- 更新日 : 2025年11月6日
公務員の社会保険は会社員と違う!?自営業についても解説!
公務員と会社員の社会保険には、同じ点もあれば違う点もあります。公務員の年金は会社員と同じ厚生年金保険ですが、健康保険は会社員が協会けんぽや健康保険組合に加入するのに対し、公務員は共済組合に加入する点が異なります。
共済組合には国家公務員共済組合や地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度があります。
目次
社会保険の種類についておさらい
社会保険とは病気やケガ、高齢化、障害、要介護といった誰もが抱えるリスクに対して、社会全体で備える仕組みのことです。医療や年金といった給付を行う公的制度で、健康保険や年金制度などが該当します。
社会保険には広義の社会保険と狭義の社会保険があり、単に社会保険という場合は狭義の社会保険を指すのが一般的です。
- 広義の社会保険の種類健康保険・介護保険・公的年金・労災保険・雇用保険
- 狭義の社会保険の種類健康保険・介護保険・厚生年金保険
この記事では狭義の社会保険について、公務員・会社員・自営業の違いを説明します。
会社員・公務員・自営業が加入する社会保険は違う
社会保険の加入先は、会社員・公務員・自営業で以下のように異なります。
| 会社員 | 公務員 | 自営業 | |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 組合健保か協会けんぽ | 共済組合 | 国民健康保険 |
| 年金制度 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金のみ |
公務員の社会保険(共済)の保険料計算方法
公務員は、加入する共済組合に対して保険料を支払います。国民年金は保険料負担義務のない第2号被保険者に該当するため、納付する必要はありません。
共済組合に対する保険料支払額は「標準報酬月額(賞与の場合は標準賞与額)×保険料率」で計算します。保険料率は共済組合によって異なります。
例)標準報酬月額30万円の公務員が支払う社会保険料
- 共済組合掛金30万円×各共済組合の定める料率×1/2※共済組合掛金の半分は雇用先が負担します。
会社員・自営業の保険料計算方法
では、会社員や自営業が支払う社会保険料はどうなっているのでしょうか。計算方法や金額について説明します。
会社員の保険料計算方法
会社員は加入する協会けんぽや組合健保と、厚生年金に対して保険料を支払います。国民年金は保険料負担義務のない第2号被保険者に該当するため、納付する必要はありません。
社会保険料支払額は、公務員と同じように「保険料支払額は標準報酬月額(賞与の場合は標準賞与額)×保険料率」で計算します。協会けんぽや組合健保に対して支払う健康保険料の率は協会けんぽの場合は都道府県、組合健保の場合は団体によって変わります。厚生年金保険料率は18.30%です。
例)標準報酬月額30万円の会社員が支払う社会保険料
- 健康保険料30万円×協会けんぽや組合健保が定める料率×1/2
- 厚生年金保険料30万円×0.183×1/2=2万7,450円※健康保険料・厚生年金保険料ともに、半分は事業主が負担します。
自営業の保険料計算方法
自営業者は、国民健康保険料と国民年金保険料を支払います。
国民健康保険料支払額は市区町村によって異なり、国民年金保険料は月額1万6,520円(2023年度)です。
介護保険はすべての職種で共通
介護保険は市区町村を保険者とする社会保険であるため、公務員・会社員・自営業といった職種による違いはありません。介護保険料は40歳以降から支払いが必要になり、健康保険料と一緒に徴収されます。
リスクの備えとなる社会保険をよく理解し、必要な知識を身につけよう
公務員は共済組合に加入し、各共済組合が定める料率で計算される社会保険料を支払います。会社員が加入する健康保険は協会けんぽか組合健保、加入する年金は厚生年金で、協会けんぽや組合健保が定める料率で計算される健康保険料と、保険料率18.30%で計算される厚生年金保険料を支払います。
自営業者は国民健康保険に加入し、月額1万6,520円の国民年金保険料を支払います。介護保険について、公務員・会社員・自営業の違いはありません。
社会保険は、誰もが抱えるリスクに備えるための大切な制度です。必要な知識を身につけるため、公務員・会社員・自営業の加入先や保険料について正しく理解しましょう。
よくある質問
公務員が加入する社会保険について教えてください。
共済組合に加入し、各共済組合が定める料率で計算される保険料を支払います。詳しくはこちらをご覧ください。
会社員と自営業の人が加入する社会保険は、公務員のものとは別ですか?
公務員は会社員や自営業とは別の、国家公務員共済組合や地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度といった共済組合に加入します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労災保険に加入していないとどうなる?未加入のリスクや責任
労災保険は、常勤やパート・アルバイトなど、労働者の業務上あるいは通勤による傷病等に対して必要な保険給付を行い、保険料は会社が負担します。 会社が労災保険の加入手続きを行わなかった場合、罰則はあるのか?また、会社が労災保険に加入していなかった…
詳しくみる自己都合か会社都合か?退職理由で違う失業保険の給付
毎月の給与明細を見ると、「雇用保険料」という項目があることがわかります。雇用保険は退職したときのために掛けている保険です。退職と言っても、会社の経営が傾いて辞めざるを得ない場合や、よりよい待遇を求めて転職するために辞める場合など理由はさまざ…
詳しくみる厚生年金保険の加入年齢と受給年齢について
厚生年金保険はいつから加入でき、いつまで保険料を納めることができるのか。また、いつから厚生年金を受け取ることができるのか。これらを理解することは、老後の生活を維持するうえでとても重要になります。 そこで、今回は、厚生年金保険の加入年齢と受給…
詳しくみる基礎年金番号とは?番号の確認方法なども解説
「基礎年金番号」とはなんでしょうか。公的な番号には、マイナンバー(個人番号)、保険証の保険者番号など紛らわしいものもあるため、あらためて聞かれると、正確には何だかよく分からない、ということもあるかもしれません。 今回は、知っているようでよく…
詳しくみる労災保険の特別加入とは
労災保険は、基本的に労働者を保護するための保険ですが、労働者に準じて保護することがふさわしい者については特別に、任意加入することができます。それが、特別加入制度です。今回は、労災保険に特別加入できる対象範囲について解説していきます。 特別加…
詳しくみる労働保険とは?加入条件や料率の計算、手続き方法、未加入の場合を解説
労働保険は、労災保険と雇用保険を総称するもので、事業主が加入手続きを行います。この保険には、両保険を一括管理する一元適用と、別々に扱う二元適用があり、農林水産業や建設業は二元適用事業に分類されます。この記事では、労働保険の加入方法やその概要…
詳しくみる