- 更新日 : 2025年8月20日
雇用契約書の無料テンプレート集|Wordでダウンロード可能|厚生労働省の雛形に準拠
雇用契約書を作成するとなると、「自社に適したテンプレートはどれか」「法的に問題ないか」といった疑問が生じるものです。特に、正社員、アルバイト、再雇用などの雇用形態や、法改正への対応に不安を感じる人事・労務担当者の方も少なくないでしょう。
この記事では、様々なシーンで活用できる雇用契約書のテンプレートを無料で提供します。雇用契約書作成時の注意点についても解説していますので、ぜひ最後までご一読ください。
目次
雇用契約書の無料テンプレート集
ここでは、様々な雇用形態に合わせてすぐに利用できる、無料の雇用契約書テンプレートをご用意しました。自社の状況に応じてダウンロードし、カスタマイズしてご活用ください。
雇用契約書兼労働条件通知書
労働基準法で交付が義務付けられている「労働条件通知書」と、双方の合意を示す「雇用契約書」を一体化した、実用性の高いテンプレートです。多くの企業でこの形式が採用されており、手続きを一度で済ませることができます。まずはこちらの利用をご検討ください。
一般的な雇用契約書
様々な雇用形態に対応できる基本的な雇用契約書のテンプレートです。「雇用期間」の項目で「期間の定めなし」と「期間の定めあり」のいずれかを選択できるため、正社員と有期契約社員の双方に使用できます。
アルバイト雇用契約書
学生や主婦(主夫)などをアルバイトとして雇用する際のテンプレートです。シフト制勤務や学業との両立に関する配慮など、アルバイト特有の条件を記載する際に適しています。
臨時・日雇い労働者向け雇用契約書
イベントスタッフや繁忙期の短期的な業務など、臨時または日単位で雇用契約を結ぶ場合のテンプレートです。日々の契約関係を明確にし、給与の支払い方法などを正確に定めることでトラブルを防ぎます。
再雇用社員向け雇用契約書
定年退職した従業員を再雇用する際に使用します。定年前とは異なる労働時間や賃金、業務内容を定めることが一般的です。高齢者雇用安定法に則り、適切な労働条件を明示する必要があります。
雇用契約書の基礎知識
テンプレートを利用する前に、雇用契約書そのものについての理解を深めておきましょう。
雇用契約書と労働条件通知書の違い
労働条件通知書は、企業が従業員へ労働条件を一方的に通知する、法律で交付が義務付けられた書類です。一方、雇用契約書は、その条件に双方が合意したことを証明する契約書です。効力や目的が異なるため、両方の性質を兼ね備えた「雇用契約書兼労働条件通知書」を利用するのが最も確実で効率的です。
厚生労働省の雛形を基準にする
本記事で提供するテンプレートは、厚生労働省が公開する雛形をベースに、より実務で使いやすいよう調整したものです。法令で定められた明示事項を網羅しており、法改正にも対応しているため、信頼性の高い契約書作成の土台となります。自社の状況に合わせてカスタマイズする際の基準としてください。
雇用契約書の書き方
テンプレートをダウンロードしたら、自社の状況に合わせて内容を追記・修正する必要があります。ここでは、「雇用契約書テンプレート(ワード)」の書き方と記入例を解説します。
雇用期間
正社員など期間を定めずに雇用する場合は「1. 期間の定めなし」を選択します。契約社員やアルバイトなど、契約期間が決まっている場合は「2.」を選択し、具体的な開始日と終了日を「2025年7月10日〜2026年7月9日まで」のように明記します。
勤務場所
雇い入れ直後に勤務する場所を「本社(東京都港区△△ビル5階)」のように具体的に記載します。将来的に転勤の可能性がある場合は、トラブル防止のため「変更の範囲:会社の定める全ての事業所」といった一文を加えておくとよいでしょう。
仕事の内容
「営業職」「経理事務」だけでなく、「新規顧客への企画提案および既存顧客のフォローアップ」「月次・年次決算業務、請求書発行業務」など、従事する業務内容を可能な限り具体的に記載します。
勤務時間等
始業・終業時刻と休憩時間を「9時00分から18時00分まで(うち休憩時間60分)」のように正確に記載します。
休日
「土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始休暇」のように、休日となる日を具体的に定めます。
所定外労働
時間外労働や休日労働をさせる可能性がある場合は、それぞれ「有」に丸をつけます。特に時間外労働については、36協定で上限が月45時間・年360時間と定められているため、この基準を盛り込む必要があります。
休暇
年次有給休暇や慶弔休暇など、法律で定められた休暇や会社独自の休暇制度について記載します。
賃金
- 基本給・諸手当
「月給 300,000円」と総額を記載するだけでなく、「基本給 250,000円」「役職手当 30,000円」「資格手当 20,000円」のように、内訳を明記します。 - 所定外労働等に対する割増率
時間外、休日、深夜労働の割増率を記載します。法律で定められた最低率(法定超:25%以上、法定休日:35%以上、深夜:25%以上)を記載するのが一般的です。 - 賃金締切日・支払日
「毎月末日締め、翌月25日払い」のように、締切日と支払日を具体的に指定します。 - 昇給・賞与・退職金
制度の「有・無」を明確にします。「有」の場合は、「昇給:有(毎年4月、会社業績と個人評価に基づき決定)」「賞与:有(年2回、6月と12月に支給)」のように、時期や決定方法などを記載します。
退職に関する事項
- 定年制
定年制の有無と、ある場合はその年齢を記載します。 - 自己都合退職の手続
従業員が自己都合で退職する場合、何日前に申し出る必要があるかを「退職する30日前までに届け出ること」のように明記します。 - 解雇の事由及び手続
解雇に関する具体的な事由は、就業規則で詳細に定められていることが一般的です。そのため、ここでは「就業規則第〇〇条による」と、該当する条文番号を記載します。
雇用契約書を作成するポイント
テンプレートをそのまま使用するだけでは、自社の状況に合わない可能性があります。ここでは、契約書作成時に法的に押さえるべき点や、トラブルを避けるための注意点を解説します。
絶対的明示事項と相対的明示事項
労働条件には、必ず記載する「絶対的明示事項」(契約期間、就業場所、業務内容、労働時間、賃金など)と、社内に制度がある場合に記載する「相対的明示事項」(退職金、賞与など)があります。特に絶対的明示事項の記載漏れは労働基準法第違反となるため、細心の注意が必要です。
2024年4月労働条件明示ルール改正への対応
2024年4月の法改正への対応は必須です。具体的には、「就業場所・業務の変更の範囲」の明示、有期契約における「更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会および無期転換後の労働条件」の明示などが新たに義務化されました。本記事のテンプレートはこれらの改正に対応していますが、自社でカスタマイズする際もこれらの項目を必ず含めてください。
雇用契約書のテンプレートを賢く活用しましょう
本記事では、様々な雇用形態に対応した雇用契約書テンプレートと、その作成・運用における重要なポイントを解説しました。雇用契約書は、企業の労務管理の根幹をなし、従業員との信頼関係を築くための基盤です。
提供した各種テンプレートを雛形とし、自社の就業規則と照らし合わせながら、実態に即した内容に仕上げてください。特に法改正への対応は企業の義務です。適切な雇用契約を結び、従業員が安心して働ける環境を整えることが、企業の持続的な成長につながります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
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