• 作成日 : 2019年11月22日
  • 更新日 : 2019年11月22日

支払調書とは?支払調書の目的と記載内容

年末になると企業では支払調書を作成します。支払調書の作成手順自体はそれほど難しいものではありませんが、なぜ年末の繁忙期にこの調書を提出する必要があるのかわからない方も多いでしょう。

この記事では支払調書の概要、記載項目や計算方法についてご紹介します。支払調書の基礎を知りたい方は参考にしてください。

支払調書とはなにか?

支払調書_確定申告
支払調書とは法定調書のひとつです。法定調書とは、税務署が納税者の正確な支払いを把握するための書類のことです。法定調書の種類は多く、全部で60種類あります。その代表的なものが、源泉徴収票と支払調書です。

源泉徴収票とは従業員に対して会社が支払った給料と、徴収した税金の額を記載した書類です。これに対し、支払調書とは会社が個人事業主や法人に対して報酬などを支払った際に、支払いをした会社側が税務署に対して提出しなければならない書類です。

法定調書は、所得税法や租税特別措置法などの規定により企業に提出が義務付けられています。その中で、支払調書は法人や不動産業者などの個人に対し「誰に、どんな内容で年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類なのです。

支払調書にもいろいろある?

支払調書は、支払先ごとに支払内容や明細を記載して作成するもので、いくつかの種類があります。
主なものは以下の4つです。

1.報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
2.不動産の使用料等の支払調書
3.不動産等の譲り受けの対価の支払調書
4.不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

一般の企業では、1と2が多いかと思います。
支払調書については、どのような相手にどのような支払いをしたときに提出義務があるかということが、所得税法や租税特別措置法で規定されています。
支払調書の提出期限はいずれも報酬等の支払いがあった翌年の1月31日です。

1は、外交員や税理士をはじめ、一定の報酬、料金、契約金、賞金などを支払う方が対象です。

2は、不動産や借地権のように不動産の上にある権利などを借りた場合に、対価を支払う法人と不動産業者である個人の方が対象です。

3は、不動産や不動産の上にある権利などを譲り受けた際の対価を支払う法人と不動産業者である個人の方が対象です。

4は、不動産や不動産の上にある権利などについて売買したり貸付のあっせん手数料を支払ったりする法人と不動産業者である個人の方が対象です。

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の記載について

多くの企業でよく作成されるものとして、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(以下、支払調書)」があります。
弁護士や司法書士、税理士などへの報酬や原稿料、講演料、デザイン料などのいずれかは支払っていることが多いのではないでしょうか?

支払調書の提出義務が発生するのは、対象となる報酬を1人につき年間5万円以上支払った場合です。
支払調書の記載項目は、以下のような項目で構成されています。

・支払を受ける者:住所や個人番号などの現況
・区分:原稿料、講演料、教授料など報酬や料金の分類
・細目:書籍名や講義名、講義回数など
・支払金額:会計期間中に支払が確定した金額

支払調書の提出が必要かどうかは、区分に応じた支払い金額の合計により判断します。支払い金額は、1月から12月までの報酬の合計から支払調書の作成日時点における未払の報酬合計を差し引いて算出します。
そのため未払の報酬がある場合は、源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の合計を見積もる必要があります。

納めるべき源泉徴収税額は、以下の計算式で算出された数値から1円未満の端数を切り捨てて求めます。
支払金額等の合計×所得税と復興特別所得税をあわせた税率(10.21%)

最近は会計ソフトに支払調書作成機能があったり、国税庁のWeb上(e-Tax)でも支払調書が作成できたりします。したがって、自分で計算して用紙に記入するよりも会計ソフトやWebの作成機能を利用するほうが早いといえます。

金額については、消費税等の額を含めて判断しますが、消費税等の額が明らかに区分されているときは、その額を含めないで判断しても問題ないとされています。
なお、支払った報酬・料金などで源泉徴収の対象とならないものなどについても、支払調書の提出範囲に該当する場合には支払調書を提出する必要があります。

支払調書の提出期限やマイナンバーとの関係は?

支払調書は、原則として報酬等を支払った翌年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。その際、「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」を作成し、添付します。

支払調書の提出にあたっては、この合計表を含め、DVDなどの媒体での提出ができるほか、税務署税に出向くことなく、電子媒体を利用して自宅や事務所から提出できます。
ただし、電子媒体で申請をする場合には、あらかじめ所轄の税務署に申請し承認を受ける必要があります。

最後にマイナンバーについて注意点があります。
支払調書には支払者、受領者ともマイナンバーが必要です。支払者が法人の場合は法人番号が必要となります。慣例上、支払調書を税務署に提出する際、確認の意味で受領者に支払調書(写し)を発行する場合があります。

しかしこのときにはマイナンバーを記載することはできません。よって、税務署に提出したものと同じものを使用することができないので注意しましょう。

計算方法などをを理解して支払調書を正しく作成しよう

支払調書は、法律で提出が義務付けられている法定調書のひとつです。企業が従業員に対して支払った額を源泉徴収票にまとめるのと同様に、会社や個人事業主に報酬などを支払った場合についても、正確に取りまとめて税務署に報告する必要があります。

記載項目や計算方法の概要を踏まえつつ、目的を理解して支払調書を作成しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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