- 更新日 : 2025年7月9日
雇用保険の傷病手当について
健康保険には、傷病手当の制度が設けられています。私傷病により働くことができない被保険者の生活を守るために設けられた制度で、会社を休んでいる間に十分な賃金が受けられない場合に支給されます。
健康保険の傷病手当と同じように、雇用保険にも傷病手当の制度が整えられています。会社を離職して求職の申込をした後に、病気やケガによって求職活動を続けることや就職することができなくなった場合に支給されます。
ここでは、受給資格者の万が一の傷病に備えた雇用保険の傷病手当の内容や、手当金の支給額、支給期間などについて解説します。
雇用保険の傷病手当とは
雇用保険の受給資格者が、離職後に公共職業安定所に求職の申し込みした後、15日間以上引き続いて病気やケガにより職業に就くことができない場合、基本給付が支給されません。傷病手当は、その間の受給資格者の生活を支援するために支給される手当です。
傷病手当は、15日間以上続く病気やケガが支給の要件となるため、14日以内の病気やケガの場合については基本手当の対象となりまます。
また、健康保険の傷病手当金、労働基準法の休業補償、労災保険の休業補償給付を受給している期間は、雇用保険の傷病手当は受けることができません。
雇用保険の傷病手当の支給額は
傷病手当の支給額は、雇用保険(基本手当)と同額です。
基本手当は以下の計算式によって求められます。
給付率は離職時の状況により異なり、45%~80%となります。
基本手当日額は、離職直前の6ヶ月に毎月支払われた賃金(賞与を除く)から算出した「賃金日額」に基づき計算されます。
基本手当日額は、勤労統計に合わせて上限額と下限額を設定し、うち、上限金額については、離職時の年齢区分に応じて設定されます。
離職時の年齢区分による上限額は以下の通りです。
雇用保険の基本手当の日額は毎年8月に見直されます。傷病手当の受給を検討する際、どのくらいの金額が支給されるのかを事前に計算する場合は注意してください。
雇用保険の傷病手当の受給期間について
病気やケガなどで職業に就けない場合、その期間により支給される手当の内容が異なります。
それぞれの期間に応じた手当の内容は以下の通りです。
15日以上30日未満の場合 → 傷病手当を支給
30日以上の場合 → 傷病手当の支給か基本手当の受給期間延長のどちらかを選択
※基本手当の受給期間の延長については4年を限度として定められています。
雇用保険の傷病手当の手続きについて
雇用保険の傷病手当を受ける場合は、職業に就けない理由(病気、ケガなど)がなくなった後の最初の失業認定日までに、管轄の公共職業安定所に「傷病手当支給申請書」を提出し、認定を受ける必要があります。
参考:傷病手当支給申請書|ハローワーク インターネットサービス
また、傷病手当支給申請書は、郵送や代理人による提出も可能です。
傷病手当は離職後の病気やケガに備えた制度
失業後の再就職に向けて活動しようとしても、病気やケガを患っている状態では、しっかりとした再就職への取り組みができません。
傷病手当は、そのような万が一の事態の際に受給できるものです。
受給の条件や手続きの内容をしっかりと理解し、病気やケガによって基本手当が受けられないといった場合には、傷病手当を申請するようにしましょう。
よくある質問
雇用保険の傷病手当とは?
雇用保険の基本手当の受給資格者が、離職後病気やケガにより15日間以上続けて職業に就けない場合の生活保障を行うことを目的として支給される手当です。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険の傷病手当の支給額は?
基本手当と同額です。基本手当の日額は、(離職前6か月の給与の総支給額の合計÷180)× 給付率で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険の傷病手当の受給期間は?
15日未満の場合は基本手当、15日以上30日未満の場合は傷病手当を支給することになっています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
65歳以上も雇用保険に入れる?失業保険や年金のもらい方、給付金も解説
2017年の雇用保険法の改正により、65歳以上でも雇用保険に入れるようになりました。 法改正までは、65歳以上の方が雇用された際は雇用保険適用外でした、ただし、同じ会社で65歳になる前から継続して働いていた人は「高年齢雇用継続被保険者」とし…
詳しくみる介護保険における特定疾病とは
介護保険のサービスは主に、65歳以上のお年寄り(第1号被保険者)が利用しており、65歳未満の人が病気やケガなどの理由で介護が必要となった場合には、障がい者福祉制度が適用されています。 しかし、40歳を超え65歳に満たない人(第2号被保険者)…
詳しくみる労働基準監督署の労災調査では何を聞かれる?質問内容や対応方法を解説
労災(労働災害)が発生すると、労働基準監督署(労基署)による調査が行われることがあります。この調査は、労災保険給付の適用判断に加え、再発防止策の検討という重要な役割を担っています。人事労務担当者としては、調査でどのようなことを聞かれるのか、…
詳しくみる外国人雇用の際に社会保険加入は必要?条件や手続きの流れを解説
外国人労働者を雇用する際、日本人と同じように社会保険への加入が必要になる場合があります。適切な手続きを行わず未加入のままだと、企業には追徴金や罰則が科されることがあるため、注意が必要です。 本記事では、外国人雇用時の社会保険の適用条件や加入…
詳しくみる生命保険への加入は必要?社会保険をはじめとする社会保障制度との違いも解説!
日本では、9割近い世帯が生命保険に加入しているといわれています。テレビでも、生命保険のCMを見ない日はありません。 これほど普及している生命保険ですが、本当に加入する必要があるのでしょうか。 本稿では生命保険の概要、社会保険との違い、一部で…
詳しくみる【2025年-28年】雇用保険法改正まとめ!図解資料も用意!
本記事では、2025年から2028年にかけて段階的に施行される雇用保険法の改正ポイントを、企業の人事労務担当者向けに解説します。 雇用保険の制度概要から始め、高年齢者雇用継続給付の支給率見直し、自己都合退職者に対する失業給付制限期間の短縮、…
詳しくみる