- 更新日 : 2025年2月28日
有給休暇の理由の書き方は?私用じゃダメ?おすすめの例文やテンプレートも紹介
有給休暇を申請するとき、理由の書き方に悩んだことはありませんか?本記事では、有給休暇の理由をどう書くべきか、適切な表現やNG例を交えながら詳しく解説します。体調不良や家庭の事情、私用のためなど、会社側に伝えやすいおすすめの理由や、理由を聞かれた場合の対応方法も紹介しているので、実際に申請する際に役立ちます。
目次
そもそも有給休暇に理由は必要?
有給休暇は労働者に認められた正当な権利であり、取得する理由を会社に伝える義務はありません。法律上、「理由を問わず取得できる」のが原則で、会社側が理由によって有給取得を拒否することはできないとされています。そのため、本来は有給休暇の申請時に詳細な理由を記載する必要はないのです。
ただし、実際には会社の規定や慣例で申請書に理由欄が用意されている場合も多く、上司から有給休暇の理由を聞かれるケースもあります。そうした場合でも、理由は簡潔で構いません。一般的には「私用のため」など一言で伝えるだけで十分なことがほとんどです。
有給休暇の理由の書き方
有給休暇の理由、なるべく簡潔に一言で書きます。長々と詳細を記載する必要はなく、「〇〇のため」と簡潔にまとめましょう。
また、社内の文書のためフォーマルな表現を心がけます。申請書やメールでは「〜のため休暇を取得させていただきたく存じます」など、敬語を用いた丁寧な書き方を意識しましょう。
なお、嘘の理由は書かないようにしましょう。例えば、実際は旅行なのに「体調不良」と偽ると、後日辻褄が合わなくなり、信頼を損ねかねません。
有給休暇の理由のNG例は、以下の通りです。
- 遊びや娯楽の理由
例:「遊びに行きたいから」「旅行に行くため」 - ネガティブな理由
例:「会社に行きたくない」「仕事のモチベーションが上がらない」 - 職場で公言すべきでない理由
例:「他社の面接のため」
有給休暇のおすすめの理由
有給を取得する際、どんな理由を伝えればよいか悩んだら、一般的に次のような内容が無難でおすすめです。状況に応じて選びましょう。
体調不良のため
有給休暇の理由として最も使いやすいのが体調不良です。「体調不良のため」と一言記載するだけで十分で、詳しい症状や病名まで書く必要はありません。
上司や人事担当者も、体調不良であれば深追いしないのが通常です。ただし、頻繁にこの理由ばかり使いすぎると周囲から不信感を持たれる可能性もあるため、本当に体調が悪いときに用いるのが望ましいでしょう。
通院・健康診断のため
病院での診察や歯科検診、人間ドックなど医療機関への通院が必要な場合の理由です。定期検診や持病の通院は日程が限られるため、事前に有給休暇を取得して対応するのは自然な流れと言えます。
家庭の事情のため
家族に関する用事やトラブルが発生した場合の理由です。たとえば「子どもの学校行事」「親の介護」「急な来客」など家庭内の事情全般を含みます。「家庭の事情で」としておけば、会社側も踏み込みにくいため、有給取得の理由として妥当なものと受け取られるでしょう。
冠婚葬祭のため
結婚式やお葬式への参列など、冠婚葬祭に関連する理由です。本人や家族だけでなく友人の結婚式なども含まれます。公的にも認知された行事のため、有給休暇の理由として適切です。
公的な手続きのため
市役所での各種手続き、銀行での用事、裁判所への出頭など、公的機関への対応が必要な場合の理由です。これらは平日の日中にしかできないものが多く、有給休暇を使って対応するのがやむを得ない事情と理解されます。
私用(私事都合)のため
上記のいずれにも該当しない個人的な用事全般を含む便利な表現です。実際、多くの会社の有給申請書では理由欄に「私用」とだけ記載する例が一般的です。法律上も有給取得に詳しい理由は不要ですから、「私用のため」という簡潔な理由で差し支えありません。
なお、休暇届などの理由欄には、よりフォーマルに「私事都合のため」と記載するケースもあります。これは「私用のため」と同義の丁寧な言い回しで、社内文書では好んで用いられます。
有給休暇申請書の例文・テンプレート
マネーフォワード クラウドでは、年次有給休暇申請書の無料テンプレートをご用意しています。会社所定の様式がない場合、こちらのテンプレートをダウンロードして必要事項をご記載ください。
有給休暇の理由を直接聞かれる場合の対応
有給休暇を申請した際に、上司や人事から直接理由を尋ねられることがあります。このとき「会社が理由を聞くのは許されないのでは?」と疑問に思うかもしれませんが、理由を質問すること自体は違法ではありません。企業側としては業務上の都合調整や社員の健康状態を把握する目的で聞いてくるケースもあります。
ただし、だからといって社員側に詳細な理由を答える法的義務が生じるわけではありません。労働基準法上、有給休暇は労働者の正当な権利であり、会社はその取得理由を問わずに与える必要があります。仮に理由を伝えなかったり、「私用」とだけ答えたりしても、それを理由に有給取得を拒否することはできません。従って、会社から有給休暇の理由を聞かれることはあっても、プライバシーにかかわる事項まで無理に開示する必要はないのです。
有給休暇の理由を簡潔に伝えて権利を行使しましょう
有給休暇の理由は、法律上は詳しく書く必要がありませんが、上司への印象や職場の円滑なコミュニケーションを考慮すると、適切な表現で伝えることが大切です。有給休暇の理由としておすすめの体調不良や家庭の事情、私用(私事都合)などを活用し、簡潔かつ丁寧に理由を記載しましょう。また、会社から直接理由を聞かれた場合も、決して焦らず今回紹介した例を参考に落ち着いて対応すれば問題ありません。適切な理由の書き方を身につけておけば、有給休暇を取得しやすくなり、安心して自分の権利を行使できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
残業削減に失敗するたった3つの理由とは?残業削減に導く4つの方法
残業削減が推進されるなか、人材不足のため一部の従業員へ業務が集中したり、定時退社しにくい環境であったりするために、残業削減がうまくいかない企業も多いでしょう。 とはいえ、残業削減のために業務量を減らせば売り上げが下がるため、さらに売り上げ目…
詳しくみるテンプレート付き – 残業届とは?目的やルールも解説!
長時間労働を削減するために、残業届の導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。残業を申請制にすることで残業を行うハードルが上がり、不要な残業を予防できます。残業申請制はただ導入するだけでなく、申請ルールを明確化して適切に運用すること…
詳しくみる有給休暇の基準日を1月1日とする場合、付与時期や日数の決め方を解説
有給休暇は、心身をリフレッシュさせ、業務に臨むうえで重要な制度です。有給休暇には、権利発生日である基準日が存在します。しかし、基準日は固定ではなく、変更することも可能です。 当記事では、有給休暇の基準日の変更について、具体例を挙げながら解説…
詳しくみる私傷病休暇とは?内容や期間、メリット・デメリットを解説!
私傷病休暇とは、従業員が業務外の病気やケガのため就業できない場合に利用できる休暇制度のことです。法的に定められた休暇ではないため、制度の有無や期間などを企業が自由に決めることができます。本記事では、私傷病休暇の内容や期間、メリット・デメリッ…
詳しくみる【雇用形態別】退職日までに有給消化できない場合の対処法
退職日までに有給消化ができない場合、法律上問題はありませんが、損した気分になるためできれば消化してから退職したいものです。 当記事では、退職日までに有給消化ができない場合の対処法について、雇用形態別に解説します。 近日中に退職を控えている従…
詳しくみる就業規則変更届の書き方・記入例・提出方法 – 様式についても解説!
就業規則変更届とは、就業規則を変更する際に労働基準監督署に提出しなければならない届出書です。厚生労働省から要件を満たした様式が提供されていますが、法令で規定された書式等はありません。この記事では軽微な修正でも届け出が必要なのか、逆に変更箇所…
詳しくみる