- 更新日 : 2025年11月12日
10時間労働の休憩は何時間?1時間半〜2時間必要?取れなかった場合の対処法も解説
「毎日10時間労働なのに、休憩はたったの1時間…これって法律的に大丈夫?」
「拘束時間が長いのに、しっかり休めていない気がしてきつい…」
長時間労働が続くと、心身ともに疲れが溜まり、休憩時間が適切に取れているか不安になりますよね。特に1日の労働時間が長くなるほど、心身の健康を保つための休憩は非常に重要です。
この記事では、10時間労働における正しい休憩時間について、労働基準法を基に分かりやすく解説します。休憩が取れない場合の具体的な対処法もご紹介しますので、ご自身の権利を守るためにぜひ参考にしてください。
10時間労働の休憩は最低1時間
まず結論からお伝えすると、10時間労働の場合、法律で定められた最低限の休憩時間は1時間です。会社の就業規則で、休憩時間は1時間と定められていれば、それは労働基準法に則った合法的なルールとなります。なぜなら、日本の法律では労働時間に応じた休憩時間が明確に定められているからです。次の項目で、その根拠となる法律について詳しく見ていきましょう。
労働基準法で定められた休憩時間のルール
日本の労働者の権利は、労働基準法という法律で守られています。その第34条には、休憩時間について次のように定められています。
- 労働時間が6時間を超え、8時間以内の場合:少なくとも45分
- 労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間
この法律は、労働者を過度な労働から守り、健康を維持するために非常に重要な役割を果たしています。この時間を下回る休憩しか与えていない会社は、法律違反となります。
10時間労働や11時間労働も8時間超に該当する
上記のルールに当てはめて考えると、10時間労働や11時間労働も「労働時間が8時間を超える場合」に該当します。したがって、会社は労働者に対して少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。法律上の義務はあくまで最低1時間であるため、たとえ12時間働いたとしても、法律上の最低休憩時間は1時間のままです。ただし、企業によっては、従業員の健康や安全に配慮し、1時間を超えた休憩時間を設けている場合もあります。
休憩時間が1時間半や2時間ある理由
法律で定められた最低基準(1時間)を上回る休憩時間を設定することは全く問題ありません。むしろ、従業員想いの良い会社だと言えるでしょう。1時間半や2時間といった比較的長めの休憩を取ることや、勤務の合間に短時間休憩を取ることは、集中力の回復や生産性に良い影響を与える可能性があるためです。ご自身の会社の休憩時間が何時間なのかは、雇用契約書や就業規則で確認できます。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
労働基準法の基本と実務 企業がやりがちな15のNG事項
労働基準法は「労働者が人たるに値する生活を営むための労働条件の最低基準」を定めた法律です。
本資料では、企業がやりがちな違法行為を軸に、最低限把握しておきたい労働基準法の基本ルールをまとめました。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
労働条件通知書・雇用契約書の労務トラブル回避メソッド
雇用契約手続きは雇入れ時に必ず発生しますが、法律に違反しないよう注意を払いながら実施する必要があります。
本資料では、労働条件通知書・雇用契約書の基本ルールをはじめ、作成・発行のポイントやトラブル事例について紹介します。
休憩時間にまつわる3つの原則
休憩時間は、単に時間が確保されていれば良いというものではありません。労働基準法では、労働者が適切に休息を取れるように、休憩時間の与え方について3つの原則を定めています。
原則1. 労働時間の途中に与えること
休憩時間は、必ず労働時間の途中に与えられなければなりません。例えば、「始業前に1時間の休憩を取ってから出社して」あるいは「終業後に1時間休憩してから帰って」といった与え方は認められていません。仕事の合間に心身を休ませることが休憩の目的なので、労働時間途中に業務から解放される時間帯でなければ意味がないのです。
原則2. 全労働者に一斉に与えること
休憩時間は、原則として、その事業場で働くすべての労働者に対して一斉に与えられなければなりません。お昼休みになるとオフィスが一斉に静かになるのは、この原則に基づいているからです。ただし、これには例外があります。運送業や飲食業、商業など、一斉に休憩を取ることが難しい特定の業種では、この限りではありません。また、事業所内で労使協定を締結した場合も、交代で休憩を取ることが認められています。
原則3. 休憩時間は自由に利用できること
休憩時間は、労働から完全に解放されている時間でなければなりません。つまり、その時間をどのように使おうと労働者の自由です。外出する、仮眠をとる、趣味に時間を使うなど、何をしても問題ありません。もし休憩時間中に電話番や来客対応を指示されている場合、それは実質的に会社の指揮命令下に置かれているため、労働時間と見なされ、休憩時間には該当しません。その場合は、別途休憩時間を与え、その時間分の賃金を支払う必要があります。
10時間労働の休憩が法律通りに取れなかった場合の対処法
「法律で決まっているのは分かったけど、実際にはあまり休憩が取れていない…」そんな時は、決して一人で抱え込まず、適切な行動を起こすことが大切です。ここでは、具体的な対処法をステップごとに解説します。
1. まずは証拠を記録する
会社に相談したり、専門機関に申し出たりする際には、客観的な証拠が非常に重要になります。休憩が取れなかった日の記録を具体的に残しておきましょう。
- タイムカードや勤怠システムのコピー・写真
- 業務日報や手帳へのメモ(始業・終業時刻、休憩が取れなかった状況など)
- 休憩時間中に行った業務内容を示すメールの送受信履歴やPCのログ
これらの記録は、いざという時にあなたを守る強力な武器になります。
2. 信頼できる上司や人事部に相談する
直属の上司が話を聞いてくれる人であれば、まずは現状を相談してみましょう。部署全体の慣習などが原因で、上司が問題を把握していないケースもあります。もし上司への相談が難しい場合は、人事部や労務部に直接相談するのも一つの手です。会社のコンプライアンス窓口が設置されていれば、そこへ匿名で相談することも可能です。
3. 外部の専門機関へ相談する
社内での解決が難しい場合は、ためらわずに外部の専門機関を頼りましょう。これらの機関は労働者のための相談窓口であり、無料で相談に乗ってくれるケースがほとんどです。
- 労働基準監督署(総合労働相談コーナー)
全国に設置されており、労働問題に関するあらゆる相談に対応してくれます。会社に対する調査を実施した上で、指導や是正勧告を行ってくれることもあります。 - 労働組合
社内に労働組合があれば、組合を通じて会社と交渉してもらうことができます。社内にない場合でも、一人からでも加入できる合同労組(ユニオン)があります。 - 弁護士
未払い賃金の請求などを考えている場合は、法律の専門家である弁護士に相談するのが最も確実です。法テラスなどを利用すれば、無料の法律相談が受けられる場合もあります。
10時間労働の休憩に関してよくある疑問
ここでは、10時間労働の休憩に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で分かりやすくお答えします。
休憩時間が労働時間に含まれることはある?
いいえ、原則として休憩時間は労働時間には含まれません。そのため、休憩時間に対して賃金は発生しません。例えば、「9時〜20時(休憩1時間)」の契約の場合、拘束時間は11時間ですが、休憩の1時間を除いた実働10時間に対して給与が支払われます。もし休憩時間中に業務を命じられた場合は、その時間は労働時間となり、賃金支払いの対象となります。
「10時間勤務がきつい…」これって普通?
「きつい」と感じるのは決して甘えではありません。日本の法定労働時間は原則1日8時間であり、10時間労働は2時間の法定外残業を含んでいます。拘束時間が長くなるため、プライベートな時間が削られ、疲労も蓄積しやすくなります。特に、休憩が法定通りの1時間のみだと、十分にリフレッシュできず、精神的な負担を感じやすいでしょう。質の高い休憩を取る工夫や、働き方そのものを見直すことも時には必要です。
12時間労働の場合、休憩は何時間必要?
労働基準法上は、10時間労働と同じく最低1時間です。法律では、8時間を超える労働に対して一律で1時間以上の休憩を義務付けているため、労働時間が9時間であっても12時間であっても、法律上の最低ラインは変わりません。しかし、12時間もの長時間労働に対して休憩が1時間しか無いのは、心身への負担が大きいと言えるでしょう。安全配慮の観点から、企業が自主的により長い休憩時間を設けることが望ましいです。
10時間労働の正しい知識で、自分の権利を守ろう
今回は、10時間労働の休憩時間をテーマに、法律のルールから具体的な対処法までを解説しました。
長時間労働は、知らず知らずのうちに心と体に大きな負担をかけます。その中で、休憩時間は唯一、仕事から解放され、自分自身をリセットできる貴重な時間です。この記事で得た知識を元に、ご自身の労働環境が適切かどうかを今一度確認してみてください。そして、もし問題があると感じたら、どうか一人で悩まず、勇気を出して行動を起こしてください。あなたの健康と権利が守られることを心から願っています。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 勤怠管理
雇用契約とは?労働契約との違いや雇用契約書・労働条件通知書の必要性も解説!
会社と雇用契約を結んで仕事に従事する人は、労働者として定義されています。そして、労働者はパート・アルバイトなどの雇用形態に依らず、労使間で雇用契約を結ぶことが法律で義務付けられてい…
詳しくみる -
# 勤怠管理
働き方改革関連法は中小企業の労務管理にどのような影響を与える?
中小企業の定義とは? 「大企業」「中小企業」という言葉は一般的に使われますが、労働基準法では、中小企業は次の通り定義されています。事業場単位ではなく、企業単位での資本金額、常時使用…
詳しくみる -
# 勤怠管理
【テンプレ付】36協定に関する協定書の記載例や協定届との違い、法的義務を解説
「36協定に関する協定書」とは、労働者に時間外労働や休日労働を課す際に、労使間で締結しなければならない協定書です。36協定に関わる書類には「36協定に関する協定届」というものもあり…
詳しくみる -
# 勤怠管理
13連勤は違法?連続勤務の上限日数やリスク、必要な対策を解説
労働基準法第35条では、「使用者は労働者に対して、毎週最低1回の休日を与えなければならない」と定められています。そのため、日曜日に休日を与え、次の休日を翌週の土曜日に与えた場合でも…
詳しくみる -
# 勤怠管理
育児休業の手当(育児休業給付金)はいくらもらえる?産休との違いと期間、申請条件を解説
育児休業手当はいくらもらえる? 育児休業給付金は、休業前賃金の最大67%が雇用保険から支給される制度です。 開始180日目までは67%、181日目以降は50% 産休中は出産手当金・…
詳しくみる -
# 勤怠管理
就業時間とは?休憩は含まれる?労働時間との違いや就業規則への記載方法
就業時間とは始業から終業までの時間で、お昼休みといった休憩時間も含まれます。就業時間と労働時間の違いは残業や賃金計算に影響するため、人事労務担当者は正確に把握する必要があります。就…
詳しくみる



