- 更新日 : 2023年7月28日
サードプレイスとは?場所はどこがよい?意味や定義も解説
サードプレイスとは、家庭や職場とは異なる「第三の場所」という意味です。日々のストレスから解消され、自分らしく過ごせる場として、家庭や職場以外でリラックスができる居場所が必要だという考え方もあって注目されています。
ここでは、サードプレイスの定義や意味について解説するとともに、具体的な場所や活用例について紹介します。
目次
サードプレイスとは?
サードプレイスとは「第三の場所」という意味の通り、人生における「家庭」「仕事」以外のストレスが解消できる利害関係のないコミュニティがある場所を指します。会話が弾みやすく、気軽に立ち寄ることができて居心地の良い場所であれば、どこでもかまいません。リラックスして自分らしく過ごせる場所を意味する言葉であり、家族のことや職場のことでストレスを抱える現代人に注目される概念です。
サードプレイスは、アメリカの都市社会学者であるレイ・オルデンバーグによって提唱され広く知られるようになりました。自宅や職場、家庭とも違う場所で、ストレスや責任感から開放され、ゆったりと過ごす時間が人生に重要であると言われています。
プレイスの種類
サードプレイスだけではなく、人生に関わる場所として「ファーストプレイス」「セカンドプレイス」があります。
ファーストプレイス
ファーストプレイスとは、もっともプライベートな場である家庭を意味する言葉です。睡眠、食事、入浴という、生活するための基盤となる時間を過ごす場所となります。
しかし、家庭生活は家族がいる人にとっては、必ずしも自分だけのために時間を過ごすことができるとは限りません。もっともリラックスして過ごせる場所である一方、ファーストプレイスを快適に保つための責任も生じます。
また、家族関係がこじれたときなど、何かしらのトラブルが発生すると、逆に大きなストレスを感じる場になることもあります。
セカンドプレイス
セカンドプレイスは、大人であれば職場、学生であれば学校などを意味する言葉です。人が生きるための経済活動や学業などを行う場所であり、人生に欠かせない場である一方で、自分だけのためにある場所ではないため、ストレスや疲れを抱える場でもあります。
セカンドプレイスはファーストプレイスとは異なり、日常的に他者とのかかわりを強要される場です。そのため、振舞い方や人間関係での悩みを抱え、ストレスにさらされることも少なくありません。
なぜサードプレイスがいま注目されるのか?
サードプレイスが日本で注目されるようになった理由には、働き方の多様化や仕事への価値観の変化があげられるでしょう。
旧来、日本社会や多くの日本人にとって、家庭と仕事は絶対的に重要とされるものでした。ところが、多様な働き方が現れたことや、結婚への意識の変化、少子高齢化による人口構造の変化などにより、さまざまな価値観が社会で顕在化したことから、これまで絶対視されていた場の価値がゆらぎはじめました。
個々のライフスタイルが尊重されるようになるにつれ、ファーストプレイス、セカンドプレイス以外の場を持つことが、人生を豊かにするのではないかと考えられるようになったのでしょう。また、コロナ禍で職場への出社が禁じられ、人々の居場所がファーストプレイスのみになったことも、別の場であるサードプレイスの重要性を認識させるきっかけとなったのかもしれません。
現代では、日々の生活でのストレスから切り離され、自分らしく過ごせる場で、他者とつながることが求められているのです。
サードプレイスを用意することのメリット
サードプレイスを提唱したレイ・オルデンバーグによれば、サードプレイスは以下のような特徴を備えています。
- 中立領域:経済的や政治的に縛られることなく、参加者は自由に出入りして過ごせる
- 平等主義:社会的経済地位、年齢、性別など関係なく、平等なかかわりを持てる
- 会話:会話による交流が重要な要素であり、気軽に楽しく話せる
- 利用のしやすさ:気軽に立ち寄れ、いつでもすぐに行ける
- 常連の存在:頻繁に訪れる常連者がその場の空気や雰囲気を形成する
- 地味で控えめな空間:派手過ぎず控えめな内装で、家庭的な雰囲気で気負わず訪れられる
- 遊び心あふれる雰囲気:受け入れられ、誰もが喜びを感じられる
- 我が家のような場所:社交の場でありながら、ぬくもりがある
その人にとってのサードプレイスを用意することで、リフレッシュ効果が期待できるほか、新しいアイディアの閃きや、精神的安定などが期待できます。
リフレッシュできる
サードプレイスは、自分らしく過ごせる場です。仕事や家庭の問題で多くのストレスを抱えていても、サードプレイスを訪れている間は時間も忘れ、ストレスから解放されてリラックスできます。サードプレイスがあれば、日々の疲れを癒し、明日への活力につなげることができるでしょう。
閃きや刺激を得られる
サードプレイスでは、新しい交流が生まれるかもしれません。年齢や職業に縛られず、多様な人々が集まるため、自分の価値観が変わるような経験をすることもあるでしょう。サードプレイスでの出会いが、人生に新しい刺激や閃きを与えてくれます。
サードプレイスの活用方法
サードプレイスを社内に設け、従業員同士のコミュニケーションの促進を図る企業もあります。また、以下のような場がサードプレイスとして活用されています。
社内バーや社内カフェ
社員食堂とは異なり、お酒を提供するバーやリラックスした雰囲気のカフェを社内に設けると、サードプレイスとして機能します。オフィスの雰囲気とは異なる設計にするのがポイントです。
他部署の社員と交流したり、同期と雑談したりすることができれば、仕事を一時離れてリフレッシュして生産性の向上が期待できます。
コワーキングスペース
近年広がっているコワーキングスペースも、サードプレイスとして活用可能です。コワーキングスペースは、勉強や仕事用に設計された公共のスペースをいいます。一人で集中して仕事をするために活用できるほか、異業種の人々との交流の場として設けられている場所もあります。職場や学校とは異なる人間関係を築ける場であるといえるでしょう。
新しい価値観に出会えるサードプレイス
家庭や職場とは異なるサードプレイスは、リラックスして過ごせる場として、人生を豊かにするものと考えられています。また、日々の人間関係とは異なる人々と出会えることで、新しい価値観や新しい発想の気づきが得られるかもしれません。
昨今では、職場のストレス軽減が生産性向上につながると考えられており、サードプレイスを会社が用意することが社員の働きがいにつながる可能性もあります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
転職して1年未満だと育休は取れない?伝え方や給付金について解説
転職して1年未満でも、2022年4月の法改正により原則として育児休業の取得が可能です。ただし、労使協定が存在する場合や、雇用形態によって制約を受けることもあります。 この記事では、転職して1年未満でも育休を取得できる条件や具体的なケースを紹…
詳しくみる不採用通知の書き方、郵送・メール電話のコツや例文を紹介(テンプレート付き)
不採用通知は、採用を見送ったことを伝えるものです。不採用通知の連絡方法は、メールや電話、書類の郵送といったものが挙げられます。応募者は、連絡が遅いと「返信はいつ来るのか」と心理的負担にもつながるため、誠意を持った対応が必要です。 本記事では…
詳しくみる契約社員とは?パートとの違いやメリット・デメリットを解説
契約社員とは、契約期間に定めのある有期労働契約の社員です。正社員は契約期間に定めのない無期雇用なのが契約社員との違いとなります。 有期契約社員にはデメリットしかないと思われがちです。正社員を雇用せず契約社員にする理由はどこにあるのでしょうか…
詳しくみる圧迫面接とは?目的はなに?応募者と企業としての対処法
圧迫面接とは企業が応募者に対して高圧的、強迫的な態度を取りながら面接する手法です。企業側としては応募者の能力を確認する目的で実施することが一般的ですが、応募者目線で見ると「面接官が突然キレた」「険悪な雰囲気だったのになぜか受かった」など相手…
詳しくみるパワハラは訴えたもん勝ち?訴訟の事例や訴えられた場合の対応を解説
パワハラが「訴えたもん勝ち」と言われる場合があります。その背景として、社会的な関心の高まりや訴訟の増加が挙げられます。本記事では、人事労務担当者やビジネスパーソン向けに、実際の訴訟事例を交えながら、パワハラで訴えられた場合の適切な対応方法に…
詳しくみるサボタージュとは?サボると意味は同じ?使い方や各種制度も解説!
サボタージュとは、労働者の争議行為の一種である「怠業」のことです。日常会話では「サボる」という言い方をすることもありますが、正しくは、労働者が意図的に生産性を低下させ、会社側に賃金上昇などの主張を訴える際に行う「怠業」を意味します。ここでは…
詳しくみる