- 更新日 : 2026年1月7日
【テンプレート付】労使協定とは?種類や届出義務および違反した場合を解説
仕事のルールは数多くあり、労使協定も重要な役割を果たしています。例えば、残業や休日出勤を実施するには、労使協定の一つである36協定の締結がなければ認められないのです。そこでこの記事では労使協定についてわかりやすくまとめました。
労働協約や就業規則などとの違いや作り方などについて解説するので、ぜひ参考にしてください。
労使協定とは?
労使協定とは労働者と雇用主の間で取り交わされる約束事を、書面契約した協定を指します。雇用主は労働組合か従業員の過半数を代表する者と労使協定の締結を行うのです。
労使協定にはさまざまな種類があり、労働基準法の枠では不都合な働き方などを変えることを目的に締結されるケースが目立ちます。
労働協約との違い
労働協約とは賃金・労働条件・団体交渉・組合活動などの労使関係のルールについて、労働組合と使用者の間で取り交わす約束事です。
労働協約が締結されると一定の労働条件が保障されるので、労働者は安心して働くことができます。使用者の側にとしても労使関係の安定を維持できるため、労働協約は重要な役割を果たしていると言えるのです。
労働協約と労使協定では締結する相手や目的が異なります。対象についても労働協約は原則として労働組合の組合員のみに適用されるため、当該事業場の全労働者が対象となる労使協定とは異なります。
労働協約の無料テンプレート・ひな形
労働協約について今すぐ実務で使用できる、労働協約のテンプレート(エクセル・ワード)を無料でダウンロードいただけます。労働協約には、労働者の権利を保障するために、労働組合や労働条件に関する項目を記載します。
36協定との違い
36協定は労使協定の1つで、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」を指す言葉です。労働基準法第36条が根拠になっているために36協定と広く呼ばれています。
労働基準法では法定労働時間として、1日8時間・1週間40時間という上限の労働時間が定められています。しかし、企業によっては残業の実施などで、法定労働時間を超えた労働を命じるケースも少なくありません。そうした法定労働時間を超過した労働を命じる際に、36協定の締結が必要となるのです。
休日労働を命じる場合も同様に、36協定の締結が求められます。ただし、36協定を締結しても時間外労働には上限が設定されているので注意しましょう。
ちなみに、36協定を届ける際に署名・押印がある場合は労使協定も兼ねる取り扱いとなります。36協定の届出書へ署名、押印がない場合は届出書としては有効ですが、別途労使協定を締結する必要があるのです。
就業規則との違い
就業規則とは労働者が守るべき職場内の規律やルールなどをまとめた規則で、雇用主が作成します。労働者の給与規定や労働時間といった労働条件についても就業規則に記載されます。
従業員を常時10人以上雇用している企業は就業規則の作成が義務付けられており、労働基準監督署への届出も行わなければなりません。
労使協定は免除や免罰効果がメインでしたが、就業規則は民事的な権利義務が発生し規範的効果を有します。就業規則が原則として扱われ、労使協定は例外のために締結されているのです。
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労使協定の締結は義務?
労使協定の締結は労働者の働かせ方によっては義務が生じます。例えば、法定労働時間を超えて労働者を働かせるためには36協定の締結して、届出を出す義務があります。労働基準法などの法律の例外として時間外などの働かせ方が必要な場合は、労使協定を必ず締結しなければならないのです。
届出が必要な労使協定
届出が必要な労使協定を以下に整理してみました。
時間外労働、休日労働に関する労使協定
法定労働時間を超えた労働や法定休日に労働させる場合に必要となる労使協定で、一般的には36協定と呼ばれます。
1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する労使協定
規模30人未満の小売業・旅館・飲食店などの事業において、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定められる労使協定です。
1ヶ月単位の変形労働時間制に関する労使協定
1ヶ月以内の一定の期間を平均して、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内において、1日や1週間の法定労働時間を超えて労働させるための労使協定です。なお、1ヶ月単位の変形労働制に関して、就業規則に規程がされている場合は労使協定の届出はなくても問題ございません。
1年単位の変形労働時間制に関する労使協定
1ヶ月を超える1年以内の一定の期間を平均して、1週間の労働時間が40時間以下の範囲内において、1日や1週間の法定労働時間を超えて労働させるための労使協定です。
事業所外労働のみなし労働時間制に関する労使協定
業務の全部または一部を事業場外で行っており、指揮監督がおよばずに業務に関する労働時間の算定が困難な場合が対象の労使協定です。使用者の該当の労働時間の算定義務が免除され、事業場外労働については特定の時間を労働したとみなせます。
参考:事業所外労働に関するみなし労働時間制について|東京労働局
専門業務型裁量労働制に関する労使協定
専門業務裁量労働制を有効とするために必要な労使協定です。専門業務裁量労働制とは、業務遂行の手段・方法・時間配分などを大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある特定の業務において、労使であらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度です。
労働者の貯蓄金の管理に関する労使協定
従業員の貯蓄金の管理を行う際に必要となる労使協定です。
届出の必要がない労使協定
続いて、届出の必要がない労使協定を以下に整理してみました。
フレックスタイム制に関する労使協定
フレックスタイム制とは、最大3ヶ月の清算期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間以内であれば、特定の1日で8時間、1週間で40時間を超えて労働しても構わないという制度です。清算期間が1ヶ月を超えない場合であれば、労使協定の届出は不要です。
年次有給休暇の計画的付与
年次有給休暇の計画的付与とは、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分について、労使協定に定める時季に年次有給休暇を与えられる制度です。労使協定で年次有給休暇を与える時季に関する定めが必要ですが、届出は必要ありません。
年次有給休暇の時間単位での付与
年次有給休暇の付与は原則1日単位ですが、労使協定を締結すれば年5日の範囲内で時間単位での取得が可能です。
年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合
年次有給休暇中の賃金を標準報酬日額に相当する賃金で支払う場合、実際の賃金との間に差が生じるため労使協定の締結が必要です。
育児休業、看護休暇及び介護休業が出来ない者の範囲
育児休業・介護休業・子の看護休暇・介護休暇などを取得できない者の範囲を労使協定で定められます。ただし、取得できない者は一定の範囲に限定されるため、自由に設定できないので注意が必要です。
休憩の一斉付与の例外
休憩は全労働者に対しての一斉付与が原則ですが、労使協定の締結により一斉付与の適用除外が可能です。
賃金から法定控除以外の控除を行う場合
寮費・食費・親睦会費といった法定控除以外の控除を賃金から行う場合には、労使協定の締結が必要です。
労使協定の作り方と締結の仕方
労使協定の作るためには協定を締結すべき項目をまとめて、届出書を作成しなければなりません。労使協定の種類によって記載内容は異なりますが、36協定では以下の項目の策定が必要です。
- 時間外労働が必要な具体的な理由
- 時間外労働が必要な業務の種類
- 時間外労働をさせる労働者の数
- 1日について延長できる時間
- 1日を超える一定の期間について延長できる時間
- 有効期間
協定事項をまとめて届出書を作成できたら、労使協定の種類によっては労働基準監督署への届出が必要です。届出の方法としては窓口・郵送・電子申請の3種類があります。
参考:時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|東京労働局
労使協定の規則に違反した場合
もし、締結した労使協定や周知義務に違反した場合にはどうなるのでしょうか。具体的な罰則内容についてまとめてみました。
締結した労使協定に違反した場合
締結した労使協定に違反したすると罰則が設けられています。例えば、締結した36協定の時間外の上限を超えて従業員を働かせた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
労使協定の周知義務に違反した場合
労使協定には届出の必要性の有無に関係なく周知義務があります。すべての労使協定には周知義務があるため注意が必要です。もし、周知義務に違反してしまうと、労基法120条に違反したこととなり30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
労使協定の必要性を正しく理解しよう
労使協定は労働者の権利や職場環境を守ることを目的として締結されます。例えば、36協定の締結がなされていなければ、労働者は時間外労働を行えません。36協定を締結したとしても時間外労働には上限が設けられています。労使協定の締結によって法律で定められた法定労働時間の例外が認められるようになるのです。労使協定の締結の必要性や目的を正しく理解して、労働者が快適に働ける環境を整備しましょう。
よくある質問
労使協定とはなんですか?
労使協定とは労働者と雇用主の間で取り交わされる約束事を書面契約した協定です。詳しくはこちらをご覧ください。
労使協定に違反した場合、どういった罰則があるか教えてください
例えば、36協定に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられまる恐れがあります。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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