- 更新日 : 2024年8月8日
法定調書とは?知っておきたい法定調書の基礎知識
「法定調書」と聞いてどのようなものをイメージするでしょうか。
法律に定められた書面だということは言葉からわかると思いますが、どのような書面なのかといわれるとピンとこない方も多いはず。
しかし、実は意外と目にしている書類です。今回は、法定調書とは何かについて解説していきます。
法定調書とは
法定調書というのは1種類の書類ではありません。所得税法や相続税法上などに、提出することが定められている資料のことです。法定調書の提出は義務となっており、提出先は税務署となっています。
簡単にいうと、税務署はお金の支払いがあった場合に、その事実を届出させることで、お金の動きを把握します。そのときに提出させる資料が法定調書です。
どのように活用されているのか
たとえば、A社がBさんに100万円の報酬を払ったとします。そうすると、A社はBさんに100万円の報酬を払ったとする支払調書を税務署に提出します。
このとき、Bさんが100万円の事業所得があったと確定申告すれば、両者の数値は一致し適正に申告されたものであることがわかります。
ところが、Bさんが確定申告をしない、あるいは50万円しか事業所得を得ていないとして確定申告をした場合、支払調書の内容と一致しないので、どちらかが間違っていることになります。
そうすると、税務署としては、「お尋ね」という問い合わせの文書を送付するか、あるいは、税務調査をして確認することになります。
つまり、支払調書があるおかげで脱税を防ぐことができる仕組みになっているわけです。
「お尋ね」にしろ、税務調査にしろ、あまりうれしいものではありません。そのような負担を減らすためにも、確定申告は間違えないよう提出しましょう。
法定調書の種類
所得税法等で規定されている法定調書は59種類あります。全部を紹介することはできませんので、主な法定調書についてみていきましょう。
1.給与所得の源泉徴収票
サラリーマンやアルバイトをしたことがある人なら、次にあるような給与所得の源泉徴収票をもらったことがあると思います。給与を支払う者は必ず作成しなければならないものです。
提出義務者
「給与所得の源泉徴収票」を提出するのは、給与を支払った側、つまり会社や事業主です。ただし、年末調整を行っていて税務署に提出しなければならないのは、次のような場合です。
1. 役員の場合:150万円を超えて支払われた給与等
2. 弁護士、司法書士、税理士等の場合:250万円を超えて支払われた給与等
3. その他の場合:500万円を超えて支払われた給与等
2.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
フリーランスの方などは原稿料や作業に対する報酬を受け取ることも多いと思います。このような場合に作成されるのが、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。
提出義務者
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出義務者は、外交員報酬、税理士報酬などの報酬、料金、契約金及び賞金の支払いをする人です。
提出する範囲の例示は、次のようなものです。
・外交員、集金人の場合:合計金額が50万円を超えて支払われた報酬、料金
・馬主の場合:75万円を超えて支払われた競馬の賞金がある年のすべての支払い額
・プロ野球選手の場合:合計5万円を超えて支払われた報酬や契約金
・弁護士の場合:合計5万円を超えて支払われた報酬や原稿料
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬の場合:一人に合計50万円を超えて支払われた診療報酬
提出期限
これらの法定調書は、原則として翌年1月31日が提出期限となっています。つまり、平成29年のいずれかの日に支払いがなされたならば、平成30年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。
その際には、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」をあわせて提出します。
まとめ
法定調書は意外にも身近にあるものだということがわかって頂けたかと思います。
今回紹介したもの以外にも、退職金を支払ったときに作成する「退職所得の源泉徴収票」、利子を支払ったときに作成する「利子等の支払調書」、生命保険金を支払ったときに作成する「生命保険契約等の一時金の支払調書」、株式を譲渡したときに作成する「株式等の譲渡の対価等の支払調書」など、お金が動くところに法定調書があります。
関連記事
・確定申告の源泉徴収票の見方
・給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の書き方
・正しく理解できていますか?支払調書と源泉徴収票の違いとは
よくある質問
法定調書とは?
所得税法や相続税法上などに、提出することが定められている資料のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
支払調書のメリットは?
脱税を防ぐことができます。詳しくはこちらをご覧ください。
法定調書の種類は何種類ある?
所得税法等で規定されている法定調書は59種類あります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
支払調書の関連記事
新着記事
入金確認書とは?書き方や印紙の扱いを解説(テンプレート付き)
入金確認書とは、取引先からの入金があった際に、金額や日付などを明記して通知するビジネス文書です。本記事では、入金確認書の基本的な知識から、具体的な書き方・印紙の扱い・よく似た書類との違いまでわかりやすく解説します。さらに、入金確認書を活用し…
詳しくみる定額課金とは?従量課金、継続課金との違いを解説
定額課金は、近年注目を集めているビジネスモデルの一つです。一定期間ごとに固定料金を支払うことで、サービスやコンテンツを利用できる仕組みです。従量課金や継続課金とは異なり、消費者・企業双方にとってメリットがあります。 本記事では、定額課金の概…
詳しくみるリカーリングレベニューとは?意味や具体例、活用方法を解説
リカーリングレベニューとは、継続的な契約で発生する定期的な収益のことです。リカーリングビジネスにより長期的に安定した収益が見込まれ、顧客との関係強化につなげられます。 本記事では、リカーリングレベニューの意味やサブスクとの違い、決済手段など…
詳しくみる消化仕入れとは?具体例や会計処理、仕訳をわかりやすく解説
消化仕入れとは、主に百貨店や大型ショッピングセンターで採用される仕入形態の1つです。この記事では消化仕入れの基本事項および具体例やメリット・デメリット、仕訳例をわかりやすく解説します。消化仕入れによる取引を検討している方や、消化仕入れの仕訳…
詳しくみる請求金額より少なく入金された場合の仕訳方法は?パターン別に解説
請求した売掛金に対して、入金が足りない場合はどのように対応すべきでしょうか。取引先への督促や仕訳の方法がわからない方も多いでしょう。 過少入金が発生した場合、まずは原因を特定することが重要です。本記事では、過少入金が起こる要因や仕訳の方法、…
詳しくみる費消率とは?計算方法や具体例、企業の財務管理に重要な理由を解説
費消率とは、企業が商品やサービスを提供するために実際に使用した資源の割合を示す指標です。本記事では、費消の意味や消費との違いから、費消率の計算方法や具体的な事例、そして企業の財務管理において費消率がなぜ重要なのかを解説します。 費消(ひしょ…
詳しくみる