- 更新日 : 2025年7月23日
労働者名簿の必要項目とは?テンプレートをもとに記入例や書き方を解説
労働者名簿は労働基準法の規定により雇用者が作成する書類で、記載事項として複数の必須項目があります。具体的な様式に制限はありませんが、内容を頻繁に編集するため管理しやすい工夫をしましょう。場合によっては提出義務も生じます。この記事では労働者名簿の概要や書き方、誰が書くべきかなどについて解説します。
目次
労働者名簿とは?
労働者名簿は雇用者に対して労働基準法第107条により作成業務が義務化されている書類で、賃金台帳や出勤簿と合わせて「法定三帳簿」とも呼ばれます。場合によっては提出義務が生じるケースもあるため、忘れずに作成して保管しておきましょう。この章では労働者名簿の概要について解説します。
労働者名簿は法定三帳簿
労働者名簿は「法定三帳簿」に含まれる書類で、労働基準監督署が立ち入り検査を行う際に提出を求められる書類の1つです。残りの2種類は「賃金台帳」「出勤簿」で、いずれも労働基準法や労働基準法施行規則などに作成の必要性が記されています。法定三帳簿はいずれも会社の規模を問わず作成・保管が必要で、会社の実態を把握するために重要な書類です。
従業員の雇用には労働者名簿が必須
労働者名簿は適切な労務管理を行ううえで欠かせない書類のため、従業員を雇っている会社であれば必ず作成する必要があります。大企業も中小企業も変わりなく作成が求められます。従業員を雇っているならば、個人事業主でも作成の義務が課せられます。人事異動や入退社などで労働者情報に変化が生じれば、直ちに名簿も更新しなくてはなりません。なお、会社として複数の事業所を持っている場合は事業所ごとに労働者名簿を作ります。
労働者名簿の提出が必要なケース
作成後の労働者名簿は基本的に社内での保管に留まりますが、労働基準監督署の調査が入る際には提出を求められます。提出が必要になったタイミングで速やかに用意・提出できるように、保管体制や印刷体制などを整えておきましょう。
労働者名簿以外の法定三帳簿も提出を求められる機会が多く、いずれも提出を拒否したり虚偽の内容を記して提出したりすると処罰されるため注意が必要です。
労働者名簿の従業員は役員も含む?
労働者名簿に記載が求められる対象は、雇用しているすべての労働者が該当します。そのため、正社員だけでなくパートタイマーやアルバイトも労働者名簿に記載しなくてはなりません。一方、会社の代表者や役員は労働者に含まれないため対象外です。日雇い労働者や派遣社員も労働者名簿には記載されません。他社に出向している従業員の場合、在籍出向していれば出向元・出向先ともに記載する必要があります。移籍出向の場合は出向先のみ記載します。
個人事業主も労働者名簿の作成は必要?専従者は?
会社を設立していない個人事業主でも、従業員を雇っているならば労働者名簿の作成が求められます。企業規模や法人・個人などは関係ありません。
個人事業主と同居する家族は専従者として区分されて、基本的に労働者扱いにはなりません。ただ、事業主の家族でも就労実態などの使用関係がはっきりわかる場合は労働者としてみなされます。労働者であるとみなされれば労働者名簿の対象に含まれるため、忘れずに名簿を作成しておかなくてはなりません。
労働者名簿は誰が書く?資格は必要?
労働者名簿は、基本的に社内の労務担当部署が作成します。しかし、従業員本人以外は知らない情報も多いため、実際には従業員自身に書いてもらうケースも少なくありません。新入社員の入社時に必要な情報を記載できるよう別紙を用意して、労務担当者が情報を整理して名簿として仕上げます。
労働者名簿と従業員名簿は違う?
労働者名簿と似た言葉に、「従業員名簿」というものも存在します。「労働者名簿」は法律に基づいて作成が義務付けられた帳簿であり、「従業員名簿」はその内容を含むこともありますが、必ずしも法的要件を満たしているわけではありません。
つまり、「労働者名簿」と「従業員名簿」は同じものとして扱われる場合もありますが、その内容や目的によって違いが生じる可能性があります。企業内で従業員名簿と呼ばれるものを「労働者名簿」として使用する場合は、法定要件を満たすよう注意しましょう。
労働者名簿のテンプレート(ワード)
以下のリンクから、労働者名簿のテンプレートを無料でダウンロードできます。
実務でも活用できるような形式になっておりますので、業務に合わせて適宜変更し、活用してみてください。
なお、厚生労働省のホームページからも労働基準法第107条(労働基準法施行規則第53条)に示された要件を満たす様式の労働者名簿のテンプレートのダウンロードが可能です。
参考:主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)|厚生労働省
労働者名簿の書き方
労働者名簿の書式について、法的な決まりはありません。労働基準法第107条(労働基準法施行規則第53条)に示された必須記載事項を記載していれば、それ以外に追加の項目欄を設けたり、厚生労働省のテンプレートとは異なる様式で作成したりすることが可能です。
労働者名簿の書き方を以下で詳しく解説します。
9つの必須項目
労働者名簿の作成時には労働基準法、および同法施行規則で定められた9つの項目を必ず記載しなくてはなりません。必須項目は以下のものです。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇い入れた年月日
- 退職した年月日と事由
- 死亡した年月日と原因
退職事由が解雇の場合、解雇した理由も記載します。会社として常時雇用している従業員が30人未満の場合は、「従事する業務の種類」の記入は不要です。
なお、具体的な様式などは定められていないため、縦書き・横書きなども自由です。しかし、頻繁に追加や変更する可能性がある書類のため、使い勝手の良いテンプレートを活用して極力手間を減らしましょう。
必須ではないが記載するのが好ましい項目
労働者名簿に記載する項目が9種類ありますが、それらのほかにも記載しておくと役立つ項目が複数存在します。主なものとして「緊急連絡先」と「社会保険や雇用保険の関連事項」が挙げられます。会社ごとに役立つ項目は異なるため、各社で記載すべき項目を検討して追加しましょう。
マイナンバーを記載する場合は注意が必要
労働者名簿にマイナンバーを記載することは、法的にも実務的にも不適切といえます。マイナンバーの利用は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)によって厳しく制限されており、税務や社会保険手続きなど特定の目的以外で利用することは認められていません。
労働者名簿のような広い用途で使用される帳簿にマイナンバーを記載することは、違法となる可能性があります。
また、労働者名簿は社内で多くの人が閲覧する可能性がある一方、マイナンバーは特定個人情報として、一般的な個人情報よりも厳格な管理が求められます。アクセス権限の制限や暗号化、分離管理など、安全管理措置を講じることが法律で義務付けられており、これらを守らない場合には情報漏洩や罰則リスクが否定できません。
実務においても、労働者名簿とマイナンバーは分離して管理し、必要最小限の範囲で用いることに加え利用目的を明確化したうえで従業員に説明し同意を得る必要があります。さらに、最新のガイドラインや法令を随時確認し、安全管理体制を見直すことも求められるでしょう。
参考:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律|e-Gov法令検索
労働者名簿の記入例
労働者名簿の作成に用いる様式は定められておらず、任意の方法で作成できます。作成・編集をしやすくするために、一定の様式に統一しておきましょう。以下に労働者名簿記入の一例を紹介します。
氏名 | 生年月日 | 性別 | 住所 | 従事する業務の種類 | 雇入年月日 | 退職、または死亡 (年月日・事由) | 履歴 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
〇〇△△ | 1987年2月1日 | 男 | 東京都港区〇〇1-2-3 | 人事 | 2009年〇月〇日 | 2020年〇月〇日自己都合退職 | 2009年〇月〇日 本社採用、2014年〇月〇日本社人事部課長 |
労働者名簿について人事労務担当者がやるべきこと
人事労務担当者には労働者名簿関連での業務が複数課せられています。
主な業務は以下のものです。
- 労働者名簿の保管
作成後の労働者名簿を社内で厳重に保管しておきます。労働者名簿は労働基準法により5年間の保管が義務付けられており、期間内に廃棄・紛失などをすると罰金が科せられます。 - 労働者名簿の更新
労働者名簿に記載された情報を適宜編集します。名簿の情報は極力リアルタイムの状態を反映している必要があるため、入退社や異動などが発生するたびに書き換えましょう。 - 労働者名簿の作成
社員が入社して増えるたびに新しく名簿を作成します。会社が大きくなるほど名簿の規模が大きくなるため、管理効率を上げるために電子媒体の活用も有力な選択肢です。
労働者名簿の記載内容の更新手続き
労働者名簿は、作成後も「記載内容が変更された場合には遅滞なく訂正」することが求められています。どのようなタイミングで更新が必要なのか、またその際の手続きについて解説します。
更新が必要な変更事項
労働者名簿に記載すべき項目には、氏名、生年月日、性別、住所、雇入年月日、退職年月日、退職の事由、業務の種類などが含まれます。これらの情報に変更が生じた場合は、速やかに名簿の記載内容を更新しなければなりません。
たとえば、結婚や引っ越しによる氏名や住所の変更、部署異動による業務の変更、契約社員から正社員への雇用区分の変更などが該当します。退職時も「退職年月日」および「退職の事由」(例:自己都合・会社都合など)を正確に記載する必要があります。
更新のタイミング
名簿の更新は「変更があった時点で遅滞なく」行うのが原則です。以下のようなタイミングが該当します。
- 氏名変更:住民票の変更届が提出された日以降すぐに更新
- 住所変更:会社に届け出があった時点で記録を修正
- 部署異動や役職変更:人事発令日または辞令交付日に合わせて更新
- 退職:退職日当日または退職手続きが完了した時点で記載
これらを放置すると、記録と実態に齟齬が生じ、労働基準監督署の調査時に是正指導を受ける可能性があります。また、労働者からの確認請求や各種証明書の発行にも支障をきたすおそれがあります。
更新に必要な手続き
労働者名簿の更新を行うには、まず従業員からの正式な申請が必要です。たとえば、住所変更や氏名変更の場合は、本人からの申請書や住民票、運転免許証などのコピーをもとに、正確な情報を確認します。
異動や役職変更の場合は、人事発令書または社内通知書に基づいて更新を行います。退職に関しては、退職届や退職願の写し、および社内の退職承認手続きを経たうえで情報を記載します。
また、更新内容や変更日を記録として残すため、変更履歴を管理できるシステムを導入する、もしくは手書き名簿の場合は訂正箇所に訂正印を押すなど、履歴の保存にも配慮が必要です。
更新漏れを防ぐ体制づくり
名簿の更新を確実に行うには、従業員からの情報提供と人事部門の管理体制が連携していることが重要です。更新漏れを防ぐためには、定期的に名簿の記載情報を見直す「棚卸し」の機会を設けるのが有効です。
たとえば、年1回の人事情報更新月を設定し、全従業員に氏名・住所・緊急連絡先などを自己申告させる方法があります。また、クラウド型の人事管理システムを活用すれば、従業員自身がマイページで変更申請できるようにすることも可能です。
労働者名簿の保管方法と保管期間
労働者名簿は、労働基準法により適切な保管が義務付けられています。保存期間は2020年4月の法改正により3年から5年に延長されましたが、当分の間は経過措置として3年間の保存も認められています。保存期間の起算点は、労働者が退職・解雇された日、または死亡した日です。
保管方法には紙媒体と電子データの両方が認められていますが、電子データで保管する場合は以下の要件を満たす必要があります。
- 必要な情報がすぐに確認でき、画面表示や印刷が可能な状態であること
- 労働基準監督署の調査に速やかに対応できること
- データの改ざんや消失を防ぐための適切な措置が講じられていること
なお、電子データであっても、法定の保管期間や情報保護のルールは変わりません。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索
参考:労働基準法施行規則| e-Gov 法令検索
参考:労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。|厚生労働省
労働者名簿と賃金台帳・出勤簿との連携
労働基準法により作成・保管が義務付けられている「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」は、いずれも労務管理の基礎資料であり、正確かつ相互に整合性の取れた内容であることが求められます。これらの帳簿を連携させて管理することは、法令遵守の徹底だけでなく、業務効率や労使トラブルの防止にもつながります。以下で、連携の重要性と実務での対応方法を解説します。
法定三帳簿の役割
まず、法定三帳簿の役割を整理しておくことが重要です。
労働者名簿は、従業員の個人情報(氏名・住所・雇入日・退職日・業務内容など)を管理するもので、いわば「人事台帳」の役割を果たします。賃金台帳は、各従業員の給与支払状況(支給額・控除額・労働時間・支給日など)を記録する帳簿で、正確な賃金計算に不可欠です。出勤簿は、日々の出勤状況や労働時間、残業・休日出勤などを記録し、勤怠の根拠として利用されます。
この三帳簿がそれぞれ独立している場合、記載内容に齟齬が生じやすく、管理の手間もかかります。逆に、相互に連携することで、記録ミスや確認作業の手間を削減できます。
法定保存義務と労基調査対応の観点からも連携が重要
法定三帳簿は、それぞれ5年間(経過措置により当面3年間)保存する義務があり、労働基準監督署の調査時にはその整合性が重視されます。たとえば、出勤簿上は残業があるにもかかわらず、賃金台帳に残業代の支給記録がない場合、不払い残業を指摘される可能性があります。
逆に、連携された帳簿が正確に整備されていれば、調査時にもスムーズに対応でき、企業の労務管理体制の信頼性を高めることができます。
情報の整合性を保つための連携ポイント
三帳簿の連携において、まず重要なのは「基本情報の統一」です。たとえば、労働者名簿に記載されている氏名や雇用形態、雇入年月日などが、賃金台帳や出勤簿と一致しているかを定期的に確認する必要があります。これらの情報がずれていると、労働時間に対する賃金計算の根拠が曖昧になり、未払い賃金や不正受給といった労務トラブルの原因となり得ます。
また、部署異動や昇格・降格などの人事情報も名簿に反映されるべきですが、これが反映されていないと、職種手当や管理職手当などの賃金項目に誤りが生じるおそれがあります。したがって、人事異動があった際は三帳簿すべてに情報を反映させることが必要です。
勤怠・給与システムとの連動で自動化を進める
近年は、クラウド型の人事労務管理ソフトの導入が進んでおり、これを活用することで三帳簿の情報を一元管理・自動連携することが可能になります。たとえば、従業員の雇入時に労働者名簿に入力した情報をもとに、賃金台帳や出勤簿に自動転記されるよう設定すれば、入力ミスや二重登録を防げます。
また、出勤簿で集計された労働時間データをもとに賃金台帳に給与額が自動計算されるなど、システム連携により事務作業が大幅に軽減されると同時に、帳簿間の整合性も保たれます。特に複数拠点やパート・アルバイトを多く抱える事業所では、このような連動機能が非常に効果的です。
労働者名簿の電子化とクラウド管理
労働基準法第107条により作成・保存が義務付けられている「労働者名簿」は、従来は紙での管理が一般的でしたが、近年では電子化やクラウドシステムを活用した運用が急速に広がっています。人事・労務業務の効率化や情報の一元管理を進めるうえで、電子化は有効な手段ですが、同時に法令遵守やセキュリティ面での注意も必要です。以下に、そのメリットと留意点を解説します。
電子化・クラウド管理のメリット
労働者名簿を電子化・クラウド化する最大の利点は、「情報の検索性と更新性の向上」です。紙の台帳では、異動・昇進・氏名変更などの都度、記入・訂正が必要で、誤記や転記ミスが発生しやすくなります。一方、電子化すれば、一元的にデータ管理が可能となり、担当者が最新の情報に即時アクセスでき、更新の反映も迅速です。
また、クラウド型の人事管理システムを活用することで、従業員ごとの名簿情報を他の法定帳簿(賃金台帳・出勤簿)とも連携させられ、情報の整合性が保たれる点も大きなメリットです。これにより、給与計算ミスの防止や勤怠管理の効率化につながります。
さらに、拠点が複数ある企業では、クラウド上に名簿を管理することで、遠隔地でも同一の情報を閲覧・更新でき、労務管理体制の一元化が図れます。
情報漏洩・セキュリティ対策
クラウドでの名簿管理では利便性が向上する一方で、セキュリティリスクにも十分な配慮が必要です。労働者名簿には個人情報(氏名・住所・生年月日など)が多数含まれるため、万が一の情報漏洩は重大な問題に発展しかねません。
まず、システムへのアクセスにはIDとパスワード管理を厳格に行い、二要素認証の導入も検討すべきです。また、閲覧・編集権限を職務ごとに細かく設定し、不要な情報へのアクセスを制限することが基本となります。
定期的にログイン履歴や操作ログをチェックし、不正なアクセスや異常な操作がないかを確認する体制も整えておくべきです。外部ベンダーのシステムを利用する場合は、個人情報保護に関する契約(守秘義務契約や業務委託契約)を締結しておくことも忘れてはなりません。
電子化の導入には社内ルールと教育が不可欠
名簿の電子化を導入する際は、システム面だけでなく、運用ルールを明文化しておくことも重要です。たとえば、「変更内容の反映は何日以内に行うか」「誰が修正作業を担当するか」「修正の記録をどう残すか」など、業務フローを明確に定めておくことで、担当者間の認識齟齬を防げます。
さらに、操作方法やセキュリティルールに関する社員教育も必要です。定期的に研修を実施することで、誤操作や情報流出のリスクを減らし、安全で確実な運用を支えることができます。
労働者名簿の作成や保管を怠った場合はどうなる?
労働者名簿は労働基準法により作成・保管が義務付けられた法定帳簿です。この義務に違反した場合、まず労働基準監督署による是正勧告の対象となります。是正されない場合や違反が悪質な場合は、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、労働者名簿は従業員の雇用状況や労働条件を証明する重要な記録です。適切な作成・保管を怠ると、労使間でトラブルが発生した際に事実関係の確認が困難になり、企業が不利な立場に置かれる可能性が否定できません。
このように、労働者名簿の作成・保管義務の違反は、法的制裁だけでなく、適切な労務管理の観点からも企業活動に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索
参考:労働基準法施行規則| e-Gov 法令検索
労働者名簿の作成や保管・管理する際の注意点
労働者名簿は、事業場ごとに作成することが労働基準法で義務付けられています。そのため本社以外に支社や工場などが別にある場合は、それぞれに労働者名簿を作らなくてはなりません。また、氏名・生年月日・性別などの基本情報は戸籍上の記載と一致するよう正確に記載し、住所変更や人事異動があった場合は速やかに更新が必要です。
なお、労働者名簿には個人のプライバシーに関わる情報が含まれるため、個人情報保護法に基づく適切な管理が必要です。特にマイナンバーは先述のとおり特定の目的でのみ使用が認められているため、労働者名簿には記載せず、別途管理することを徹底しましょう。
参考:労働基準法 | e-Gov 法令検索
参考:個人情報の保護に関する法律|e-Gov法令検索
参考:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律|e-Gov法令検索
労働者名簿を扱いやすい形で作成しよう
今回は労働者名簿の概要や書き方、扱い方などについて解説しました。労働者名簿は事業において人を雇用する際に必ず用意すべきもので、健全な会社経営のためにも重要です。
作成する数は会社が大きくなるほどに増えていき、作成後の編集も多数行う必要があります。様式に対する制限は少ないため、工夫して自社が扱いやすい形で作りましょう。
よくある質問
労働者名簿とはなんですか?
従業員を雇う際に必要な書類で、従業員の氏名・性別・履歴・雇い入れ年月日などを記載します。異動や退職などで状況が変化した場合はすぐに編集が必要です。必要事項を記載していれば、様式などは自由です。詳しくはこちらをご覧ください。
労働者名簿の作成は必須ですか?
労働基準法により作成が義務化されています。人を雇用しているのであれば、個人事業主でも作成しなくてはなりません。場合によっては提出を求められることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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