- 更新日 : 2026年3月25日
退職理由の伝え方は?例文や従業員側・企業側の注意点を解説【ワード・エクセル別テンプレ付き】
円満退職には、1〜2ヶ月前に直属の上司へアポイントを取り、不満などの本音は伏せて相談として切り出すのがおすすめです。
- アポ取り:今後のキャリア相談等の名目で個室での面談時間を確保する
- 伝え方:引き止めを防ぐため、ポジティブな理由か一身上の都合を使う
- 書類:退職届は自己都合なら定型文、会社都合なら失業給付のため事実を記す
Q:法律上の退職申告期限はいつですか?
A:法律上の申告期限はありません。しかし、円満退職には会社の就業規則(通常1〜2ヶ月前)に従うのがマナーです。
退職を検討する際、多くの人が迷うポイントの一つが退職理由の伝え方です。「どのタイミングで切り出すか」「本音を伝えて良いのか」といった疑問を持つ従業員は少なくありません。一方、企業側にとっても、退職理由の背景を理解し適切に手続きを進めることは、労務管理上の重要な課題となります。
本記事では、円満退職に向けた基本的な切り出し方のフローや、状況に応じたケース別の例文(建前と本音の使い分け)について解説します。あわせて、人事労務担当者が押さえておくべき退職届の受理や離職票作成時の実務的な注意点も紹介します。
目次
退職理由の伝え方とは?
退職希望日の1〜2ヶ月前に、直属の上司へ口頭でアポイントを取ってから伝えるのが一般的です。
退職の意思表示は、法律(民法)と会社のルール(就業規則)のバランスを考慮し、マナーを守って行う必要があります。
退職を伝える相手と時期(1〜2ヶ月前)
会社の就業規則を確認し、原則として直属の上司に最初に伝えます。
民法第627条では、退職の申し出から2週間が経過することによって退職が可能であると定められています。しかし、円満退職を目指すなら就業規則(一般的に1〜2ヶ月前)に従うのがマナーです。
いきなり人事部やさらに上の役員に伝えるのは、直属の上司の管理能力を問うことになりかねないため避けましょう。
出典: e-Gov 法令検索|民法
切り出し方のアポイントメント
メールやチャットで「ご相談があります」と連絡し、個室での面談時間を確保します。
退職の話はデリケートなため、周囲に聞こえるデスクでの立ち話や、メール・LINEだけの報告は避けます。「今後のキャリアについて相談したい」といった名目で時間を取ってもらうのがスムーズです。
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従業員が会社に退職理由を伝える場面にはどういったケースがある?
介護・病気・不満・キャリアアップなど理由は多岐にわたります。画一的に処理せず、理由に応じた個別の対応(引き止めや制度案内)が必要です。
1. 家族の介護や育児、結婚などの家庭の事情
配偶者の転勤に伴う引越し、親の介護、結婚によるライフスタイルの変化など、従業員個人の努力だけでは就業継続が困難になるケースです。
これまで積み上げてきたキャリアが途絶えることは、本人だけでなく企業にとっても大きな損失です。まずは退職ありきではなく、以下のような柔軟な働き方を提案できないか検討しましょう。
- 制度の活用: 育児・介護休業法に基づく休業制度や、短時間勤務制度の利用を促す。
- 働き方の変更: リモートワーク(在宅勤務)や、勤務地限定正社員への転換を打診する。 本人の意向を尊重しつつ、会社として「働き続けられる環境」を提示することで、離職を防げる場合があります。
2. 病気・メンタルヘルス不調による健康上の事情
うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調、または長期療養が必要な身体的な疾患により、業務遂行が困難になったケースです。
特に病気に関する情報はセンシティブな個人情報(要配慮個人情報)であり、慎重な対応が求められます。「周囲に知られたくない」という本人の意思を尊重し、個室で話を聞くなどの配慮が必要です。
- 安全配慮義務: 業務が原因(労災)の可能性も視野に入れ、医師の診断書を提出してもらい、産業医との面談を設定します。
- 休職の提案: 即時の退職ではなく、傷病休職制度を利用して療養に専念し、復職を目指すルートを提案します。
3. 業務過多や人間関係など職場への不満
「残業が多すぎて疲弊した」「上司のパワハラに耐えられない」「同僚と反りが合わない」など、職場環境に起因するネガティブな理由です。
この理由で退職者が出る場合、組織に潜在的な問題があるサインです。放置すると、他の従業員への波及(連鎖退職)や、ハラスメント訴訟などの法的リスクに発展しかねません。
- 事実確認と改善: 退職を止めるのが難しくても、本音をヒアリングして事実関係を調査し、業務量の調整や配置転換を行うなど、残る従業員のために環境改善を急ぐ必要があります。
4. キャリアアップ・給与アップなど前向きな転職
「今の会社ではできない仕事に挑戦したい」「他社で自分の市場価値を試したい」「年収を上げたい」といった、自己実現欲求に基づくケースです。
表向きはポジティブな理由ですが、裏を返せば「今の会社では将来のビジョンが描けない」という閉塞感の表れでもあります。
- 対話のポイント: 単に給与を引き上げるだけでは解決しない場合が多いです。キャリアビジョンについて話し合い、社内異動や新規プロジェクトへの抜擢で希望が叶うなら引き止めを検討します。
- アルムナイ(卒業生)ネットワーク: 意志が固い場合は快く送り出し、将来的にまた戻ってきてもらう(出戻り採用)関係性を築くことも現代の人事戦略として有効です。
退職届の例文(自己都合・会社都合)
退職届の記入に法的な決まりはありませんが、自己都合なら一身上の都合、会社都合なら具体的な理由を書くのが通例です。
退職届への記載内容は、従業員側(自己都合)か会社側(会社都合)かによって明確に使い分ける必要があります。
1. 自己都合退職の場合
従業員の意思で退職する場合は、具体的な理由(「転職するため」「病気療養のため」など)を書く必要はありません。
すべて一身上の都合という定型句に集約して記載します。 詳細な事情を書いてはいけない決まりはありませんが、慣例として定型文が好まれます。
- 退職届の書き方例
- 「このたび、誠に勝手ながら、一身上の都合により、来る〇年〇月〇日をもって退職いたします」
- 退職願の書き方例
- 「このたび、誠に勝手ながら、一身上の都合により、来る〇年〇月〇日をもって退職したく、ここにお願い申し上げます」
2. 会社都合退職の場合
会社の事情で退職する場合は、一身上の都合とは書きません。ここを間違えると、失業保険(基本手当)の給付日数や給付制限期間で従業員が不利益を被る可能性があるため、事実に基づいた理由を記載します。
なお、会社からの解雇通知による場合は、従業員が退職届を出す必要はありません。
- 会社都合の書き方例
- 「貴社の人員削減による早期退職制度への応募により、〇年〇月〇日をもって退職いたします」
- 「所属部署の閉鎖に伴い、〇年〇月〇日をもって退職いたします」
- 「貴社の退職勧奨に伴い、合意の上、〇年〇月〇日をもって退職いたします」
派遣社員・パート・アルバイトの退職理由の伝え方は?
雇用形態によって誰に伝えるかや配慮すべきポイントが異なります。
正社員とは異なり、契約期間やシフト制という特性があるため、それぞれの雇用契約に合わせた伝え方が求められます。
派遣社員の場合
原則として派遣元(派遣会社)の担当者に伝えます。勤務先(派遣先)の上司ではありません。
派遣社員の雇用主は派遣会社であるため、退職の意思表示は派遣会社の担当営業などに行います。契約期間中の退職は違約となる可能性があるため、基本的には契約満了のタイミングで更新しない旨を伝えるのが一般的です。
- 注意点: 派遣先の上司に直接「辞めます」と伝えると、派遣会社と派遣先企業の間で契約上のトラブルになる恐れがあります。まずは派遣元の指示を仰ぐのが手順です。
パート・アルバイトの場合
シフト作成の兼ね合いがあるため、退職希望日の1ヶ月前程度を目安に責任者へ伝えます。
法律上は、退職の申し出から2週間が経過することで退職可能ですが、シフト制の職場では翌月のシフトが決まっている場合も多いため、早めの相談が好まれます。理由は「学業に専念したい」「家庭の事情が変わった」など、勤務継続が物理的に難しい事情を伝えるとスムーズです。
- 伝え方のポイント: 正社員ほど形式的な退職届を求められないケースも多いですが、口頭だけでなく、店舗や部署の責任者に確認の上、社内ルールに従って書類を提出する場合もあります。
退職理由は嘘(建前)でもいい?
円満な退職手続きを優先し、本音(不満)とは異なる建前の理由を伝えるケースは広く見られます。
なぜ一身上の都合という建前が使われるのか
退職交渉における摩擦を減らし、手続きを停滞させないためです。
「給与への不満」や「人間関係のトラブル」といったネガティブな本音をそのまま伝えた場合、会社側からの強い引き止めや、退職日までの職場環境の悪化を懸念する心理が働きます。
そのため、多くの従業員は自身の精神的な負担を減らす手段として、個人的な事情(一身上の都合)や、ポジティブな理由(キャリアアップ)に変換して伝える傾向があります。これは法的な問題ではなく、退職プロセスを円滑に進めるための選択肢の一つとして認識されています。
人事は建前をどう受け止めるべきか
手続き上は理由を深掘りせず受理し、組織改善のためのヒアリングはタイミングを分けて行うのが有効です。
人事担当者としては、退職届に記載された理由が必ずしも本心とは限らない点を考慮する必要があります。 退職の意思が固い段階で無理に本音を聞き出そうとすると、従業員が警戒し、かえって心を閉ざしてしまう可能性があります。
まずは手続きを粛々と進め、利害関係がなくなった退職後のアンケートや、守秘義務を確約した面談などで「今後の組織運営のために」と協力を仰ぐ方が、客観的な意見を得やすいでしょう。
退職理由を伝える・受け取る際の注意点とは?
口頭でのコミュニケーションでは心情への配慮が求められますが、離職票などの公的書類には事実を記載する必要があります。
【従業員側】会社批判や感情的な不満
退職日までの業務遂行や、退職後の人間関係への影響を考慮する必要があります。
退職が決まってから最終出社日までの期間も、業務や引き継ぎは続きます。この期間に感情的な批判や不満を口にすることは、職場での居心地を悪化させたり、円滑な引き継ぎを妨げたりする懸念があります。
また、同じ業界内であれば転職先で元同僚と関わる可能性もゼロではありません。将来的なキャリアリスクを避ける意味でも、不満をそのままぶつけるのではなく、感謝の意を伝えて去る方が、結果として自身の利益につながるケースが多いと言えます。
【企業側】離職票の退職区分(自己都合・会社都合)
失業保険の給付内容が変わるため、事実と異なる理由で処理してはいけません。 雇用保険の「離職証明書(離職票)」を作成する際、退職理由が「自己都合」か「会社都合」かで、元従業員が受け取れる基本手当の給付日数や開始時期が大きく異なります。
- 注意点: 会社都合(解雇や退職勧奨)なのに、助成金への影響を恐れて無理やり「自己都合」に書き換えさせると、ハローワークを巻き込んだトラブルに発展します。必ず事実に基づいた区分を選択してください。
参考:基本手当の所定給付日数|ハローワークインターネットサービス
退職届と退職願の使い分け
撤回の余地がある願いと、確定させる届けの性質を理解して提出します。
- 退職願: 合意による労働契約の解約を申し込むもの。会社の承諾までは撤回できる可能性があります。
- 退職届: 従業員からの一方的な解約の通告。会社への到達をもって効力が発生するため、原則として撤回できません。 通常は「退職願」で交渉し、退職日が確定した段階で「退職届」を提出するのが一般的なフローです。
退職理由説明書の無料テンプレート・ひな形
以下より、テンプレートを無料でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
▶退職理由説明書(エクセル)のテンプレートを無料でダウンロードする
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退職理由を受けた後の企業側の注意点:退職手続きのトラブル実態
退職手続きで最もトラブルになりやすいのは「離職票の発行」
マネーフォワードが実施した調査で、退職手続きにおいて特にトラブルや苦労が発生しやすい項目を尋ねたところ、最も多いのは「離職票の発行手続き(賃金台帳の集計等)」で、31.7%でした。次いで多いのは「健康保険証の回収」で、29.1%でした。従業員から退職理由を受け取った後、企業側は正確かつ迅速に書類作成などの退職手続きを進める必要がありますが、退職者とのやり取りにおいてハードルを感じている実態がうかがえます。
トラブルの主な原因は「本人の対応の遅れ・不備」
また、同調査で入退社手続きにおけるトラブルの主な原因について尋ねたところ、最も多いのは「本人(入退社する従業員)の対応の遅れ・不備」で、35.3%でした。退職日までの間に、従業員と企業側が協力して手続きを進めないと、人事担当者の残業時間が増加するなどの業務負担につながる可能性があります。
円満退職に向けて、退職理由の伝え方やヒアリングだけでなく、書類の提出や保険証の返却といった事務手続きにおいても、従業員と企業側のスムーズな連携が求められます。
出典:マネーフォワード クラウド、退職手続きにおいてトラブルが発生しやすい項目・トラブルが発生する主な原因【入退社手続きに関する調査】(回答者:入退社手続き業務に関与した経験がある597名、集計期間:2026年2月実施)
退職理由の伝え方が、円満退職と企業の未来を左右する
退職は従業員と企業の双方にとって大きな転機です。 トラブルを避けるためには、就業規則に基づいた1〜2ヶ月前の申し出や、お互いの心情に配慮した建前(一身上の都合)を活用した退職理由の伝え方が、円滑なプロセスの鍵となります。
一方で企業側は、退職届を単なる書類として処理するだけでなく、離職証明書などの公的手続きにおいては事実に基づいた正確な対応が求められます。退職者の本音や背景にある組織課題に向き合い、改善のきっかけとすることで、企業の持続的な成長につなげることができるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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