• 更新日 : 2025年8月20日

4時間勤務のパートに休憩時間はいらない?労働基準法のルールをわかりやすく解説

「パートの4時間勤務だと、休憩時間はもらえるの?」「少しでも長く働きたいから、休憩はいらないんだけど…」など、パートタイマーの休憩時間に関する疑問は尽きません。特に4時間や5時間といった短時間勤務では、休憩の有無が曖昧になりがちです。

この記事では、4時間勤務で休憩がないのは合法なのか、5時間勤務やそれ以上の場合はどうなるのか、労働基準法で定められた休憩時間のルールを分かりやすく解説します。

労働基準法における休憩時間のルール

労働基準法第34条では、労働時間に応じて休憩時間を与えることが会社の義務として定められています。これは、働く人の心身の疲労を回復させ、安全と健康を守るための大切なルールです。

  • 労働時間が6時間を超える場合:最低でも45分
  • 労働時間が8時間を超える場合:最低でも1時間

この法律は、正社員やパート、アルバイトといった雇用形態に関わらず、すべての働く人に適用されます。たとえ会社の就業規則や雇用契約書に休憩の記載がなくても、法律のルールが優先されます。

参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

休憩時間の3つの原則

法律で定められた休憩には、守られるべき3つの原則があります。

  1. 労働時間の途中に与えること
    勤務の開始前や終了後に休憩をまとめて取ることはできません。
  2. 原則として全員一斉に与えること
    ただし、業種や労使協定によっては個別に取ることも可能です。
  3. 自由に利用できること
    休憩時間は、電話番や来客対応などを頼まれることなく、仕事から完全に解放されていなければなりません。

パートの休憩時間の具体例

では、実際の労働時間ごとの休憩時間はどうなるのでしょうか。具体例を見ていきましょう。

労働時間法律上の休憩義務備考
4時間なし会社によっては配慮で短い休憩(10分〜15分など)が設けられることがあります。
5時間なし4時間勤務と同様、法律上の休憩義務はありません。
6時間なし労働時間が6時間を超える場合という規定のため、勤務時間が6時間をわずかでも超えた場合は休憩が必要です。6時間ぴったりで勤務を終える場合には、休憩の義務はありません。
7時間最低45分労働時間が6時間を超え、8時間以下のため45分の休憩が必要です。
8時間最低45分労働時間が6時間を超え、8時間以下のため45分の休憩が必要です。8時間をわずかでも超えると、1時間の休憩取得が義務になります。

4時間勤務のパートの休憩時間

4時間勤務のパートの休憩時間は、法律上の義務がないため、会社の方針によって対応が異なります。全く休憩がないケースもあれば、会社の配慮で10分や15分といった短い休憩が設けられることもあります。ただし、もし残業が発生し、実際の労働時間が6時間を超えてしまった場合は、その時点で45分の休憩を与える義務が雇用主に生じます。

5時間勤務や6時間勤務の休憩時間

5時間勤務の場合や、6時間ちょうどの勤務をする場合も、4時間勤務と同様に法律上の休憩義務はありません。しかし、6時間をわずかでも過ぎる場合は、最低45分の休憩が必要です。6時間勤務の契約をしている方は特に注意が必要です。

7時間勤務や8時間勤務の休憩時間

7時間勤務の場合は、労働時間が6時間を超え8時間以下の範囲にあるため、法律で定められた通り最低45分の休憩が必要です。同様に、8時間勤務の場合も最低45分の休憩が義務付けられています。もし実際の労働時間が8時間を1分でも超えた場合は、休憩時間は最低1時間に増えるため、残業の際にはこの点も確認しておくと良いでしょう。

パートの休憩時間に関してよくある疑問

休憩時間の法律的なルールが分かっても、実際の職場では「これってどうなの?」と疑問に思う場面があるかもしれません。ここでは、パートタイマーの方からよく寄せられる休憩時間に関する具体的な質問に回答します。ご自身の状況と照らし合わせて、不安や疑問の解消に繋げてください。

4時間勤務で休憩がいらない場合はどうする?

4時間勤務の場合、法律上は休憩を与える義務はありません。そのため、休憩なしで勤務することは法的に問題ありません。

休憩時間はない方が、拘束時間が短くて済む、その分早く帰れるといったメリットを感じる人もいます。休憩はいらないと考える場合は、休憩なしのシフトでも問題ないでしょう。ただし、会社の方針で短い休憩が設定されている場合もあります。

5時間勤務で休憩なしは違法?

5時間勤務で休憩がないシフトも、法律上は違法ではありません。

しかし、立ち仕事や体力を消耗する業務の場合、5時間働き続けるのはきついと感じる方もいるでしょう。法律はあくまで最低限の基準です。もし体力的に負担が大きい場合は、法律違反でなくても、短い休憩が取れないか会社に相談してみることをおすすめします。

5時間勤務で15分の休憩は認められる?

5時間勤務で15分の休憩が与えられるケースは、法的には全く問題ありません。むしろ、法律上の義務がないにもかかわらず、会社が働きやすさに配慮して休憩を設けていると考えられます。

この15分が有給か無給かは、会社の規定によります。一般的に休憩時間は無給ですが、雇用契約書や就業規則でどのように定められているかを確認することが大切です。

パートの休憩が取れない場合の対処法

法律で定められた休憩が適切に与えられていない、または休憩時間の扱いに疑問がある場合、泣き寝入りする必要はありません。自身の権利を守るために、段階を踏んで冷静に対処することが重要です。ここでは、問題解決に向けた具体的な行動を紹介します。

1. 就業規則や雇用契約書を確認する

まずは、ご自身の雇用契約書や、会社の就業規則に休憩時間についてどのように記載されているかを確認しましょう。書面で「労働時間6時間を超える場合は45分の休憩を与える」といった記載があれば、それを根拠に会社と話し合いがしやすくなります。

2. 会社の上司や担当部署に相談する

事実確認ができたら、直属の上司や人事・労務担当部署に相談します。その際は、感情的にならず、「労働基準法ではこう定められているようですが、私の勤務実態について確認させてください」といった形で、冷静に事実を伝えることが大切です。多くの場合、単なる誤解や知識不足が原因であるため、話し合いで解決することが期待できます。

3. 外部の専門機関へ相談する

社内での解決が難しい場合や、相談すること自体に抵抗がある場合は、外部の専門機関に頼る方法があります。全国の労働局や労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」では、無料かつ匿名で専門の相談員による対応が受けられます。ただし、設置状況や受付時間などは地域によって異なるため、事前に各自治体の公式サイトなどで確認すると安心です。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

パートの休憩時間のルールを理解して働こう

今回は、パートの休憩時間について、特に4時間勤務の場合を中心に、労働基準法のルールと具体的なケースを解説しました。

最も重要なのは、法律で休憩が義務付けられるのは労働時間が6時間を超える場合であるということです。そのため、4時間や5時間の勤務では、法律上の休憩義務は発生しません。

しかし、契約時間が4時間でも残業で労働時間が6時間を超えれば、45分の休憩を取る権利が生まれます。5時間勤務で休憩がなくきついと感じる場合や、意に沿わない長い休憩時間に注意が必要な場合も、まずは法律の基本を理解することが解決の糸口となります。ご自身の雇用契約を改めて確認し、正しい知識を持って、安心して働ける環境を整えましょう。


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