- 更新日 : 2024年12月3日
厚生年金における標準報酬月額表について見方を解説!
標準報酬月額表は、報酬額に応じた厚生年金の保険料をまとめた一覧表です。「給料ごとの保険料の早見表」とも言い換えられます。
標準報酬月額表を参照すれば、被保険者と企業の負担額を一目で確認することが可能です。ここでは、厚生年金における標準報酬月額表の概要や見方について詳しく解説します。
厚生年金における標準報酬月額表とは?
標準報酬月額表とは、厚生年金の保険料を計算するために用いられる表です。
厚生年金や健康保険の保険料は、被保険者が受け取る報酬額によって変動します。その際の基準となるのが「標準報酬月額」です。
標準報酬月額は、各種手当てを含めた4月から6月の3ヶ月間の報酬をもとに決定されます。そして、この標準報酬月額に応じた保険料を表にまとめたものが、標準報酬月額表です。
32の等級に分けられている
厚生年金の保険料は、標準報酬月額によって32段階に分けられています。例えば一番下の第1等級では88,000円、一番上の第32等級では650,000円が保険料の月額です。この区分のことを、標準報酬の「等級」といいます。
標準報酬月額および等級は、保険料の計算を簡略化するために用いられる指標です。そのため、被保険者が毎月受け取る報酬と標準報酬月額の間には、若干の差が生まれる可能性がある点に注意が必要です。詳細については、標準報酬月額表の見方の項目で後述します。
日本年金機構の厚生年金保険料額表に記載がある
厚生年金の等級や保険料は、日本年金機構のホームページにアップロードされている厚生年金保険料額表で詳細を確認することができます。2022年時点での最新の標準報酬月額表は32等級目が追加された「保険料額表(令和2年9月分~)」です。保険料率は、平成29年を最後に引き上げが終了したので、現在は18.3パーセントで固定されています。
厚生年金における標準報酬月額表の見方
ここからは、標準報酬月額表の実際の見方を確認していきましょう。以下が最新の標準報酬月額表です。
表を見るときに最初に着目するのは「報酬月額」の列です。被保険者の報酬月額が含まれている範囲を確認します。例えば報酬月額が290,000円の場合には、「290,000円~310,000円」が対象の範囲です。
次に、その欄の左側にある「標準報酬」から、標準報酬月額と等級を確認しましょう。「290,000円~310,000円」の左隣を見ると、標準報酬月額が「300,000円」の「第19等級」であることがわかります。
標準報酬月額表と等級を確認したら、最後に、右の欄で厚生年金の保険料額を確認します。今回の例では、保険料の全額は54,900円です。保険料は被保険者と企業で折半するため、それぞれの負担額は「折半額」に記載されている27,450円になります。
それでは、報酬月額が310,000円の被保険者の場合には、保険料額はいくらになるのでしょうか。
310,000円に対応する範囲は「290,000円~310,000円」のため、標準報酬月額と等級は、先ほどの例と同じ「300,000円」と「第19等級」です。つまり、報酬月額が290,000円の被保険者と310,000円の被保険者では、負担する保険料の額は同じになります。
このように厚生年金の保険料は、「報酬額」ではなく「標準報酬月額」をもとにして計算されます。保険料は報酬額に比例して増えていきますが、実際の報酬額と完全に一致するわけではないという点を押さえておいてください。
標準報酬月額表を使えば厚生年金の保険料が一目でわかる
標準報酬月額表は一見すると複雑にも思えますが、基礎知識さえ押さえれば見方はシンプルです。自社の労働者の保険料をスムーズに計算するために、等級や標準報酬月額といった基準を把握しておきましょう。
よくある質問
厚生年金における標準報酬月額表とはなんですか?
標準報酬月額表は、厚生年金の保険料を計算するために用いられる表です。被保険者の報酬月額によって32の等級に分けられています。詳しくはこちらをご覧ください。
厚生年金における標準報酬月額表はどこで確認できますか?
日本年金機構のホームページで確認できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
社会保険において扶養が外れる条件とは?外れるタイミングや手続きも解説!
会社員の配偶者がパートタイマーで働いている場合、収入によって扶養から外れて所得税の控除を受けられなくなったり、社会保険の加入義務が生じて新たに保険料負担をしなければならなくなったりすることがあります。 いわゆる「〇〇円の壁」です。 本稿では…
詳しくみる社会保険の資格喪失届とは
社会保険の資格喪失届とは、従業員が退職や解雇、死亡などにより社会保険のうちの健康保険・厚生年金保険の資格を喪失する場合に提出する書類です。なお、被保険者本人が資格喪失届を提出する必要はありません。 社会保険の資格喪失届が必要な場合 社会保険…
詳しくみる退職者は算定基礎届が必要?対象者・書き方・記入例を紹介
退職者は基本的に算定基礎届の提出は必要ありません。ただし、退職日によっては届出の対象になる場合があり、誤った対応をすると年金事務所から指摘を受ける可能性があります。 本記事では、退職者の算定基礎届について解説します。基本的な記入例や対象者別…
詳しくみるカスハラの労災認定基準は?事例や精神疾患の認定率、企業側の対策などを解説
近年、日本社会において顧客からのハラスメント、いわゆるカスハラの問題が深刻化しており、社会的な関心が高まっています。特に、2023年に労災認定基準が改正され、カスハラによる心理的負荷が明確に労災の対象として追加されたことは、この問題に対する…
詳しくみる雇用調整助成金とは?令和4年12月以降の特例措置(コロナ特例)についても解説
雇用調整助成金とは、事業主が労働者に支払う休業手当等の一部を助成する制度です。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う特例措置として、助成率と上限額が引き上げられています。期間は令和4年11月30日まででしたが、12月以降も延長され一定の経過措…
詳しくみる月末退社だと社会保険料がお得?退職日による違いを紹介!
社会保険料は、原則として月単位で計算されます。その際、社会保険の資格喪失日の関係で、従業員が月末退社をするケースと月末以外の「月の途中」で退職するケースとでは、給与から天引きする社会保険料の金額に差が生じます。 ここでは、従業員の退職日のタ…
詳しくみる