• 更新日 : 2025年7月14日

源泉徴収票を紛失したら再発行が可能|手続き方法と代替書類の入手方法を解説

源泉徴収票は紛失してしまった場合でも再発行が可能です。

源泉徴収票は、収入を明確にする場面で必要となる書類ですが、即日発行が難しいケースが多いため、再発行は期日に余裕をもった依頼が必要になります。

本記事では、源泉徴収票を紛失した場合の発行手続き方法や発行までの日数、代替となる書類をわかりやすく解説します。

源泉徴収票を紛失した際、再発行は可能である

源泉徴収票をなくしてしまっても、基本的には再発行が可能です。

源泉徴収票は、会社が従業員に発行する義務のある書類であるため、在職中・退職後を問わず、勤務先に依頼すれば再発行してもらえます。

なお源泉徴収票とは、毎年1月から12月までの1年間に支払われた給与や、そこから差し引かれた所得税の金額などが記載された書類です。

確定申告や住宅ローンの申し込み、保育園の入園手続きなど、さまざまな場面で「収入証明書」として求められます。

源泉徴収票は、給与を支払った企業(源泉徴収義務者)が従業員に対して交付することが法律で定められており、万が一紛失しても、何度でも再発行が可能です。

発行にあたって手数料は不要で、基本的には無料で対応してもらえます。

なお、以下の記事では、「そもそも源泉徴収とはなにか?」さらに源泉徴収票の再発行についてもより詳しく解説しています。

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再発行は勤務先に依頼

再発行を希望する場合は、在職中であれば所属する会社の人事・総務部門に依頼しましょう。

多くの企業では、口頭やメールなどで簡単に申請が可能ですが、会社によっては再発行依頼書の提出や、専用フォームから依頼が必要になります。

また、希望すれば紙媒体だけでなく、PDF形式などの電子データで発行してもらえる会社も増えています。

ただし即日対応できるとは限らないため、提出期限が迫っている場合は、できるだけ早めに依頼するようにしましょう。

退職後でも元勤務先に再発行依頼が必要

すでに退職している場合、源泉徴収票は「当時の勤務先」に依頼して再発行してもらう必要があります。

退職時にもらったはずの書類を紛失した場合や、そもそも受け取っていなかった場合は、電話やメール、郵送などで元勤務先に連絡を取りましょう。

このとき、企業側が本人確認を行うため、氏名・在籍期間・社員番号などの情報を伝えるとスムーズです。

会社によっては、再発行用の申請書の記入を求められることもあります。退職から時間が経過している場合でも対応してくれることが多いので、まずは丁寧に依頼してみましょう。

勤務先以外では源泉徴収票を再発行できない

源泉徴収票を再発行できるのは、給与を支払った勤務先だけです。市役所や税務署、コンビニなどでは対応していません。

源泉徴収票は、会社(=源泉徴収義務者)が従業員に対して発行するものであり、その会社が作成・管理している法定調書の一部にあたります。

税務署ではあくまで“提出された情報の確認”のみが可能で、源泉徴収票そのものの再発行は行っていません。

また、市区町村で発行される「課税証明書(所得証明書)」も、年収や税額を証明する書類として使える場合がありますが、これも源泉徴収票の正式な代わりにはなりません。

源泉徴収票が必要な手続きには、原則として勤務先に直接依頼する必要があるという点をしっかり覚えておきましょう。

再発行にかかる日数と費用の目安

源泉徴収票の再発行には、通常数日〜1週間程度かかるのが一般的です。

企業の対応スピードや申請の混雑状況によっては、さらに時間がかかることもあります。

即日での再発行を希望する人も多いですが、企業の多くは「年末調整業務」や「申請対応のフロー」を経て発行するため、即日の発行は難しいケースが多いです。

とくに郵送での対応を希望する場合は、さらに数日かかる可能性があります。

また再発行自体には原則として費用はかかりませんが、郵送対応をお願いする場合は、切手代や返信用封筒の同封を求められることがあります。

万が一転職先の年末調整の締切が迫っているといった緊急の事情がある場合は、依頼時に「いつまでに必要か」をしっかり伝えることが重要です。

企業側が可能な範囲で優先対応してくれるケースもあります。

源泉徴収票の再発行のために必要な手続き

源泉徴収票の再発行手続きは、現在の雇用状況や職種によって異なります。

この章では、よくある5つのケースに分けて、それぞれの再発行方法を詳しく解説します。

「自分の状況に当てはまるケース」を選んで、再発行に必要な手続きを確認しましょう。

在職中の場合

在職中に源泉徴収票を紛失した場合は、勤務先の担当部署に直接依頼しましょう。

依頼方法は、口頭・メール・社内チャットなどでも問題ありませんが、会社によっては専用の申請書類や社内フォームからの依頼が必要な場合もあります。

最近では、電子明細システムやPDFファイルでの再発行に対応している企業も増えており、メール添付やポータルからのダウンロードが可能なケースもあります。

退職後や連絡しづらい場合

退職後であっても、源泉徴収票は元勤務先に依頼すれば再発行してもらえます。

ただし、会社側との接点がなくなっているため、やや丁寧なアプローチが必要です。

再発行を依頼する際は、メールや手紙などで、相手に配慮した丁寧な文面を心がけましょう。

また担当部署の連絡先がわからない場合は、企業の公式サイトのお問い合わせフォームや、代表電話にかけて「人事・総務の担当者宛に」と依頼すれば取り次いでもらえます。

氏名・在籍期間・部署・退職日などを伝えると本人確認がスムーズです。

年金受給者の場合

年金を受け取っている方の源泉徴収票は、勤務先ではなく「年金支給元」から発行されます。

たとえば、厚生年金や国民年金の受給者は、日本年金機構が発行元です。

紛失してしまった場合は、「ねんきんダイヤル」または最寄りの年金事務所に連絡し、再発行を依頼します。

再発行には1〜2週間程度かかる場合があるため、早めの対応がおすすめです。

手続きの際は、基礎年金番号やマイナンバーなど、本人確認に必要な情報を手元に用意しておくとスムーズです。

公務員の場合

公務員の源泉徴収票は、所属している(またはしていた)官公庁や地方自治体が発行します。

  • 現職の方は、所属機関の人事課や共済組合に依頼
  • 退職済みの場合は、当時の所属先に連絡し、再発行を依頼
  • 地方公務員は、市区町村の庁舎にある人事担当へ
  • 国家公務員の場合は、担当省庁や所属機関の総務へ連絡

それぞれの機関で手続き方法が異なるため、事前にWebサイトや電話で確認するのが安心です。

会社が倒産している場合

勤務先が倒産している場合でも、源泉徴収票の再発行が可能な場合があります。

まず、破産管財人が選任されている場合は、そちらに連絡を取りましょう。

連絡先が不明な場合は、法務局や官報に情報が掲載されていることがあります。

それでも連絡がつかない場合は、最寄りの税務署に相談し、「所得課税証明書」「支払調書」などの代替書類を取得する対応になります。

これらの書類でも、確定申告や一部の収入証明として利用できるケースがありますので、手続きの目的に応じて税務署に確認することが大切です。

源泉徴収票の再発行を断られた場合の対処法

原則として、会社は従業員に源泉徴収票を交付する義務があります。

しかし再発行については法的に明確な義務があるわけではなく、会社の都合や状況によっては対応してもらえないケースも存在します。

たとえば、以下のような理由で再発行を断られることもあるので覚えておきましょう。

  • 退職から時間が経過しており、すでに記録が残っていない
  • 会社自体が倒産・廃業しており、対応できる担当者が不在
  • 小規模企業で再発行の体制が整っていない

このような場合でも、源泉徴収票の代わりになる書類を活用すれば、多くの手続きに対応可能です。

なお、源泉徴収票の代わりになる書類には、以下の一例があります。

  • 所得課税証明書
  • 給与明細や通帳の振込履歴
  • 確定申告書の控え

「再発行できない=手続きができない」ではありません。焦らず、使える書類を整理して、用途に応じて臨機応変に対応することが大切です。

源泉徴収票が必要になるケース

源泉徴収票は、単に給与や税金の記録としてだけでなく、さまざまな手続きで「収入証明書」として提出を求められる大切な書類です。

ここでは、とくに多くの人が直面する代表的な4つのケースを紹介します。

「自分がいつ必要になるのか」「紛失したときにどうすればよいか」を把握するために、以下のシーン別に確認してみましょう。

ケース1. 確定申告をするとき

自分で確定申告を行う場合、源泉徴収票は必須書類です。

以下のような方は、申告時に源泉徴収票が求められます。

  • 年の途中で退職し、再就職していない人
  • 副業やフリーランスなどで年末調整を受けていない人
  • 医療費控除ふるさと納税などで還付申告を行う人

源泉徴収票に記載されている「支払金額」「所得控除額」「源泉徴収税額」などの情報は、課税所得を正確に計算するための重要なデータとなります。

これがないと、税務署が正確な審査を行えないため、確定申告の手続きが進められません。

ケース2. 住宅ローンを組むとき

住宅ローンを申し込む際は、安定した収入を証明するために源泉徴収票の提出が求められます。

多くの銀行・金融機関では、直近1年分(場合によっては2~3年分)の源泉徴収票を提出することで、借入希望者の返済能力や勤続年数を審査します。

この書類がないと審査が進まず、融資が遅れたり、希望額が通らないといったリスクもあったりするので、再発行が可能であれば会社に依頼するようにするとよいでしょう。

一部では、確定申告書や課税証明書で代用可能な場合もありますが、提出先の判断により異なるため、事前に確認が必要です。

ケース3. 再就職するとき

転職先の企業では、年末調整を行うために前職の源泉徴収票の提出が必要です。

とくに年末が近い時期に転職した場合は、前職と現職の給与が正しく申告されるよう、前職の支払い状況を把握する必要があります。

源泉徴収票が提出できないと、新しい会社で年末調整ができず、自分で確定申告を行う必要が生じる可能性があります。

また「入社後◯日以内に提出」と指示されることもあるため、事前に元勤務先から取り寄せておくことが重要です。

ケース4. 子どもを入園させるとき

保育園や幼稚園の入園申請では、保護者の所得証明として源泉徴収票が求められます。

申請者の年収に応じて、保育料や優先度が決定されるため、前年分の正確な収入を証明できる書類として必須です。

多くの自治体では、毎年10月〜1月ごろに翌年度の入園申し込みを受け付けており、この時期に源泉徴収票の提出が求められます。

万が一紛失していて再発行が間に合わない場合は、「課税証明書(所得証明書)」での代替が可能な自治体もあるため、早めに確認しておきましょう。

源泉徴収票の再発行ができない場合の代替書類一覧

源泉徴収票がどうしても再発行できない場合でも、申請内容や手続きの種類によっては代替書類で対応可能なケースがあります。

以下に代表的な代替書類4種類と、それぞれの概要・活用できる場面・注意点をまとめました。

書類名概要活用できる場面注意点
所得(課税)証明書(市区町村発行)住民税課税額の算出に使われた前年の所得を証明する書類。自治体によって、所得証明書と課税証明書が同一の場合と別々の書類の場合がある。保育園・幼稚園の入園申請、学童、奨学金、住宅支援などの所得証明に使用可能。源泉徴収額や控除内容は記載されない。確定申告では代替にならないことがある。
給与明細勤務先が月ごとに発行する給与の明細書。支給額・控除額・手取りなどが記載されている。転職先への収入証明、賃貸契約、各種補助金申請など、直近の収入確認に使用。年間収入の証明にはならない。税務手続きには不十分な場合がある。
通帳・振込履歴給与振込が記録された銀行通帳やインターネットバンキングの取引履歴。前職での給与の支払い実績の証明として利用可能。金融機関の審査などにも使える。支給額の記録しかなく、税額や控除情報がない。用途によっては証明力が弱い。
確定申告書の控え自分で確定申告を行った際に税務署へ提出した書類の写しまたは控え。フリーランス・副業など、過去の収入証明として提出できる。ローン・補助金などにも。税務署から再発行してもらうには開示請求が必要。申告内容が確定している必要あり。

代替書類が使えるかどうかは、提出先(役所・企業・金融機関など)の判断によって異なります。

提出を求められている書類が「源泉徴収票に限る」のか、「収入証明があればOK」なのかを必ず確認しましょう。

源泉徴収票の紛失防止にはマネーフォワードなどのクラウド管理が便利

源泉徴収票は、一度なくしてしまうと再発行の依頼や手続きに手間がかかるため、そもそも紛失しない仕組みを作っておくことが大切です。

最近では、紙の書類をスキャンしてデジタル管理する人も増えていますが、さらに便利なのが、マネーフォワード クラウドなどのクラウド型管理サービスの活用です。

マネーフォワード クラウドの活用は、以下のようなメリットがあります。

  • 給与明細や源泉徴収票などの書類をデータで一元管理
  • 確定申告に必要な情報を自動で集計・整理
  • 過去の書類もいつでもPCやスマホから確認可能

マネーフォワードクラウドには上記のような機能が備わっており、紛失リスクを最小限に抑えられます。

また会社側がマネーフォワード クラウド給与を導入している場合は、源泉徴収票の電子配布にも対応しているため、紙の書類が手元に届かなくても確認・保存ができます。

「もう書類探しで慌てたくない」「再発行の手間を省きたい」という方は、クラウドでの書類管理を取り入れるのがおすすめです。


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