- 更新日 : 2025年3月28日
会社役員の社会保険は義務?加入条件や取り扱いを解説
会社に雇用される社員は、要件を満たせば社会保険に加入できます。では、会社役員にはどのような加入要件があるのでしょうか?
役員と社員の場合における社会保険の加入義務、役員の社会保険が加入要件を満たして適用になるタイミング、個人事業主でも社会保険に加入できるのかについて解説しますので、社会保険の取り扱いで悩んでいる方は参考にしてください。
目次
役員と社員の社会保険適用についての違い
社会保険の資格取得・喪失の手続き方法に関しては役員も社員も同じですが、役員には「労働時間」や「賃金」といった取り扱いがないため、社会保険の適用については加入する要件が違ってきます。
役員と社員それぞれの加入要件について見ていきましょう。
社員の場合の社会保険
社会保険の適用事業所に常時雇用されている従業員や週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上、かつ1カ月間の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である方は社会保険が適用になります。
また、週の所定労働時間や1カ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3未満であっても、100人を超える会社に勤務し、週の所定労働時間が20時間以上など、一定の要件を満たす方も社会保険が適用になります。
役員の場合の社会保険
会社の役員の場合は労働時間や賃金の取り扱いがないため、社員のような明確な加入要件はありません。
代表取締役のような法人の代表者は、役員報酬が支払われているなら社会保険の適用があります。取締役のような常勤の役員も代表取締役と同様です。ただし、どちらも報酬がない場合は適用にはなりません。
会社の役員の場合、社会保険に加入義務はある?
会社の役員の中でも代表取締役や常勤の役員の場合は報酬がない、あるいは社会保険料が納付できない低額な報酬でなければ社会保険の加入義務があります。
非常勤役員の場合は役員報酬の支払いがあっても社会保険の加入義務はありません。
常勤、非常勤の判断基準は以下のような材料を例として判断します。
- 自社に定期的に出勤しているか
- 自社の職の他に多くの職を兼ねていないか
- 役員会等に出席をしているか
- 役員への連絡調整、または職員に対する指揮監督を行っているか
- 自社において求められて意見を述べる立場にとどまっていないか
- 自社からの報酬が、仕事の内容に見合った、仕事に必要な費用相当額になっていないか
役員の社会保険が適用になるタイミングは?
法人の役員は、社員等から役員に昇進した場合には健康保険、厚生年金保険には加入済みですので手続きは不要です。今まで通りの健康保険、厚生年金保険が利用できます。新たに外部から役員に就任した場合には、健康保険、厚生年金保険の手続きが必要になります。
法人ではなく個人事業主でも社会保険はある?
個人事業主でも加入できる社会保険には、国民健康保険、介護保険、国民年金の3種類があります。詳しい内容についてはこちらで確認してください。
会社役員は原則、社会保険に加入する必要がある
役員は、社員とは社会保険の加入要件が以下のように異なります。
- 報酬を受けていれば加入する必要がある可能性がある
- 常勤役員の場合は加入が必須だが、非常勤役員の場合は加入に判断が必要になる
- 社員から役員に昇進した場合には必要な手続きはないが、外部から役員に就任した場合には社会保険加入手続きが必要になる
役員の加入要件を再度確認し、必要に応じて年金事務所などにも確認するようにしましょう。
役員名簿のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
よくある質問
役員と社員の社会保険適用についての違いについて教えてください
一般的に言われている社会保険の加入要件については社員にはそのまま適用できますが、役員には「労働時間」や「賃金」といった取り扱いがないため、役員報酬が出ている場合には強制加入となるところが異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
会社の役員の場合、社会保険への加入義務はありますか?
法人の場合、代表取締役、取締役等の役員も社会保険には強制加入になります。ただし、役員報酬がない、または少額で社会保険料を控除できないような額の場合は社会保険に加入しなくてもよい場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
在職老齢年金とは?手続きの有無や計算方法を解説
会社員等は老齢厚生年金を受けられる年齢になっても在職している場合は、年金を受給しながら厚生年金保険に加入し続けることができます。 ただし、収入によっては年金額が支給停止されてしまう場合があるのです。これを「在職老齢年金」と言います。 今回は…
詳しくみる労災事故報告書とは?提出義務がある事故や記入例を解説
労災事故報告書は、一定の労災事故があったことを届け出る際に用いる書類です。事業場内で火災などが発生した場合は、労働安全衛生規則第96条の規定により、様式第22号を用いて報告しなければなりません。作成者は事業主、届出先は所轄労働基準監督署、提…
詳しくみる求職者支援制度とは? 給付金の条件や職業訓練の内容、手続きを解説
求職者支援制度とは、再就職や転職などに役立つ知識やスキルを身につけるため、給付金をもらいながら職業訓練を受講できる国の支援制度です。失業保険を受けられない人が対象者に該当します。 本記事では、求職者支援制度について解説します。職業訓練の内容…
詳しくみる社会保険の4分の3ルールとは?短時間労働者にかかわる制度
社会保険の加入基準の一つとして広く知られている「4分の3ルール」は、正社員と比べた労働時間や労働日数を基に、パートタイマーやアルバイトといった短時間労働者が社会保険に加入すべきかどうかを判断するために利用されます。 このルールの正確な理解は…
詳しくみる厚生年金基金の8つのメリット
厚生年金基金とは、企業年金の一種であり、厚生年金保険料の一部を「代行部分」として運用し、その運用益による「プラスアルファ部分」を公的年金に上乗せ支給する制度です。厚生年金基金の仕組みや給付について詳しく知りたい方は、「厚生年金基金と厚生年金…
詳しくみる産休の取得条件や手当とは?入社1年未満やパート・アルバイト、派遣社員まとめ
産休(産前産後休業)は正社員だけの制度ではなく、パートやアルバイト、勤続年数が浅い方でも条件を満たせば取得できます。本記事では、産休の基本的な取得条件から、雇用形態別のケース、休業期間、手当金の種類と金額について解説します。 産休(産前産後…
詳しくみる