- 更新日 : 2025年11月13日
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の個人番号とは?省略はできる?
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書における個人番号(マイナンバー)の記載は、原則として義務付けられていますが、記載の有無や扱いについて不安を抱く方も少なくありません。特定の条件を満たす場合には省略が認められています。本記事では、この申告書における個人番号の記載義務や省略の条件、安全な管理方法までをわかりやすく解説します。
目次
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書における個人番号の必要性
マイナンバーは納税者ごとに固有の番号が割り振られ、個人を正確に識別できます。これにより、同姓同名の家族がいる場合や、同じ住所に複数の申告者がいるケースでも、情報の混同を防ぐことができます。税務署や自治体は、マイナンバーによって申告内容を他の税務情報と連携できるため、控除の適用や課税処理がスムーズに行われます。
この申告書に記載すべき対象は以下のとおりです:
- 給与所得者本人の個人番号
- 控除対象配偶者の個人番号
- 控除対象扶養親族の個人番号
- 勤務先が法人の場合は法人番号、個人事業主であればその個人のマイナンバー
マイナンバーの記載があることで、税務署では書類の突合せや確認作業を自動化でき、人的ミスや二重確認の手間が減ります。その結果、税務行政全体の効率が高まり、公平な課税にもつながります。
企業にとっても、初回から正しくマイナンバーを管理・記載することで、後からの再確認や修正対応が不要になり、事務負担が軽減されます。特に、年末調整の時期は多くの書類を扱うため、提出時点での正確な記載がミスや遅延を防ぐ大きなポイントとなります。
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個人番号の記載を省略できるケース
扶養控除等(異動)申告書では原則としてマイナンバーの記載が求められますが、一定の条件を満たす場合には、記載を省略することが認められています。
事業主が必要な帳簿を整備・管理している場合
事業主が従業員やその配偶者・扶養親族の個人番号、氏名、住所を記載した帳簿を整備している場合、申告書へのマイナンバー記載は不要です。この帳簿には申告書の名称と、提出年月日を明記する必要があります。
この制度は平成29年1月以降に支払われる給与に関して適用され、事業主が帳簿と申告書を確実に紐付けられるよう管理していることが前提です。帳簿を活用することで、従業員から毎年マイナンバーを回収する手間が省け、事業所内での情報管理も一元化できます。
従業員が個人番号の提供済みを明記し、事業主が確認した場合
従業員が申告書の余白などに「個人番号は既に給与支払者に提供済みであり、変更はない」旨を明記し、事業主がその記載内容を確認・記録した場合も、マイナンバーの再記載は不要です。これにより、過去に提出した情報が有効なままであれば、繰り返し記載する手間を省くことができます。
ただしこの方法を取る場合でも、事業主は申告書と過去に提出された個人番号を正確に紐付け、必要に応じて税務署へ提出できるようにしておかなければなりません。
個人番号の書き方と記入時の注意点
扶養控除等(異動)申告書にマイナンバー(個人番号)を記載する際は、正しく書きましょう。記載ミスは情報の照合エラーや再提出の原因になりかねません。ここでは、記入時の正しい方法と注意点を詳しく解説します。
記入は原則として本人が行う
扶養控除等(異動)申告書のマイナンバー欄は、本人が自筆で記入するのが基本です。事業主側があらかじめマイナンバーを印字した状態で申告書を配布することは、本人確認がなされていないまま情報が流通する可能性があるため、避けるべき対応です。
個人番号は特定個人情報にあたり、情報保護の観点からも「自分で記入する」のが望ましいとされています。仮に印刷済みで配布する場合でも、本人確認を経たうえで、本人の同意を文書で取るなど、厳密な運用が必要です。
手書きの場合は似た形の数字に注意する
マイナンバーは12桁の数字で構成されており、記載ミスがあると税務署での情報照合に支障が出る可能性があります。手書きで記入する際は、数字を読みやすく、丁寧に書くことが大切です。
特に、「0(ゼロ)」と「6」や、「1」と「7」など、似た形の数字を誤って書いてしまうケースは少なくありません。判読ミスを防ぐためにも、これらの数字は崩さず、正確な形で書く意識を持つことが重要です。
また、数字同士の間隔を詰めすぎると、どこで桁が分かれているか分かりづらくなるため、適度なスペースを保って記入するようにしましょう。
訂正が必要な場合の対応方法
記載したマイナンバーに誤りがあった場合、以下の手順で訂正します:
- 修正液は使わない(不正防止の観点から禁止)
- 誤った部分を二重線で消し、正しい番号を横に記載
- 訂正箇所には訂正印を押す(個人印または署名)(※訂正印は必須事項でないため、各自確認が必要)
- 訂正後は、再度マイナンバーが正しいことを本人確認する
確認せずにそのまま提出すると、税務署から差し戻される可能性があります。訂正記録も事業主が責任を持って保存しましょう。
提出時の本人確認は必須
個人番号を記載した書類を受け取る際、事業主は本人確認を行わなければなりません。主な確認方法は以下の通りです。
- マイナンバーカードを提示:番号確認と身元確認を1枚で完了できる
- 通知カード+写真付き身分証明書:通知カードだけでは本人確認として不十分。運転免許証やパスポートなどと併せて確認が必要
個人番号を事前に書いた状態で渡すのはNG
従業員に申告書を配布する際、あらかじめマイナンバーが印字された状態で渡すのは、原則として避けるべきです。個人番号は特定個人情報に該当し、法的には「本人による記載」が求められる場合が多くあります。事業主側で番号を事前入力した場合、本人確認が不十分なまま情報が流通してしまうリスクがあるため、情報保護の観点からも適切ではありません。
個人番号を記載しないとどうなる?
扶養控除等(異動)申告書に個人番号が記載されていない場合でも、事業主はその申告書の受領を拒否することはできません。
記載が欠けているからといって、無効となるわけではありません。
税務署も同様に、マイナンバーが未記載であることのみを理由に申告書を受理しないという対応は行っていません。したがって、マイナンバーの記載がない場合でも、その他の必要事項が揃っていれば、事業主はその内容に基づいて年末調整を行うことが求められます。
ただし、個人番号の記載は番号法に基づく義務であるため、事業主は従業員に対して適切な方法で記載や提出を促す必要があります。従業員がマイナンバーの提供を拒否した場合、その事実を記録に残しておくことが重要です。具体的には、拒否の理由や日時、確認内容などを記載したメモや記録を保管することで、後日のトラブルや指摘に対応しやすくなります。
また、マイナンバーの記載がない申告書について、後日税務署から問い合わせが入る可能性も否定できません。特に控除対象の扶養親族に関する情報が正確に照合できない場合などは、税務署が追加資料の提出を求めることもあります。
このようなリスクを回避するためには、できる限りマイナンバーの記載を受け取ることが望ましく、記載がない場合には、必ず代替手段としての記録や帳簿の整備、確認手続きの履歴を残すようにしましょう。
扶養親族の個人番号の取り扱い
扶養親族のマイナンバーも、申告書に記載する必要があります。従業員本人の個人番号だけでなく、扶養控除の対象となる配偶者や子どもなどの親族に関しても、正確なマイナンバーの記載が求められています。
扶養親族のマイナンバーは、従業員が収集し、申告書に記載することが基本となります。扶養親族が同居していない場合でも、控除対象に該当すればマイナンバーの提供が必要です。ただし、扶養親族本人の了解を得たうえで記載しなければならず、勝手に記入することは避けるべきです。
本人確認の義務については、扶養親族に関しては従業員が責任を持って行うこととされており、事業主が全ての扶養親族の本人確認を行う義務まではありません。しかし、記載されたマイナンバーが誤っていた場合には、税務処理上のトラブルが発生する可能性があるため、可能な範囲で正確性の確認を行うことが望ましいです。
また、扶養親族のマイナンバーが提供されない、あるいは記載されていない場合でも、事業主はその扶養親族に関する情報(氏名や続柄など)に基づいて年末調整を行う必要があります。その際、後日税務署から照会が入る可能性もあるため、経緯や確認状況を記録に残しておくことが重要です。
マイナンバー制度では、情報の正確性と安全性の両立が求められます。扶養親族の個人番号についても、情報の取扱いに慎重を期し、社内での取り扱いルールを明確にしておくことが安全管理の第一歩となります。
個人番号の安全管理と保存期間
そのため、扶養控除等(異動)申告書に記載された個人番号は、収集後も適切な方法で管理しなければなりません。事業主には、個人番号の漏えいや不正使用を防ぐための安全管理措置を講じる法的義務があります。
安全管理措置には、以下のような具体的対応が求められます:
- 保管場所の限定:マイナンバーを記載した書類やデータは、鍵のかかる保管庫やアクセス制限のあるシステム上で管理します。
- アクセス権限の制御:マイナンバーにアクセスできる担当者を必要最小限に限定し、閲覧・編集権限を明確に定めます。
- 外部持ち出しの制限:マイナンバーを含む書類やデータの社外持ち出しは禁止し、必要に応じてログを記録します。
- 定期的な見直しと教育:取扱者にはマイナンバー制度の理解を促し、社内研修や管理体制の見直しを定期的に実施します。
これらの対策は、紙媒体・電子データを問わず必要です。たとえば、PDFやExcelファイルで申告書を保存している場合でも、パスワード保護やアクセス制限を徹底することが求められます。
また、保存期間にも注意が必要です。扶養控除等(異動)申告書は、税務関係書類として7年間の保存義務があります。保存期間は、その申告書が提出された年の翌年1月10日から起算されます。たとえば、令和7年分として提出された書類は、令和8年1月11日から起算して7年間の保存が必要です。
保存期間中は、必要に応じて税務署から申告書の提出を求められることがあります。その際に速やかに提出できるよう、書類の整理と検索性の確保も欠かせません。電子保存の場合も、正当なシステム管理下で容易に検索・出力できる状態にしておく必要があります。
不要となったマイナンバーを含む情報については、保存期間満了後、復元不可能な方法で速やかに廃棄・削除を行うことが義務付けられています。書類はシュレッダー処理、データは完全消去ソフトやフォーマットで削除するなど、適切な廃棄手段を講じましょう。
個人番号(マイナンバー)の記載が不要な書類
扶養控除等(異動)申告書など、年末調整に関わる書類の中にはマイナンバーの記載が義務付けられているものもありますが、すべての申告書で個人番号の記載が必要というわけではありません。マイナンバーの記載は不要とされている書類について解説します。
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申告書
これらの書類は、以前は記載が求められていたものの、実務上の負担や個人情報保護の観点から見直され、対象外となりました。一方で、源泉徴収票や給与支払報告書などは引き続き個人番号の記載が求められるため、書類ごとに対応を確認することが大切です。
給与所得者の扶養控除等申告書と個人番号の記載ルールまとめ
給与所得者の扶養控除等申告書では、本人と扶養親族のマイナンバーを正確に記載することが原則です。一定条件下で省略も可能ですが、管理義務は残ります。記載ミスや漏洩を防ぐため、正しい書き方と安全な保管が重要です。年末調整を円滑に進めるためにも、正確な対応が求められます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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