- 更新日 : 2025年5月27日
休職のまま退職した時の失業保険について!金額はどれくらい?
休職のまま退職した場合、失業保険の給付ができるのをご存じでしょうか?本記事では失業保険の基礎知識から受給条件や手続きまで詳しく解説し、休職の状態で退職した場合の失業保険についての疑問にも触れていきます。
目次
そもそも失業保険(失業手当)とは?
失業保険(失業手当)とは、正式名称は「雇用保険の基本手当」という名称であり、労働者が失業した際に、その労働者と家族の生活を支援するための制度です。主に失業中の労働者の生活費を補助する役割を担っています。
失業保険の目的は、労働者の生活を安定させ再就職活動を支援することです。失業保険に加入中は、被保険者(雇用保険に加入している労働者)が一定期間求職活動を行いながら次の職を見つけるまでの間、経済的なサポートの提供を受けられます。
ただし、失業すれば誰でも失業保険の給付を受けられるわけではありません。失業保険の給付には、被保険者期間や離職理由に応じた条件があります。今回は、休職の状態で退職した場合に失業保険を受給するための条件について、次の項で詳しくご紹介しましょう。
休職のまま退職した時に失業保険はもらえる?
休職扱いの状態で退職した場合でも失業保険(失業手当)を受給することは可能です。ただし、受給するためにはいくつかの条件を満たさなければなりません。主な条件はとして、以下の2つが挙げられます。
被保険者期間
失業保険を受給するためには、離職前の2年間に被保険者の期間が通算して12カ月以上あることが基本条件です。なお、被保険者期間とは雇用保険に加入していた期間のことを指し、原則として雇用保険料を納めていた期間が換算されます。
ただし、12カ月以上という被保険者期間の基本条件には例外もあります。例外が適用される失業者は、倒産や解雇などにより離職を余儀なくされた特定受給資格者や、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職となった特定理由離職者などです。これらのケースでは、離職日より前の1年間に被保険者期間が通算して6カ月以上ある場合でも失業保険の受給が認められます。
求職活動の意思
失業給付(基本手当)を受給するためには、離職後、ハローワークで失業の認定を受ける必要があります。失業と認定されるには、離職していることのほか、働く意思と能力があることが要件とされているため、実際に求職活動しなければなりません。
具体的にはハローワークで求職登録後、求職活動している旨を定期的にハローワークに報告することが義務付けられています。ハローワークに対する求職活動の報告とは、具体的には実際に応募した求人のリストの提出や面接の結果報告などのことです。定期的な報告によって求職活動を行っていることが証明され、失業保険の受給資格が維持されます。
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休職のまま退職した時にもらえる失業保険の金額はどれくらい?
休職のまま退職した場合の失業保険の給付額は、退職前の収入に基づいて計算されるのが一般的です。失業保険で受け取れる金額を計算する際には、まず1日当たりの金額に相当する基本手当日額を算出します。その後、基本手当日額に受給日数を掛けることで、失業保険で受給できる金額の総額が算出される仕組みです。
なお、基本手当日額の算出方法は、離職日の直近6カ月に毎月支払われていた賃金の合計を180日で割った金額の約50~80%(60歳~64歳は45~80%)という計算が一般的です。基本手当日額の算出率は、賃金の低い退職者ほど高い率で計算します。計算式で表すと以下の通りです。
- 退職前の6カ月間の給料の総額(賞与は含まず)÷180=賃金日額
- ①×45~80%(年齢や条件によって異なる)=基本手当日額
ただし、基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が定められており、2024年8月1日時点の上限額は下表の通りです。
年齢 | 30歳未満 | 30歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 |
---|---|---|---|---|
金額 | 7,065円 | 7,845円 | 8,635円 | 7,420円 |
出典:ハローワークインターネットサービス をもとに作成
休職のまま退職した時にもらえる失業保険の期間はどれくらい?
休職のまま退職した場合、失業保険(失業手当)の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。しかし、病気や怪我、妊娠、出産、育児などにより30日以上連続して働けなくなった場合は、その期間だけ受給期間を延長できます。延長できる期間は最長3年間です。
延長措置を受けるためには、働けなくなった日から早いタイミングで申請することが推奨されます。延長後の受給期間の最後の日まで申請可能です。申請は住所または居住地を管轄するハローワークで行います。また、再就職手当を受給後に会社の倒産などで再離職した場合は、一定期間、失業保険の受給期間が延長されるケースもあります。
休職のまま定年退職となった場合、失業保険はもらえる?
休職のまま定年退職となった場合でも失業保険(失業手当)は受給できます。ただし、以下のような3つの条件を満たしている必要があります。
被保険者期間が12カ月以上
休職のまま定年退職となった場合に失業保険を受給するには、退職前の被保険者期間が12カ月以上であることが必要です。
年齢が65歳未満
失業保険は、65歳未満の方が対象です。65歳で定年退職する場合は、失業保険とは別の高年齢求職者給付金の受給対象となります。
定年退職後も働く意思がある
休職のまま定年退職となった場合に失業保険の受給を申請するには、定年退職後も働く意思および能力があることを示さなければなりません。具体的には退職後すぐにハローワークで失業の認定を受けて求職登録を行い、その後定期的に求職活動を行っている旨をハローワークに報告する必要があります。
休職のまま退職した時に、失業保険を受け取るための手続き方法は?
休職のまま退職した場合に失業保険(失業手当)を受け取るためには、次のような流れで手続きを進めます。書類に抜けや漏れがあると失業保険が受給できなくなるリスクもあるため、しっかりと把握しておきましょう。
1.離職票の受け取り
退職後、勤務していた会社から離職票が発行されますので、忘れずに受け取りましょう。離職票は失業保険の申請に必要な書類であり、退職理由や雇用保険の加入期間などが記載されています。
2.ハローワークでの手続き
離職票を受け取った後、最寄りのハローワークで失業保険の申請を行います。申請時に必要な書類は、具体的には退職後すぐにハローワークで失業の認定を受けて求職登録をしたあとに定期的に求職活動を行っていることをハローワークに報告しなくてはなりません。申請を行うとハローワークで求職申込書の記入を求められるので、求職登録を行います。
3.給付制限期間の失業認定
通常7日間の待期期間後、自己都合退職の場合は2カ月の給付制限期間があります。この期間中は求職活動を行い、ハローワークでの失業認定を受けなければなりません。給付制限期間が終わると初めて失業保険を受給できます。
失業保険の計算方法
失業保険の手続きを進めながら、実際に失業保険でどのくらいの金額が受給できるのかをあらかじめ知っておくと、生活設計が立てやすくなります。
厚生労働省の公式サイトでは、失業保険の受給額をシミュレーションできるツールが提供されています。上記のリンク先には年齢区分がされているので、該当年齢を選択すると、失業保険のおおよその受給額の確認が可能です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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