- 更新日 : 2024年10月30日
タイムマネジメントとは?やりがちな失敗や実践方法、おすすめアプリを紹介
タイムマネジメントとは、限られた時間を効率的に使い生産性を向上させるための時間管理方法のことです。ビジネスでは、業務効率化・生産性向上にタイムマネジメントは欠かせません。
ここでは、タイムマネジメントのメリットや具体的な取り組み方について紹介します。また、タイムマネジメントに活用できるツール・アプリも参考にしてください。
目次
タイムマネジメントとは?
タイムマネジメントとは時間管理を意味する言葉です。時間管理といっても、人に与えられた時間は1日24時間と限られており、縮めたり伸ばしたりすることはできません。ビジネスでは、この平等に与えられた時間を効率的に使い生産性を向上させるために時間管理することをタイムマネジメントと呼びます。
タイムマネジメントが注目される背景
タイムマネジメントが注目される背景には、個人に課せられるタスクの増加や、長時間労働の削減といった就業環境の変化があります。
情報技術の発展により、ひとりの社員が担当する業務は複雑化しています。一つの業務だけで一日を終えるのではなく、複数の業務を担当するマルチタスクの傾向は多くの企業で見られるものです。ひと昔前では、こうした業務量の多さを残業でカバーするケースも少なくありませんでした。しかし近年では、働き方改革の推進により長時間残業の削減が進んでいます。ノー残業デーを掲げたり、ワークライフバランスの推進を目的にしたりして、業務効率化に取り組むことは、企業にとって不可欠なことです。
限られた就業時間のなかで与えられたタスクを消化するためにも、タイムマネジメントが求められています。
スケジュール管理との違い
スケジュール管理は、個人や組織が日々の業務やプロジェクトの進捗管理を計画的に進めていくために、スケージュールを明確にして時間を最適に活用するためのプロセスを指します。日々の業務のタスクや、プロジェクトの進行状況、締め切り、ミーティングの時間などを可視化・共有化し、個人と組織全体がスムーズに活動できるようにするのが目的です。
一方、タイムマネジメントは限られた時間の中で、行動をどのように改善するかに焦点が当てられています。言い換えれば、個人や組織の行動をマネジメントすることが、タイムマネジメントの大きな目的といえます。
タイムマネジメントの使い方・例文
タイムマネジメントとは、時間をうまく使うことをいいます。以下のようなシーンで使われます。
- 「タイムマネジメント研修を導入し、社員の意識を向上させる」
- 「業務の洗い出しは、タイムマネジメントに有効である」
- 「タイムマネジメントを行うには、業務・タスクの終了時間を意識しなければならない」
タイムマネジメントをするメリット
タイムマネジメントに取り組むことで、企業が得られるメリットを解説します。
計画的に進められ業務効率が上がる
タイムマネジメントによって物事が計画的に進めば、業務効率が向上します。これまでかかっていた時間を短縮することができれば、時間に余裕ができて、次の仕事に早く取り掛かることができるでしょう。
1つの仕事で短縮できる時間はわずかかもしれませんが、そのわずかな時間を積み重ねていけば、多くの業務をこなすことができます。社員全員がタイムマネジメントの意識を持って業務に取り組めば、組織全体としては多くの業務をこなすことができるようになり、生産性が向上します。
長時間労働の改善ができる
業務が効率的に進むことで、長時間労働の改善が期待できます。与えられた仕事を長時間ただこなしているだけではモチベーション低下につながり、メンタルヘルスにも影響があります。タイムマネジメントによって仕事が「計画通りに進む」と、日々の業務に達成感が感じられるようになり、社員も意欲的に業務に取り組むことができるようになるのです。
また、長時間労働の改善は、人件費や光熱費などのコスト削減効果も期待できるでしょう。
時間に追われず精神的な余裕が生まれる
タイムマネジメントを実行していると、時間的な余裕ができて仕事に「追われる」感覚がなくなります。時間的な余裕は精神的な余裕にもつながります。自分で考えた優先順位通りに仕事に着手できるようになれば、締め切りに対してストレスを感じることが少なくなるのです。タイムマネジメントで生まれた余裕は、社員同士のコミュニケーションの活性化や、企業へのエンゲージメント向上など、さまざまなところでプラスの影響をもたらすでしょう。
仕事とプライベートがうまく両立される
タイムマネジメントによって長時間労働が削減できれば、ワークライフバランスが実現できます。仕事と育児や家事などのプライベートとのバランスを重視する傾向は、近年高まっています。また、副業を行い複数の業務でキャリアを積むスラッシュキャリアという働き方も生まれています。限られた時間をうまく使い、成果を高めることは、組織と個人の双方に良い影響をもたらすのです。
タイムマネジメントの実践方法
具体的にはどのようにタイムマネジメントを実行すればよいのでしょうか。基本的な流れを紹介します。
①タスクの洗い出しをする
はじめに、担当しているタスクの洗い出しをします。このステップの目的は、個々の業務の必要性を見直し、業務ごとにどれくらいの時間を使っているのかを正確に把握することです。タスクの洗い出しをすることで、「無駄な業務」や、今まで気づかずに使っていた「時間」を見つけることができます。1日、1週間ごとに行っている業務とかかった時間を記録しましょう。業務の種類によっては、プロセスごとに書き出すという方法も必要になります。
②優先順位をつける
洗い出した業務に、優先順位をつけます。優先順位は、「重要度」と「緊急度」の2つの軸で考えます。業務を以下の4つに分類してみましょう。すると、業務に優先順位がつき、何に優先して取り組むべきかが見えてきます。
- 重要度と緊急度が両方高い
- 重要度は高いが緊急度は低い
- 重要度は低いが緊急度は高い
- 重要度と緊急度が共に低い
③目標設定・スケジューリングをする
業務の優先順位を決めたあとは、スケジューリングを行います。タイムマネジメントをうまく実行するポイントは、余裕を持ったスケジュールにすることです。業務では、追加作業やイレギュラーな対応が発生することがあります。時間的な余裕をある程度設けたうえで、目標・スケジュールを設定しましょう。
④実行する
スケジュールが決まったら、業務を実行します。業務の実行では、QCD(品質・コスト・納期)を意識することが大切です。QCDとは、もともと製造業で重視されている考え方ですが、どのような業種にも、より良い品質・満足できる価格・決められた納期が重要になります。
品質が低ければ、顧客に満足してもらえません。たとえば、上司に提出する企画書であっても、クオリティーが一定基準に達していなければ再提出を求められます。かといって、品質を上げるためにコストを使えばよいかというとそうではありません。コストがかかれば、商品やサービスの提供価格が上がってしまいます。ビジネスでは人件費もコストであり、企業の収益に大きな影響を与えます。適切な人数で、与えられた時間内で計画的に業務に取り組む意識が重要です。
納期を無理に早めることも品質に影響します。かといって、納期を過ぎてしまえば、企業としての信頼性を失うことにもなりかねません。業務が予定通りに進まないとさまざまなことに影響が生じます。品質・コスト・納期、すべてを向上させるのは難しいものです。バランスを考えて計画的に実行することが、上手なタイムマネジメントにつながります。
⑤振り返りと改善をする
タスクの実行中、もしくは終了したあとには、必ず振り返りを行いましょう。目標としていた設定時間内に行えたか、品質はどうでだったかをチェックすることは大切です。タイムマネジメントの目的は、生産性の向上、成果の向上にあります。もしやり方に問題があれば、改善しなければなりません。
タイムマネジメントでやりがちな失敗例
タイムマネジメントで発生しやすい失敗について紹介します。
進捗状況を把握できていない
進捗状況をうまく把握できていないケースです。これは、複数人で業務を行っている場合に発生しやすくなります。個々の業務の進み具合が見えていないと、誰も計画より遅れていることに気づけません。この状態を改善するためには、業務の進捗状況を共有できるように可視化することが重要です。
実作業時間を考えていない
タイムマネジメントを行っていたとしても、現実的な実作業時間が反映されておらず、結果として失敗してしまうことがあります。「これくらいだろう」「これくらいで終わらせたい」と理想を反映してしまい、結果として現実と計画にギャップが生まれてしまうのです。上手なタイムマネジメントは、作業時間を正確に把握することから始まります。
緊急のタスクに振り回される
タイムマネジメントには、時間的な余裕を設けるための余白も必要です。業務で、想定外の変更依頼がやってくる、何かしらのトラブルが発生し作業ができないといった経験をした人は少なくないでしょう。計画的に実行していたとしても、「これを明日中にお願い!」と言われてしまうこともあります。
タイムマネジメントではイレギュラーな場面に備えてあらかじめ余裕を持ったスケジュールを立てておくことはもちろんのこと、想定外のタスクがやってきたとしても、通常のタスクと同様に重要性と緊急度で優先順位をつけることが大切です。計画を立て直すことで、タスクに振り回されずに業務を遂行することができるようになります。
業務やタスク終了時間を決めていない
業務を効率よく進めていくためにも、それぞれのタスクの終了時間を設定しておきましょう。効率的に業務を行っているつもりでも、終了時間=納期が定まっていないと、計画に遅れが発生した場合の対応が遅くなります。
タイムマネジメントを助けるおすすめツール・アプリ
最後に、タイムマネジメントを助けるおすすめのツールを紹介します。
Backlog(バックログ)
「Backlog」とは、プロジェクト全体のタイムマネジメントを行うツールです。組織やチームなど、複数人がかかわる業務のタイムマネジメントに適しています。「進捗管理」「タスク管理」「ファイル共有」などの機能を活用すれば、課題やタスクを整理して優先順位を設定できるため、タイムマネジメントが簡単にできるようになるでしょう。
参考:チームの可能性を広げるウェブベースのコラボレーションサービス | 株式会社ヌーラボ(Nulab inc.)
Mazrica(旧:Senses(センシーズ))
「Mazrica」は、主に営業支援ツールとして活用できるクラウドアプリケーションです。日々の営業活動を簡単に記録できて、業務効率化につながります。さらに、営業活動に関する情報を蓄積することで、組織としての活用も可能です。
参考:BUSINESS | 株式会社マツリカ | Mazrica Inc.
Jooto(ジョートー)
「Jooto」はカンバン方式のタスク・プロジェクト管理ツールです。「直感的に使えるレイアウト」「親しみやすいシンプルなデザイン」をコンセプトにして作られているのが特徴です。タスクのステータスを一目で管理できるため、プロジェクトの進捗状況を可視化できます。
参考:Jooto
タイムマネジメントを行い業務の生産性を向上させよう
タイムマネジメントに取り組む場合、業務の洗い出しやタスクにかかる時間の把握などの作業が大変だと思うかもしれません。しかし、アプリやツールを活用すれば、優先順位の把握や進捗状況の可視化が容易に行えます。
時間に追われ、タスクに振り回されるのではなく、タイムマネジメントで「やるべきことを優先してやる」と限られた時間を上手に活用すれば、時間に余裕が生まれ、気持ちにも余裕が生まれます。タイムマネジメントをうまく行うことは、業務の生産性向上だけではなく、従業員のストレス軽減やワークライフバランスの実現など、従業員と企業の双方にプラスの影響をもたらすことでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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