• 更新日 : 2025年7月25日

フレックスタイム制に向いている職種一覧|大手企業の事例や求人選びのコツも徹底解説

近年、多様な働き方を推進する動きが加速する中で、フレックスタイム制は多くのビジネスパーソンにとって魅力的な選択肢となっています。しかし、その一方で「本当に誰でも活用できるのか」「どんな職種なら恩恵を受けられるのか」といった疑問の声も聞かれます。

本記事では、フレックスタイム制の基本から、制度を最大限に活かせる職種、向いていない職種、そして導入している企業を見極めるポイントまで、企業事例を交えながら詳しく解説します。

そもそもフレックスタイム制とは

まずは、制度の基本的な仕組みについて正確に把握しておきましょう。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制は、主にコアタイムフレキシブルタイムの2つの時間帯で構成されます。

  • コアタイム
    全従業員が必ず勤務しなければならない時間帯
  • フレキシブルタイム
    その時間帯の中であれば、いつ出社・退社しても良いとされる自由な時間帯

例えば、コアタイムが11時〜15時と定められている場合、従業員はこの時間帯は必ずオフィスにいる必要がありますが、始業や終業の時間は個人の裁量に委ねられます。

清算期間と総労働時間

フレックスタイム制では、「清算期間」という一定の期間(通常1ヶ月〜3ヶ月)が設けられ、その期間内で働くべき「総労働時間」が定められています。従業員は日々の労働時間に多少の増減があっても、清算期間の終わりまでに総労働時間を満たせば良いため、ある日は短時間勤務、別の日は長時間勤務といった柔軟な働き方が可能になるのです。

スーパーフレックスタイム制との違い

スーパーフレックスタイム制は、コアタイムを設けない、より自由度の高い制度です。定められた清算期間の総労働時間を満たしさえすれば、日々の出退勤時間を完全に自由に決められます。

フレックスタイム制を活用しやすい職種一覧

では、具体的にどのような職種がフレックスタイム制と相性が良いのでしょうか。ここでは、業務の性質や求められるスキルセットから、特におすすめの職種をカテゴリー別に紹介します。

IT・クリエイティブ系

個人の集中力や創造性が生産性に直結する職種です。自分のペースで作業を進めることで、質の高いアウトプットが期待できます。

  • ITエンジニア・プログラマー
  • Webデザイナー・UI/UXデザイナー
  • Webマーケター・SEOコンサルタント
  • 動画編集者・映像クリエイター
  • ライター・編集者

専門職・コンサルティング系

高度な専門知識を活かし、自己完結できる業務が多いのが特徴です。クライアントとの打ち合わせ時間を調整できれば、柔軟な働き方が可能です。

  • データサイエンティスト・アナリスト
  • コンサルタント(経営、ITなど)
  • 研究開発職
  • 公認会計士・税理士(事務所勤務)
  • 社会保険労務士

事務・企画系

チームとの連携も必要ですが、個人のデスクワークも多い職種です。スケジュール管理能力が求められます。

  • 企画・マーケティング職
  • 人事(特に採用・制度設計担当)
  • 経理・財務(月次・年次決算期を除く)
  • 広報・PR
  • 営業事務(内勤中心の場合)

フレックスタイム制に向いている職種の共通点

フレックスタイム制との相性が良い職種には、いくつかの明確な共通点があります。

  • 成果(アウトプット)で評価しやすい
    労働時間の長さではなく、創出された成果で仕事の価値を評価できる職種は、フレックスタイム制と非常に高い親和性を持ちます。
  • 個人の裁量が大きい
    業務の進め方やスケジュール管理を、個人の裁量に委ねられる範囲が広い職種も向いています。 生産性を最大化する工夫が可能です。
  • コミュニケーションが非同期でも進めやすい
    チャットツールなどを活用し、リアルタイムでの会話に依存せずとも業務が進められる職種も適しています。

フレックスタイム制に向いていない職種の傾向

一方で、全ての職種がフレックスタイム制に適しているわけではありません。以下のような特徴を持つ職種は、導入が難しい、あるいは相性が悪いと考えられます。

  • チームでの連携が必須な職種
    コールセンターのオペレーターチームのように、メンバー全員が揃っている前提で業務フローが組まれている場合、フレックスタイム制は機能しにくいでしょう。
  • 顧客対応や窓口業務が中心の職種
    店舗の販売員や銀行の窓口担当など、営業時間が明確に決まっている職種は、個人の裁量で勤務時間を変更することが困難です。
  • 工場のライン作業など時間が固定されている業務
    製造業における工場のライン作業のように、一人の遅れが全体の生産ラインに影響する業務も導入は困難です。

営業職はフレックスタイム制に向いていないのか

営業職は、顧客訪問や商談など社外での活動が多いため、フレックスタイム制との相性が良い場合があります。例えば、朝一番で顧客先へ直行し、日中の空き時間で資料作成、夕方は別の商談後に直帰するといった柔軟な働き方が可能です。

ただし、チームでの朝礼や定例会議が必須であったり、社内での連携が頻繁に求められたりするスタイルの営業組織では、コアタイムが長めに設定されているか、制度の利用に一定の制限がある場合もあります。

フレックスタイム制を導入している企業の割合

厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業の割合は全体の7.2%で、労働者に対する適用割合は11.5%でした。企業規模が大きくなるほど導入が進んでいる傾向にあり、制度の普及は緩やかに増加を続けています。今後、働き方改革や多様な労働環境整備の推進により、さらに多くの企業がフレックスタイム制を取り入れることが期待されています。

参考:令和6年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

フレックスタイム制を導入している大手企業の事例

近年、多くの大手企業が働き方改革の一環としてフレックスタイム制(またはスーパーフレックスタイム制)を導入しています。

  • トヨタ自動車株式会社:事務職や技術職を対象に、コアタイムのないスーパーフレックスタイム制を導入しています。
  • 株式会社NTTデータ:コアタイムのないフレックスタイム制度を全社員に適用しており、働く場所も自宅やサテライトオフィスなど自由に選択できるリモートワーク制度と組み合わせて活用されています。
  • ソニーグループ株式会社:個人の裁量を重視し、多くの職場でコアタイムのないフレックスタイム制が採用されています。
  • パナソニック ホールディングス株式会社:職場や個人の業務内容に応じて、コアタイムを設定するフレックスタイム制や、より柔軟な勤務制度を導入しています。

フレックスタイム制の求人を見つけるコツ

フレックスタイム制を導入している企業は年々増加傾向にありますが、その運用実態は企業によって様々です。

求人サイトでの探し方

多くの大手求人サイトでは、「こだわり条件」や「キーワード検索」でフレックスタイム制を導入している企業を絞り込むことができます。「フレックスタイム制」「スーパーフレックス」といったキーワードで検索してみましょう。また、企業の採用ページや社員インタビューなどで、実際の働き方について言及されている部分を読み込むことも有効です。

コアタイムの有無と時間帯

フレックスタイム制といっても、コアタイムが10時〜17時のように長く設定されている場合、実質的な自由度はあまり高くありません。求人票にコアタイムの記載があるかを確認し、もし記載がなければ面接時に質問してみましょう。自分のライフスタイルと照らし合わせ、コアタイムが許容範囲内かを見極めることが大切です。

制度の利用実績が形骸化していない

面接の場では、「フレックスタイム制は、実際にどのくらいの社員の方が利用されていますか?」「制度を利用しにくい雰囲気などはありますか?」といった質問を投げかけてみましょう。社員の利用率や、制度が定着している具体的なエピソードを聞き出すことで、その企業における制度の浸透度を測ることができます。

フレックスタイム制を理解し、自分に最適なキャリアを

フレックスタイム制は、適切に活用すればワークライフバランスを飛躍的に向上させ、生産性を高めることができる非常に魅力的な制度です。しかし、その恩恵を最大限に受けるためには、制度の仕組みを正しく理解し、自身の職務内容やスキル、性格との相性を見極めることが不可欠です。

本記事で紹介した職種や企業の選び方を参考に、ぜひご自身のキャリアプランニングにお役立てください。フレックスタイム制という働き方を一つの選択肢として捉え、自分らしく輝ける職場を見つける一助となれば幸いです。


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