• 更新日 : 2025年7月25日

残業理由の書き方と例文一覧|よくある理由ランキングや一言で済ませたい場合まで解説

残業を申請する際、「理由をどう書けば角が立たないだろうか」「正直に書くと、能力不足だと思われないか不安…」と、書き方に悩んだ経験はありませんか?

残業理由は、単なる事務手続きではありません。あなたの状況を上司に正しく伝え、評価を守り、結果としてチームの生産性改善につながるケースもあります。

この記事では、残業理由の書き方から具体的な例文まで分かりやすく解説します。

残業理由で押さえるべき3つの基本ポイント

どんな状況であっても、残業理由を書く際は以下の3点を意識することが重要です。

  1. 客観的な事実を具体的に書く
    「なぜ残業が必要なのか」を誰が読んでも理解できるよう、固有名詞(取引先名、プロジェクト名、資料名など)を使い具体的に記述します。
  2. 緊急性・重要性を伝える
    「今日中にやるべきこと」「重要な会議の資料」など、なぜ時間内に終わらせる必要があったのかを明確にします。
  3. 自己都合や能力不足を匂わせない
    「不慣れで」「集中できず」といった表現は避け、あくまで業務上の必要性であることを示します。

残業理由ランキングとその背景

多くのビジネスパーソンがどのような理由で残業しているのでしょうか。

1位 業務量が多すぎる

一般的に多く指摘される残業理由として、業務量増加や突発業務への対応などが挙げられます。特に、人員削減や業務範囲の拡大があった部署では、一人当たりの負荷が増大しがちです。この背景には、適切な人員配置ができていない、あるいは業務の効率化が進んでいないといった、組織全体の問題が隠れていることが多いです。

2位 突発的な業務やトラブル対応

クライアントからの急な依頼や、予期せぬシステムトラブルなども、残業の大きな要因です。これは、個人の努力だけでは避けがたい側面があります。しかし、あまりにも頻発する場合は、業務管理やリスク対応フローの見直しが推奨されます。

3位 会議や打ち合わせが多い

日中の多くの時間を会議に費やしてしまい、本来の自分の業務が夕方以降にずれ込んでしまうケースです。不要不急な会議が多い、あるいは会議の生産性が低いといった問題が考えられます。会議の目的を明確化し、参加者を絞り、時間を厳守するといった基本的な改革が求められます。

残業理由の書き方・例文一覧

具体的な状況別に、そのまま使える残業理由の書き方と例文を紹介します。

業務量が単純に多い・定常業務が終わらない場合

「業務多忙」や「残務処理」は便利な言葉ですが、これだけでは具体性に欠け、承認者も状況を把握できません。「どの業務が」「なぜ」時間内に終わらなかったのかを簡潔に補足するのがポイントです。これにより、業務量の多さが客観的に伝わり、単なる「仕事が遅い」という印象を避けることができます。

例文
  • 午前中に発生したサーバー障害対応の影響による、通常業務の遅延分を処理するため。
  • 月末の請求書発行業務が集中したことに伴う、経理処理作業のため。
  • 〇〇(プロジェクト名)の定常業務に加え、追加のデータ入力作業が発生したため。

急な依頼やトラブルが発生した場合

急なトラブルや顧客対応は、残業理由として一般的に理解されやすい傾向にあります。「誰からの」「どのような依頼・トラブル」に対応するのかを明確に記載しましょう。緊急性と重要性が伝わるように書くことが大切です。これにより、あなたの柔軟な対応力もアピールできます。

例文
  • 主要クライアントであるA社からの、急な仕様変更依頼に対応するため。
  • 本日17時に発生したシステムエラーの原因調査および復旧作業のため。
  • 〇〇様(顧客名)より緊急の問い合わせがあり、その調査・報告書作成のため。

資料作成や準備に時間がかかる場合

会議資料や提案書の作成など、クオリティを求められる業務も残業理由として正当です。特に、重要な意思決定に関わる資料や、顧客への提出物である場合は、その重要性を理由に含めると良いでしょう。「何の」「誰のための」資料なのかを具体的に示すことで、作業の必要性が明確になります。

例文
  • 明日午前中の経営会議で使用する、第2四半期実績報告資料の最終確認と修正のため。
  • B社向けコンペティションの提案資料(〇〇に関するパート)の作成のため。
  • 新入社員研修で使用するマニュアルの誤字脱字チェックおよび印刷準備のため。

介護や育児を理由に中抜けした場合

例えば、「子供のお迎えのために一度中抜けし、その分の業務を補うために残業する」といったケースが考えられます。このような場合、正直に理由を伝えることが重要ですが、会社の制度や上司との事前の合意が前提となります。

例文
  • 子供の通院のため16時〜17時に中抜けした分の定常業務を遂行するため。
  • 家族の介護のため、明日の午前半休を取得するのに伴い、本日中に〇〇の作業を完了させる必要があるため。

大切なのは、事前に上司に相談し、理解を得ておくことです。勤怠ルールと照らし合わせながら、適切な手続きを踏むことで、安心して働くことができます。

一言で済ませたい時の残業理由の例

会社の文化や上司との関係性によっては、一言で簡潔に伝えたい場合もあるでしょう。ただし、「残務処理」などの曖昧な言葉は避け、具体的な業務内容を単語で示すのがコツです。

  • A社向け提案資料作成
  • 〇〇プロジェクト定例報告書作成
  • システム障害の復旧対応
  • 月末締め処理
  • クレーム対応(〇〇様)

残業理由のNG例と注意点

良かれと思って書いた理由が、実は評価を下げてしまったり、承認されにくかったりするケースもあります。ここでは、避けるべきNGな残業理由と、そのように受け取られないための注意点を解説します。

能力不足や自己都合と見なされる可能性のある理由

「業務に不慣れなため」「日中の打ち合わせが長引いたため」といった理由は、自己のスキル不足や時間管理能力の欠如を露呈していると捉えられかねません。また、私用の電話が長引いた、集中できなかった、といった自己都合による遅延は、当然ながら残業理由として認められません。正直さは大切ですが、ネガティブな印象を与える表現は避けましょう。

具体性がなく恒常化している理由

「日報作成のため」「メール返信のため」といった理由は、本来であれば就業時間内に終えるべき業務と判断されやすいです。これらの理由での残業が恒常化している場合、業務の進め方そのものに問題があると見なされる可能性があります。もし本当に時間が足りない場合は、より根本的な原因を上司に相談することが重要です。

知っておくべき残業の法的ルール

残業を語る上で、法律の知識は不可欠です。2019年から順次施行されている「働き方改革関連法」により、残業に関するルールは大きく変わりました。ここでは、知っておくべき基本的な法的ルールを解説します。

36協定と残業時間の上限規制

そもそも、会社が従業員に残業を命じるためには、労働組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との間で「36協定」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。

さらに、法律によって残業時間には上限が設けられており、原則として月45時間・年360時間を超えることはできません。臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満といった厳しい上限が課せられています。

割増賃金のルール

法定時間外労働に対しては、会社は割増賃金を支払う義務があります。割増率は、時間外労働で25%以上、休日労働で35%以上、深夜労働(22時〜翌5時)で25%以上です。また、月60時間を超える時間外労働に対しては、割増率が50%以上に引き上げられていますが、中小企業には2023年3月まで猶予措置がありました。時間外と深夜が重なる場合は75%以上となるなど、例外もあるため注意が必要です。

残業理由から始める職場改善

残業理由は、個人の問題だけでなく、チームや組織が抱える課題を映す鏡です。毎日同じような理由で残業が続いているなら、それは働き方を見直すべきサインかもしれません。

業務の属人化を防ぎ、標準化を進める

「この作業は〇〇さんしかできない」という状況は、業務の属人化を招き、特定の個人に残業が集中する原因となります。業務マニュアルを作成したり、定期的に勉強会を開いたりして、誰でも対応できる業務を増やす「標準化」が、チーム全体の残業時間削減に繋がります。

コミュニケーションを活性化し、業務の偏りをなくす

「Aさんはいつも忙しそうだけど、Bさんは定時で帰っている」といった業務量の偏りは、コミュニケーション不足から生じることがあります。朝礼や定例ミーティングで、お互いの業務の進捗や負荷状況を共有し、チーム全体で助け合える文化を醸成することが重要です。上司は、メンバーの残業理由を注意深く観察し、業務の再配分を検討する責任があります。

残業理由についてよくある質問

最後に、残業理由についてよくある質問とその回答をまとめました。

残業理由を正直に書きたくない場合、嘘をついても良い?

嘘の理由を書くことは避けるべきです。虚偽の申請は、発覚した場合に懲戒処分の対象となるリスクがあります。正直に書きにくい理由の場合は、「〇〇の業務手順の確認に時間を要したため」など、ネガティブな印象を与えない客観的な事実に変換して伝えましょう。

残業理由はどのくらい具体的に書くのがベスト?

上司や管理者が「誰が、何を、なぜ、いつまでに」やる必要があるのかを理解できるレベルの具体性が理想です。例えば、「資料作成」ではなく「明日10時のA社向け提案資料の作成」と書くことで、重要性と緊急性が明確に伝わります。

残業申請が上司に却下された場合はどうすれば良い?

まずは却下された理由を上司に確認しましょう。理由の書き方に問題があったのかもしれませんし、業務の優先順位について上司と認識がずれている可能性もあります。その上で、業務の緊急性や重要性を改めて説明し、再度承認を求めるか、翌日に回すなどの代替案を相談しましょう。

残業理由はあなたを守り、職場環境を改善するツール

残業理由の書き方は、単なる作業ではありません。あなたの働きぶりを正しく伝え、不当な評価から身を守り、職場環境を改善するための重要なコミュニケーションです。

この記事で紹介したポイントと例文を参考に、明日からは自信を持って残業申請を行いましょう。あなたの小さな工夫が、より良い職場環境を作る大きな一歩となるはずです。


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