- 更新日 : 2025年8月6日
雇用保険被保険者資格取得届の郵送方法は?郵送先や封筒サイズ、必要書類を解説
雇用保険被保険者資格取得届は、従業員を雇用した際に速やかに提出が必要です。窓口提出のほか、郵送でも手続きができますが、記入方法や送付先、封筒の種類など、事前に押さえておくべきポイントがあります。本記事では、郵送での提出方法を中心に、必要書類のそろえ方から発送手続き、注意点までをわかりやすく解説します。
目次
雇用保険被保険者資格取得届は郵送で提出できる?
雇用保険被保険者資格取得届は、ハローワークへ郵送で提出することが可能です。窓口へ行く時間や手間を削減できるため、日々の業務に追われる担当者にとって便利な方法といえます。
提出期限と郵送での受付条件
雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、「被保険者の資格を取得した日(雇用日)の属する月の翌月10日まで」です。例えば、4月15日に入社した場合、提出期限は5月10日となります。
郵送の場合は、ハローワークの「到着日」が提出日扱いとなります。消印日ではない点に注意が必要です。
また、郵送での提出は原則として可能ですが、提出先は事業所所在地を管轄するハローワークに限られます。異なる管轄や別地域のハローワークに誤って送付した場合、差し戻されることがあるため、注意が必要です。
郵送受付にあたっての条件は以下のとおりです。
- 所定の届出様式(雇用保険被保険者資格取得届)を使用していること
- 必要な添付書類がそろっていること
- 返信用封筒(切手貼付)と控えの写し(受付印付きの控えが必要な場合)を添付している
- 記入漏れがないこと
書類に不備があると、受理されず差し戻しとなるため、記載内容と提出期限の管理は慎重に行いましょう。現在、行政手続きのデジタル化に伴い、雇用保険被保険者資格取得届への押印は不要(任意)となっています。
郵送での提出が向いているケース
郵送による提出は、以下のようなケースに適しています。
- 事業所がハローワークから比較的遠い場所にある
- 担当者が常駐しておらず、窓口に行く時間が確保できない
- 提出件数が多く、まとめて処理したい
- 社会保険手続きと合わせて外部に業務委託している
中小企業では、少人数体制で人事労務を兼務している担当者も多く、郵送によって物理的な移動を省略できる点は大きなメリットです。また、控えが必要な場合でも、返信用封筒を同封すれば受付印付きで返送してもらえるため、記録の管理も安心です。
雇用保険被保険者資格取得届の郵送時の準備
郵送提出には、届出書だけでなく、封筒の種類や返信用封筒の準備、郵便料金の把握など事前準備が欠かせません。ここでは、郵送前に確認しておくべき準備事項をまとめて解説します。
必要書類をそろえる
郵送での提出には、まず「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」が必要です。
この用紙は、ハローワーク窓口で受け取るか、ハローワークインターネットサービスからダウンロードして印刷します。原則として、この届出単体で提出が可能ですが、ハローワークからの要請があれば次のような補足資料が必要になることがあります。
- 雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
- 労働条件通知書の写し(一部地域のハローワークで必要)
- 返信用封筒(控えの返送を希望する場合)
届出書には従業員の個人番号(マイナンバー)を記載する欄があります。情報漏洩防止のため、書類の取り扱いには十分に注意してください。
ハローワークによって添付書類の運用が異なることがあるため、事前に提出先のハローワークの公式サイトを確認するか、電話で問い合わせると確実です。
封筒のサイズと種類を選ぶ
雇用保険被保険者資格取得届はA4サイズの書類です。提出時には、書類を折らずに送れる「角形2号(角2)」の封筒を使用するのがおすすめです。
書類を折らないことで、ハローワークでのスキャン処理がスムーズになり、読み取りエラーや差し戻しのリスクを減らすことができます。
角形2号封筒で送付する場合、郵便区分は定形外郵便扱いです。定形外で普通郵便を選ぶと追跡や補償がないため、マイナンバーを含む書類など個人情報を扱う場合は避けてください。
安全に送付するためには、以下のような配達記録付きの手段を利用することをおすすめします。
- 特定記録郵便:配達記録あり、郵便局の窓口で手続きが必要
- 簡易書留または一般書留:配達記録+補償付き、対面受取
- レターパックプラス:追跡可、対面配達、受領印あり
封筒には以下の情報を正確に記載しましょう。
- 宛先:管轄のハローワークの正式名称、郵便番号、住所
- 表記:「雇用保険関係届出書 在中」と朱書き
- 差出人:事業所名、住所、電話番号(裏面または左下)
郵便料金を確認する
郵便料金は、封筒のサイズ、重量、選択する郵送方法によって変わります。特にマイナンバーなどの個人情報を含む場合は、必ず配達記録の残る方法を選んでください。
- 特定記録郵便:160円(定形外料金にプラス)
- 簡易書留:350円(定形外料金にプラス)
- レターパックライト:370円(厚さ3cm以内、ポスト投函、追跡あり)
- レターパックプラス:600円(対面受取、追跡あり)
これらの方法であれば、発送後の追跡確認が可能で、万が一の郵便事故にも対応できます。
また、返信用封筒や控え書類を同封すると重量が増えるため、封入後は郵便局の窓口で計量してもらい、正確な料金で発送するのが確実です。重量や厚みによっては料金が変わるため、自己判断で切手を貼るのではなく、窓口での確認をおすすめします。
返信用封筒を準備する
控えの返送を希望する場合は、返信用封筒(長形3号/長3)を同封します。
長形3号封筒は、A4書類を三つ折りにして収まるサイズ(120mm×235mm)です。
雇用保険被保険者資格取得届の提出後、ハローワークから以下の書類が返送されます。
- 雇用保険被保険者証(労働者用)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主控)
どちらもA4サイズで、1名あたり2枚程度が一般的です。返信用封筒に貼る切手の料金は、用紙の枚数=重さによって変わります。
用紙の目安枚数 | 重量の目安 | 区分 | 料金 |
---|---|---|---|
1~3枚 | ~50g | 定形郵便 | 110円 |
4~8枚 | ~100g | 定形外郵便 | 180円 |
9~13枚 | ~150g | 定形外郵便 | 270円 |
14~20枚 | ~250g | 定形外郵便 | 320円 |
不安な場合や、複数人分を一括で申請している場合は、少し多めに切手を貼るか、郵便局での計量確認をおすすめします。
封筒の宛名には以下の内容を記載しましょう。
- 事業所名
- 郵便番号と住所
- 担当者名または部署名(総務部など)
- 電話番号(任意だが、記載を推奨)
雇用保険被保険者資格取得届の郵送提出の流れ
書類や封筒の準備が整ったら、いよいよ郵送手続きです。初めての方でも迷わず提出できるように、郵送の流れを4つのステップに分けて説明します。
1. 必要事項を記入する
最初に、雇用保険被保険者資格取得届の各項目を正確に記入します。
従業員の氏名、生年月日、性別、資格取得年月日(入社日)、雇用形態、賃金月額、就業形態など、記載内容は雇用契約書や本人確認資料と照らし合わせながら記入しましょう。
マイナンバーは、雇用保険被保険者資格取得届の所定欄に直接記載します。
2. 管轄のハローワーク(郵送先)を特定する
原則として、事業所の所在地を管轄するハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出します。ただし、本社と支店が異なる場所という場合、雇用保険の適用事業所によって提出先が異なります。送付先を間違えると、手続きが保留または差し戻しとなることがあるため、事前に確認をしましょう。
管轄のハローワークが不明な場合は、厚生労働省の「全国ハローワークの所在案内」ページで、事業所の郵便番号や住所から検索できます。
3. 郵便局で適切な方法で発送する
書類一式(雇用保険被保険者資格取得届、添付書類、返信用封筒、送付状など)を封筒に入れたら、郵便局の窓口で発送します。個人情報を含む重要書類であるため、以下のいずれかの方法で送付するのがおすすめです。
- レターパックライト(追跡可・ポスト投函)
- レターパックプラス(追跡可・対面受取)
- 簡易書留または一般書留
- 特定記録郵便(追跡あり)
これらを利用することで、発送後の配達状況を確認でき、トラブルの際に発送証明としても利用できます。マイナンバーが記載された雇用保険被保険者資格取得届を、必ず上記のような追跡可能な方法で送付してください。
4. ハローワークからの返送物を確認する
発送から1週間から2週間程度(申請内容・時期により異なります)で、返信用封筒を通じて返送物が届きます。到着する書類は以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者証(従業員本人用)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主控)
封筒が届いたらすぐに開封し、氏名、資格取得年月日、事業所情報などに誤りがないかを必ず確認してください。従業員本人へは被保険者証を交付し、確認通知書は会社側で保管しておきます。
雇用保険被保険者資格取得届の郵送時の注意ポイント
手軽で便利な郵送提出ですが、いくつかの注意点を守らなければ、手続きの遅延や書類の紛失、情報漏洩といったトラブルにつながります。ここでは、提出前に必ず確認すべきポイントを紹介します。
提出期限(必着)を厳守する
郵送には数日かかることを想定し、締め切りから少なくとも3~4営業日前には発送するなど、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
個人番号(マイナンバー)の取り扱いに注意する
雇用保険被保険者資格取得届の所定欄にマイナンバーを必ず記載してください。この情報が漏洩することがないよう、書類の管理には万全の体制を整えなければなりません。
郵送方法で追跡可能なサービス(書留やレターパックなど)を選ぶのはもちろんのこと、社内での書類保管時も施錠できるキャビネットに入れるなど、厳重な管理を徹底しましょう。
提出書類の控えを保管する
郵送する前には、提出する雇用保険被保険者資格取得届や添付書類のコピーを必ず取っておきましょう。これは、郵送事故による紛失といった不測の事態に備えるためです。
また、後日ハローワークから内容について問い合わせがあった際にも、手元に控えがあればスムーズに対応できます。コピーは、他の機密書類と同様に適切に保管してください。
普通郵便のリスクを理解する
普通郵便は、配達の過程が記録されず、紛失した場合の補償もありません。マイナンバーという特定個人情報を含む書類を送付する際に、普通郵便を利用するのは、企業の危機管理意識が低いとみなされます。必ず配達記録が把握できる方法を選択しましょう。
雇用保険被保険者資格取得届の郵送以外の提出方法
郵送以外にも、状況に応じて以下の方法で届出を行うことが可能です。
ハローワーク窓口での提出
事業所の所在地を管轄するハローワークの窓口へ、担当者が直接書類を持参する方法です。書類を直接持参すれば、職員にその場で確認してもらうこともできます。
受付時間は原則として平日8:30~17:15です。混雑時や持参する前に、管轄のハローワークに確認しておくと安心です。
電子申請(e-Gov・GビズID)を利用する
政府が運営するポータルサイト「e-Gov(イーガブ)」を通じて、インターネット上で申請が可能です。初めて利用する場合、PCの設定や「GビズID」の取得と電子証明書の設定が必要です。
参照:e-Govポータル
社会保険労務士(社労士)に依頼する
社内での手続き対応が難しい場合は、社労士に依頼する方法もあります。
郵送・窓口・電子申請のいずれにも対応でき、スポット契約にも応じている事務所が多いため、年に数回しか手続きがない事業所にも適しています。
雇用保険被保険者資格取得届の郵送は、期限に余裕を持って進めよう
雇用保険被保険者資格取得届の郵送は、窓口に行けない場合でも確実に提出できる便利な方法です。ただし、提出期限は必着であり、数日かかる郵送では余裕を持った対応が欠かせません。
書類の準備、封筒の選定、追跡可能な郵送方法の選択、返信用封筒の同封など、すべての工程を早めに着手することが、スムーズな手続きと社内トラブル防止につながります。
関連:雇用保険被保険者資格取得届とは?書き方や記入例・提出先を紹介!
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
月額変更届(随時改定)は1等級差の場合は提出が必要?提出基準や手続き方法を解説
給与が変動した際に、月額変更届(随時改定)は1等級差でも提出しなければならないのかと疑問に思う方は多いでしょう。社会保険の標準報酬月額は、給与の変化に応じて見直されますが、すべてのケースで手続きが求められるわけではありません。 本記事では、…
詳しくみる育休中に年金を払わなくても将来減らない?産後パパ育休との違いも解説
育児休業を取得すると年金の支払いはどうなるのか、将来の年金額に影響はあるのかと不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。人事労務担当者や育休を予定している従業員にとって、年金制度の仕組みを正しく理解しておくことは欠かせません。この記…
詳しくみる年金の3階建てとは?1階・2階との違いなどをわかりやすく解説!
年金制度の仕組みは建物の構造に例えられ、日本は2階建てや3階建てであるといわれます。国民年金と厚生年金で構成される公的年金が2階建てになっていて、その上に私的年金を積み上げることで3階建てになります。個人型確定拠出年金を正式名称とするiDe…
詳しくみる厚生年金の事業所番号とは?わからない時の確認方法は?
従業員を雇用すると、事業主は健康保険や厚生年金保険などの社会保険に関するさまざまな手続きを行う必要があります。 所定の書類を年金事務所などに提出することになりますが、その際は事業所番号と事業所整理番号を記載しなければなりません。 本稿では、…
詳しくみる健康保険の被扶養者とは?加入条件や被扶養者(異動)届の書き方も解説!
健康保険に加入する被保険者の親族のうち一定の要件を満たす者は、被扶養者となることができ、収入や同居の条件を満たしている親族が、被扶養者として認められます。被扶養者には、被保険者と同じように健康保険証が交付されます。被扶養者となるには被扶養者…
詳しくみる社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入におけるメリット
社会保険に加入していることで保障される内容やメリットについての説明をします。 社会保険の加入義務 社会保険への加入義務がある事業所は、以下のとおりです。 強制適用事業所 事業所が次のいずれかに該当する場合は、社会保険の強制適用事業所になりま…
詳しくみる