- 更新日 : 2024年2月9日
労働者派遣法とは?改正の歴史や禁止事項、違反した場合の罰則などを解説!
- 労働者派遣法とは、派遣労働者を保護することなどを目的に定められた法律。
- 1986年の制定依頼、規制の緩和や強化など、当時の社会的背景に応じて改正が行われてきた。
- 守るべきルールも多く、違反すると罰則を受けるものもあるため、派遣事業を行う場合は正しい理解が必要。
目次
労働者派遣法とは?
労働者派遣法とは、労働者派遣事業の適正な運営と、派遣労働者の保護などの取り扱いについて定めた法律です。また正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。
労働者派遣法には従うべきルールが多く定められており、違反すると罰則となるものもあります。
労働者派遣法の目的
労働者派遣法の目的は、派遣事業の適正な運営や派遣労働者の保護等を図ることで、派遣労働者の雇用の安定を守ることです。派遣事業の適切な運営とは、労働者派遣を許可制とすることで派遣元などの事業者を正しく規律することなどを指します。
派遣事業が悪用されてしまうと、派遣労働者と派遣先の労働者の双方が安心して働けない状態になるため、労働派遣法が定められています。
労働者派遣法が制定された背景
労働者派遣法が制定された背景には、社会的ニーズの高まりがあります。
本来、労働者派遣は職安法により禁止されていました。強制労働や中間搾取などの温床となるためです。しかし時代が進むにつれて、企業による一時的な人手不足の補填や、フルタイムや正社員ではない多様な働き方を実現するため、労働者派遣へのニーズが高まりました。
このような事情を背景に、労働者保護とのバランスを図りながら制度化するため、1986年に労働者派遣法が制定され、同時に派遣事業が解禁されました。
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労働者派遣法改正の歴史は?
労働者派遣法は、社会の状況に合わせて何度か改正が行われました。1986年の制定から2000年代では、主に規制の緩和がメインでした。派遣可能な対象業務などが徐々に拡大されます。
一方、2010年台以降の改正では、雇用の安定を図るための改正が中心となりました。派遣事業を行う企業や受け入れる企業に対して、新たなルールが科される点は特長です。
制定から規制緩和まで
1986年の労働者派遣法制定当時は、派遣事業が可能な領域が専門知識を要する13業務に限定されるなど、非常に限定的な適用でした。その後、1996年の改正では、対象領域が26種類の業務にまで拡大され、さらに1999年の改正では派遣対象業務がネガティブリスト式へと変更されました。
ネガティブリスト式とは特定の業務を禁止した上で、それ以外の業務を派遣可能とする方式です。これにより対象領域がさらに広がりました。その後も2000年代に入り、製造業や医療関係業務の一部でも労働者派遣が認められるようになるなど、労働者派遣を行える領域は拡大されています。
社会問題により規制の強化へ
2010年代の労働者派遣法の改正では、規制の強化が主眼に置かれました。例えば、2012年の改正では、日雇い派遣の原則禁止や労働者派遣に関わるマージン率公開の義務化など、事業者側にいくつもの義務が科されています。
ワーキングプアやリーマンショックの影響による派遣切りなどが、社会問題化したためです。したがって、労働者派遣そのものの是非が問われた時期ともいえます。
さらに2015年の改正では、いわゆる「3年ルール」が定められました。同一事業所(または部署)で派遣労働者が3年間勤務した場合に、派遣先がその者を正社員として雇用する努力義務が定められています。したがって、派遣で働く方の安心感に寄与する改正といえるでしょう。
このように、労働者派遣法は社会の状況を反映し度々改正が行われてきました。
労働者派遣の禁止事項や注意点は?
労働者派遣法では、多くの禁止事項が定められています。派遣労働者を保護する目的や他の法律との整合性を図る目的など、理由はいくつか挙げられますが、違反することで罰則の適用もあるため労働者派遣を行う前に確認が必要です。ここでは、特に代表的なものをご紹介します。
派遣禁止業務
労働者派遣法では、労働者派遣自体を禁じる業務が指定されています。禁止されている業務で労働者派遣を行ってしまうと、罰則が科されるため注意が必要です。禁止業務として指定されているのは、大きく以下の5つとなります。
- 建設業務
- 港湾運送業務
- 警備業務(一部の業務を除く)
- 医療関連業務(一部の業務を除く)
なお建設や港湾運送業であっても、直接現場の作業に従事しない事務などであれば、労働者派遣は可能です。また医療関連業務についても、紹介予定派遣や休業中の労働者の代替要員を確保する場合、労働者派遣が認められます。
日雇い派遣の禁止
労働者派遣法では日雇い派遣は禁止されています。日雇い派遣とは「日々、または30日以内の期間を定めて雇用される者(以下「日雇い労働者」)」を派遣することです。
ただしソフトウェア開発など、一部の業務では日雇い派遣が認められています。また、昼間学生である者や60歳以上である者など、一部の従業員は日雇い労働者であっても派遣できるなど、例外も存在します。
二重派遣の禁止
労働者派遣法では、二重派遣が禁止されています。二重派遣とは、人材紹介会社などの派遣元から派遣された労働者を、派遣先がさらに別の企業などに派遣することです。
派遣スタッフの賃金が搾取されたり、雇用の責任所在が曖昧になったりするなどのリスクがあるためです。
事前面接の禁止
労働者派遣に先立ち、派遣先により派遣労働者を面接等により選定することは禁止されています。面接だけではなく、派遣先に履歴書を送付させることも原則として禁止です。
顔合わせの形での事前面談は可能ですが、選考過程として実施してはいけません。
なお、例外として正社員登用が前提である紹介予定派遣であれば、派遣前の面接が可能です。
退職後1年以内の派遣の禁止
派遣先に元々勤めていた労働者が、その派遣先を退職してから1年以内に同じ会社へ派遣することは認められていません。ただし、60歳の定年退職者は例外です。
労働者派遣における3年ルール
労働者派遣には、いわゆる3年ルールがあります。労働者を同一の派遣先(事業所)に送ることができる期間を、最大3年間とするルールです。このルールでは、事業所と個人の単位でそれぞれ制限が定められています。
事業所単位のルールでは、1つの事業所で派遣労働者を受け入れられるのは、最大3年までと規制しています。もし、その事業所で3年を超えて労働者派遣を受け入れようとする場合は、過半数労働組合などに意見聴取を行うことが必要です。
一方、個人単位のルールは、特定の派遣労働者を同じ組織で派遣就業させられる期間を3年までとするルールです。この組織というのは、前述の事業所よりも細かい単位で、部署や課などのことを指します。また事業所単位のルールとは異なり、3年の期限を延長できません。
労働者派遣法に違反した場合の罰則は?
労働者派遣法に違反した場合は、違反事項に応じて罰則が定められています。派遣法は過去に何度も改正されたため、遵守すべき事項を見落とすこともあるかもしれません。
中には大きな罰金や懲役が定められたものもあるため、注意が必要です。ここでは、罰則ごとに解説します。
懲役または罰金が科されるケース
以下のいずれかの違反があった場合は、最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
- 労働者派遣が禁止されている場所への派遣
- 無許可での労働者派遣
- 偽りや不正行為により派遣業の許可・期限更新を受ける
無許可での労働者派遣などは明確な法令違反ですが、違反すると比較的重い罰則となります。法律を遵守しながら派遣事業を行うよう留意しましょう。
罰金のみが科されるケース
以下の場合に当てはまると、最大で30万円以下の罰金が科されます。
- 派遣同労者に対し就業条件等を明示しなかった場合
- 3年を超えて同じ派遣先に継続して派遣させた場合
いずれも、不注意で違反する可能性のある事項です。派遣元の責任者は、違反とならないように適切に管理する必要があります。
法律を守り正しく派遣事業を
今回は労働者派遣法について解説しました。何度も改正が行われている法律で、これからも大きな変更が加わる可能性は十分あります。
また、中間搾取等の温床となり得るため、労働者派遣には多くの制限が設けられ、中には違反すると重い罰則が定められているものもあります。派遣事業を行う事業者は、本記事の内容を参照し、くれぐれも法違反とならないよう気をつけましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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