- 作成日 : 2022年8月26日
産前産後休業はいつから取得できる?計算方法を解説!
出産にともなう産休の取得は、法律で保証されている労働者の権利です。働く女性が出産する際には、出産予定日を基準にした「産前休業」と、出産後の「産後休業」を取得できます。
ここでは、産前産後休業を取得できるタイミングや期間を詳しく解説します。
産前産後休業とは?関連する法律は?
産前産後休業とは、企業で働く女性が、出産にともなって取得する休業の総称です。産前産後休業は、任意で取得できる「産前休業」と、取得が義務付けられている「産後休業」に分けられます。
産前産後休業の取得は、労働基準法の第65条において定められている労働者の権利です。企業は労働者に産後休業を取らせなければならないほか、産前休業を求められた場合には必ず応じる義務が発生します。
なお、休業中の給与に関しては、原則として企業に支払い義務がありません。その代わりに、産前産後休業を取得している間は、所属している健康保険から「出産手当金」を受け取ることができます。
出産手当金の1日あたりの金額は、以下の計算式によって求められます。
例えば、過去1年間の標準報酬月額について2か月が26万円、10か月が30万円だった場合、1日当たりの出産手当金は以下の計算式で求められます。
(26万×2か月+30万×10か月)÷12カ月÷30日×2/3=6520円
※30日で割ったところで1の位を四捨五入
※2/3で計算した金額に小数点があれば小数点第1位を四捨五入する
産前産後休業はいつから取得できる?
前述の労働基準法第65条では、産前産後休業を取得できるタイミングについて以下のように定めています。
使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
こちらを基にすると、産前休業は出産予定日の6週間前(双子や三つ子など多胎妊娠している場合には14週間前)から取得できることになります。なお、「6週間前」には出産予定日当日も含まれます。
産後休業については、出産の翌日から数えて8週間の取得が義務付けられています。産後休業の期間は原則として8週間ですが、労働者が希望した場合には、医師の判断のもとに産後6週間が経過した時点で就業することが可能です。
産前産後休業の取得期間 – 計算方法について
産前産後休業を取得できる期間の詳細は、次の基準によって計算できます。
- 産前休業は出産予定日の当日を含めて6週間(多胎妊娠の場合には14週間)
- 産後休業は出産の翌日から8週間
例えば出産予定日が8月1日、実際に出産したのが8月5日の場合には、以下が産前産後休業を取得できる期間です。
産前休業
→6月21日から8月5日まで
産後休業
→8月6日から9月30日まで
制度を知って産前産後休業を活用しよう
産前休業は出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前から、産後休業は出産の翌日から8週間にわたって取得できます。
産前休業は任意で取得することになりますが、企業は労働者からの申請を必ず受け入れる必要があります。休業中には出産手当金も支給されるため、これから出産を予定している人は、ぜひ制度の詳細を押さえて休業を活用してください。
よくある質問
産前産後休業とはなんですか?
産前産後休業は、働く女性が出産にともなって取得する休業の総称です。任意で取得できる産前休業と、取得が義務付けられている産後休業に分けられます。詳しくはこちらをご覧ください。
産前産後休業はいつから取得できますか?
産前休業は出産予定日の6週間前(双子や三つ子を妊娠している場合は14週間前)から取得できます。産後休業は、出産した翌日から8週間取得することが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
働き方改革とは?概要や関連法案を分かりやすく解説
日本は現在、生産年齢人口の減少、長時間労働、正規・非正規雇用の格差など、多くの問題を抱えています。働き方改革とは、これらの問題を解決するとともに、働く人々が多様で柔軟な働き方を選択し、能力を十分に発揮できる社会をつくることです。 働き方改革…
詳しくみるシフト管理をペーパーレス化するには?電子化の進め方や成功事例を解説
シフト制を採用すれば、従業員は自分の生活スタイルに合わせて、希望する日時に働くことが可能となります。しかし、シフト制を採用した場合には、通常の勤務体制よりも複雑な勤怠管理が必要です。紙の管理では、管理ミスも発生しやすいでしょう。当記事を参考…
詳しくみる中抜けとは?テレワークや勤怠管理のルール設定と注意点
中抜けとは、業務時間内に一時的に仕事から離れて再度仕事に戻るまでの時間のことを言います。 私用によるものと会社都合によるものがあるので、勤怠管理上の扱いに注意が必要です。 この記事では、業務時間内の中抜けや勤怠管理上の中抜けの扱いと例、中抜…
詳しくみるタイムカードの00分退勤は問題ない?残業の扱いや出勤時の場合を解説
タイムカードを定時ぴったりの「00分」に打刻して退勤すると、上司から注意されたり、早退と見なされるのではと不安に感じる人もいるかもしれません。実際の勤務実態と打刻時刻が一致していれば、法律上は問題になりませんが、会社のルールや機器の設定によ…
詳しくみる残業理由の書き方と例文一覧|よくある理由ランキングや一言で済ませたい場合まで解説
残業を申請する際、「理由をどう書けば角が立たないだろうか」「正直に書くと、能力不足だと思われないか不安…」と、書き方に悩んだ経験はありませんか? 残業理由は、単なる事務手続きではありません。あなたの状況を上司に正しく伝え、評価を守り、結果と…
詳しくみるタイムカードの保管期間は?起算日や対象者、保管後の取り扱いについて解説
タイムカードは、従業員の勤怠管理に広く利用されている方法です。また、タイムカードは、労働関係に関する重要な書類として、保存期間が定められているため、法定の期間保管しなければなりません。当記事で解説する起算日や対象者などを参考にして、適切にタ…
詳しくみる