- 更新日 : 2025年10月10日
MOOCとは?世界で注目の無料講座!メリット・デメリットを解説 | 給与計算ソフト「マネーフォワード クラウド給与」
MOOC(Massive Open Online Courses:ムーク)とは、オンライン学習サービスです。居住国や年齢、言語が異なる多様な学習者が集まり、無料で大学の講義を受けます。また、学習者同士が教え合い、議論できる掲示板がある点も特徴です。仕組みやメリット、デメリット、導入している大学について紹介します。
目次
MOOC(ムーク)とは?
MOOCとは、さまざまな国や地域、言語の学習者が集まり、本格的な大学の講義を受けるオンライン学習サービスです。MOOCsと呼ばれることもあります。達成度を測るテストがあり、一定の条件を満たすと修了証が発行される講座もあります。
大規模なオンライン講座
MOOCでは、大学が提携企業と共同開発したプラットフォームにより講座が提供されます。インターネットデバイスとインターネット環境さえあれば誰でもアクセスできるため、世界中から大勢の学習者が参加します。
講座によっては受講者が2万人を超えることもあるようです。世界的に人気の講座では、100万人規模での受講者が登録されています。社員向けの研修にも使われるなど、集団参加も増えているため、今後もさらに受講者が増えていくかもしれません。
無料で利用可能
MOOCは原則として無料で受講できる講座です。パソコンなどのインターネットデバイスがあり、インターネットにつながっている環境であれば、基本的には受講料なしに聴講できます。
ただし、有料のインターネット接続サービスを利用しているときは、料金が発生します。聴講時間が長引くときは、インターネットへのアクセス方法に注意をしてください。
どこでも受講可能
MOOCは基本的に世界中から利用されることを想定したサービスのため、インターネットにアクセスできる環境であれば場所を問わず受講できます。自宅やカフェ、移動中などでも利用できるため、学習に対するハードルが下がるでしょう。
また、講座によっては、掲示板を経由して講師に直接質問したり、学習者同士が教え合ったりできます。レポート提出などの課題が用意されていることもあり、一般的な大学の講義と同じような感覚で利用できる点も特徴です。
MOOCの仕組み
MOOCは大学をはじめとする教育機関により提供されるオンライン講座です。次の流れで利用する仕組みになっています。
- 受講したい講座を選ぶ
- 受講登録をする
- 講義を受ける(1講義は10分程度)
- コースになっているものはコースに含まれる講義をすべて受講する
- 課題やテストがある場合は提出する
- 講座によっては修了証を受け取る
MOOCのメリット
MOOCを利用して学ぶことには、次のメリットがあります。
- 時間的な制約を受けずに学べる
- 経済的な制約を受けずに学べる
- 空間的な制約を受けずに学べる
それぞれのメリットについて解説します。
時間的な制約を受けずに学べる
大学で勉強をするには、大学の教室に行かなくてはいけません。大学が離れている場合なら、通学するだけでも何時間もかかることもあるでしょう。しかし、MOOCはオンラインで受講できるため、通学時間は必要ありません。受講時間だけを確保すれば、いつでも学べるのがMOOCのメリットです。
また、MOOCの授業は10分程度の短いものが多く、大学のように1~2時間座っている必要がありません。スキマ時間を活かして学べるのも、MOOCならではの特徴といえます。
経済的な制約を受けずに学べる
MOOCは原則として無料で受講できる講座です。大学で学びたいという意思があっても、経済的な理由で断念していた方も、MOOCなら大学の授業を無料で受けられます。
また、学びたい大学が遠くにあり、入学するには一人暮らしが必要になることから断念するケースも想定されるでしょう。MOOCなら世界中のさまざまな大学の講座を自宅で受講できるため、一人暮らしにかかる生活費が勉学の妨げにはなりません。
空間的な制約を受けずに学べる
MOOCは、インターネットを活用して場所を問わず学べるオンライン講座です。大学が遠方にあることや交通手段が限られることなどは支障になりません。
また、教室の広さによって受講者数が限られる大学講座もあります。しかし、MOOCなら実際の教室に通うわけではないため、受講者数に制限が定められていないことが一般的です。空間的な制約を受けずに学びたい方にも、MOOCがおすすめです。
MOOCのデメリット
メリットの多いMOOCですが、いくつか課題もあります。特に次の点はデメリットになるかもしれません。
- 学位を取得できない
- 修了できないことも多い
- 語学力が問われることもある
それぞれのデメリットについて解説します。
学位を取得できない
MOOCでは、講座によっては修了証を受け取れますが、学位として認定されるわけではありません。そのため、多くの講座を受講したとしても、修了したコース内容について履歴書に書けることがあっても、学歴としては記載できません。
修了できないことも多い
MOOCでは大学の講師による専門性の高い授業が提供されています。講座によってはレポート提出が求められますが、高度なレベルを要求されることもあり、修了にたどり着けないケースも多いようです。
また、MOOCは無料のため、学びに対するハードルが低くなる点はメリットですが、止めやすくなるのはデメリットといえます。「予想した講義内容と異なる」「難しい」「飽きた」などの理由で、途中で止めてしまうケースも少なくありません。
語学力が問われることもある
海外の有名大学の講義を受講できることもMOOCの特徴です。講座で使われる言語を理解している場合なら問題なく受講できますが、語学力が高くない場合や専門用語が理解できない場合などは、聴きたい講座があっても受講できない可能性があります。
ただし、講座によっては、字幕や副音声で多言語対応していることもあるようです。語学力に自信がないときは、多言語対応の講座を選ぶようにしましょう。
MOOCを導入している主な大学
世界中の大学がMOOCを導入し、広く学びの場を提供しています。いくつかの例を紹介します。
ハーバード大学
ハーバード大学では、MIT(マサチューセッツ工科大学)と共同出資してプラットフォーム「edX(エデックス)」を立ち上げ、ライフサイエンスや金融などの幅広い分野の講座を開講しています。
また、オンライン講座を活用して学びの効率性を高める実証実験も行い、より有用な講座の提供にも注力しています。
京都大学
MOOCプラットフォームの「edX」に、日本の大学として最初に参加したのが京都大学です。
また、教育コンテンツ活用推進委員会や京都大学ジャパンゲートウェイとも連携し、数百を超える講義を実施しています。なお、講義は基本的にすべて英語で、修了条件を満たすと修了証を受領できます。
東洋大学
東洋大学では授業の予習学習にMOOCを活用しています。学生は授業を受ける前にMOOCで予習し、小テストまで済ませておきます。
予習学習の理解度に応じたフォローアップが提供されるため、一定以上の知識を得た状態で授業を受けることが可能です。また、授業そのものもオンラインで提供されるケースが多く、柔軟な学びを提供しています。
東京大学
東京大学のMOOCは、英語で受講できるものだけでなく日本語で学べるものもあり、語学の壁を超えて学習できる環境を提供しています。
また、学生向けコンテンツ以外にも、企業の教育担当者や学校教員に向けたコンテンツもあり、学び直しの機会としても活用されています。
MOOCの日本版JMOOC
JMOOC(Japan Massive Open Online Courses、ジェイムーク)は、2013年に誕生したMOOCです。すべての講義が日本語で行われるため、英語が苦手な方でもハイレベルな学びを得られます。
JMOOCでは、一部の講座を除き、修了証取得まで無料で受講可能です。高校生向けの講座や学び直しに活用できる講座などもあり、自分のペースで知識を深められるのも特徴です。
企業でMOOCを活用する取り組み
MOOCで提供されている講座の中には、社会人に必要な知識やスキルを包括しているものも少なくありません。社員教育の一手法としてMOOCを活用している企業もあり、従業員の能力開発やスキルアップにも利用されています。
MOOCを活用すれば、世界レベルの高度な授業を無料で受けられます。社員教育のクオリティを高められるだけでなく、教育コストを抑えられるのも企業にとってメリットです。
また、MOOCは社員の自己啓発の機会としても活用できます。講座のバリエーションが豊富なため、業務に関する学びだけでなく、教養を深めるための学びも得られます。
おすすめのMOOCのサービス、講座サイト
世界・日本で広く活用されているMOOCを紹介します。いずれも登録料は不要で、気になる講座だけを受講できます。ぜひ学びの場として活用してください。
Coursera(コーセラ)
Coursera(コーセラ)は、スタンフォード大学の教員が設立した企業が運営しているMOOCプラットフォームです。世界の大学や機関が講座を開設し、高い水準の教育を提供しています。講義は基本的には英語で行われますが、字幕表示に対応しているため、日本語でも学べます。
edX(エデックス)
edX(エデックス)は、ハーバード大学とMITが共同設立したMOOCプラットフォームで、世界の大学や機関が講座を開設しています。受講期間についての情報が明記されているため、学習スケジュールが立てやすいのも特徴です。
gacco
gaccoは、日本オープンオンライン教育推進協議会の公認を受けたオンライン動画学習サービスです。講義は基本的に日本語で行われ、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのさまざまなデバイスに対応しています。また、社会人向けの講座もあり、社員研修にも活用されています。
Schoo
Schooは社会人向け講座を専門としたMOOCプラットフォームです。職種別、階層別に豊富なカリキュラムがあり、ビジネススキルやITスキルの習得、自己啓発などにも活用されています。
Codecademy
Codecademyはプログラミングの学習に特化したMOOCプラットフォームです。JavaScriptやHTMLなどの豊富なプログラミング言語の学習や、プログラミングのスキルアップにも活用できます。
MOOCをスキルアップや自己啓発に活かそう
MOOCはハイレベルな授業を無料で受講できるシステムです。簡単に登録できるプラットフォームも多く、高度な内容を気軽に学べるのも特徴です。
知識やスキル習得の場として、また、教養を深める場として、MOOCを活用してみてはいかがでしょうか。学びを広げ、深めることで、より充実した生き方を実現できるようになります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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