- 更新日 : 2025年11月25日
法定休日と所定休日の違いとは?土日はどちら?割増賃金や振替を解説
「法定休日」と「所定休日」は、法律上の義務の有無と割増賃金率が異なります。法定休日は法律(労働基準法)で必須とされた休日であり、ここで労働すると35%以上の割増賃金が必要です。一方、所定休日は会社が独自に設ける休日(法定外休日)で、出勤しても法定労働時間を超えなければ、原則として割増賃金(時間外労働分)は発生しません。
この記事では、休日に関して法定休日と所定休日の違いや変形労働時間制の場合の休日、給与計算、36協定の運用について解説します。
目次
休日、法定休日、所定休日の違いは?
「休日」とは、労働義務のない日を指し、その中で法律が義務付けるのが「法定休日」、会社が任意で定めるのが「所定休日」です。
この二つの休日は、労働基準法で定められているか、企業が独自に定めているかという点で異なります。
休日とは?
休日は、労働契約において労働者が労働の義務を負わない日の総称です。日本の労働法制上、この「休日」には大きく分けて「法定休日」と「所定休日(法定外休日)」の2種類が存在します。企業の人事労務管理において、この2つを明確に区別することは、割増賃金の計算を正しく行うために不可欠です。
法定休日とは?
法定休日は、労働基準法第35条によって、使用者が労働者に必ず与えなければならないと定められている休日のことです。
法律では、休日付与の基準として以下のいずれかを満たすよう求めています。
- 毎週の付与:毎週少なくとも1回の休日を与える。(原則)
- 変形休日制:4週間を通じ4日以上の休日を与える。(例外)
この基準を満たす休日が「法定休日」にあたります。どの曜日を法定休日にするかは法律で定められていないため、企業が就業規則などで特定することが可能です。
所定休日(法定外休日)とは?
所定休日(しょていきゅうじつ)は、法定休日以外に、会社が就業規則や労働契約などで独自に定めた休日のことです。「法定外休日」とも呼ばれます。
例えば、多くの企業が採用している「週休2日制」の場合を考えてみましょう。労働基準法が義務付けている法定休日は週1日です。したがって、週休2日のうち、1日は「法定休日」、もう1日は「所定休日(法定外休日)」となります。
所定休日は、企業が法定労働時間(原則1日8時間、週40時間)を遵守するために設定されることが一般的です。例えば、1日の所定労働時間を8時間と定めた場合、週5日の勤務で週40時間に達するため、残りの2日を休日とする必要があり、そのうち1日が所定休日として設定されます。
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法定休日と所定休日で、休日出勤の割増賃金は変わる?
法定休日と所定休日で、休日出勤の割増賃金率は変わります。法定休日の労働は「休日労働」として35%以上の割増率が、所定休日の労働時間については法定労働時間を超過していれば、「時間外労働」として25%以上の割増率が適用されます。
この違いは、労働基準法第37条に基づく割増賃金の規定が異なるために生じます。給与計算を誤ると未払い賃金の発生につながるため、厳密な区別が必要です。
法定休日の割増賃金(35%以上)
法定休日に労働させた場合、その労働は「休日労働」として扱われます。
使用者は、法定休日に労働させた時間について、通常の賃金に対して35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
例えば、時給1,500円の従業員が法定休日に5時間働いた場合、割増賃金は以下のようになります。
参照:労働基準法第第三十七条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)|e-Gov法令検索
所定休日の割増賃金(25%以上または発生しない)
所定休日(法定外休日)の労働は、法律上「休日労働」にはあたりません。
この日の労働は、あくまで「所定労働日以外の労働」として扱われ、その結果、法定労働時間を超えたかどうかが焦点となります。
法定労働時間を超えた場合
所定休日の労働時間が法定労働時間を超えた場合、その超えた部分は「時間外労働(残業)」と見なされます。この時間外労働に対しては、25%以上の割増賃金(残業代)が必要です。
法定労働時間以内の場合
所定休日に出勤しても、その労働時間が法定労働時間内に収まっていれば、法律上の割増賃金(時間外労働分)は発生しません。ただし、企業が独自に「所定休日の労働には特定の割増率を適用する」と就業規則で定めている場合は、その規定に従う必要があります。
【比較】法定休日と所定休日の違い
この2つの休日の主な違いを以下の表にまとめます。
| 項目 | 法定休日 | 所定休日(法定外休日) |
|---|---|---|
| 根拠 | 労働基準法第35条 | 会社の就業規則、労働契約など |
| 付与義務 | 法律上の義務あり(週1日または4週4日) | 法律上の義務なし(法定休日を超える部分) |
| 休日出勤の扱い | 休日労働 | 時間外労働(法定労働時間を超えた場合) |
| 割増賃金率 | 35%以上 | 25%以上(法定労働時間超の部分のみ) |
| 36協定 | 「休日労働」の届出が必要 | 「時間外労働」の届出が必要(法定労働時間超の場合) |
土日休みの会社では、土曜と日曜どちらが法定休日?
法律上、特定の日(例:日曜日)を法定休日とする義務はなく、会社が就業規則などでどちらかを法定休日と定めることができます。
労働基準法は「毎週1回」または「4週4日」の休日を義務付けていますが、その曜日までは指定していません。したがって、土日休みの企業がどちらを法定休日として扱うかは、企業の裁量に委ねられています。
法定休日の特定方法
実務上、多くの企業では、就業規則に「法定休日は日曜日とする」や「暦週(日曜から土曜)のうち、最後に位置する休日を法定休日とする」といった形で明記しています。
割増賃金率(法定休日35%、所定休日25%)の違いから、企業にとっては人件費管理の観点からも法定休日を特定しておくことが合理的です。
法定休日を特定しない場合のリスク
もし就業規則などで法定休日を特定していない場合、行政の解釈では「暦週(原則として日曜日から土曜日まで)において、後順に来る休日」が法定休日として扱われることがあります。
例えば、土日休みの企業で特定がない場合、土曜日が法定休日(35%割増の対象)と解釈される可能性があります。
土日両方に出勤した場合、どちらが35%割増の対象となるかが不明確になり、労使間のトラブルや賃金計算ミスの原因となります。コンプライアンスの観点からも、就業規則で法定休日を明確に定義しておいたほうがよいでしょう。
「休日の振替」と「代休」は何が違う?
「休日の振替(振替休日)」は、あらかじめ休日と労働日を入れ替える手続きであり、元の休日は労働日となるため休日労働(35%割増)になりません。
一方、「代休」は、休日労働をさせた後、事後に代わりの休みを与えることであり、休日労働(35%割増)を行った事実は残ります。
この2つは似ているようで、割増賃金の計算に大きな影響を与えるまったく別の制度です。
振替休日(事前の入れ替え)
振替休日は、業務の都合上、あらかじめ定められた休日(法定休日・所定休日)に労働する必要が生じた場合に、その休日を他の労働日と「事前」に入れ替える措置です。
- 手続き:
就業規則に振替休日に関する規定を設けたうえで、業務命令として「●月●日(元の休日)と▲月▲日(元の労働日)を振り替える」と事前に従業員に通知します。 - 賃金計算:
振替が成立すると、元の休日(●月●日)は「労働日」となり、入れ替えた日(▲月▲日)が「休日」となります。したがって、元の休日に働いても「休日労働」とはならず、35%の割増賃金は発生しません。 - 注意点:
振替を行った結果、振替後の週の労働時間が週40時間を超えた場合、その超えた時間は時間外労働となり、25%以上の割増賃金が必要となります。
代休(事後の付与)
代休は、急な業務対応などで「休日労働」(特に法定休日労働)を行わせた後、その代償として、事後に他の労働日を休みとして付与する措置です。
- 手続き:
休日労働の事実が発生した後に、「●月●日の休日労働の代わりに、▲月▲日を代休として休んでよい」と定めます。 - 賃金計算:
代休を付与しても、●月●日に「法定休日労働」を行った事実は消えません。したがって、●月●日の労働に対しては、35%以上の割増賃金の支払いが義務付けられます。 - 注意点:
事後に付与する代休の日(▲月▲日)を、有給の休みとするか、無給(賃金控除)の休みとするかは、企業の就業規則の定めによります。
休日出勤と36協定の関係は?
法定休日に労働させる場合、または所定休日の労働によって法定労働時間を超える場合は、事前に「36(サブロク)協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る義務があります。
36協定なしに法定休日労働や法定時間外労働をさせることは、労働基準法違反となります。
36協定が必要なケース
企業が従業員に命じる休日出勤が、以下のいずれかに該当する場合は36協定の締結・届出が必須です。
- 法定休日労働:
法定休日に労働させる場合、たとえ1時間であっても「休日労働」に関する36協定の定め(労働させることができる休日の日数、時間数など)が必要です。 - 時間外労働(所定休日の出勤):
所定休日に出勤したことにより、その週の実労働時間が法定労働時間を超える場合、その超えた時間は「時間外労働」となります。「時間外労働」に関する36協定の定め(延長時間の上限など)の範囲内である必要があります。
36協定の運用上の注意
36協定は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との間で書面により締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることで初めて効力が発生します。
特に法定休日の割増率は35%と高額であり、企業経営においてもコストインパクトが大きくなります。やむを得ず法定休日に出勤を命じる場合は、割増賃金(35%)の支払いが必要な「代休」で対応するのか、それともコストを抑えるために事前に「振替休日」を設定するのか、計画的な労務管理が求められるでしょう。
変形労働時間制の場合の休日はどうなる?
変形労働時間制(1か月単位や1年単位など)を採用している場合でも、労働基準法第35条が定める法定休日(原則:週1日または4週4日)のルールは別途適用されます。
変形労働時間制は、あくまで「労働時間」の配分を柔軟にする制度であり、「休日」の付与義務そのものを免除するものではないからです。
変形労働時間制と法定休日の関係
1か月単位や1年単位の変形労働時間制は、対象期間を平均して週40時間の労働時間に収めることを条件に、特定の週や日に法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働時間を設定できる制度です。
この制度を利用する場合、企業は対象期間の開始前に「勤務カレンダー(勤務割)」を作成し、労働日と休日を特定しなければなりません。このカレンダーを作成する際にも、法定休日の基準(週1日または4週4日)は満たしている必要があります。
変形労働時間制における所定休日
変形労働時間制では、対象期間全体で労働時間が平均週40時間以内に収まるように、法定休日とは別に「所定休日(法定外休日)」を配置する必要があります。
これらの所定休日に労働させた場合の扱いは、通常の制度と基本的に同様です。つまり、その労働によって対象期間の総労働時間枠を超える場合には、時間外労働として25%以上の割増賃金が発生する可能性があります。
法定休日と所定休日の違いを知り、正しい賃金計算を
「法定休日」と「所定休日」の違いは、法律上の義務の有無と、出勤した場合の割増賃金率です。法定休日は法律が定める最低限の休日(週1日または4週4日)であり、出勤には35%以上の割増賃金が必要です。一方、所定休日は会社が独自に定める休日であり、出勤しても週40時間の法定労働時間を超えない限り、時間外労働の割増(25%以上)は発生しません。
この「休日」の違いを正確に把握することは、コンプライアンスを守り、従業員との信頼関係を築くうえで欠かせない知識です。休日出勤を命じる際は、36協定の確認や、事前の「振替」か事後の「代休」かの区別も明確にしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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