- 専門スタッフにサポートしてもらえる
- 子育て中の求職者に役立つセミナーや講習が受けられる
- 子ども連れでも求職活動ができる
- 子育て支援情報も得られる
一方、マザーズハローワークには、次のデメリットもあります。
- 求人の内容や件数が限定される
- マザーズハローワークによってサービス内容やレベルに差がある
- 設置件数がハローワークより少なく(※)、近くにない可能性が高い
※マザーズハローワーク21ヶ所、マザーズコーナー185ヶ所、ハローワーク544ヶ所。
居住地や求職の内容によっては、ハローワークを活用したほうがよいケースもあるでしょう。
育児と仕事の両立を目指す人は積極的に活用しましょう
マザーズハローワークは、子育て中の求職者の就業を支援する公共職業安定所の1機関です。全国に21ヶ所しかありませんが、ハローワーク内に設置されたマザーズコーナーも利用できます。
求人の内容や件数が限定されるなどのデメリットもありますが、子育て中の就職活動や育児支援に関する情報が得やすい、子ども連れで就職活動ができるなど、大きなメリットが期待できるため、積極的に活用することをおすすめします。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
事故発生状況報告書の書き方は?記載例・無料テンプレートつき
事故発生状況報告書は、交通事故の詳細を保険会社や関係機関に正確に伝えるための重要な文書です。適切な記載方法を知ることで、円滑な保険金請求や事故処理が可能になります。本記事では、事故発生状況報告書の書き方や記載例、無料テンプレートの活用方法を…
詳しくみる人事評価とは?意味や目的、作り方を解説!
人事評価とは、あらかじめ決められた一定期間の従業員の能力や働きぶり、パフォーマンスなどを評価することです。 この記事では、人事評価の意味、人事考課との違い、人事評価の目的や必要性、評価制度の導入方法、評価期間の人事評価の進め方、人事評価制度…
詳しくみる雇用契約書とは?法的な必要性や作り方をひな形付きで紹介
雇用契約書とは、雇用契約の成立を証明する書類です。働く内容や各種手当など、雇用に関するルールが書かれています。法律上は雇用契約は当事者間の合意のみで成立するため、雇用契約書の作成は法律上の義務ではありません。 本記事では、雇用契約書作成が必…
詳しくみる研修の稟議書の書き方は?テンプレートや例文でポイントが分かる!
企業で研修を行なう際には、稟議書を書く必要があります。稟議書を書く際は、書くべき記載項目や書き方のポイントを押さえて書くことが重要です。 本記事では、研修の稟議書の書き方や例文、いざというときに頼りになるテンプレートを紹介します。記事を参考…
詳しくみる労働者名簿の履歴はどこまで書けばいい?
労働者名簿の「履歴」については、法的に明確な記載範囲の定めはありません。そのため、記載する内容や範囲は会社の判断に委ねられています。 労働者名簿で記載することが多い履歴の内容 労働者名簿の「履歴」には、従業員の入社前の経歴や社内での職務変遷…
詳しくみる死亡届の書き方は?会社に提出する書類や届け出をひな形を基に解説
従業員が死亡した際に会社が提出を求める死亡届の書き方や諸手続きの知識は、人事担当者は十分理解しておく必要があります。この記事では、死亡届の書き方や提出書類、会社が行う手続きについて詳しく解説します。従業員やその家族に対する適切な対応を行うた…
詳しくみる