- 更新日 : 2025年7月25日
アルバイトも離職票はもらえる?必要な人・いらない人やもらえない時の対処法も解説
「アルバイトを辞めたけれど、離職票って必要なの?」「そもそも自分はもらえる対象なんだろうか…」
退職時には、様々な手続きや書類が必要になり、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。アルバイトやパートであっても、条件を満たせば離職票は必ずもらえます。 そして、離職票は退職後の生活を支える失業保険の申請に不可欠な書類です。
この記事では、アルバイトの離職票に関するあらゆる疑問にお答えします。最後まで読めば、あなたが離職票をもらうべきか、そのために何をすべきかが明確になり、安心して次のステップへ進めるはずです。
目次
そもそも離職票とは
離職票の正式名称は「雇用保険被保険者離職票」です。その名の通り、ハローワークで失業保険(雇用保険の基本手当)の受給手続きを行うために必要不可欠な公的書類です。
離職票には、勤務期間や退職理由、給与額などが記載されており、これをもとに失業保険の受給資格や支給額が決定されます。つまり、退職後に失業保険の受給を考えている人にとって、離職票は何よりも重要な書類と言えます。
退職証明書や源泉徴収票との違い
離職票と混同されがちな書類に退職証明書と源泉徴収票があります。それぞれの役割は全く異なります。
離職票は公的な失業保険の手続きに、退職証明書や源泉徴収票は転職先や税金の手続きに使うもの、と覚えておきましょう。
アルバイトで離職票がもらえる人の条件
「自分はアルバイトだから離職票はもらえないかも…」と心配する必要はありません。アルバイトやパートという雇用形態に関わらず、以下の条件を満たしていれば、誰でも離職票を受け取る権利があります。
雇用保険に加入していること
離職票は、雇用保険の失業手当を受け取るための書類です。そのため、大前提として、勤務先で雇用保険に加入している必要があります。
自分が雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細を確認してみましょう。「雇用保険料」といった項目で天引きされていれば、加入している証拠です。不明な場合は、会社の担当者に直接確認するのが確実です。
法律では、以下の2つの条件を両方満たす労働者は、本人の意思に関わらず雇用保険に加入させることが事業主に義務付けられています。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
この条件を満たしていれば、雇用保険の被保険者となり、離職票をもらう権利があります。
短期アルバイトでも条件を満たせばもらえる
短期間のアルバイトでも条件を満たせば離職票は受け取れます。ただし、週20時間以上の勤務で、31日以上継続して雇用される見込みがある場合に限ります。
アルバイトの離職票が必要な人
自分が離職票をもらうべきか判断に迷う方のために、離職票が必要となる具体的なケースをまとめました。
退職後に失業保険(基本手当)を受給したい人
離職票が必要となる最も代表的なケースです。退職後、次の仕事が見つかるまでの生活を支える失業保険を受け取るためには、ハローワークへの離職票の提出が必須です。少しでも受給の可能性があるなら、必ずもらっておきましょう。失業保険の受給には、離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること(倒産・解雇等の場合は1年間に6ヶ月以上)が原則として必要です。
国民健康保険の減免手続きを行う人
自己都合ではない、会社の倒産や解雇などによって離職した場合は、国民健康保険料の軽減措置を受けられる場合があります。
この軽減制度の申請手続きの際に、ハローワークから交付される雇用保険受給資格者証が必要であり、発行には離職票が必要です。ただし、自治体によって軽減措置の条件や申請手続きが異なりますので、自分が対象となるかどうかを必ずお住まいの自治体の窓口で確認してください。
アルバイトの離職票がいらない人
一方、アルバイトの離職票が必要ないケースも存在します。
すぐに次の転職先が決まっている人
退職後、間を空けずに次の会社で働き始める場合は、失業状態にないため失業保険の受給対象外です。したがって、離職票は不要です。ただし、万が一、内定が取り消しになるなどの不測の事態に備えて、念のためもらっておくという選択肢もあります。会社によっては後からの発行に対応してくれない場合もあるため、少しでも不安があれば発行を依頼しておくと安心です。
失業保険を受け取る予定がない人
退職後に再就職をする予定がなく、失業保険を受け取る意思がない場合も離職票は不要です。また、ご家族の扶養に入る場合は失業保険を受け取ると、その期間は扶養に入れない場合があります。ご自身のライフプランに合わせて、必要かどうかを判断しましょう。
アルバイトの離職票はいつもらえる?手続きの流れ
離職票が必要だと判断したら、次は実際の手続きです。離職票は自動的にもらえるわけではなく、いくつかのステップを踏む必要があります。退職前から計画的に動きましょう。
1. 退職時に会社へ「離職票が必要」と伝える
最も重要なのが、退職の意思を伝える際に、併せて「離職票の交付をお願いします」と明確に伝えることです。 法律上、労働者が希望すれば会社は離職票を発行する義務がありますが、こちらから意思表示をしないと手続きが進まないことがあります。口頭で伝えるだけでなく、メールや退職届に一筆添えるなど、記録に残る形で依頼するとより確実です。
2. 会社がハローワークで手続きを行う
あなたが退職した後、会社はあなたの雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を、管轄のハローワークに提出します。この手続きは、退職した日の翌日から10日以内に行うことが法律で定められています。会社がこの手続きを完了させると、ハローワークから会社宛に離職票が交付されます。
3. 退職後10日~2週間程度で自宅に郵送される
ハローワークから交付された離職票は、会社経由で郵送されるのが一般的です。会社がハローワークへ書類を提出し、ハローワークが処理し、会社からあなたへ郵送される、という流れを考えると、手元に届くのは退職日からおおむね10日〜2週間後が目安となります。もし3週間以上経っても届かない場合は、一度会社に状況を確認してみましょう。
アルバイトで離職票がもらえない時の対処法
「会社に離職票の発行をお願いしたのに、なかなかもらえない…」「そもそも雇用保険に入ってなかったみたい…」そんなトラブルに見舞われた際の対処法を知っておけば、冷静に対応できます。
会社に催促しても届かない場合
会社に離職票の発行を依頼しても届かない場合や、会社側が明確に拒否するなどのトラブルが起きた場合は、ためらわずに管轄のハローワークに相談しましょう。特に、会社が発行手続きにまったく応じない、連絡が一切取れないなどの場合は、悪質なケースとしてハローワークが直接会社に督促を行ってくれます。相談する際は、会社の名称・所在地、在籍期間が分かるものを持参すると話がスムーズに進みます。
雇用保険に未加入だったことが判明した場合
退職後に雇用保険の未加入が判明した場合でも、一定条件を満たせば過去にさかのぼって雇用保険に加入することができます。
通常は最大2年まで遡及加入が可能ですが、特例により2年以上遡って加入が認められるケースもあります。詳しくは管轄のハローワークにご相談ください。
アルバイトの離職票が届いたらやるべきこと
無事に離職票が手元に届いたら、失業保険の申請手続きに進む前に、中身をしっかり確認し、自分で記入すべき箇所を埋める必要があります。
離職票の内容を確認する
離職票は「離職票-1」と「離職票-2」の2種類で1セットになっています。
- 離職票-1(資格喪失確認通知書)
失業保険の振込先金融機関を指定するための用紙です。機械で読み取るOCR用紙になっています。 - 離職票-2(離職証明書)
あなたの離職理由や、離職前6ヶ月間の賃金支払状況などが記載されています。失業保険の給付日数や金額を決定する重要な書類です。
まずは記載内容、特に氏名や生年月日、離職理由、賃金額などに間違いがないかを確認しましょう。
離職票-1に振込先口座を記入する
離職票-1の求職者給付等払渡希望金融機関指定届の欄に、失業保険を振り込んでほしい金融機関(銀行または信用金庫)の口座情報を記入します。記入後、その金融機関の窓口で確認印をもらう必要があります。ただし、ゆうちょ銀行など一部の金融機関では確認印が不要な場合があります。自分が指定する金融機関がどちらに該当するかを事前に確認しておくと安心です。
離職票-2の離職理由を確認・署名する
離職票-2で最も重要なのが、離職理由の欄です。離職理由は、失業保険の給付開始時期や給付日数に大きく影響します。自己都合退職か会社都合退職(解雇など)か、会社が記載した内容に相違がないかを必ず確認してください。内容に異議がなければ、離職者本人の判断欄に署名・捺印します。もし事実と異なる場合は、署名せずにハローワークの窓口で相談しましょう。
アルバイトの離職票は、次の一歩を支える大切な権利
離職票は、退職後のあなたの生活と、次のキャリアへの第一歩を支えるための大切な権利です。手続きが少し複雑に感じるかもしれませんが、この記事を参考に一つずつ進めていけば、決して難しいものではありません。
もし手続きの途中で分からないことや不安なことが出てきたら、公的な専門機関であるハローワークを積極的に活用してください。あなたの状況に合わせた的確なアドバイスをもらえるはずです。この記事が、あなたの退職後の手続きをスムーズに進める一助となれば幸いです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
バリキャリとは?特徴や年収、多い職業、目指し方を解説
バリキャリとは、バリバリ働く女性を指す言葉です。バリキャリと呼ばれる女性には、キャリア志向があり、昇進や昇給に意欲的という特徴があります。 近年では、女性の社会進出に伴い、バリキャリと称されるように働く女性が増えています。ここでは、バリキャ…
詳しくみる派遣先でのパワハラは、派遣元が対応すべき?それぞれの対応手順や事例を解説
派遣先でのパワハラ問題が発生した場合、派遣元と派遣先のどちらが対応すべきか迷うことは少なくありません。派遣社員を守るためには、派遣元と派遣先がそれぞれの責任範囲を理解し、適切な対応をすることが重要です。本記事では、パワハラへの具体的な対応手…
詳しくみるMOOCとは?世界で注目の無料講座!メリット・デメリットを解説
MOOC(Massive Open Online Courses:ムーク)とは、オンライン学習サービスです。居住国や年齢、言語が異なる多様な学習者が集まり、無料で大学の講義を受けます。また、学習者同士が教え合い、議論できる掲示板がある点も特…
詳しくみるダニングクルーガー効果とは?原因や対処法を具体例を用いて解説!
ダニングクルーガー効果とは、自己を過大評価してしまう認知バイアスです。根拠のない自信は、周囲に誤解を与える恐れがあります。また、職場の評価と自己評価のギャップから、業務に支障が出るかもしれません。逆に、自己を過小評価する心理状態はインポスタ…
詳しくみる追い出し部屋とは?実態や過去の訴訟事例、他の退職勧奨の方法を紹介!
追い出し部屋とは、企業が不必要と考える従業員を退職に追い込むための特別な部署等の呼び名です。実際にはもっともらしい部署名が付けられています。追い出し部屋に従業員を配置転換する形での退職勧奨を行うと、違法と判断される可能性があるため注意が必要…
詳しくみる【2025年改正】高齢者雇用安定法とは?企業の対応や義務をわかりやすく解説
少子高齢化が進む中、企業にとって高年齢者の活用は重要な課題となっています。「高年齢者雇用安定法」では、2025年4月施行の改正により65歳までの雇用確保が全企業に義務付けられます。この記事では、改正内容と必要な企業の実務対応をわかりやすく解…
詳しくみる