• 更新日 : 2026年3月25日

外国人雇用の際に社会保険加入は必要?条件や手続きの流れなど解説

Point外国人労働者も社会保険に加入する?

外国人労働者も要件を満たせば、日本人と同様に社会保険・労働保険への加入が義務です。

  • 未加入は追徴金に加え、在留資格(ビザ)更新不許可の恐れあり
  • 資格取得届には、年金記録統合のためローマ字氏名届の添付が必須
  • 帰国時に年金の一部が戻る脱退一時金制度等の説明も重要

Q. 留学生アルバイトの加入は?
A. 労災保険は加入必須ですが、雇用保険と社会保険は原則として適用除外です。

外国人労働者を雇用する際、日本人と同じように社会保険への加入が必要になる場合があります。適切な手続きを行わず未加入のままだと、企業への追徴金だけでなく、外国人社員の次回の在留資格(ビザ)更新が不許可になるリスクもあります。

本記事では、外国人雇用時の社会保険の適用条件や加入手続きの流れ、留学生アルバイトの特例について詳しく解説します。

外国人雇用の際に社会保険に加入する必要がある?

外国人労働者も適用条件を満たせば、日本人と同様に加入が必要です。

ただし、留学生(アルバイト)や雇用形態によって加入要件が異なるため、まずは以下の表で全体像を把握しましょう。

【外国人雇用の社会保険加入要否 早見表】

雇用形態・在留資格労働保険(労災・雇用)社会保険(健保・厚年)
正社員

(技人国、特定技能など)

労災・雇用ともに加入加入
パート・アルバイト

(週20時間以上など条件あり)

労災:加入

雇用:条件を満たせば加入

加入

(条件あり)

留学生アルバイト

(資格外活動)

労災:加入

雇用:原則対象外

原則対象外

ここでは、それぞれの制度について詳しく解説していきます。

社会保険

社会保険は、日本国内で働く労働者の生活を支えるために設けられた制度です。ここでは、健康保険・厚生年金保険・介護保険について詳しく解説します。

健康保険

健康保険は、業務外の病気やケガの際に、医療費の自己負担を軽減する制度です。加入すると、医療機関での自己負担額が3割になり、出産手当金傷病手当金などの給付制度も利用できます。

概ね週30時間(フルタイム労働者の3/4)以上で働く場合には厚生年金保険と併せて加入義務が生じます。また、週20時間以上働き、月額88,000円以上の給与を得ている労働者が、従業員数50人を超える企業に勤務している場合は、加入義務があります。

健康保険への加入義務は、事業所の種類や従業員数に応じて決まるのが特徴です。

事業所の種類詳細
強制適用事業所(加入義務がある事業所)
  • すべての法人事業所
  • 従業員5人以上を常時雇用する個人事業所(一部業種は除く)
強制適用事業所に該当しない業種(法人事業所を除く)
  • 農林業・水産業・畜産業
  • 宿泊業、飲食サービス業、理美容業など

参考:日本年金機構|厚生年金保険・健康保険制度のご案内

なお、強制適用事業所以外の企業でも、一定の条件を満たし、事業主と従業員の合意があれば健康保険に加入可能です。これを、任意適用事業所と呼びます。

外国人労働者も、日本人と同じ条件を満たせば加入が必要です。一方で、健康保険の適用条件を満たさない場合は、国民健康保険へ加入しなければなりません。ただし、国民健康保険は加入者が保険料を全額負担する仕組みとなっているため、注意が必要です。

厚生年金保険

厚生年金保険は、主に老後の生活を支える公的年金制度です。国民年金(基礎年金)に上乗せされる形で支給されます。加入することで、将来の老齢年金の受給額が増えるだけでなく、障害厚生年金や遺族厚生年金も受け取れる仕組みです。

厚生年金保険の加入義務は、健康保険と同じです。

外国人労働者も、日本人と同じ条件を満たせば厚生年金に加入する必要があります。ただし社会保障協定を結んでいる国の出身者は、日本の厚生年金への加入が免除される場合があるため、注意が必要です。

【協定を締結している国の例】
  • ドイツ
  • 英国
  • 韓国
  • アメリカ

参考:日本年金機構|社会保障協定

また、老齢年金の受給資格(10年以上)を満たさずに帰国した場合は、脱退一時金の申請によって、納付した年金の一部を受け取れる場合があります。

介護保険

介護保険は、高齢化や核家族化の進行などを背景に、介護を社会全体で支えることを目的として創設された制度です。40歳以上の健康保険制度加入者は、自動的に介護保険料が徴収されます。

適用条件は、下記のとおりです。

  • 40歳以上の健康保険制度加入者

参考:厚生労働省|介護保険制度について

健康保険に加入する第2号被保険者が負担する介護保険料は、健康保険の保険料と一体的に徴収されます。保険料は原則、被保険者と事業主で1/2ずつ負担します。

また、国民健康保険加入者が負担する介護保険料は、国民健康保険の保険料と一体的に徴収される仕組みです。外国人労働者も、40歳以上で健康保険に加入していれば、同様に介護保険料を支払う必要があります。

なお、外国人労働者については、在留資格の種類や在留期間によって介護保険の加入対象となるケースがあります。

労働保険

労働保険は、労働者が安心して働ける環境を整えるために設けられた制度です。労災保険と雇用保険に分類されており、それぞれ役割が異なります。

ここでは、労災保険と雇用保険について詳しく解説します。

労災保険

労災保険は、業務中や通勤途中の事故や病気に対する補償制度で、外国人も含めてすべての労働者が対象となります。保険料は企業が全額負担し、従業員の給与から天引きされることはありません。

労災保険の補償内容と適用条件は、下記のとおりです。

項目詳細
補償内容
  • 療養補償給付
  • 休業補償給付
  • 障害補償給付
  • 傷病補償年金
  • 介護補償給付
  • 遺族補償給付
適用条件
  • 労働者をひとりでも雇う事業所は、加入義務あり
  • 雇用形態(正社員・パート・アルバイト)を問わず全員が対象
  • 違法就労者(不法滞在者)も、業務中の事故であれば適用対象
  • 国籍・雇用形態に関係なく、全員が適用対象となる

参考:厚生労働省|労災補償

労災保険は、日本で働くすべての労働者にとって重要な制度であり、企業は適正な手続きを行う必要があります。

雇用保険

雇用保険は、失業時の生活支援や再就職支援を目的とした制度です。失業手当(基本手当)や、育児休業給付金などの支給も受けられます。

適用条件は、下記のとおりです。

  • 週20時間以上勤務し、31日以上の雇用見込みがある場合は加入義務あり
  • パート・アルバイトでも条件を満たせば加入対象
  • 昼間学生(留学生など)は原則として適用外

外国人労働者も、日本人と同じ条件を満たせば、加入義務があります。

注意点として、留学生(「留学」の在留資格を持つ者)がアルバイトをする場合、原則として雇用保険の適用除外となります。ただし、卒業見込証明書を有し卒業後も継続して勤務する予定の者や、休学中の者、夜間学生などは加入が必要になるケースがあります。

※「留学」の在留資格では原則として「週28時間以内」の就労制限(資格外活動)があります。雇用保険の加入要件(週20時間以上)を満たす働き方をする際は、就労時間の上限を決して超えないよう十分な注意が必要です。。

参考:厚生労働省|外国人を雇用する事業主の皆さまへ

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外国人を雇用したときの社会保険加入の手続き方法は?

手続きの基本フローは日本人従業員と同じですが、外国人特有の対応として「ローマ字氏名届」の追加提出などが必須となります。

具体的には、年金事務所とハローワークへ「被保険者資格取得届」を提出する際、在留カードの情報(氏名・在留資格など)を正確に申告する必要があります。手続きの不備は在留資格更新にも悪影響を及ぼすため、以下の手順に沿って確実に進めましょう。

1. 健康保険・厚生年金保険

外国人労働者を雇用した場合、日本人と同じ条件で健康保険と厚生年金保険への加入手続きが必要です。適用事業所に雇用されている場合、事業主が責任を持って手続きを行い、必要書類を提出する義務があります。

【主な手続きの流れ】
  • 外国人従業員が入社した時点で「被保険者資格取得届」を作成し、日本年金機構へ提出する
【提出書類】
  • 被保険者資格取得届(健康保険・厚生年金保険)
  • 被保険者ローマ字氏名届
  • 本人確認書類の写し(短期在留外国人や海外居住者の場合)

社会保険の資格取得届の氏名欄は、原則としてカタカナで記入します。マイナンバーを持っていない、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいていない場合にはアルファベット氏名とカタカナ氏名を紐付ける必要があります。

これを行わないと、将来的に年金記録の照合ができなくなるなどのトラブルに繋がります。

また、外国人労働者は、マイナンバーを持っていないケースがあり、本人確認のために追加書類を求められる場合があります。滞在期間や雇用形態によっては、国民健康保険を利用することもあるため、事前に確認しましょう。

手続きに不備や遅延があれば、従業員の権利や福利厚生に影響を及ぼす可能性があります。手順ごとに確認しながら、慎重に手続きを進める必要があります。

参考:
日本年金機構|厚生年金保険・健康保険制度手続きガイド
日本年金機構|外国人従業員を雇用したときの手続き

外国人労働者が家族を被扶養者にするときの手続き

外国人労働者が健康保険に加入し、扶養家族がいる場合や新たに扶養家族を追加する際には、適切な手続きが必要です。

被扶養者の認定条件は、下記のとおりです。

条件詳細
被扶養者に該当する条件
  • 外国人労働者である被保険者によって生計を維持されていること
  • 日本国内に住所(住民票)を有していること
収入要件年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満)かつ

同居の場合:収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満

別居の場合:収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

同一世帯の条件【被保険者と同居している必要がない者】

  • 配偶者
  • 子、孫および兄弟姉妹
  • 父母、祖父母などの直系尊属

【被保険者と同居していることが必要な者】

  • 上記以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
  • 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

参考:日本年金機構|従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き

※海外に住む家族を扶養に入れる場合の注意点

2020年(令和2年)4月の法改正により、健康保険の被扶養者になるには原則として「日本国内に住所を有していること(国内居住要件)」が必要となりました。そのため、外国人従業員の家族が母国に住んでいる場合は、原則として扶養に入れることはできません。

ただし、留学生としての渡航や、海外赴任への同行など、日本に生活の基礎があると認められる例外的なケースに該当する場合は、以下の書類を提出することで認定される場合があります。

  • 親族関係確認書類:出生証明書や婚姻証明書(原本と日本語訳)
  • 送金関係書類:外国送金依頼書など、生活費を送金している事実を証明するもの(家族一人ひとりへの送金実績が必要)
【手続きの流れ】
  • 被扶養者(異動)届を事業主経由で日本年金機構へ提出
  • 扶養の事実が発生した日から5日以内に提出
  • 電子申請・郵送・窓口持参のいずれかで手続き可能

参考:日本年金機構|外国人従業員を雇用したときの手続き

健康保険が協会けんぽ以外(健康保険組合など)の場合は、「国民年金第3号関係届」も提出が必要です。事前に必要書類を準備し、認定の遅れがないように手続きを進めましょう。

2. 介護保険

介護保険の加入者は、年齢に応じて「第1号被保険者(65歳以上)」と「第2号被保険者(40歳以上65歳未満)」に分かれます。それぞれの加入方法は異なりますが、原則として個別の加入手続きは不要です。

介護保険は健康保険と連携しており、自動的に加入できる仕組みとなっているため、特別な手続きは必要ありません。

介護保険の詳細や手続きに関する質問は、市区町村の介護保険窓口へ相談しましょう。

参考:
厚生労働省|「介護保険制度」について
厚生労働省|介護保険制度について

3. 労災保険

労災保険の手続き方法は、事業の種類によって異なるため、事前に確認しましょう。

事業の種類手続き方法
一元適用事業

(製造業・小売業・サービス業など)

労災保険と雇用保険の手続きを一括で行う
二元適用事業

(農林水産業、建設業、港湾労働、地方自治体の事業)

  • 労災保険と雇用保険の手続きを別々に行う
  • 工事ごとに労災保険の手続きが必要

参考:厚生労働省|労働保険の成立手続

はじめて労働者を雇用する場合は、事業主は労災保険の成立手続きを行う必要があります。必要な書類が複数あり、それぞれに提出期限が設けられているため、遅れないように気をつけましょう。

また、事業主が労災保険に未加入の場合でも、労働災害が発生すれば、労働基準監督署に申請することで補償を受けられます。

4. 雇用保険

外国人労働者を雇用した場合は、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)第28条にもとづき、氏名や在留資格などをハローワークに届け出る義務があります。

事業主が「雇用保険被保険者資格取得届」を作成・提出をして、手続きを進めます。提出先と提出期限は、下記のとおりです。

  • 提出先:事業所を管轄するハローワーク
  • 提出期限:雇用開始日の翌月10日まで
  • 提出方法:書面提出・電子申請どちらでも可能

外国人労働者の場合は、国籍・在留資格・在留カード番号の記入が必要です。ハローワークが申請内容を確認したあとに、雇用保険被保険者番号が発行されます。

事業主は、労働者に番号を通知する義務があるため、注意しましょう。事前に在留カードのコピーを取得し、マイナンバーの確認方法を把握しておけば、スムーズに手続きを進められます。

なお、事業主が手続きを怠った場合でも、労働者自身がハローワークで加入の確認請求を行うことが可能です。

参考:厚生労働省|外国人を雇用する事業主の皆さまへ

外国人労働者が退職したときの社会保険の手続き

外国人労働者が退職または解雇された場合、基本的な社会保険手続きは日本人と同様ですが、外国人特有の手続きも発生します。

【外国人労働者が退職したときの社会保険の手続き】

手続き内容(対象)提出先・期限注意点
健康保険・厚生年金保険

被保険者資格喪失届

(加入していた外国人労働者)

年金事務所

退職日の翌日から

5日以内

健康保険証を必ず回収してください。

紛失等で回収できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」の添付が必要です。

雇用保険

被保険者資格喪失届

(雇用保険に加入していた外国人労働者)

ハローワーク

退職日の翌日から

10日以内

「被保険者が外国人の場合」の欄に、在留カードを参照して国籍・在留資格・番号等を正確に記入してください。
外国人雇用状況の届出

(※雇用保険未加入者のみ)

ハローワーク

退職日の

翌月末日まで

【重要】

届出を怠ると罰則の対象になる可能性があります。

参考:日本年金機構|従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き

社会保険の手続きのほかにも、退職証明書の作成・交付や、在留カード番号の届出など、外国人特有の手続きも必要です。場合によっては、出入国在留管理局への届出が必要となるケースもあります。

また、労働施策総合推進法第28条によって、事業主はハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。届出を怠ると、罰則の対象になる可能性があるため、事業主は正確かつ迅速に手続きを進めましょう。

脱退一時金制度について

脱退一時金制度は、日本で厚生年金保険や国民年金に加入していた外国人労働者が出国後、年金の一部を受け取れる制度です。

支給対象者は、下記のとおりです。

  • 日本国籍を持たないこと
  • 厚生年金保険または国民年金の被保険者資格を喪失していること
  • 6か月以上の保険料納付済期間があること
  • 日本を出国し、国内に住所を有しなくなっていること
  • 年金の受給資格期間(10年)を満たしていないこと
  • 資格を喪失した日、もしくはその後日本に住所を有しなくなった日(出国日など)から2年以内であること

参考:日本年金機構|脱退一時金の制度

日本年金機構や加入していた共済組合に、本人または代理人が脱退一時金請求書と必要書類を提出します。

【必要書類】
  • パスポートの写し
  • 住民票の除票(または出国確認できるパスポートページの写し)
  • 銀行口座情報
  • 基礎年金番号通知書または年金手帳
  • 委任状(代理人が請求する場合)

脱退一時金の請求書は、外国語と日本語が併記された様式となっており、日本年金機構のサイトからダウンロード可能です。

必要書類や請求書の提出方法は郵送または電子申請から選べます。手続きは、出国後2年以内に行う必要があるため、事前に手続きの流れを確認しておくとよいでしょう。

なお、脱退一時金を受け取ると、受給以前の年金加入期間が無効になるため注意が必要です。

外国人雇用で社会保険に加入する際の注意点は?

万が一、未加入や不正加入を放置すると、法的リスクや罰則が発生する可能性があります。外国人労働者を雇用する際、社会保険の適切な加入は企業の義務です。

ここでは、外国人雇用で社会保険に加入する際の注意点を紹介します。

以下の記事では、外国人雇用の注意点について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

社会保険の不正加入・未加入によるリスク

社会保険の未加入が発覚した場合、未払いの保険料は最長2年分遡って徴収されます。対象者がすでに退職している場合は従業員負担分も回収できず、事業主が全額を負担しなければなりません。

また、正当な理由なく未加入を続けると、「6ヶ月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに、未加入が原因で退職者が将来の年金を受給できなかった場合、企業に対して損害賠償を請求されるケースも考えられます。

これらに加え、外国人雇用において最も注意すべきなのが「在留資格(ビザ)」への影響です。 出入国在留管理庁の審査では、社会保険制度の加入状況や納税状況が厳しくチェックされます。未加入や滞納があると「素行不良」とみなされ、次回のビザ更新が不許可になる、あるいは在留期間が短縮される(例:3年希望が1年になる)可能性が極めて高くなります。

手続きを怠った結果、外国人従業員が日本で働けなくなれば、企業にとっても大きな損失です。対象者の加入状況を定期的に確認し、適切に対応しましょう。

参考:e-Gov 法令検索|健康保険法(大正十一年法律第七十号)

外国人労働者への社会保険制度の説明義務

とくに、雇用契約を結ぶ際や、社会保険に加入したタイミングで説明を行うことが大切です。

厚生労働省の指針によると、以下の点について、事業主は外国人労働者に周知することが求められています。

  • 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険に関する法令の内容
  • 各種保険の給付内容や請求手続き
  • 被保険者に該当する外国人労働者の適用手続き

説明が不足すると、外国人労働者が社会保険の給付を受けられないだけでなく、企業とのトラブルにつながる可能性があります。適切な対応を行い、外国人労働者が安心して働ける環境を整えましょう。

参考:厚生労働省|外国人を雇用する事業主の方へ

社会保障協定の内容と適用範囲の確認

外国人労働者が日本で働く際に、母国の年金制度に加入しながら、日本の厚生年金にも加入してしまうケースがあります。結果、保険料の二重負担が発生する可能性があるため、注意が必要です。

このような負担を軽減するために、日本は特定の国と社会保障協定を締結しています。協定を結んでいる国の労働者は、一定の条件を満たせば、日本の厚生年金への加入が免除される場合があります。

また、両国の年金加入期間を合算して、将来的に年金を受け取ることも可能です。ただし、適用範囲や条件は国によって異なります。事業主は、外国人労働者の出身国が協定の対象かを事前に確認し、適切な対応をとりましょう。

参考:日本年金機構|社会保障協定

外国人雇用の社会保険・入退社手続きにおけるトラブルの実態

株式会社マネーフォワードでは、入退社手続きに関する実態調査を実施しました。社会保険の加入や退職時の手続きは、日本人・外国人を問わず人事担当者の負担やトラブルが発生しやすい業務です。

入社・退職手続きにおける課題と原因

調査結果によると、入社手続きにおいて最もトラブルや苦労が発生しやすいのは社会保険(健康保険・厚生年金)や住民税の手続きで、39.0%でした。また、退職手続きにおいて最もトラブルが発生しやすいのは離職票の発行手続き(賃金台帳の集計等)で、31.7%でした。

さらに、これらの手続きでトラブルが発生する主な原因について尋ねたところ、最も多いのは本人(入退社する従業員)の対応の遅れ・不備で、35.3%でした。次いで人事担当者の知識不足・確認ミスが30.8%となっています。

外国人雇用の場面においては、日本の社会保険制度や必要書類に対する知識が不足しているケースも多く、本人起因の書類提出の遅延などがさらに生じやすくなる可能性があります。社会保険手続きの遅れは、外国人労働者の在留資格更新などにも影響を及ぼすリスクがあるため、企業側は入退社時にわかりやすい制度説明を行い、書類回収のサポートを徹底することが重要です。

出典:マネーフォワード クラウド、入社手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目ほか【入退社に関する調査データ】(回答者:手続き業務に携わった経験がある597名、集計期間:2026年2月実施)

外国人雇用時の社会保険の義務を理解し適切に対応しよう

外国人労働者を雇用する際、健康保険や厚生年金などの加入手続きは事業主の義務です。未加入のままだと、企業に罰則や追徴金のリスクが発生するため、適切に対応する必要があります。

また、社会保障協定の確認や、退職時の脱退一時金制度の案内など、外国人特有の手続きも忘れずに行うことが大切です。

本記事を参考に、社会保険の加入を適切に行い、外国人労働者が安心して働ける環境を整えましょう。

また、以下の記事では、外国人労働者を雇用するメリットや問題について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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