- 更新日 : 2025年11月6日
会社役員の社会保険は義務?加入条件や取り扱いを解説
会社に雇用される社員は、要件を満たせば社会保険に加入できます。では、会社役員にはどのような加入要件があるのでしょうか?
役員と社員の場合における社会保険の加入義務、役員の社会保険が加入要件を満たして適用になるタイミング、個人事業主でも社会保険に加入できるのかについて解説しますので、社会保険の取り扱いで悩んでいる方は参考にしてください。
目次
役員と社員の社会保険適用についての違い
社会保険の資格取得・喪失の手続き方法に関しては役員も社員も同じですが、役員には「労働時間」や「賃金」といった取り扱いがないため、社会保険の適用については加入する要件が違ってきます。
役員と社員それぞれの加入要件について見ていきましょう。
社員の場合の社会保険
社会保険の適用事業所に常時雇用されている従業員や週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上、かつ1カ月間の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上である方は社会保険が適用になります。
また、週の所定労働時間や1カ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3未満であっても、100人を超える会社に勤務し、週の所定労働時間が20時間以上など、一定の要件を満たす方も社会保険が適用になります。
役員の場合の社会保険
会社の役員の場合は労働時間や賃金の取り扱いがないため、社員のような明確な加入要件はありません。
代表取締役のような法人の代表者は、役員報酬が支払われているなら社会保険の適用があります。取締役のような常勤の役員も代表取締役と同様です。ただし、どちらも報酬がない場合は適用にはなりません。
会社の役員の場合、社会保険に加入義務はある?
会社の役員の中でも代表取締役や常勤の役員の場合は報酬がない、あるいは社会保険料が納付できない低額な報酬でなければ社会保険の加入義務があります。
非常勤役員の場合は役員報酬の支払いがあっても社会保険の加入義務はありません。
常勤、非常勤の判断基準は以下のような材料を例として判断します。
- 自社に定期的に出勤しているか
- 自社の職の他に多くの職を兼ねていないか
- 役員会等に出席をしているか
- 役員への連絡調整、または職員に対する指揮監督を行っているか
- 自社において求められて意見を述べる立場にとどまっていないか
- 自社からの報酬が、仕事の内容に見合った、仕事に必要な費用相当額になっていないか
役員の社会保険が適用になるタイミングは?
法人の役員は、社員等から役員に昇進した場合には健康保険、厚生年金保険には加入済みですので手続きは不要です。今まで通りの健康保険、厚生年金保険が利用できます。新たに外部から役員に就任した場合には、健康保険、厚生年金保険の手続きが必要になります。
法人ではなく個人事業主でも社会保険はある?
個人事業主でも加入できる社会保険には、国民健康保険、介護保険、国民年金の3種類があります。詳しい内容についてはこちらで確認してください。
会社役員は原則、社会保険に加入する必要がある
役員は、社員とは社会保険の加入要件が以下のように異なります。
- 報酬を受けていれば加入する必要がある可能性がある
- 常勤役員の場合は加入が必須だが、非常勤役員の場合は加入に判断が必要になる
- 社員から役員に昇進した場合には必要な手続きはないが、外部から役員に就任した場合には社会保険加入手続きが必要になる
役員の加入要件を再度確認し、必要に応じて年金事務所などにも確認するようにしましょう。
役員名簿のテンプレート(無料)
以下より無料のテンプレートをダウンロードしていただけますので、ご活用ください。
よくある質問
役員と社員の社会保険適用についての違いについて教えてください
一般的に言われている社会保険の加入要件については社員にはそのまま適用できますが、役員には「労働時間」や「賃金」といった取り扱いがないため、役員報酬が出ている場合には強制加入となるところが異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
会社の役員の場合、社会保険への加入義務はありますか?
法人の場合、代表取締役、取締役等の役員も社会保険には強制加入になります。ただし、役員報酬がない、または少額で社会保険料を控除できないような額の場合は社会保険に加入しなくてもよい場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労災保険の休業補償とは?支給要件や申請手続きの流れをまとめて解説
企業において、労働者が業務中の事故や業務に起因する病気によって休業を余儀なくされた場合、労災保険の休業補償給付が適用になります。 この制度は、労働者が業務上の理由で働けなくなった際に、休業4日目以降から賃金の一部が補償される仕組みです。 企…
詳しくみる育休とは?期間や男性の取得、給付金(手当)、給与、会社の手続きまとめ
育児休業は、育児・介護休業法で定められた子育てのための休業制度ですが、産後パパ育休やパパ・ママ育休プラスなどが新設され、制度内容が複雑だと感じる人もいるでしょう。 本記事では、育休の期間や取得条件、育児休業給付金について解説します。急速に進…
詳しくみる建設業における労災保険の特徴は?単独有期と一括有期の違いなど
事業主は、労働者を雇用すれば原則として労働保険(労災保険、雇用保険)の適用事業所として加入義務が生じ、所定の手続きを行う必要があります。 一般的な業種の手続きは共通していますが、建設業など一部の業種の手続きは別に取り扱われます。 本稿では労…
詳しくみる共働き世帯の子供はどちらの扶養に入れるのがお得?扶養制度を利用するコツを解説
共働きで子どもを育てている家庭は珍しくありません。しかし、そのような場合には、どちらの扶養に子どもを入れることが正解なのでしょうか。また、その判断基準はどこにあるのでしょう。 当記事では、共働き世帯における扶養について解説します。制度を活用…
詳しくみる雇用保険の計算方法は?賃金月額・交通費・パートの場合について
雇用保険とは、失業した従業員への給付や、転職者の雇い入れ従業員のスキルアップを行う事業所(会社)の支援を行うための保険です。支払う賃金総額に応じて雇用保険料は計算されますが、雇用保険料率は事業の種類ごとに異なっているなど、いくつか注意点があ…
詳しくみる「有給を公休にされた」は違法?変更ルールや対応方法を解説
「せっかくの有給休暇が公休にされてしまった……」。そんな経験はありませんか?有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利ですが、企業によって「公休」として扱われてしまうことがあります。このような場合、法律上問題はないのでしょうか?また、どの…
詳しくみる