- 更新日 : 2025年9月22日
離職票の発行条件は?流れや日数、もらえない・やっぱり欲しい場合の対処法も解説
退職後の手続きで使う離職票。失業保険(基本手当)の受給に必要な書類ですが、自分の場合は発行されるのか、退職したのにいつまで経っても届かない、といった不安はありませんか。特に、失業保険はすぐにもらう予定がなかったけれど、転職活動が長引いて離職票がやっぱり欲しいと感じる人も少なくありません。
この記事では、離職票が発行されるための基本的な条件から、手元に届くまでの日数、万が一もらえない場合の具体的な対処法まで分かりやすく説明します。
目次
そもそも離職票とは
離職票は、正式には雇用保険被保険者離職票といい、ハローワークで失業保険(基本手当)の受給手続きを行う際に必ず提出する書類です。この書類には、離職理由や退職前の賃金支払状況などが記載されており、ハローワークが失業保険の受給資格や支給額を決めるための重要な情報源となります。退職後の生活を支える給付金を受け取るためには、なくてはならない書類といえるでしょう。
離職証明書との違い
一方、離職証明書は、離職票発行の前提となる書類です。離職票を発行するために会社がハローワークへ提出し、提出を受けたハローワークが離職票を発行します。似た名称の書類として退職証明書が存在しますが、こちらは従業員が退職したことを証明する書類であり、転職先への提出や国民年金への加入などに用いられます。
離職票が発行される3つの条件
離職票は、退職すれば誰でも自動的にもらえるわけではありません。発行にはいくつかの基本的な条件があります。自分がこれらの条件を満たしているか、事前に確認しておくことが大切です。
1. 雇用保険に加入していること
最も基本的な条件は、退職する会社で雇用保険に加入していることです。正社員であればほとんどの場合加入していますが、パートやアルバイトの人でも、学生でなく、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるという条件を満たしていれば加入対象となります。給与明細で雇用保険料が天引きされているか確認してみましょう。
2. 退職の事実があること
当然ながら、会社を退職していることが前提です。在職中に離職票を受け取ることはできません。退職手続きが完了し、会社が被保険者資格の喪失手続きを行って初めて、離職票の発行準備が始まります。正式な退職日を会社としっかり確認しておくことが重要です。
3. 本人が交付を希望すること
原則として、離職票は退職者が希望した場合に発行されます。退職時に会社から離職票がいるかどうかを確認されるのが一般的です。特に59歳未満の退職者に対しては、本人の希望がなければ会社は発行手続きを行わない場合があります。失業保険の受給を少しでも考えているなら、必ず交付を希望する意思を明確に伝えましょう。
離職票が発行されるまでの流れと日数
ここでは、離職票が発行されて手元に届くまでの一般的な流れと、必要となる日数について解説します。
退職者から会社への意思表示
まず、退職の意思を伝える際に、併せて離職票の交付を希望する旨を会社に伝えます。口頭だけでなく、退職届に一筆添えるなど、書面で意思表示をしておくと確実です。
会社からハローワークへの手続き
会社は、従業員の退職日の翌々日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を管轄のハローワークへ提出する義務があります。この手続きが遅れると、当然ながら離職票の交付も遅れてしまいます。
ハローワークから会社へ、そして本人へ交付
ハローワークは、会社から提出された書類を確認し、問題がなければ離職票を会社へ交付します。その後、会社から退職者本人へ郵送されるのが一般的です。
この一連の流れにかかる期間は、通常退職日から2〜3週間程度です。会社の処理速度やハローワークの繁忙期によって多少前後します。
離職票がもらえないケースと対処法
会社に発行を依頼したのに、一向に離職票が届かない、そんな離職票がもらえないトラブルに直面した場合の、主な原因と具体的な対処法を説明します。
会社が手続きを忘れている・拒否している場合
離職票をもらえない最も多い原因は、会社側の手続き忘れや意図的な遅延・拒否です。従業員が離職票の交付を希望した場合、会社には発行手続きを行う義務があります(雇用保険法施行規則第7条等)。
まずは電話やメールで丁重に状況を催促しましょう。それでも対応してもらえない場合は、管轄のハローワークに相談してください。ハローワークから会社へ直接、手続きを行うよう指導や勧告をしてもらうことが可能です。
退職時に不要と伝えたがやっぱり欲しい場合
59歳未満の退職者については、本人が交付を希望しない限り、会社は離職票を発行しないことがあります。退職時には不要だと思って希望しないと伝えたものの、後になって離職票がやっぱり欲しいと感じるケースは少なくありません。この場合でも、後から会社に依頼すれば発行してもらえます。
会社と連絡が取れない・倒産した場合
会社との連絡が取れない、あるいは会社が倒産してしまったなど、どうしようもない事情がある場合でも諦める必要はありません。ハローワークに直接相談し、状況を説明してください。会社の管轄が不明でも、自分の住所地を管轄するハローワークが対応してくれます。最終的には、ハローワークの権限で離職票を発行してもらえる場合がありますので、まずは相談することがもらい方の第一歩です。
離職票を紛失した場合の再発行手続き
大切な離職票を万が一紛失してしまった場合でも、再発行が可能です。焦らずに正しい手続きを取りましょう。再発行の方法は主に2つあります。
ハローワークでの再発行申請
最も確実な方法は、自身の住所地を管轄するハローワーク、または離職票を発行したハローワーク(元の会社の管轄)で離職票の再発行を申請することです。手続きには、本⼈確認書類(運転免許証など)、可能であれば退職した会社の情報(名称、所在地)がわかるものを持参します。雇用保険被保険者離職票再交付申請書に必要事項を記入して提出すれば、原則として即日再発行されます。
退職した会社に依頼する方法
退職した会社に連絡が取れる場合は、会社経由で再発行を依頼することもできます。ただし、会社がハローワークで手続きを行うため、手元に届くまでに時間がかかる可能性があります。急いでいる場合は、自分で直接ハローワークへ行く方が早いでしょう。
離職票の発行条件を正しく理解しましょう
離職票は、退職後の生活を支える失業保険を受給するために必要な公的書類です。発行には雇用保険への加入と本人の交付希望が基本的な条件となり、通常は退職後2〜3週間で手元に届きます。
もし離職票が10日過ぎても届かない場合や、会社からもらえないといったトラブルが発生した際は、決して一人で悩まず、まずは退職した会社へ確認の連絡を入れましょう。それでも解決しない場合は、ためらわずにハローワークに相談することが解決への道筋です。ハローワークは労働者の権利を守るための公的機関であり、適切な助言や対応をしてくれます。この記事で説明した発行条件や日数、もらい方の知識を役立て、落ち着いて手続きを進めてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労災保険給付の金額はいくら? 計算方法などを詳しく解説
業務上または通勤中の事故によって負ったケガや病気などに対して、保険給付される制度を「労災保険制度」といいます。 本記事では、労災認定される条件や種類、給付額の計算方法について解説します。 労災(労働災害)とは? 労災(労働災害)とは、業務や…
詳しくみる従業員が退職したら何をすべき?社会保険手続きや必要書類の書き方まとめ
従業員の退職が決まったら、人事がするべき手続きが数多くあります。なかでも健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの社会保険は、手続きの期限が決まっているため、迅速に必要書類を提出しなければなりません。 ここでは、いつまでに何をすればいいのか、従…
詳しくみる厚生年金保険料の計算方法
所得税や雇用保険料ほか、給料からはさまざまな税金や保険料が天引きされていることと思います。 そのなかのひとつ、厚生年金保険料の計算方法をご存じですか? 保険料は、毎月の給料とボーナスに定められた保険料率を乗じて計算されますが、正比例している…
詳しくみる借り上げ社宅制度とは?従業員・会社側のメリットや節税シミュレーション
借り上げ社宅制度とは、企業が契約した賃貸物件を従業員に貸し出す制度のことです。従業員は相場より安い家賃で住めるうえ、企業側にも節税などのメリットがあるため、双方にとって魅力的な制度といえるでしょう。 この記事では、借り上げ社宅制度の基本的な…
詳しくみる労働保険とは?労災保険と雇用保険の違いや事業主の加入手続きも解説!
社会保険という用語は広く知られていますが、労働保険という用語はあまり認知されていないのではないでしょうか。 しかし、労働保険は働く労働者にとって不可欠な保険制度です。 本稿では社会保険における労働保険の位置付けと、その種類・内容、加入手続き…
詳しくみる厚生年金保険料が急に上がったのはなぜ?原因や計算方法を解説!
厚生年金や健康保険などの社会保険料は、会社勤めや公務員の場合、給与から天引きされるのが一般的です。そのため、給与明細を見て保険料が上がったのを知り驚く方も多いでしょう。保険料が上がるのは通常、1年に1度ですが、例外もあります。本記事では、厚…
詳しくみる