- 更新日 : 2024年12月19日
雇用保険の傷病手当について
健康保険には、傷病手当の制度が設けられています。私傷病により働くことができない被保険者の生活を守るために設けられた制度で、会社を休んでいる間に十分な賃金が受けられない場合に支給されます。
健康保険の傷病手当と同じように、雇用保険にも傷病手当の制度が整えられています。会社を離職して求職の申込をした後に、病気やケガによって求職活動を続けることや就職することができなくなった場合に支給されます。
ここでは、受給資格者の万が一の傷病に備えた雇用保険の傷病手当の内容や、手当金の支給額、支給期間などについて解説します。
雇用保険の傷病手当とは
雇用保険の受給資格者が、離職後に公共職業安定所に求職の申し込みした後、15日間以上引き続いて病気やケガにより職業に就くことができない場合、基本給付が支給されません。傷病手当は、その間の受給資格者の生活を支援するために支給される手当です。
傷病手当は、15日間以上続く病気やケガが支給の要件となるため、14日以内の病気やケガの場合については基本手当の対象となりまます。
また、健康保険の傷病手当金、労働基準法の休業補償、労災保険の休業補償給付を受給している期間は、雇用保険の傷病手当は受けることができません。
雇用保険の傷病手当の支給額は
傷病手当の支給額は、雇用保険(基本手当)と同額です。
基本手当は以下の計算式によって求められます。
給付率は離職時の状況により異なり、45%~80%となります。
基本手当日額は、離職直前の6ヶ月に毎月支払われた賃金(賞与を除く)から算出した「賃金日額」に基づき計算されます。
基本手当日額は、勤労統計に合わせて上限額と下限額を設定し、うち、上限金額については、離職時の年齢区分に応じて設定されます。
離職時の年齢区分による上限額は以下の通りです。
雇用保険の基本手当の日額は毎年8月に見直されます。傷病手当の受給を検討する際、どのくらいの金額が支給されるのかを事前に計算する場合は注意してください。
雇用保険の傷病手当の受給期間について
病気やケガなどで職業に就けない場合、その期間により支給される手当の内容が異なります。
それぞれの期間に応じた手当の内容は以下の通りです。
15日以上30日未満の場合 → 傷病手当を支給
30日以上の場合 → 傷病手当の支給か基本手当の受給期間延長のどちらかを選択
※基本手当の受給期間の延長については4年を限度として定められています。
雇用保険の傷病手当の手続きについて
雇用保険の傷病手当を受ける場合は、職業に就けない理由(病気、ケガなど)がなくなった後の最初の失業認定日までに、管轄の公共職業安定所に「傷病手当支給申請書」を提出し、認定を受ける必要があります。
参考:傷病手当支給申請書|ハローワーク インターネットサービス
また、傷病手当支給申請書は、郵送や代理人による提出も可能です。
傷病手当は離職後の病気やケガに備えた制度
失業後の再就職に向けて活動しようとしても、病気やケガを患っている状態では、しっかりとした再就職への取り組みができません。
傷病手当は、そのような万が一の事態の際に受給できるものです。
受給の条件や手続きの内容をしっかりと理解し、病気やケガによって基本手当が受けられないといった場合には、傷病手当を申請するようにしましょう。
よくある質問
雇用保険の傷病手当とは?
雇用保険の基本手当の受給資格者が、離職後病気やケガにより15日間以上続けて職業に就けない場合の生活保障を行うことを目的として支給される手当です。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険の傷病手当の支給額は?
基本手当と同額です。基本手当の日額は、(離職前6か月の給与の総支給額の合計÷180)× 給付率で計算します。詳しくはこちらをご覧ください。
雇用保険の傷病手当の受給期間は?
15日未満の場合は基本手当、15日以上30日未満の場合は傷病手当を支給することになっています。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
健康保険の適用事業所とは?企業や個人事業主の加入条件と加入手続き
一般的に、企業に勤める従業員は、健康保適用事業所には、「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2種類があります。険に加入します。また個人事業主や自営業の場合でも、条件にあてはまる事業所では、従業員を健康保険に加入させる必要があります。ここで…
詳しくみる算定基礎届と月額変更届との違いは?対象者や提出方法を詳しく解説
算定基礎届と月額変更届は、企業の社会保険手続きにおいて重要な書類です。従業員の標準報酬月額を決定するために提出が必要な手続きであり、提出方法や提出先に関して注意すべきポイントがあります。 本記事では、算定基礎届と月額変更届との違いや提出方法…
詳しくみる産休申請書とは?産休・育休の手当金や手続き方法、書き方を解説
産休申請書は、従業員が産前産後休業を取得する場合に必要になる書類です。提出することで、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までの期間の社会保険料が免除されます。産前産後休業期間に変更があった場合や、産前産後休業終了予定日前に産前…
詳しくみる老齢基礎年金・老齢厚生年金とは?受給要件・支給開始年齢・年金額の違いを解説!
老齢年金には国民年金から支払われる老齢基礎年金と、厚生年金から支払われる老齢厚生年金があります。法改正によって老齢厚生年金の支給開始年齢は引き上げられましたが、大きな影響を受ける受給者には経過的加算などの措置があります。国民年金基金や確定拠…
詳しくみる「4月5月6月の給料で税金が決まる」は間違い!社会保険料と標準報酬月額を正しく理解
先日電車に乗っていたら、会社の先輩後輩らしき二人組の会話が聞こえてきました。 先輩「私、5月にいっぱい残業したんだけど、このままじゃ多分今年の税金が高くなっちゃうんだ〜」 後輩「え、残業が増えると税金高くなるんですか?」 先輩「1年間の税金…
詳しくみる令和7年度の労災保険料率は?労災保険の金額の計算方法も徹底解説
労災保険料は、労災保険料の計算に用いられる料率です。 労災事故が起こりやすい危険な業種ほど労災保険料率が高く設定され、危険が少ない安全な業種には低い労災保険料率が設定されています。多くの事業では、労災保険料と雇用保険料をあわせた労働保険料を…
詳しくみる