- 更新日 : 2025年4月22日
医療費控除で住民税も安くなる
医療費が多くかかった年は、確定申告で所得税が安くなることをご存知の方も多いでしょう。実は、医療費控除では住民税も安くなります。所得税の確定申告をすれば、住民税のために追加で手続きをする必要はありません。
医療費控除とは
医療費控除とは、所得税の計算をするときに、課税対象の所得から医療費を差し引くものです。医療費は本人のものだけでなく、同一生計の家族のものも含みます。
医療費控除の金額は、実際に支出した医療費から10万円を引いた額です。生命保険・医療保険から入院給付金を受け取った場合や、健康保険から高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを受け取った場合は、その金額も医療費から差し引きます。
医療費控除の金額の計算方法は、次の図で表すことができます。
具体的な計算式は以下の通りです。
(※)所得が200万円未満の人は所得の5%
保険金の対象となる医療費よりも高い保険金が補填される場合、医療費を超える部分の金額は切り捨てとなります。そのほかの医療費の支払いから差し引かれることはありません。
医療費控除の対象になるものとならないもの
医療費控除の対象になるものとならないものは、次の表のとおりです。幅広い範囲の費用が認められる一方で、診療や医療に直接関係ないものは認められません。
医療費控除の対象になるもの |
|
医療費控除の対象にならないもの |
|
平成29年からセルフメディケーション税制が創設される
医療費控除の特例として、平成29年からセルフメディケーション税制が創設されます。セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」をいいます。
セルフメディケーション税制では、医薬品の購入金額が1万2,000円を超えると所得控除が受けられます(上限は8万8,000円)。
ただし、健康維持や病気の予防のために健康診断や予防接種などを行っていることが条件です。また、医薬品であれば何でもよいわけではなく、対象となる品目が指定されています。
なお、セルフメディケーション税制と医療費控除を同時に適用することはできません。
医療費控除は住民税にも適用される
医療費控除は課税の対象になる所得から医療費を差し引くものです。医療費控除を適用するために確定申告をすると、所得税だけでなく住民税も安くなります。住民税のために追加で手続きをする必要はありません。
所得にかかる住民税の税率は10%(都道府県民税・市区町村民税の合計)であることから、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税が安くなります。
所得税の場合、年末調整で納税が済んでいる人は、医療費控除で安くなった分だけ税額が還付されます。ただし、住民税は翌年6月以降に納めるため、所得税のように還付されることはありません。医療費控除で安くなった後の税額を6月以降に納めることになります。
医療費控除は所得税と住民税の節税になる
医療費控除は本人や同一生計の家族のための医療費を所得から差し引くものです。入院や通院の費用だけでなく、医薬品の購入費や介護の費用も対象になります。
医療費控除を適用すると、所得税だけでなく住民税も安くなります。ただし、確定申告をすると安くなった税額がすぐに住民税に反映されたり、税額が還付されたりするわけではありません。住民税に反映されるのは、翌年6月からになる点を覚えておきましょう。
よくある質問
医療費控除とは?
所得税の計算をするときに、課税対象の所得から医療費を差し引くもので、医療費は本人のものだけでなく、同一生計の家族のものも含みます。詳しくはこちらをご覧ください。
医療費控除の対象になるものは?
「医師・歯科医師による診療・治療のための費用」や、「人間ドックや健康診断の費用」などが対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。
医療費控除は住民税にも適用される?
されます。所得にかかる住民税の税率は10%(都道府県民税・市区町村民税の合計)であることから、医療費控除額の10%に当たる金額だけ住民税が安くなります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
アルバイト・パートの有給は何日もらえる?半年の取得条件や最大付与日数を解説
アルバイト・パート従業員の有給日数は、勤続年数や週の勤務日数によって異なります。 また、アルバイト・パートなら誰でも有給が取れるわけではありません。有給の付与には条件があります。 この記事では有給日数の計算方法や、付与の条件、有給の最大日数…
詳しくみる源泉徴収税の納付期限はいつ?所得税・住民税の処理方法や納付方法を解説
給与から天引きされているのは、社会保険料や雇用保険料だけではありません。所得税や住民税などの税金も源泉徴収や特別徴収され、給与から天引きされています。 当記事では、源泉徴収(特別徴収)税について、納付期限や納付手続き、利用可能な特例など、多…
詳しくみる石川県の給与計算代行の料金相場・便利なガイド3選!代表的な社労士事務所も
石川県は伝統工芸の産地として有名で、加賀友禅や金沢箔など高品質な製品が国内外で評価されています。また、製造業や観光業も盛んで、多様なビジネスが活発に行われています。このような多岐にわたる業種では、給与計算の正確性と効率化が企業運営において重…
詳しくみる住民税決定通知書とは?入手方法や用途について解説
地方税である住民税では、自治体から「住民税決定通知書」が交付されます。決定した税額を通知する文書ということはわかっても、その用途など、詳しいことについては意外と知らないものです。今回は、住民税決定通知書が必要となるケースや文書中で確認すべき…
詳しくみる役員報酬とは?給与との違いや相場・決め方などを解説
役員報酬とは、取締役や監査役といった役員に支払う報酬を指します。役員報酬は従業員に支払う給与とは異なり、一定のルールを厳守しなければ損金に計上することはできません。この記事では、役員報酬と給与の違い、相場や決め方などをわかりやすく解説してい…
詳しくみるエクセル(Excel)で時給の給与計算が上手くいかない!正しく計算する方法を解説
エクセル(Excel)で時給の給与計算をする際は、そのまま「時給」×「時間」の計算をすると上手く計算できないため、注意が必要です。残業の際の割増賃金も、注意して計算しなければなりません。 本記事では、エクセルで時給の給与計算をする方法や関数…
詳しくみる