- 更新日 : 2024年8月26日
ワークショップとは?意味やメリット、セミナーとの違い
「ワークショップ」という言葉を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。当記事では、ワークショップと混同されがちなセミナーや研修との違い、メリット・デメリット、具体例などについて解説します。有効に活用すれば多くのメリットを享受できる手法のため、興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
目次
ワークショップとは?
「ワークショップ」とは、学習やトレーニング方法の一種です。本来は作業場を意味する言葉ですが、ビジネスや教育などの現場においては、参加者の主体性を重視した体験講座の意味で用いられることが多くなっています。
セミナーとの違い
セミナーは、講師となる有識者から参加者に座学の形式で知識を伝えます。一方のワークショップは、参加者が実際の作業を通して、経験や知識を獲得する体験講座の形式です。そのため、両者は形式の面において異なります。
研修との違い
研修は、講師の講義内容を参加者が聞くスタイルが一般的です。そのため、参加者は必然的に受動的な態度になってしまいます。一方のワークショップは、参加者の主体性を重視しているため、両者は参加者の主体性の有無の点で異なります。
ワークショップのメリット
ワークショップは、効率的に活用すれば多くのメリットを生み出す手法です。本項では、ワークショップの具体的なメリットについて、解説します。
参加者との双方向の対話ができる
ワークショップでは、受講者が講座に「参加」することになります。そのため、一方的な知識伝達の場になりがちなセミナーなどと異なり、参加者間における双方向のコミュニケーションが可能です。
ワークショップでは、参加者同士がコミュニケーションを取ることによって、元々持っていた知識や経験を融合させることができます。このことによって、より良い作品の製作や、製品開発につなげることができるでしょう。
セミナーに比べ参加者が主体的
ワークショップの大きな特徴として、主体的な参加が挙げられます。このことにより、参加者が受け身になることなく当事者意識を持って、課題解決に当たることが可能となります。また、主体的な態度で課題解決に取り組むことは、受動的な態度で臨むセミナーなどに比べて、高い達成感を得ることにもつながるでしょう。
具体的な体験を通じて知識を得ることができる
ワークショップでは、参加者がさまざまな具体的体験を通して学習を行います。具体的体験を通した学習は、配布された資料を読むだけのセミナーに比べて、対象のより深い理解が可能です。また、学んだ知識はロールプレイングなどを通して、実行されるため、実践力の獲得にもつながります。
ワークショップのデメリット
ワークショップには、多くのメリットがあります。しかし、良い点ばかりではなく気を付けるべきデメリットも存在します。
参加者の特徴に成功が依存する
ワークショップでは、参加者が主体的に課題解決に取り組みます。また、参加者同士の双方向コミュニケーションも特徴です。しかし、主体性を持っているか、コミュニケーションを取ることが得意かといった点は、参加者ごとに異なります。そのため、主体性のない参加者や、コミュニケーションが不得手の参加者では、ワークショップのメリットを享受することは難しいでしょう。
知識量としては少なくなりがち
ワークショップは、体験型学習であるため、体験のために多くの時間を割くことになります。そのため、単純な知識の獲得量としては、それほど多くを望むことはできません。この点においては、知識の伝達自体を目的とするセミナーの方がメリットは多いといえるでしょう。ワークショップの活用には、必要に応じた使い分けが必要となります。
ワークショップの種類
ワークショップは、ビジネスをはじめ、さまざまな場面で活用されています。本項では、活用事例を分野ごとに紹介します。
芸術分野
博物館や美術館なども、創作活動普及のためにワークショップを開催しています。作品制作はもちろんのこと、作品の鑑賞なども通したコミュニケーションを取ることで、参加者の能動的な創作体験を促進しています。
ものづくり
ものづくりの分野は、ワークショップが行われる典型例となるでしょう。家具のDIYや、手芸、フラワーアレンジメント、料理など、この分野におけるワークショップは多岐にわたります。また、一緒にものづくりを行うことで参加者同士の親睦を深める効果も期待できます。
まちづくり
参加者と地域住民が話し合うことで、街の課題解決を図るまちづくりのワークショップも開催されています。ワークショップでは、当事者意識を持って参加することになるため、より具体的な解決・改善策の提示につながるでしょう。
教育・採用・育成
教育の分野においてもワークショップは活用されています。それまでの一方的な講義ではないため、参加者の興味を惹きやすい点が特徴です。また、採用や人材育成の分野においても、実際の業務を通したワークショップが行われています。
ビジネス
ビジネスの分野においては、新人研修や社内コミュニケーション活性化などを目的としたワークショップが行われています。また、顧客が実際に製品やサービスを利用する形のワークショップも行われ、改善に役立てられています。
ワークショップを成功させるためのポイント
ただ参加者が体験するだけでは、ワークショップ開催による十分な効果を得ることはできません。最大限の効果を得るためには、ポイントを守ることが必要です。
目的とゴールを明確化する
ただ闇雲にワークショップを行っても、十分な効果は発揮できないでしょう。「何」を目的として行うのか、「ゴール」はどこに設定されているのかを明確化することが大切です。このことにより、参加者は目標達成に向けた活動が可能となり、自分の進捗状況も把握できるようになります。
最初は個人ワークから始めてみる
最初から参加者同士の共同作業を行うのでは、各自の主張がまとまらない場合もあり得ます。そのため、まずは個人作業から始めることが各自の考えを整理する意味でも重要となります。主張すべきポイントが整理されていなければ、話し合いの活性化も望めないでしょう。
ファシリテーターは役割を徹底する
ワークショップでは、進行役となるファシリテーターの果たす役割が大きくなっています。今現在の状況を冷静かつ正確に把握し、各自の主体的行動を促せるファシリテーターがいれば、ワークショップを成功に導くことができるでしょう。そのためにも主体性を尊重し、過剰な干渉をしない態度が求められます。
意見の出やすい雰囲気を作る
ワークショップでは、参加者同士がコミュニケーションを取りながら課題解決に向かいます。良好なコミュニケーションを取るためには、意見が出やすい環境整備が必要となるでしょう。参加者を萎縮させるような硬い雰囲気や、緊張感の欠如した雰囲気では、生産的な意見は望めません。
ワークに必要な道具は主催者が準備する
ワークショップでは、さまざまな体験活動を行うことになります。その際には、道具が必要となる場合も多いでしょう。創作ワークショップにおける画材や、DIYワークショップに必要となる工具などを主催者が用意しておけば、参加のハードルは低くなります。参加における敷居の低さは、参加者を増やしワークショップの活性化につながります。
ワークショップを活用しよう
ワークショップでは、従前のセミナーなどと異なり、主体的な参加による双方向のコミュニケーションを重視します。また、ワークショップは、有効に活用すれば、より良い製品やサービスの開発にもつながる手法です。当記事を参考に効果的なワークショップ開催を目指してください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
人事異動の理由を説明する義務はある?納得できない時の対処法や伝え方のポイントも解説
急な人事異動を命じられ、その理由がわからないと、誰でも戸惑いや不安を感じるものです。会社はなぜ、どのような考えで人事異動を決めるのでしょうか。また、従業員に対して理由を説明する義務はあるのでしょうか。 この記事では、人事異動の背景にある企業…
詳しくみる産休退職で後悔しないために!手当金の条件、退職の伝え方を解説
産休後の退職を検討している方も多いのではないでしょうか? 産休前に退職すると、出産手当金・育児休業給付金のいずれももらえなくなるなど、さまざまな影響があります。 しかし、一定の条件を満たせば退職後でも出産手当金を受け取ることが可能です。 そ…
詳しくみる社宅管理の簡易化はどこから?担当者の負担を減らす方法から徹底解説
企業の福利厚生として重要な役割を持つ社宅制度ですが、その管理業務は煩雑で担当者に大きな負担がかかっていませんか?物件探しから契約、入退去の手続き、家賃の管理まで、多岐にわたる業務に追われ、コア業務に集中できないという方もいらっしゃるかと思い…
詳しくみる高校生のバイトを雇用するには親の承諾書が必要?無料テンプレートも
高校生をアルバイトとして雇用する際には、様々な書類が必要です。当記事では、高校生を雇用する際に必要となる書類の中でも、承諾書に焦点を当てて解説します。承諾書が必要な理由や、承諾書の書き方、無料で使えるテンプレートも併せて紹介しますので、ぜひ…
詳しくみる外国人労働者の受け入れに必要な教育とは?日本語教育の現状や7つの解決策を紹介
外国人労働者を雇用するにあたり、大きな課題となるのが教育です。低い日本語レベルによって伝達ミスが起きてしまったり、安全教育の不足によって労働災害が起きてしまったりするリスクが想定されます。 そこで本記事では、外国人労働者への教育について、現…
詳しくみるストレスチェック義務化とは?50人未満はいつから対象に?2025年最新の動向を解説
ストレスチェック制度は、働く人々のメンタルヘルス不調を未然に防ぐための重要な仕組みです。現在、ストレスチェックが義務化されているのは、従業員数50人以上の事業場ですが、2028年春頃までに従業員数50人未満の事業所も義務化の対象となることが…
詳しくみる