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  • 更新日 : 2021年4月2日

支払調書とは?いつ必要?知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説

支払調書とは法定調書のひとつです。法定調書とは、税務署が納税者の正確な支払いを把握するための書類のことです。法定調書の種類は多く、全部で60種類あります。この記事では支払調書の概要、記載項目や計算方法についてご紹介します。支払調書の基礎を知りたい方は参考にしてください。

支払調書とはなにか?知っておきたい基礎知識

支払調書
支払調書とは法人や個人に対し「誰に、どんな内容で年間いくら支払ったか」を税務署に報告するための書類です。

支払調書とは法定調書のひとつで、税務署が納税者の正確な支払を把握するための書類です。法定調書は全部で60種類あります。中でも代表的なものが、従業員の給与や役員報酬に関する「給与所得源泉徴収票」と「支払調書」です。ほかにも、退職金の支払があったときに作成する退職所得の源泉徴収票、租税特別措置法規定の特定口座年間取引報告書、確定申告者の国外転出特例対象財産に関わる財産債務調書などがあります。

支払調書は、税務署への提出義務があります。どのような相手にどのような支払をしたときに提出義務があるか、所得税法や租税特別措置法、相続税法などで規定されています。

なお、法定調書のうち、報酬に関わる支払調書、源泉徴収票が広く知られていますが、同じ法定調書でも内容は異なります。源泉徴収票は、年末調整を行ったあとの給与所得や退職所得に関連する支払です。報酬等の支払調書は、給与所得にならないフリーランスや専門家などへの支払の内容が記載されます。

支払調書の代表的な種類は4つ

支払調書は、支払先ごとに支払内容や明細を記載して作成するもので、いくつかの種類があります。
主なものは以下の4つです。

  1. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  2. 不動産の使用料等の支払調書
  3. 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  4. 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書

一般的に企業で扱われる支払調書は、1と2が多いかと思います。

1は、外交員や集金人への報酬、顧問料など弁護士や税理士に支払う報酬、講演料、社会保険診療報酬支払基金の診療報酬など、一定の報酬・料金・契約金・賞金などが対象で、報酬等を支払う人が税務署に提出します。

2は、不動産を借りたり、借地権のような不動産の上にある権利を借りたりすることで対価を支払った場合、支払いを行った法人、または不動産業者である個人が税務署に提出します。

3は、不動産や不動産の上にある権利などを譲り受けた際の、対価を支払う法人、あるいは不動産業者である個人が税務署に提出します。

4は、不動産や不動産の上にある権利などについて、売買で対価を支払ったり、紹介料のような貸付けのあっせん手数料を支払ったりする法人、または不動産業者である個人が税務署に提出します。

税務署への提出期限はいつまで?

支払調書は、原則として報酬等を支払った翌年1月31日までに税務署に提出しなければなりません。その際、「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」を作成し、添付します。

支払調書の提出にあたっては、CDなど光ディスクでの提出ができるほか、税務署税に出向くことなく、インターネットを利用(国税電子申告・納税システムのe-tax)して自宅や事務所からの提出が可能です。
ただし、電子媒体で申請をする場合には、あらかじめ所轄の税務署に申請し承認を受ける必要があります
なお、2021年1月1日以降の提出については、前々年提出すべき法定調書が種類ごとに100枚以上になるときは、光ディスクかe-taxを利用して提出することが義務付けられています。なお以前は1,000枚以上に電子申告などによる提出義務が定められていました。

経理担当者が支払調書を発行するタイミングは?

支払先に支払調書を発行する場合、そのタイミングは、できれば1月が望ましいです。その理由は、個人確定申告に間に合うタイミングを考慮して2月上旬に届くようにすると、受け取る側の確定申告に間に合うためです。

ちなみに、所得税の確定申告の時期は、原則2月16日から3月15日です。ただし、土日祝を挟む場合は翌平日が提出期限となります。電子申告の場合はもう少し早めに提出ができますが、支払調書の作成時間もありますので、発行する場合は2月上旬には届くようにしておくと、受け取る側も安心できるでしょう。確定申告書に支払調書を添付する義務はありませんが、確定申告書作成時に支払内容を確認するための書類として支払を受ける人は利用しています。

企業がよく作成する「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(以下、支払調書)」の記入方法

支払調書の記載項目は、以下のような項目で構成されています。

  1. 支払を受ける者
  2. 区分
  3. 細目
  4. 支払金額
  5. 源泉徴収税額
  6. 摘要
  7. 支払者

上の図は、支払調書のうち、企業が作成することの多い「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の書式です。記載項目は、大きく以下の7つに分けることができます。それぞれの書き方や作成方法について具体的に見ていきましょう。

1:支払を受ける者

支払調書上部の「支払を受ける者」とは、報酬や料金を受け取った人のことです。支払調書を作成する企業側から見たら、企業が報酬や料金を支払った人を指します。

「支払を受ける者」に記載する項目は、住所あるいは所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号(右詰め)です。住所や所在地については、支払調書を作成する日の状況に応じて記入します。

2:区分

「区分」は、どのような内容の報酬や料金などを支払ったかを示す項目です。区分には、支払内容に応じて、以下のような記載をします。何に対しての報酬か、明確にわかるように書きます。

  • 専門家関連:弁護士報酬、税理士報酬、診療報酬
  • 作品関連:作曲料、書おろし印税、著作権、脚本料
  • フリーランス関連:原稿料、翻訳料、契約金
  • 講演関連:講演料、教授料
  • その他:俳優の報酬、外交員報酬、ホステス報酬、広告宣伝を目的とした賞金など

2:細目

「細目」は、区分に関連するより具体的な内容を書くための項目です。以下のように、具体的な作品名などを記入します。

  • 講演や講座については講演や講座の名称を記入
  • 弁護士報酬は弁護士が関与した事件名を記入
  • 印税の場合は作品名を記入
  • 俳優が報酬をもらう場合は出演した作品名を記入など

以上のように、細目は、区分をより具体的に補足するための項目になります。

4:支払金額

「支払金額」には、1月1日から12月31日の1年の間に支払が確定した金額を記入します。支払金額には、実際に支払った金額だけでなく、未払の報酬、控除額以下で源泉徴収を行わなかったものも含める点に注意が必要です。

なお、未払の報酬がある場合は、支払金額の欄を二段に分けて記載するようにし、上段に未払の額、下段に年度内に支払の確定した支払金額合計(消費税込)を記入するようにします。

金額については、消費税等の額を含めて判断しますが、消費税等の額が明らかに区分されているときは、その額を含めないで判断しても問題ないとされています。
なお、支払った報酬・料金などで源泉徴収の対象とならないものなどについても、支払調書の提出範囲に該当する場合には支払調書を提出する必要があります。

5:源泉徴収税額

「源泉徴収税額」に記載するのは、支払金額に対する源泉徴収すべき金額です。所得税と復興特別所得税の合計額を記入します。支払金額が未払のため源泉徴収もできていない場合は、未徴収の源泉徴収税額を内書します。内書の方法は、支払金額の欄と同様です。源泉徴収税額の欄を二段に分け、上段に未徴収分の金額、下段に源泉徴収税額の合計を記入します。

ただし、支払を受ける者が災害による被害で報酬等に関わる源泉徴収税などの猶予を受けた場合は、猶予分の税額は含めません。

納めるべき源泉徴収税額は、以下の計算式で算出された数値から1円未満の端数を切り捨てて求めます。

支払金額等の合計×所得税と復興特別所得税をあわせた税率(10.21%)

6:摘要

「摘要」は、以下のような特定の事由がある場合に記入します。

  • 診療報酬に家族診療分がある場合
  • 支払を受ける者が災害による被害で報酬等に関わる源泉徴収税などの猶予を受けた場合
  • 支払者が広告宣伝を目的に金銭以外の賞金を支払った場合
  • 支払を受ける者が源泉徴収の免除証明書を提出している場合
  • 支払を受ける者について法律上源泉徴収の必要がない場合

診療報酬や猶予を受ける源泉徴収税など金額についての注意事項がある場合は、適用欄にその額を記入するとともに、「支払金額」や「源泉徴収税額」の頭に特殊な文字や記号を記入します。

7:支払者

支払者は、報酬等を支払った個人や法人の情報を記入する項目です。支払調書を作成する企業や個人の住所または所在地、氏名または名称、個人番号または法人番号を記入します。

なお、ここまで作成方法を説明した「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、個別の支払調書です。全体の法定調書の合計を明らかにするために、個別の支払調書とは別に「給与所得の源泉徴収等の法定調書合計表」も支払調書の書き方に準じて作成し添付してから税務署に提出します。

マイナンバーは支払者・受領者の両方に必要

支払調書には支払者、受領者ともマイナンバーが必要です。支払者が法人の場合は法人番号が必要となります。
支払調書を作成する支払者に関しては保管する個人番号や法人番号を記載すれば良いのですが、問題は受領者の番号も取得する必要があることです。専門家やフリーランスに支払う報酬がある場合は、企業外部の人のマイナンバーをどう集めるかが課題になります。
これは、マイナンバーが個人を識別する個人情報になるためです。情報が漏えいしないように、対面で確認する、インターネット上の専用のシステムを利用するなど、セキュリティー対策を十分に行った上で取得する必要があります。
また、慣例上、支払調書を税務署に提出する際、確認の意味で受領者に支払調書(写し)を発行する場合があります。このときは、セキュリティーの面もありマイナンバーを記載することはできません。税務署に提出したものと同じものを使用することができないので注意しましょう。

支払調書の提出が必要かどうかはどう判断する?

個人や法人に報酬等を支払っても、すべての報酬に支払調書提出の義務があるわけではありません。支払調書の提出が必要かどうかは、区分に応じた個別の支払金額の合計により判断します。支払金額とは、1月から12月までの報酬等の合計から、支払調書の作成日時点における未払の報酬合計を差し引いた額です。
そのため未払の報酬がある場合は、源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の合計を見積もる必要があります。

支払調書の中でも多くの企業でよく作成されるのが「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。報酬等の支払調書の提出範囲は、以下のように決められています。

【報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出義務】

  • 弁護士等の報酬、作家などへの原稿料、講演料、プロ野球選手などの報酬や契約金:1人につき年間5万円超の支払がある
  • 外交員や集金人、プロボクサー、バー・キャバレーのホステスなどの報酬、広告宣伝のための賞金、社会保険診療報酬支払基金の支払う診療報酬:1人につき年間50万円超の支払がある
  • 1回の賞金金額が75万円を超える競馬の賞金で、支払を受けたものに対するすべての支払額

企業で作成することの多い弁護士や税理士、司法書士への報酬、フリーランスへの報酬については、報酬を個別に計算し、年間5万円を超える人だけ支払調書を作成します。報酬等年間5万円以下については提出義務がありません。

支払調書の作成方法

支払調書の作り方は、国税庁からの書式をダウンロードする方法や、エクセルで作成する方法があります。
支払調書の書式は、国税庁のホームページから、手書き用と入力用に分けてダウンロードできるようになっています。作成の対象者が少ない場合は、このような書式を活用して作成するのも良いでしょう。

>>報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の様式はこちら

作成枚数が多い場合は、エクセルを活用する方法もあります。毎年支払いを行っている対象者がいれば、区分や細目などの過年度分のデータが参考になります。
マネーフォワードクラウド給与では、法定調書にあたる給与所得の源泉徴収票が作成できます。個別の支払調書と合わせて提出が必要な「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」には自動で給与所得の源泉徴収票合計が入力されるようになっていますので、税務署提出時に活用できるのではないでしょうか。

会計ソフトを活用するなどでして、できるだけ入力や作成の手間を省けるようにするのがおすすめです。

計算方法などを理解して支払調書を正しく作成しよう

支払調書は、法律で提出が義務付けられている法定調書のひとつです。企業が従業員に対して支払った額を源泉徴収票にまとめるのと同様に、会社や個人事業主に報酬などを支払った場合についても、正確に取りまとめて税務署に報告する必要があります。
支払調書は手書きでも可能ですが、作成する枚数が多いと工数もかかります。できるだけスムーズに作成できるように、会計ソフトなど利用できるものは利用して作成することをおすすめします。

【参考】
国税庁|法定調書の種類
国税庁|法定調書の提出義務者
国税庁|「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等
国税庁|法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax又は光ディスク等による提出義務
国税庁|「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等
国税庁|「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等
国税庁|「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等

よくある質問

支払調書とは?

税務署が納税者の正確な支払を把握するための書類のことです。

必ず提出しなければいけないの?

はい。例外を除き、支払調書は報酬等を支払った翌年1月31日までに提出しなければいけません。

提出の際にマイナンバーは必要?

はい。支払者・受領者双方のマイナンバーが必要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。